姿勢と重心の気づき

3月も27日だが、未だ肌寒い。毎年この時期、例年の気温を忘れてしまう。桜の開花が遅いのだからやはり今年は寒さが長引いているのだろう。

さて、本日の金山剣術稽古会では大きな気づきがあった。

抜刀術における姿勢と重心についての事だが、これまでの姿勢と重心意識を大きく改めた。

一人稽古時に、「力を抜ける強さ」が頭をよぎり、それにより思わずとった姿勢でおこなった「立一閃」という抜刀で、新調し重くなった二尺七寸の居合刀が、以前の物と同様に軽く奔り「なんだこれは!」と、今までに無い実感に衝撃が走った。

そこでさまざまに検討し、重心操作と立構における姿勢を見直すことになったのである。

長年に渡り、というか、武術稽古を始めて以来ずっと重心位置を間違え、やりたいこととやっていることとがぶつかっているような間違いをずっと犯していたのである。だから、抜くまでに時間が掛かっていたのだと今頃になってようやく理解した。姿勢と重心操作を改めたことで、居着きが無くなり、というより、身体が行こうとしているのを抑えているような感覚となった。これまでは、行こうとしても身体がなかなか応じてくれない感覚だったが、それもそのはず、円の回転が逆だったのである。今後、この間違いを改めたことで、他の稽古でどのように働きが生まれるのか興味深い。

黒柳氏との稽古も二年半が過ぎたが、今日は氏にとって大きな進展が幾つもあった。今日一番の気づきである姿勢の改めにより、力が抜けて良い動きが引き出せたのかもしれない。別段何も難しくない僅かな変更であるが、普通はあまりやらない角度である。以前にも何度か試みたことはあるが、とても良い実感を得られる感じが無かったので、記憶に残すことも無かったが、今日は何故かこのことに考えが及び実感を得たのであった。

このところ、最後の杖整体操の気持ちよさが失われつつあったが、今日の姿勢の改めにより、ある部分が氷解し、ずっと滞っていたものが流れたかのように、杖整体操やその後の帰りの道中気持ち良さが残り続けた。今日気づいた部分は、これまでにも良く取り上げていたが、あらためて重要な部位であることが解った。心理的な変化や、脱力、そして重心移動における初動に大きく関わってくる。これは、まだ告知していないが4/29(月/祝)におこなう抜刀術特別講習会でお伝えしたいと思う。まだ日にちがあるので、その日までさまざまに確認しておきたい。

先週20日の稽古後、黒柳氏と珈琲の話題になったときに、なんと、黒柳氏も自家焙煎をやっていると知り、自家焙煎歴3~4年と、昨年11月に始めた私よりも全然先輩であった。いろいろ話を伺うとかなり詳しい!ネルドリップで淹れていると聞き、また一段ハードルが上がってしまうが、私もネルドリップで淹れたくなってしまった。またネルドリップ用の器具を買わなければならないが、まあ、さほどお金が掛からないので、手間暇さえ苦にしなければ、ネルの購入に踏み切ろうと思っている。

今日は、稽古後に黒柳氏が焙煎した、「エチオピア イルガチェフ コチャレ ナチュラル G1」という豆を頂いた。これは、綺麗に油がタップリと付いているが、2ハゼが終わって、さらに煙が出始めたところで、焙煎を終え、焙煎直後の豆に少し油が付いているのを、均等に混ぜて馴染ませ、それから約二週間置くと、写真のように全体綺麗に油を塗布したような状態となるそうだ。その場で一粒食べたが、なかなか美味しかった。

2024.03.27

さいきんは、講習後&稽古後の珈琲談義が欠かせない。


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2024-03-27(Wed)
 

三十連円打の特別講習会を終えて

本日は品川区総合体育館柔道場で、杖術特別講習会を開催いたしました。

このところ、特別講習会は少人数での開催となっておりますが、そのぶん、一人一人との関わりが深くなりますので、これはこれで本当に特別な講習会であると感じます。

今回は「三十連円打」をテーマとして進めて行きましたが、流れ動き続けるための手の内であったり、運足と杖の一致、そのための動作を各種お伝えしました。

この三十連円打は、速く動くためのものでは無く、身体を整えた状態で動き続けることや咄嗟に働くための手の内の養成、如何なる状況でも滞りなく動けるための感覚を養うための稽古です。

杖の滑りというのは、得物を有効に扱うためには欠かせないものであり、得物に身体が束縛されるのを防ぐ働きもあります。
さらには、「一拳(けん)の滑り」を使うことで、小さい動作でも威力を高めることが出来ます。

三十連円打の中には、応用し実戦に使えるものもありますが、この型そのものは、身体使いの基盤を手に入れるものであります。

相手の持ち方次第では、杖を払い飛ばすことも出来ますが、手の内の得手不得手を見て、それに応じて杖を持ち替えて使うこともあります。杖を合わせる動作は、そのまま相手の指を狙う稽古にも繋がっており、その瞬間の判断と間に繋がる流れを身体が経験していくことが、無意識的な対応に繋がっていくのです。ですから、稽古において、何かが予定通りに行かなかった瞬間、どのように対応(反応)出来たかが問われます。そのことに気づかず終わらせてしまってはなりません。難易度はさまざまですが、想定を立てておくことで、落ち着いていれば身体が自然に反応することもあります。仮に失敗して何かが起きてしまったとしたら、その経験から、どういった流れでそのようになったのかを詰めて考えておかなければなりません。それを次なる状況で、使えるものとするのです。どのような現象も、考え方によって次に生かすことです。同じ事の繰り返しはなりません。その状況を避けることもまた対応法の一つです。

経験と実感。それにより、想定に見立てがつく。その経験と実感を変えていきながらそれに適った想定と見立てがつけば、動けるのだと思います。ですから、大事なことは、経験と実感を大事に守り続けるのでは無く、発掘するように色々と試すことです。無いものを得るためには、頭で考え過ぎず、まずやってみること、全てを塗りつぶすこと。その確認毎の善し悪しの中から、良い物だけを選び、それに適った想定や見立てをつけていくのです。そうして手に入れたものというのは、自得ということになるのでしょう。

ご参加頂いた皆様ありがとうございました。身体にはスッと馴染むものもあれば、拒否反応を示すものもあります。それは身体の思想ということになるのかもしれませんが、出会いのキッカケは様々です。励まれる方は、今日の講習の中でお伝えしたことをヒントに映像などを観ながら取り組んで下さい。また稽古出来る日をお待ちしております。


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2024-03-24(Sun)
 

心身のつながりを感じられるよう向き合っていくこと

本日のGCは、品川区総合体育館柔道場で杖術クラスの講習をおこないました。

一年五ヶ月ぶりに大学を卒業し今年から就職が決まったK君が復帰されました。そのK君とも長く繋がっておりますが、今から約10年前の当時中学一年生のころ入会され、高校受験、大学受験、就職活動と、それぞれ間が空いても復帰されております。彼がまだ中学生の頃、土曜日の講習を一日に三回、午前、昼、夕方と三コマ戸越体育館の柔道場や剣道場を使って講習をおこなった日がありました。

さすがに、三コマに分けますとかなり分散されますが、午前の部にK君だけが来てくれた日がありました。確か戸越体育館の柔道場だったと思いますが、講習内容を変更して、かなりお話しをした記憶が残っております。当時から不思議と私はK君に対して、遠慮無く注意をしていたと思いますが、そういう気持ちになって指導出来たことは数少ないことだと思います。いつからか、K君が教室に対して何か自分が貢献したいという思いが伝わってくるようになったのは嬉しく感じますし、その気持ちが他の生徒さん達へ通じているならば、それはもうそれで十分すぎるほどの貢献になっています。その流れは、後輩の若い生徒達にも繋がってきておりますし、決して賑やかでワイワイとした教室ではありませんが、静かに皆さん色々なことを感じ取っていることと思われます。

お子さんが大人になっても生徒として来てくれたらどんなに嬉しいか…そして、お酒を一緒に飲めるようになったらどんなに楽しいだろうか…

それが現実になってきました。おそらく初のケースだと思いますし、今後同様に卒業後も通われる生徒達も続いていくかもしれません。勤務先や勤務内容によっては断念せざるを得ないケースもあるでしょう。年を重ねることの喜びは、年を重ねなければ味わえない経験にあるのでしょうね。


さて、気持ちを切り替えて講習内容に入ります。

今回は、次回の講習内容として記していた「十一之型」をテーマに時間を掛けてお伝えいたしました。

「覚えたところからようやく稽古になる」と言ってしまうと、まだ、稽古にもなっていないのか…と、気落ちする方も少なくないかもしれませんが、身体を動かす場所が道場であるなら、考える場所というのは何処でも可能です。

以前、ある方のお宅に上がらせていただく機会がありました。

その方の稽古部屋の壁には、三十連円打の全ての名前と動作のメモが貼られており、それが成長に表れていることを以前から感じておりました。

楽しみ方(愉しみ方)というのは、人それぞれですが、「身体の共鳴と相互理解」そこにこそ、本来の愉しみがあるように思います。

覚えることというのは、そこに至るまでの準備段階であり、その日出来るであろう箇所までの想定を頭の中で立てておくことです。全て覚えることが難しい場合は、途中までで構いませんので、その中で何を得ていくのか、そこに考えがあり身体を通じ理解を深めていく作業が稽古になって行きます。

ひとそれぞれに、得ていく内容は異なりますし、得られる可能性が高いものに取り組むことです。

今日の講習では、何人かの方に、私から観たその方にとっての動作をお伝えしました。稽古場(道場)では色々なことを試すことが出来ます。もちろん、それまでに頭の中で色々なことの想定を立てておかなければなりません。動作や表情には人の心理状態が表れやすいものです。ですから逆に、動作や目のことを整えることで、身体の方から心理的に感じさせてくれることもあるのです。

話は逸れますが、役者がその役を全うし終えたのち、心身に何らかの不調を来すことがあります。それは役によって異なるでしょうが、それだけに身体というのは心理的な部分において流れてくるものがあるということなのでしょう。その善し悪しを上手く使っていくことで、その人の心身を上手く保全していくことに繋がるのだと思います。

ですから、稽古場において、自身の動きに何を感じるか、その何処かに心身の癖、善し悪しの流れの癖があるように思います。そこをあらため、良き実感を得ていくことが、身体の共鳴でもあり相互理解における感動に繋がるのでしょう。

自分自身よくよく分かっている何かを変えるには、心だけでなく、身体をどのように整えて扱えるか、そこに、心で感じ得なかったものが実感できるようになるのだと私は経験上そのように思うのです。

そこと向き合うには、簡単には行かないでしょう。強力な敵がいるからです。やりたいことをやらせてくれない存在。考えたいことを考えさせてくれない存在。変えたい自分を変えさせない存在。

その存在に勝つには、その存在に委ねている状態と、委ねてはならない状態を把握し、あらためることです。

結局のところ、変われるか変われないかは、自分自身ということなのです。


3月24日(日)『杖術 特別講習会』

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2024-03-23(Sat)
 

今週を振り返って

今週もすでに金曜日となった。今週の活動を振り返ると、火曜日のクラーチ剣術教室では、いろいろと考えることもあった。テレビで山極先生の仰っていた身体の共鳴と相互理解について、その場をどのように整えていくかが重要であり、単に身体を一緒に動かせば起こりうるものでもない。その場を指導者がどのように整え、共鳴し合う空間を作り出すことが出来るかに掛かっている。
人の心は新しいものに興味を引きつけられる。その新しいものとは何処にあるのか。そこに、身体の共鳴や相互理解が関わっているように思う。

「灯台もと暗し」という諺を良く使うが、私自身何処に気づくか、何に気を取られていたか、ということから「灯台もと暗し」だな。と言うことがよくある。ということは、やはり見ているところ、意識しているところ、その間違いに気づかされることが多いのだ。

身体の共鳴と相互理解において、どこに焦点を定めていくか。その意思疎通がまず重要である。だが、そこに誘いという強烈な灯台の明かりが、誤ったところを照らしてしまうので、本来訪れるはずの共鳴ではなく、そこに身体が震えるほどの相互理解も無い。「地に足をつける」ために、灯台の誘いから逃れなければならない。

水曜日は、久しぶりというか滅多に無い品川区総合体育館での金山剣術稽古会となった。祝日で会場が取れなかったこともあるが、やはり場が異なれば感じ方も変わってくる。あらためて戸越体育館柔道場が今の私のホームであると感じる。
その戸越体育館柔道場では、先週13日の稽古時、初めて盗撮なる状況にあった。

稽古が始まって20分か30分が過ぎた頃、道場が地下一階のため、自然光は入ってくるが、窓が2m以上の高さにあり、その見上げるような高さの窓際に人が現れた。

皆が稽古をしている最中、ぞの頭上の窓に60代前後の男性が表れ、窓の傍まで近づいてきた。長年ここを使用している私としては、その場所に足を踏み入れる人はこれまでで皆無なので、なぜそこに人が現れたのかがまず気になった。私が見上げていると、その男性と目が合ったのだが、スマホを取り出し、窓の上からずっとスマホの裏面をこちらの角度に向けていた。その男性は画面の前に立たず、コンクリートの柱に被るように立っており、違和感のある時間帯が続いた。

最初は、ガスの点検か何かでメーターでも見ているのかと思ったが、そういう設備も無い。そこで、英子氏にお願いして戸越体育館のスタッフに注意して貰うよう伝え稽古を続けた。しばらくして、そうだ、今の異様な姿をカメラに収めようとガラケーを取りに行こうかと思ったところで、館長がその人物に注意して居なくなってしまった。とにかく、人が立ち入らない場所へ、人が入り込み、窓の外からずっとスマートフォンをこちらに向けられるのは、どのような理由があろうと疑わしいものである。この日撮影される内容に別段困るようなものは無かったが、勝手に動画撮影と思わしき長い時間カメラを向け続る行為は、それなりの年齢を重ねた器機に不慣れな人にはとくに自重して貰いたいものである。

そして昨日木曜日は、四十代最後の年を迎えた。近年自分が生まれた日にちの前日が訪れても忘れていることが多かったが、まさか当日になっても時折忘れてしまっていることに驚いた。日々の稽古や活動における関心事、これからの活動イメージの方が頭の中に現れてくるので、それはそれで私の思考習慣になっているのだとあらためて気づかされた。

人が生きていくということは、必ず誰かと敵対し誰かと友好的になるものである。その相反するものの中で棲み分けられ、穏やかな日々を求めていくことになるのであろう。何処に視線を定めるか、灯台の明かりもビジョンとして必要であるが、地に足をつけ、これまで辿ってきた道の一歩と、これから進み選んでいく一歩を、今の自分の年齢と共に見極め納得していくものとしたい。苦労は時を経て思考に教えとなって還ってくる。


3月24日(日)『杖術 特別講習会』

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2024-03-22(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
北九州市門司区出身
世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者住宅 クラーチ溝の口
クラーチ剣術教室講師

パークシティ溝の口
杖術 巴の会主宰

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