いつもの日常に戻ってきました

 2018年も稽古三昧の日々が始まった。正月休みの六日間あえて得物に触れないようにした。それでも稽古が始まると新たな展開に稽古法が進んでいくので不思議なものである。やらなくとも、やりたい気持ちがあればどこか進み続けているものがあるのだろう。

 まずは昨日四日木曜日の稽古から。

 水曜日の戸越体育館が安定開催できなくなり、その代わりとして新宿スポーツセンターの第一武道場でW氏とともに午前中に体術などの稽古をおこなった。今回は受け身の稽古に時間を割いた。受け身といっても柔道や合気道のようなクルッと回転するものではなく、前後左右背中から丸く衝撃を逃がしながら手を付かないようにおこなうようにした。

 腕を引き込んでの崩しでは、相手と同化するようにおこなうと反射的な対応が遅れ効果的であることが分かった。だが、細かいテンションの掛け方や力の方向なども関係しているので、その辺は動きの中で感覚的に掴んで行かなければならない。

 切り落としでは、動かない方向で頑張っても仕方が無く、動く方向に狙いを定めそこから通すようにおこなうことで進展があった。

 その後は場所を第二武道場に移して、立廻りの研究稽古。新たなタイプ2バージョンを考えているが、私が考案する殺陣はどうにも難しくなってしまう。それはやはり剣術の体捌きと、殺陣のリズムを融合しようと取り組んでいるので難しいのは当然であるが、動いていて心地良いのは身体の使い方に極力違和感の無いものを取り入れているからだと思う。

 あっという間に時間が過ぎ、後藤氏とI君が来られ今年最初の剣術稽古会がスタートした。

 杖術では、稽古始めということもあり「旋打千回」をおこなった。やろうと考えていたわけでもなく、「差し換え突き」が終わったときに、「ああ、やろう。」と咄嗟に思ったのであった。

 私はI君とペアを組み、W氏は後藤氏とともにおこなった。10分ぐらい掛かるかと思ったが、7分位で終える事が出来た。単純計算すると420秒で千回打っている事になる。このため数を数える方が大変であり、その打ち込みを相手の中心に戻しながら杖を構えるため互いに大変である。

 私としてはどの位の時間が掛かるのかという事の他に、どの位の疲労感があるのか、動きが自然とどのようになっていくのかということに興味があった。

 疲労感では、汗だくになり、肩回り張りに襲われたが、私の場合ほとんど筋肉痛にはならなかった。そのかわり以外に臀部が筋肉痛となった。7分間足を扇状に開きながら入れ替えていたためだろう。他の三人も千回おこなったので、どの辺りに筋肉痛があったのかは興味のあるところである。

 剣術では新たに「裏睡蓮」(うらすいれん)をおこなった。名前は今考えたのであるが、上段からの真っ向斬りに対し、斜めに刃の部位を当て相手の剣先がずれたと同時に斬り付けるといういもの。この技は斜めの使い方が重要なので、「斜」(ハス)とも読むことから蓮に字を変え「睡蓮」と呼ぶことにした。右側に入る場合は「睡蓮」となり、昨日おこなった左からの入りは「裏睡蓮」と呼び分けている。ちなみに睡蓮は、むかし、小林照子先生に「からだ化粧」のモデルとして全身に描いていただいたことがあり、私の中でも特別な思い出が残っている。

 その次に斬割をおこなった。そのむかし鹿島神流の稽古でおこなっているような斬割の稽古法を当時のS師範とおこなっていたが、現在は私なりの身体の使い方に変えておこなっている。そのため、名前を変えようかと思ったが、「抜付」にしろ他流でも同じ名前が多いので、この「斬割」に関しても斬って割っているというそのままの名称のため、他流でも別の技などで使われている可能性もある。そうしたことから、斬割はこのまま稽古名として使いたい。

 その斬割のベースとなっている「正面斬り」であるが、昨日は重心移動の手続きに変更があったのをお伝えしたが、今日の稽古では第三関節を使うことで威力とともに、剣に身体が作られる感じがあった。昨年28日の稽古納めで江東区スポーツ会館で、正面きりで第三関節(MP関節)を使うのは難しいと思っていたが、今日それが出来ることが分かり、これまでお伝えしていた正面斬りを変更することになった。

 最後は抜刀術稽古をおこない、三本続けておこなった。抜刀術稽古は身体感覚総動員して調和が得られるための稽古としている。だからこそ、さまざまな体捌きを相手の条件に合わせてどう対応出来るかということが稽古として求められるものであり、見た目の格好や速さに捉われると、何を稽古しているのかが解らなくなってくる。その動きからいったい何が自らの生き方に繋がりどういったことを伝えられるかが問われてくる。そうした部分において、動きを見せるということも必要であるが、何のために見せるのかということが本質的な部分として考えなければならない。

 そして今日も、昨日に続き高田馬場でI君と稽古をおこなった。

 彼にとっての成長となる鍵は集中の仕方である。これは単に意識の問題ではなく、そうした集中の仕方を技術的に取り入れ、それを感覚的に再現出来るように導いていきたいと思っている。

 通常の同年齢のお子さんと比べれば、一年八ヶ月近くほぼ毎週私と二時間稽古を続けるのは大変であろう。だが、今日の稽古では彼が集中したときに動きのレベルが上がることが分かり、その状態を自ら作り出すための経験値を積むことが重要であると確信した。道場の奥では剣道親子のスパルタ指導がおこなわれていたが、ストレスのはけ口を作らない、心が養われるための武道武術稽古が求められるのなら、指導者も同様に進展するための危機感をもって取り組む必要があるだろう。

 今日も最後に掌を重ねた誘導稽古をおこない、これはヨガの瞑想状態のように副交感神経を優位にする効果があると思われるもので、集中力を高め落ち着いた状態で自身の身体を観ていく状態が得られやすい。身体の姿勢に付いても注意点を幾つか説明したが、この集中の方法を感覚的に身につけることで、これからのI君の変化がどのようなものになっていくのか興味深いものである。同時に私にとっても、そうした指導により指導者としての私自身が変わっていく事になると思っている。


2018年1月8日(月) 成人の日 「関西杖術特別講習会」
(お申し込み受付中)

2018年1月20日(土) 「剣術 特別講習会」

金山剣術稽古会  

2018年1月 稽古日程

2018年2月 稽古予定

甲野善紀先生からの紹介文


2018-01-05(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
北九州市門司区出身
世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者住宅 クラーチ溝の口
クラーチ剣術教室講師

パークシティ溝の口
杖術 巴の会主宰

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