自衛しなければならないものとは

 本日の「クラーチ剣術教室」は、今月は五週あるため先週お休みをいただき二週間ぶりとなりましたが、いつものように皆さん元気に参加されました。Yさんが膝を痛めてお休みとなりましたが、自粛明け以降の参加率は高いように感じます。

 今日は生徒さんの中で知り合いが新型コロナウイルスの陽性と診断され、現在は退院されたと伺いましたが、初めて訊く近しい人の報告によれば、70歳の方で熱は37度台で大したことも無く元に戻ったそうです。その方は糖尿病やリウマチ症を患っているということですが、高齢で持病があっても多くの方がその程度で済んでいると思われます。ただ、それを言ってしまうと、その期間関わった多くの人に迷惑が掛かってしまうため、言いたくても言えない実情なのだと思われます。

 今日は公園で、小さな子供に母親がコロナ感染について厳しく叱っておりましたが、その情報源はおそらく相も変らぬテレビの情報番組やニュースの受け売りです。その母親の怒りの表情が擦れ違いざまに、人間というものの虚しさを感じるものであり、何の病気なのか私にはよく分らなくなってきました。

 時代の変化を大きく加速させたのはしたのは、インターネットを基盤としたスマートフォンの普及です。人々は知恵を自らの経験や、周囲の見習うべき人からではなく、手軽なスマホから個人がそれぞれに収集しております。そのため、多くの人が同じような考えを持ち、それに見合わない人までもが、そのように振舞うようになってきたのです。SNSなどの普及も、あまり気分の良いものではない情報に溢れております。それをやるのかやらないのかは個人の自由ですが、それを異常と感じられるうちに自衛手段をとり、日常の習慣を改めたいものです。

 私は、身体を使う武術稽古のお陰で、色々な方と直接お会いする機会に恵まれております。東京に在住の方、遠方からお越しくださる方、海外から帰国の際に来られる方、それぞれの思いをもって来て頂いております。さまざまな人にお会いするということは、そこに伝わるものが互いに無ければなりません。技量だけではなく知識だけでもなく、人々の心が健康になるものが今の時代は特に探しても見つかり難いものですから必要なのです。

 かざあな。の映像を作ったのには、そうした願いも含まれており、その事についてはもう数年したらある程度見えてくるのではないかと感じます。

 今日の講習も楽しんでいただくことが出来ました。一週間間が空いてしまいますと、やはり全体的に抜け落ちてしまっているものがありますので、また再び思い出していただくように進めて参ります。運命の流れは雲のように確実に進んでおりますので、今を大事に一期一会の思いで後悔の無い時間を過ごせるように努めたいと思います。


2020年10月24日(土)『抜刀術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は美しい』~合理性を追求した身体の芸術を身につける~


金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い』~型の手続きを追求した剣・杖の実践的な体使い~


金山剣術稽古会

2020年9月 武術稽古日程

2020年10月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-29(Tue)
 

今日は諸々所用をこなす一日でした

 本日は第四月曜日ということで道場での稽古はお休み。そのため、色々と予定していた用件をこの日に盛り込む。その中の一つで、作務衣をリフォームに出して稽古着に使うため行きつけのお店に行ったのであるが、お店に着いた直前にマスクを忘れたことに気が付き、普段は電車やお店に入るとき以外はつけないのであるが、家が近いこともあり一旦取りに帰る。再びお店に着き、その事をお伝えすると、「あら、マスクは無くても大丈夫ですよ!」と仰っていただき、「おお!やはりこの女性は以前から雰囲気が何か感じるものがあると思っていたが、自らを持っている人だという事が分った。」だから、会話も弾むことが多く、何か見るところを見ていただいているような気がしていつもいい気持ちにさせて頂いています。ここ近年はそうしたお店と何件か出会えるようになった。

 その足で、電車を乗り継ぎ三軒茶屋にある「玉川屋履物店」へ注文していた朴歯の高下駄が仕上がったので受け取りに向う。ここでも毎年一足鼻緒を調整して頂いており、履き潰すまで鼻緒が切れることも無く、こうしたお店は長く続いて欲しいと願うばかりである。女店主である女将さんといつも話が盛り上がるのであるが、昨年頃から息子さんだったか甥っ子さんだったか、跡を継ぐ修業をされておりこれで長く私も通えることが出来そうで嬉しい気分。合わせて雪駄も購入し、帰り際に紺足袋も目に留まったので、今履いている足袋は生産が終ったようで手に入らなくなってしまったので、今後はここ玉川屋履物店で足袋を購入しようと思う。良いお店は長く続いて欲しいので、食事もそうであるが、値段やアクセスはさておき、品質と人柄に私はお金を使いたい。

 帰宅後は、事務作業や補修作業をこなし、それでも予定していた作業を持ち越してしまったが、それでもスッキリした気分だ。

 コロナで始まった今年もコロナで終りそうであるが、来年は私にとってさらに大きな展開が待っている。それは今はまだお伝えできないが、逸れに向けて気持ちの準備と、それにともなう諸々の準備を計画しなければならない。全ては運命に身を委ねるしかなさそうだ。


2020年10月24日(土)『抜刀術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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2020-09-29(Tue)
 

『抜刀術 特別講習会』のお知らせ

2020年10月24日(土) 品川区総合体育館 剣道場にて抜刀術の特別講習会を開催いたします。

居合刀で抜刀術の稽古を集中的におこないたい方や、抜刀術独特の身体感を得るために、二時間抜刀術と納刀法をおこないます。今回は前回に続き構えの無い状態からの抜刀をお伝えする予定です。それに加えて気が付いた「背中からの初動」をお伝えいたします。
(鞘付木刀も可)

この特別講習会では、現在私の稽古としている抜刀術や納刀法をお伝えして参ります。その中から参加者の方々に合った稽古法をお伝えしていきたいと思います。(初心者の方でもおこなえる内容があります)


2019.04.06 抜刀術 特別講習会
(写真はBABジャパン制作による2018年DVD撮影の一コマ)


【開催時間】
15時00分~17時00分 『抜刀術/納刀法』


【会場】
品川区総合体育館 剣道場


【参加費】
講習会 3.000円


【お申し込み方法】
ホームページ、または「こくちーず」より下記の内容を明記してご連絡下さい。
①「氏名」 
②「年齢」 
③「性別」 
④「帯・居合刀の有無」(鞘付木刀でも構いません) 
上記の内容を確認しましたら、こちらより折り返しご連絡させていただきます。


≪プロフィール≫
松聲館技法研究員
金山剣術稽古会 主宰
Gold Castle 殺陣&剣術スクール 主宰
高齢者住宅 クラーチ溝の口 剣術教室講師


≪参考動画≫
2019年 抜刀術

かざあな。抜刀術編

2020-09-28(Mon)
 

適度な忙しさが健康の秘訣

  早いもので本日日曜日はGold Castle9月最後の講習となりました。深川スポーツセンターでの開催は月に二回の頻度となっておりますが、こちらの会場限定の受講生もいらっしゃいますので、月に二回、計四コマを確保しております。

 それにいたしましても、どの会場に行きましても過剰なコロナ対策にウンザリいたしますが、これが人々の心理面に与える影響はかなり積み立てられております。テレビなど必要以上に点けませんが、こうした影響による弊害は、特に日本国内においては、COVID19による直接的な死因を上回るのではないかと感じております。

 情報と言うのは便利なものですが、その情報をコントロール出来るノウハウを持った専門家がいることも事実であり、我々は情報に対して依存したり、行動を習慣化してしまっては危険です。平時であるならそれは問題にはなりづらいものですが、このような事態に遭遇いたしますと、多くの方の心理面が動かされやすいものです。ニュースにならないだけで色々な事が起きているでしょうから、自らの習慣を整え前に進めるための準備期間として、そこへ気持ちを集中させることが出来れば幸いです。私に関しては、自分で思うよりも、運よく色々な事が向こうから訪れましたので、そのことに向き合っておりますと自然と形が出来てきたように思います。

 色々な価値観を変えるべき時だと思うのですが、私は行き過ぎたものを元に戻すべきだと思いますし、もはや必要でないものに盛り上がることよりも、本来の問題解決に向けて世界の関心が高まれば、それに見合った世界的イベントが誕生し、それこそが価値のあるものになると思います。時代が変わり環境が変われば、人々のやるべきことも変わっていかなければなりません。虚しく空虚に感じられることの背景には、そうした時代とのミスマッチが感じられるからだと思われます。

 世界ではロックダウン中の国や都市もありますし、まだまだ深刻な状況が続いている国がありますが、今日のように講習が出来ていることはとても幸せなことです。毎週生徒達とお会いし、笑ったり、悩んだり、真剣になったり、さまざまな様子を拝見しながら、私は今起きているおかしな日常を忘れて集中できている事が何より幸せであると感じております。今の日常は、これから数年後に大きな反省点として記録されていくことになるかもしれません。その瞬間を生きているものとして、どうあるべきかを考えながら、自らの精神まで影響を受けてしまわないように、稽古であったり、自分の心が育まれる環境を持っていることです。

 今月は追加受講者も多く熱心な方は毎週土日と続けて参加されました。すべてが上手く行く日とはなりませんが、その経験をどのように前に進むためにクリアにして行くか、それがその人にとっての課題であり、具体的な目標となります。その相談はいつでも引き受けますので、乗り越えて次の景色を目指して進んで頂きたいと思います。

 10月になりますと、気温も下がり熱中症の不安も無くお越しいただけます。4月は自粛で活動を休んでおりましたが、10月はまた新たにスタートされる方もいらっしゃることかと思われますので、楽しみにお待ちしております。

 明日は、事務作業や諸々の用件が山積しており、全てをこなすのは難しいかもしれませんが、なんとか進めて行きたいと思います。結局いつもの深夜になってしまいましたが、今日も一日ありがとうございました。


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2020-09-28(Mon)
 

精神の重要性

 この一週間は気温が下がり肌寒い夜となった。しかしグッスリと眠りにつきやすくなったので、就寝時間をもう少し早めにしたいところである。

 これからの時代はますます個人で海外との繋がりを作り、海外で或いは日本で活動が展開されていくだろう。だからこそ、日本人らしさや精神性の修行というのは根幹に求められるものであり、それは付け焼刃では身に付かないものでもある。世の中を住みやすく、平和に導いていくのは、誰かがそのことを真剣に考えているからである。そのことを、今の世の中において考えながら生きて行くことは他人任せではなく、自らが自分に出来る範囲内で実践していくことが大切である。

 本日の講習では、抜刀術と納刀法における部分的な技術をお伝えいたしました。全員集中状態に入ることが出来ましたので、講習後は自然と静かに、それぞれが落ち着いた様子でお帰りになられました。説明の中で「自らを細かく点検し正確な動きが出来るようにおこなう意識と、それを考えずに、漠然とした目的の中でおこなう無意識での稽古が動きの質を向上させるものであります。」というような事をお伝えいたしました。

 心であり、精神であり、突然の判断であり、自らの状態を調べることが大切です。

 さて、明日は深川スポーツセンターでお待ちしております。気が付けば9月最後の講習です。私も少しずつ次なる展開に向けて意識が新たなものを得ようとしております。それが無意識化した時にまた一つ前に進むことが出来るのだと思います。感覚的な言葉遣いですので国語としてはおかしいものですが、私の中で変化が起き始めていることは確かです。いまこの瞬間を大事に、次へと繋げていきたいと思っております。


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2020-09-27(Sun)
 

それぞれに得るものがあった杖術特別講習会

 本日は品川区総合体育館剣道場にて『杖術 特別講習会』を開催いたしました。世間では四連休の三日目ですが、私の場合三日連続での講習となります。連日色々な方々とお会い出来ることに感謝しております。

 講習では、足裏の説明と杖を使った足運び「一突一足」と「クロール」「杖を使った抜刀」を序盤三十分程時間を掛けておこないました。
 続いて、「下段受払い突き」と「上段受け持ち替え打ち」をお伝えいたしました。説明していく中で私自身も気が付くことがあり、身体に近いところで捌くことにより、滞りの無い連続した動きが可能になるということ。そのためには中心を外す体捌きが必要であり、身体が作った技でありますが、あらためてどのようになっているのかを知ることが出来ました。

 ここまででかなり考えて動いて頂きましたので、脳の目先を変えるためにも次に「差し換え奪り」をお伝えいたしました。これは、最近私自身の理解も進んだことがあり、以前に増して相手と合致しない動きの間であったり、歩の連鎖的な運ばせ方であったり、最後の切り方であったり、流れがより具体的にお伝えできるものとなりましたので、皆さんの興味をそそられる技になったと思います。

 さいきんは、自らの身体がやったことに「おっ、今のはどうやったんだ?」と、身体に訪ねて教えて貰うことが多くなりました。以前から生徒達に質問されて答える際に、動いてみてからお答えすることは多々ありますが、自分で動いて自分で質問して教えて貰うというのは数年前には無かったことだと思います。当時はおそらく、身体が動けないので感ずるものが無かったのでしょう。身体が勝手に何かをしてくれるというのは、普段の稽古が無ければ起こりませんし、「質の高い技を受ける」という経験の積み重ねも大きいのだと思います。ですから、技になるべく身体遣いを知ったとき、その瞬間、さまざまに感謝するということは当然の気持ちであります。

 最後の三十分はそれぞれに自由にやっていただきました。今日の内容を復習される方、相手を変えて試してみる方、基礎的な杖の使い方を学ばれる方、三十連円打の課題の番号を質問される方、この時間というのは私にとって貴重な経験でした。おそらく今後は、最後にそれぞれやりたいことをやって頂く時間を設けることは、脳の整理の仕方として効果的だと思いますので、時間的にそれが出来る講習で雰囲気に応じて可能であればそのようにしたいと思います。

 講習後は、以前杖整体操で初めてお越しになられたダンサーのAさんが、講習後すぐに杖を買われたそうで、杖に興味を持ち今回の講習にもお越し下さいました。好奇心の強い方で、動きの覚えも早く、今日はさらに楽しんで行かれたと思います。折角ですので、体術の「独楽落とし」をかけて驚いて頂きました。この独楽落としは、特に女性の方が技を受けますと、かなりの確率でジェットコースターに乗ったときのような悲鳴と高揚感に包まれる感じになります。まあ悲鳴はそこまで大きな声ではありませんが、倒されて嫌な感じがしないどころか心地良いというのはこの技の特徴と言えるでしょう。

 それを目にされた鍼灸師のYさんが「私にもかけて下さい!」と仰いましたので、見たところガッチリした筋肉質で70kg台後半はありそうなYさんにはさすがに無理だろうなぁと思いましたが、最初にストンと落ち、もう一度「今度はシッカリ立っても良いですか?」と、94kgのKさんに抵抗されると無理だったので、厳しいだろうなぁ…と思いながら独楽落としを掛けてみると若干抵抗は感じたものの、ああ倒れてしまったと、私の方がビックリしてしまいました。この時の納得されたようなYさんの表情が私にとって更なる意欲に繋がるものとなりました。

 合気道を学ばれているご年配のMさんは、基礎的な足運びも含めた杖の操法に「このような基礎的な足運びを含めた杖の使い方を学ぶ機会がありません。今日はとても良かったです!」と仰るように、私と稽古される方に合気道を学ばれている方が徐々にですが増えて参りました。あれだけの組織の大きさでありながら得物の稽古があまり出来ないというのも可哀想ですが、さいきんは私の動画を見て、杖の動き剣の動き、そして蠢動についても実際に体験して驚かれるようになりました。私のところでは、段位や肩書きはありませんが、集中的に動ける身体遣いの稽古は皆さんと共に充実したものが出来ております。とくに金山剣術稽古会では、平日の午後や月曜日の夜という一般的な会社員の方や学生さんにとっては難しいものであり、それゆえに少人数での集中稽古となっております。もちろん私自身、ここで共に稽古をおこなう方というのは技量よりもその方の取り組み方を見ておりますので、ご遠慮いただいた方も少なくありません。おそらく今後は、少しずつ情報が広がりやすくなると思いますので、ここでの稽古を望まれる方とのご縁も繋がってくる事でしょう。実際に関西方面から日帰りでお越しいただいた方もいらっしゃいますし、本気で取り組まれる方というのは優先順位が何よりも上に位置しております。

 海外に目を向けましても、三十連円打を覚えながら、私に動画などで指示を仰がれる方が、タイとアメリカにいらっしゃいますし、それは純粋な姿で稽古に励まれております。その他にも、Emailで連日親交を深めている方がいらっしゃいます。一つ言える事は、想いは伝わるということであり、それが伝わるかどうかで、その想いが同じ方々と良好な関係が築けるということです。表面的なものばかりで目先の利益を求めては駄目になってしまいます。内面にあるものを感じながら、その先にあるものに多くの幸せが訪れるように人々の能力が役目を果たしていかなければなりません。

 これからの展開を運命に任せながら、生きて行くことをより深めていける人生であるように前に進んで行こうと思います。


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2020-09-22(Tue)
 

身体と感覚と見立て

 四連休の中日である本日は品川区総合体育館で講習をおこないました。今日は昼間の部と夕方の部の二部制でおこないましたが、前回同様ほとんどの方が昼間の部となり、夕方の部は少人数での講習となりました。

 そのため予定を大幅に変更して、脚部鍛練稽古ののち「立廻りタイプJ」を集中的におこないました。前半、中盤、後半と三場面に分けておりますが、この日は前半と中盤までを相手を付けて稽古いたしました。私も相手を付けての中盤の部分の動きは初めて観るものですから、今日の感じからして仕上がった時のイメージが明確に浮んできました。夕方の部ではかなり進めることが出来たと思います。次回再びこの会場で昼間の部と夕方の部で開催される場合は、夕方の部の方が空いている可能性がありますので、そちらをお勧めいたします。

 逆になりましたが昼間の部では、久し振りに倒れ方の稽古をおこないました。何度も倒れますとかなりの運動量になりますので、剣を振りたい方にはあまり好まれない内容です。しかし、殺陣は斬られた後に倒れなければなりませんので、倒れ方を知らなければ勢いに任せて怪我をしてしまいます。今日の様子を見てしばらく倒れる稽古は控えて起きますが、立廻りが進むにつれ必要性を感じますので、その辺りで再び必要になる技術をお伝えいたします。まだ興味持っていただくには早かったようですね。

 続いて「万乃型」を全員通しでおこないました。最後まで通しておこなえる方が増えて来ましたので、一斉に合わせて普通の速度でおこなえるように流れを正確に出来るように会場で稽古前など時間がある時は自主稽古されるとよろしいでしょう。

 次に立廻りタイプJをおこない、芯の動きだけを全員最後の所までをお伝えいたしました。これは非公開で私が説明しながら動いている映像をホームページから観られるようにしておりますので、自主稽古で覚えて来られる方が増えているものと思われます。ある程度覚えた方が出てきましたら、その人達で三人一組となって、実際に相手を付けての動きが出来るようになります。それが進んで行きますと撮影が出来る段階となります。撮影は、現段階での動きを確認するものとしておこなうものですので、最終的な仕上げを撮影するのは来年春か夏あたりになるかと思います。

 杖術クラスでは、この日は柔道場ということもあり体術をおこないました。
 円を使う稽古、中心を使う稽古、背中を使う稽古、浮きを使う稽古、蠢動を使う稽古、それぞれから幾つかの技や検証法をお伝えいたしました。

 初めて体術をおこなった九歳のYちゃんは、驚くべきことに、円の使い方、中心の取り方、背中の使い方、それぞれが出来ておりました。受けを務めていた中学三年生のK君の驚いた表情が印象的でした。その他にも大学生のK君と社会人のSさんが、取り(技を掛ける側)がおこなう背中の使い方に対し、受け(技を受ける側)が円に対処するという工夫で、背中の発力による崩しが出来なくなり、独自に考えた方法に夢中になっておりました。私もお伝えしたとおり「円、中心、背中、浮き、蠢動、それぞれをどのように組み合わせたり、またはなんらなかの感覚を用いたりしながら、同じ条件で違いを検証すると色々な発見がありますよ。」と皆さんにお伝えいたしましたので、早速いろいろと試しながら稽古されておりました。その終始夢中になっている様子に、「ああ、私の教室でも、多少なりとも松聲館の雰囲気に近い、独自に工夫して感覚に気が付く雰囲気が見られたなぁ。」と感じたのでした。講習後にその工夫した崩れなくなった受けをK君に実践していただき、いざ私が対峙して背中の働きで崩そうとしたところ、「お、止まったな。」と「直線に対して丸で受けてきたか。」と、先にお伝えしたことを逆の立場で実践されたのには嬉しいものでした。
 そこで私も、じゃあどうしようかと身体に確認してみると、「方向を変えれば円の先回りに対処できるだろう。」と感じたので、そのようにおこなったところK君が後ろに勢い良く転がっていきました。これを見ていたK君と共に工夫されていたSさんにどうやったのかを説明すると、目を見開いて納得しながら「楽しい!」という感想が何度も何度も聞こえてきました。あらためて、技が技たるものになっていくには、そうした「受け」と「取り」の工夫により、「出来るか」「止められるか」を繰り返し積み上げていくことにあると思います。「術理」というものがそれらを可能にしておりますので、術理無き工夫は力技や、相手の協力により崩れてしまうものであり、それでは先に進むことが出来ません。術理は訪れるものだと信じ、それが実現するための心持ちで稽古することが大事なのでは無いかと私は思っております。

 夕方の部でも体術はそれぞれに進展がありました。昼間の部で出来なかった蠢動の使い方をお伝えし、全員「独楽落とし」を掛ける事が出来ました。これは私自身、技を掛けられて転倒させて貰えたことで「術理として通用するものだ」と確信出来る瞬間であり感動的な瞬間であります。もちろん抵抗が強ければ簡単に掛けることは出来ませんが、明らかに普通の力ではないものが感じられた瞬間と言うのは術理の可能性から技への展開が拓けて来ます。稽古が楽しいというのは、不思議なことが出来るようになるための種を探すことなのかもしれません。

 人間の身体に興味を持てる瞬間になりますし、自分の身体と相手の身体を探り、決して誤魔化せない問題解決のための感覚を養っていくことが重要です。感覚とは≪センス≫とも言いますし、物事の道理や筋道を探る稽古にもなっているのかもしれません。職人さんの物事の見立てというのは、身体から得た実践感覚追求の証でもあるように感じます。合理的で便利になった現代は、その辺りの実践感覚の追求が失われたことで、センスが育たない、物事の見立てが目先までしか見えてこないような現象になっているのかもしれません。本当に利益を考えるのであれば、やはりそれは自然の恵みであったり、人類の生存バランスを保つ自然環境や他の生物との共生を重んじ、人々が求めるものを「果たして、これは価値のあることなのか…」と、改めて見直さなければならないと思います。「行き過ぎたものを元に戻すこと。」それが出来る見立てを持った人が、これからの世の中で力を合わせていく必要があるのではないでしょうか。そうなれば自ずと仕事のジャンルが大幅に変わっていくものと思われます。

 明日は、品川区総合体育館 剣道場にて12時00分~14時00分『杖術 特別講習会』を開催いたします。今回は久し振りに少ない人数となりそうですので、一人ひとりを集中的に見ていくことが出来るかと思います。初めて杖術を体験される方もお越しになられますので、明日の参加者に合った内容を纏めてながら臨機応変に進めていこうと思います。


2020年9月21日(月/敬老の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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2020-09-21(Mon)
 

何処かで見てくれている人はいるということ

 それにしても、私にとってCOVID19による新たな展開の連鎖は、この出来事が無ければ色々な条件が繋がっていかなかったと思われる。最近は連日海外の方と親しくメールで連絡を交わしている。こんなことは翻訳機が無ければ皆無であったが、世界と繋がるということは、それだけ私と通じる方との出会いの確率が高まるということでもある。私は私の身の丈を弁えながら、出会いを大切に、私の感覚を信じて、今だからこそ人々が考える事を共有し私に出来るやり方で何かのためになればと思う。この出来事は本当に有り難いことです。

 昨夜は青木賢治さんとご飯を食べながら積もる話を語り合った。

 昨年の暮れに新宿スポーツセンターで稽古して以来の再会なので十ヶ月ぶり位だと思う。青木さんは、武蔵円明流判官派を学ばれたり、ペルシャ楽器TOMBAK奏者でもあり、ライターのお仕事をされております。その他にも幾つか活動をされておりますが、多彩な方で一言で何者なのか表現するのに困ってしまいます(笑)。

 その青木さんと、最近の武術稽古のお話や、色々な裏話、そしてCOVID19の考えについてなど意見を交わしました。青木さんも私と殆ど同じ考えであり、すぐ後ろのテーブル席で会社員の男女4~5人が、酔っ払った勢いで張り叫ぶような大声で話していたのを尻目に、マスクやソーシャルディスタンスなど、ただのアピールにしか過ぎないものと、皆分っているはずなのに同調圧力でそれが出来ない。本当に徹底している人は、この数ヶ月間でかなり精神的に危ないところに来ている可能性が考えられます。もうそのSOSすら出せない状況に追い込まれて(追い込ませて)しまっている世の中の風潮に憤りを覚えます。

 帰りは青梅街道の交差点で体術の「独楽落とし」を受けて頂き、大勢の人がいるところで倒してはいけないと支えましたが、青木さんから「危なく倒れそうになりました。」と驚いた表情が印象的でした。今は再び杖を稽古されていると仰ってましたので、いつか近いうちに交流稽古をと考えております。そう、青木さんと言えば「かざあな抜刀術編」など、かざあな三部作の受けを務めて下さいました。あの作品は、私が企画書を書いて念入りに会場の確認と使用許可をとったり、備品の手配など、レンタカーを運転しながら一人何役もおこない、そんな中一日で撮り終えた作品です。「かざあな。」というタイトルはすぐに決まりました。風穴を空けるという意味から、新たな風とともに淀んだ空気を新鮮なものにしたいと考えての使用です。受けを務めて下さった青木さんに、撮影編集をしてくださった尾崎さん、そしてスーパーバイザー的な存在で、私との遣り取りを心地よく円滑に素晴らしく見事に対応してくださったTAMTAMのMariさん、そして見事なオリジナル音楽を作って下さり、私のワガママナ要望にもお忙しい中(超有名な日本を代表するグループのサポートなどもされております)予想以上のパターンの提案と完璧な作業でかざあなの質を高めてくださったTakaさん。さらに影のスーパーバイザーであるUmiちゃん。そうした方々に支えられて私が頭の中で描いていた世界観が実現できました。

 配信を終えて一年以上になりますが、その広がりには驚いております。まだまだ私の知らないところでのサポートもあると思っておりますので、今後もどういう影響があるのかを考えながら、私らしく振舞って行かなければならないと考えております。

 さて、本日土曜日は戸越体育館でGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習をおこないました。
 杖術クラスでは、技をおこなわず、さまざまな足運びや脚部を練る稽古をおこないました。特に最初におこなった足運びの、杖の突き戻しと摺り足による始終一致の動作が、動きを導きやすくする働きがあり、今日はこの始終一致の足運びについて皆さんの理解が進んだのではないかと思われます。

 最後におこなった「三十連円打」で、この足運びを意識しながら稽古していただくことで、三十連円打が求める動きに近付いたものと思われます。この型稽古に速さは必要ありませんし、速くおこなう体系ではありません。始終一致の足運びで、身体各部の全てを点検する意識を育てることが重要です。

 続く殺陣基礎クラスでは、四連休の初日という事でかなり少なめの人数でしたが、それぞれに経験されておりますので、今日は最後に「繋之型」を全て覚えて頂きました。三十連円打同様、覚えてからがようやく身体を観る稽古が出来ますので、身体各部を感じながら丁寧に感覚を育て向上させていただきたいと思います。

 さあ、明日は品川区総合体育館柔道場で二コマ開催いたします。12時~14時の部と15時~17時の部です。前回は殆どの方が昼間の部に参加されましたので、明日も夕方の部の方が空いている可能性があります。ダブル受講も受け付けておりますので、上手く分散すればより集中的に生徒を観ることが出来ると思います。現時点では珍しく体験参加のお申し込みがありませんので、杖を使っての立廻りなど、進められる方は進めさせたいと思います。

 それでは明日もみなさまお待ちしております!


2020年9月21日(月/敬老の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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2020-09-20(Sun)
 

杖整体操も感覚が必要

 本日は新宿スポーツセンターで渡部氏と稽古。

 腰の沈ませ方、体の開き方など、基礎的な部分を丁寧におこなう。何年ぶりかに杖を使った抜刀もおこなったが、身体の可動域など、普段の動きでは引き出されないものがあり、逆に差しておこなえば調整法にもなるので、9/21(月/祝)の「杖術 特別講習会」でお伝えしようと思う。

 体術稽古では「案山子落とし」に進展があった。横方向に対して思い込みの部分があり、それに気づいたことで一つ前進できた。そのほかにも様々に歩幅などの点検をしてみたが、技によって歩幅と言うのは異なるものであると感じた。当然と言えば当然かもしれないが、思い込みの歩幅というものもあるので、そこを点検して行く事は大事である。

 次にひさしぶりに袋竹刀で剣術稽古をおこなう。鍔迫り合いからの対応や、相手の籠手や面を寸止めで狙う稽古。そのほかにも幾つか条件を付けて対応を試みる。あらためて木刀と袋竹刀の稽古の違いを感じる。やはり袋竹刀は得物による体術稽古という部分が強い。

 最後に各種納刀法を稽古。納刀は自らの身体を観る感覚が必要であり、全てにおいて感覚でおこなえるようにならなければならない。当然目を使っておこなうものではない。抜刀の身体感覚と同様に、納刀についても同様のシビアな身体感覚でおこなう必要があるだろう。

 最後は十五分程、杖整体操をおこなった。昨日に続き身体に沁みた。連日の稽古にはこの調整法が無くてはならない。しばらくこの調整法は講習会でおこなわないため、この感覚を伝えられないのは勿体無いが、当初誰にでも簡単に実感出来る心地よさと思っていたが、身体を観る経験が無い方や、ストレッチのようにやろうと頑張る方には、本人がどこに焦点を合わせていいのか分り辛い場合がある。また緊張している方やリラックス出来ていない方、雑談しながらおこなわれる方にも効きが不十分である。そのため、元々私の調整法として始まったこの杖整体操は、本来の目的に戻して、私の連日の稽古が淡々と出来るものとして、私の稽古会などで私がおこなう場合に共におこなって頂くものとする。

 明日は日中は家での作業と身体を休ませる時間がある。夜からは久し振りに知人と合う予定。積もる話で時間はあっという間に過ぎてしまうだろう。


2020年9月21日(月/敬老の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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『古武術は美しい』~合理性を追求した身体の芸術を身につける~


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『古武術は速い』~型の手続きを追求した剣・杖の実践的な体使い~


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2020年9月 武術稽古日程

2020年10月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-17(Thu)
 

時の流れと道の選定

 昨夜は松聲館で甲野善紀先生との稽古でした。お忙しい合間を割いて下さりいつもより遅い時刻からの開始でしたが、開始早々に先生の「浪の下」が強力になり、これまで蠢動を用いて対応しておりましたが、昨夜は一度も止められず引っ掛かる感じも無いまま沈められました。掴んでいる感じが薄まる先生の腕というのは、受けの持ち方に応じて感じ方も変わってくるのですが、昨夜は蠢動を用いた状態でも掴んでいる感じが薄まり、これは先生の状態が明らかに今までと違うものになったと感じました。

 今までに無い初動の通りに全く歯が立たず、これでは先生の稽古にならなくなるなぁ…と、何とか工夫していかなければならないと、次回に備え、その工夫のしどころが浮ばないまま帰りの終電内でも考えておりました。

 そのほかにも、鍔迫り合いからの崩しにも右足が浮くほどに沈められてしまい、これにも工夫が必要だなぁ…と近年は袋竹刀での稽古が少ないため、袋竹刀での稽古も必要に感じております。新たな剣術の組太刀につきましても、やはり脚足が止まってしまうと、術中にはまってしまうためどうにもなりません。さらに間合いにつきましても、待ちでいますとどうにもなりません。それは既に取られてしまっているということであり、その前提が術中にはまっているということだと思いますが、それを凌ぐ脚足の使い方が間合いであったり、体の差し換えや浮き身であったり、打太刀には求められるのかもしれません。特に近接での刀使いというのは通常の稽古では想定も少なくバリエーションも少ないものです。しかし、実戦的な間合いの攻防から考えて行きますと、近接での工夫は展開して行かなければなりません。そういう意味でも私自身の袋竹刀での稽古は重要なところにあります。

 
 そして本日は戸越体育館にて渡部氏と柳澤氏と稽古。
 脚部鍛練稽古をおこなったのち、今日は体術からおこなった。様子を見て、二人に浮き身や切り落としの体使いを稽古していただき、私はそこに全く関与せず三十分程、身体に任せて動きを探る稽古をしていた。自然に任せていたところ何やら中国武術のような動きになり、そこに身体を導くような心地よさがあり、身体の繋がりやそれに伴う反応など大まかにではあるが、感じ取りながらユッタリと動いていた。

 そんなときに突然、歩幅と歩の使い方と体軸について浮んできたものがあり、二人の所へ近付き「浪の下」をおこなっていただき、私はそれを止める検証を試みた。お二人は「浪の下」をやったことが無いため、威力に対する点では検証が難しかったが、私の身体の整え方の違いがどれ程あるのかを確かめるには十分な検証が出来た。

 昨夜の終電内では工夫のしどころが浮ばなかったが、歩幅や歩の使い方と軸の振れ、さらには背中の整え方でも違いを確認できた。まったく、稽古はやってみないと分らないものである。

 その他には杖術、剣術、抜刀術を稽古し最後は杖整体操で終える。今日は杖整体操が深部に沁みた。いつも感じるが身体の継続的な働きのためには私にとって欠かせない調整法である。

 時の流れと共に、身体におこなうこと、心に思うこと、行動すること、それぞれ今に見合ったものを選定して行かなければならない。ずっと同じではいられないし、外れたものでもならない。それが自分の道ということなのだろう。


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2020-09-17(Thu)
 

恩恵は自分で選ぶもの

 身体の疲労はとれても脳の疲労は簡単には抜けない。休めばいいというものでもなさそうだ。こういう時は都会の華やかさよりも田舎の自然がいい。いつか、自然に感謝できる土地で生きて行きたいものである。他に見当たらない奇跡の星を人間の手で改造するより、自然に育まれた奇跡を感じられる土地の方が恩恵を授かるだろうから…

 そういえば先日京都大学特任教授の上久保靖彦氏の新型コロナウイルスに関する見解が発表されていたが、Yahooニュースでも取上げられていたので目にされた方も多いのではないかと思う。内容に関しては数ヶ月前から甲野先生がツイッターに書かれていたことと重なるが、気になる方は名前で検索して頂ければ直ぐに情報を目に通すことが出来ます。

 本日、YouTubeチャンネルの登録者数が1万人となりました。8/1にようやく2.000人を超えたことからすれば、それからの上昇率は驚くべきものがありました。2012年から現在まで一般公開している動画は23本ですので、決して多くはないのですが、色々な条件が重なってかざあなが空いたように感じます。コメントにも目を通して、内容によってはお返事を書いております。世界中からの反応には、そのお国柄も感じますが、アニメやゲームからの表面的な部分の興味や、世界観やその思想にあるものを感じ取っていただける方、実戦を想定しての理論に挑んでくる方、さまざまなカテゴリーの中で対応させていただいております。

 私のメールの方にも連絡が入るようになり、現在はコロナの影響で渡航が困難ですが、こちらで稽古を受けたい方や、海外での指導を希望される方など、以前に比べその頻度は高まってきております。今後は具体的にどのように進んでいくか分りませんが、時間の経過と共に、海外からの世話人のような方が現れる可能性も感じております。武術を初めて8ヶ月後の2012年12月にS師範と二人でポルトガルに十日間稽古指導に向いました。その時の稽古の感動は今でも良く覚えております。文化と文化が異国の地で交流を深める訳ですから日常には無い深い喜びと感動があります。

 現在金山剣術稽古会の門人である和泉澤氏が中国語の翻訳を買って出て下さいましたので、中国語圏は彼がいれば出来ることが増えそうです。なにはともあれ、人とのご縁から全ては繋がって行くものですので、未だ知らぬその先に向けて、今を生きることが大切です。

 さて、本日は「クラーチ剣術教室」の講習でした。今日は足裏にかかる自重をテーマに姿勢の作り方、腰の落とし方などをおこないました。両側の足裏に均等な圧力が掛かるためには爪先の角度、膝の角度、鼠径部の角度、骨盤の角度、背中の角度、胸椎の角度、などなど沢山の関節の角度が関係してきます。しかしこれらの角度を一瞬で決めるには足裏に掛かる自重圧力を感じるセンサーを育てる事です。そういたしますと、無意識的に姿勢が丁度よい角度になりますので、結果として膝や腰の故障を防ぐことになりますし、転倒のリスクも軽減されるでしょう。これは椅子に座る際にもお尻に掛かる自重圧力を均等に配分することで姿勢や腰への負担が軽減されると思います。

 最後の三十分は抜刀術の「懐月」をおこないました。毎回思うのですが最後の三十分間はあっという間に過ぎてしまいます。講習で嬉しい事は私が準備して考えたものよりも、皆さんからのリクエストで内容が決まることです。皆さんが興味を持っていただくものをやることが一番意味のあることですので、今日は「三十連円打」の二十一番~三十番までと、「懐月」がそれぞれのリクエストによるものでした。リクエストを優先いたしますので、早い者勝ちか、もしくは前回やっていないものを優先しておこないます。私もそのほうが楽ですので(笑)。

 次回は一週空きますが、リクエストをお待ちしておりますので、元気にお会い出来るのを楽しみにしております。


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甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-15(Tue)
 

子供の成長は一期一会でもある

 日曜日が終わり九日間連続での稽古と指導が一旦終わった。指導と言っても基本的には私も一緒におこなっており、今一番の稽古は休養である。それは、さまざまな部分の痛みを回復させ、粘りを利かせられる状態にするには回復しかない。手之内の感覚も回復により自動的におこなえる操作感覚が甦ってくる。自粛期間が遥か昔の出来事のように、身体を回復させる時間を求めている。

 さて、連日稽古の最終日は深川スポーツセンターで講習をおこないました。

 今日は体験参加者が定員となり、小学五年生のT君が二回目の受講となり、13歳のMちゃんがお母様と一緒に初参加となりました。同じく初参加にOさんがお越しになられ、生徒達と合わせますと広い深川スポーツセンターでも殺陣クラスはギリギリのスペースとなりました。

 殺陣クラスでは、順を追って「空抜け」「払い抜け」をおこない、続く「囲み稽古」でそれらをおこなっていただきました。この稽古は私の講習の経験から自然と組みあがってきたものですが、経験値に応じて使い分けることが出来ますので、皆で楽しんで立廻りの基礎を活かしながら自由におこなうことが可能です。

 考えて見れば今日は十代の生徒が九人いらっしゃいました。まだ四人ほど他の日に来ておりますので随分若い生徒が増えたものだと思います。今日体験受講されたT君とMちゃんも入会の予定となっております。数年前までは、いつか子供と稽古がしたいという強い願望がありましたが、小学五年生の郁己君が月曜日の稽古会に来られたことが、ジックリ子供と向き合う最初の経験だったように思います。 その二年間、毎週二時間マンツーマンでおこなった経験で学ばせていただきました。子供の目線、子供の仕草、子供の集中、子供の笑顔、それらが日を追うごとにどのように変化をしていくか、一週間ですでに変わってきますので、一回の稽古というのは、その時の姿からすれば一期一会だったと思うのです。

 土日のGold Castleでは小学五年生からを対象にさせていただいております。平日の金山剣術稽古会では、基本的には小学五年生から承っておりますが、ご本人の意欲と体格を見て判断させていただきます。おそらく平日ですと月曜日の17時~19時の日程になるかと思います。滅多にこちらに参加される方はいませんが、本気で取り組む気持ちがある方はいつでもお待ちしております。

 しかし毎週子供達にお会い出来るのは嬉しいものです。(もちろん大人もですよ)週を重ねるごとに笑顔が増え、自分から言葉を発するのが自然になって行くことの変化を目の当りにすると黙って頷きたくなるものです。言葉を発することが苦手でも剣を使う事で、自分の意思を表現することが出来ます。少しずつ少しずつ動きに慣れてくることで、会話にも慣れ、表情も変わってきます。それを急かさずに、あくまでも稽古の内容を身につけるということで自然と成長して行くのだと思います。

 続く剣術クラスでは、ダブル受講の方が多く、人生のベテラン組のお二人が昨日に続いてお越し下さいました。深川は門前仲町駅から徒歩五分程ですが、人によっては十分近く掛かるものと思われます。歩道は広めですが結構凸凹しておりますので注意が必要です。

 講習では、最近いろいろな所でお伝えしている正座からの寸止め振り下ろしをお伝えいたしました。これは強く振るための使い方とは異なり、必要以上に腕や手之内に力が入らないための感覚を探る稽古であり、中心感覚や肚にくる感じを掴むことや、目に誘われずに身体各部を観る稽古法の一つとして取り入れたものです。

 実際に強く打ち込んだり斬る剣の強さは抑えられますが、私の身体がこの動きを求めているものであり、実感予測の差異が、やめられない系の動きとして、何度も何度も振りたくなってしまうのだと思います。その実感予測の差異とは、これまでおこなっていた身体に対する衝撃だったり力感だったりが、同じように振ってもそこにこれまでと違う差異が感じられることから、身体に導かれるように従っているのであります。

 この日は正面斬り、斬突き、反し突きのみを集中的におこなう運びとなりましたが、それぞれに具体的な課題が見えていたと思われますので、皆最後まで集中して稽古されておりました。

 これは先日解ったことですが、剣の柄を握る両手を寄せることで、切り返しの速さや腕が剣に振られないとうことがありますが、両手を寄せることで右肘が体から離れすぎないという利点もあることが意識的に解りました。両手を寄せると剣に粘りが掛からないと仰る方もいらっしゃいましたが、両肘が体との距離においてある範囲内に入っていればその強さには浮き身も作用いたしますので、相当な粘りが掛かります。柄を握る両手間隔を離し腕を伸ばした剣の操法で両手を寄せますと、それは誰でも弱いことは解りますが、そのようなことはまず致しません。そのために脚足の操法が肝要となっているのです。

 最近は、足裏に掛かる自重圧をどう感じるか、姿勢が出来ている人は無意識にそれを感じ調整していると思いますが、違和感が拭えない方は、足裏に掛かる自重圧を、これまでおこなってきた動きの中で確認してみるといいでしょう。踵や爪先、或いは左右に偏りが無い、全体にベタッとした圧が掛かっていると、各関節の角度は最適に近いものと思われます。

 涼しげな虫の音が心地よい深夜の三時前。明日は身体を休ませ、明後日に備えたい。今日もお越しいただいた皆様、ありがとうございました。


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2020-09-14(Mon)
 

思いが自然に表れる美しさ

 本日土曜日のGold Castleは戸越体育館で剣術クラスの講習をおこないました。今日は傘を忘れてしまい、幸いなことに本降りにはなりませんでしたが、着替えを忘れたり、私にしては珍しく忘れ物の多い一日でした。

 講習では、九歳のYちゃんが初めての抜刀術のため、持参された帯を私が巻いてあげましたが、生地が柔らかいため帯刀が難しく、私が持ってきた居合帯を巻きました。解いた最初の帯をYちゃんが正座して綺麗に畳んでおりましたので、その慣れた様子から「いつも、そうして畳んでいるの?」と訊いたところ「うん。」と頷かれました。さらに「お母さんもいつもそうやってるの?」と訊いてみると「うん。」と同じく頷かれ、きっとお母様は言葉だけで伝えることなく、いつも自然にその姿を見せているのだと、それをお子さんが真似して身につけるような伝え方が出来るのだと感動いたしました。これには、私も見習わなければならないと反省させられます。刀に対する気の使い方や、身体の使い方と同様に、座礼も含めたその時間内に対する身体の使い方と言うのはまだまだ改めなければならないとYちゃんの姿から学ばされました。私にとってこの一瞬の出来事は記憶に残る感動でした。

 講習では基礎的な納刀法から抜刀をお伝えいたしました。中学一年生のK君は上達著しいものがあります。昨年はまだ、動の意識が強すぎて静のコントロールが出来ていなかったのですが、身体も心も成長期ですので、少しずつ動きの中に落ち着きがみられるようになりました。遠くからでも私の目を気にして稽古されている様子で、その眼差しから真剣さと取り組みに対する純粋な思いは十分に伝わっております。中学二年生三年生となって、技術面だけでなく心理面の成長がどのようになっていくのか、楽しみにしておりますし、それは時期が来れば自然に育つものであると思います。よく周囲を観ることが出来るお子さんですので、色々なことを感じていることでしょう。

 高齢者組の生徒も元気に稽古されました。出来ても出来なくても、それぞれに真剣になれれば十分意味のあることです。少しずつ少しずつ三百六十五歩のマーチで行きましょう。

 生徒になられたばかりの方や、常連の生徒達も基礎的な抜刀から私が現在おこなっている抜刀まで、かなり難しい部分があったと思いますが、それを楽しみながら真剣に皆さん稽古しておりました。

 とにかく今日は形通りにやるのではなく、その思いが自然に表れることの美しさに感動いたしました。子供は大人になるにつれ失ってしまったものを持っております。人を導いたり育てていくのは、思いが自然に表れる行動にあるのかもしれませんね。そのためには思いが美しいものであるように、心を見つめて行かなければならないと思いました。「心無くして導き成らず」ですね。


2020年9月21日(月/敬老の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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金山剣術稽古会

2020年9月 武術稽古日程

2020年10月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-13(Sun)
 

2020年10月 武術稽古日程


10月01日 木曜日 金山剣術稽古会
         14時00分~16時00分
         新宿スポーツセンター 第二武道場
         

10月03日 土曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         12時30分~14時00分         
         15時30分~17時00分         
         戸越体育館 剣道場


10月04日 日曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         13時20分~14時50分
         15時10分~16時40分         
         深川スポーツセンター 柔道場


10月05日 月曜日 金山剣術稽古会
         17時00分~19時00分
         19時30分~21時30分
         新宿スポーツセンター 第二武道場


10月06日 火曜日 クラーチ剣術教室
         10時00分~11時30分
         クラーチ溝の口
         

10月08日 木曜日 金山剣術稽古会
         14時00分~16時00分
         新宿スポーツセンター 第二武道場


10月10日 土曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         18時30分~20時00分         
         戸越体育館 剣道場


10月11日 日曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         12時00分~14時00分         
         品川区総合体育館 剣道場
         15時00分~17時00分         
         品川区総合体育館 柔道場


10月12日 月曜日 金山剣術稽古会
         17時00分~19時00分
         19時30分~21時30分
         新宿スポーツセンター 第二武道場


10月13日 火曜日 クラーチ剣術教室
         10時00分~11時30分
         クラーチ溝の口
         
 
10月14日 水曜日 金山剣術稽古会
         12時00分~14時00分
         戸越体育館 柔道場
       

10月15日 木曜日 金山剣術稽古会
         12時00分~14時00分
         戸越体育館 柔道場
        この日は戸越体育館でおこないます


10月17日 土曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         12時30分~14時00分
         15時30分~17時00分
         戸越体育館 剣道場 


10月18日 日曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         13時20分~14時50分
         15時10分~16時40分         
         深川スポーツセンター 柔道場


10月19日 月曜日 金山剣術稽古会
         17時00分~19時00分
         19時30分~21時30分
         新宿スポーツセンター 第二武道場


10月20日 火曜日 クラーチ剣術教室
         10時00分~11時30分
         クラーチ溝の口
         
 
10月21日 水曜日 金山剣術稽古会
         12時00分~14時00分
         戸越体育館 柔道場
       

10月22日 木曜日 金山剣術稽古会
         14時00分~16時00分
         新宿スポーツセンター 第二武道場


10月24日 土曜日 抜刀術 特別講習会
         15時00分~17時00分
         品川区総合体育館 剣道場
      
         
10月25日 日曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         12時00分~14時00分         
         品川区総合体育館 剣道場
         15時00分~17時00分         
         品川区総合体育館 柔道場


10月27日 火曜日 クラーチ剣術教室
         10時00分~11時30分
         クラーチ溝の口
         
 
10月29日 木曜日 金山剣術稽古会
         14時00分~16時00分
         新宿スポーツセンター 第二武道場
       

10月31日 土曜日 Gold Castle 殺陣&剣術スクール
         12時30分~14時00分
         15時30分~17時00分
         戸越体育館 剣道場





 金山剣術稽古会 入会希望の方へ


【 新宿スポーツセンターでの稽古時間 】
◇(月曜日)17時00分~19時00分/19時30分~21時30分
毎月第四月曜日は休館日のためお休みとなります。
(第四月曜日が祝日の場合は翌火曜日がお休みです)
◇(木曜日/毎週)14時00分~16時00分 


【 戸越体育館での稽古時間 】
◇(水曜日/隔週)12時00分~14時00分 


完全予約制ですのでお早めに御連絡下さい。
前月までに御予約の入っていない日はお休みとなる場合が御座います。
お申し込みは金山剣術稽古会のサイト
https://www.kanayama-kenjutsu.com より御連絡下さい。

都合により日程が変更となる場合がありますので御了承下さい。

2020-09-11(Fri)
 

稽古における導き

 しかし毎日洗濯だ。

 藍染めの稽古着は基本手洗い。夏は一気に藍色が薄まってくる。これはこれで洗濯しやすくなり、肌触りも穏やかになる。

 洗濯し、乾かし、ときにアイロンを掛ける。稽古と同様、これも日々の務め。だが綺麗に形が整ってくると心が休まるものである。

 今ではもう経験する機会は無いが、ホースで水を撒く作業など、汚れを手際よく流す際の水の流れと言うのは、心が癒されるようななんとも気持ちのいいものである。

 さてと、昨日水曜日は戸越体育館で渡部氏と柳澤氏と稽古。開始前に少し正座からの正面斬りをおこなった。これは先日クラーチ剣術教室でおこなったものと同じ内容であるが、渡部氏に映像を撮っていただき、どのうように見えているのかをあらためて確認することが出来た。実感と同様、力み無く真っ直ぐに下りた刃筋が対象物の寸前でピタリと静止している。

 これは次回日曜日のGold Castleの剣術クラスでもお伝えしようと思っているが、正座で剣を振ると肚に来る感じが掴みやすい。そして寸止めでおこなうことがとても重要であり、その寸止めにより、力みを取り除くことと、左右の手の動き、逸れに応じた手之内の使い方を自然と身につける事が出来るものと思われる。この場合、刃筋は以外にさほど難しくなく、寸止めに意識が向い、それが良い意味での誘いとなり、強く振ろうとか狙ってやろうというような動の意識が強過ぎることなく、どのようにピタリと正確に止められるかそのためには自動的に自らの身体と向き合う集中が湧き起こるのである。そのことに最も興味を抱いたのであるが、静なる意識とでもいうか、自らを観ることに不慣れな方や経験が少ない方にとっては、動の意識よりも静に働かせる意識の芽生えが、その後の身体を見定めることにとてもプラスになってくるものと思われる。

 しかしながら、この日私が得た課題は、身体に負荷の少ない正面斬りと、実際に強く芯のある打ち込みでは、それぞれに身体が(現時点で)納得している操法があり、素振りと、打ち(斬り)では身体の納得が異なるのである。だが、そんな筈は無いと、そこにまだ見出せていないものがあるに違いないと思っているので、以前甲野先生が仰っていた、「矛盾を矛盾のまま矛盾なく取り扱う」ことが武術の定義としてあるのであれば、この問題は解決しなければならない課題である。そのために、正座でおこなった寸止め素振りというのは、今まで気が付かなかった見落としていたものを、身体感覚を通じて意識の中に伝えてくれたものである。それは違和感という新たな情報の着信でもあるが、そこに稽古の意味があるのだ。

 「稽古における導き」それは、身体にあり。

 無いものを得ていくには、意識していなかったものを意識しなければならない。しかし、自らどうやってそれをおこなうのか、ということになれば、それは自身の身体から感覚を探り、知覚で処理し、或いは感覚に戻り、動きの中で初めての実感を得ていくことにある。動きを覚えたり手順を掴む事はそれらの基盤にあり、その基盤が整った中で、基盤を稽古し基盤を変えていく。そこに技が垣間見えることがある。

 自らの無意識にあるものをいかに掘り起こせるか。その無意識の保存をどのようにおこなうか。それらは推測であるが、熱意や情熱、自らがやりたいと本心で思っていることが「好きこそ物の上手なれ」であり、子供は無意識の内に上手になっているものである。そのことを理解しながら稽古をおこなえば、これまでのやり方、これからのやり方、いろいろと気が付く事があるだろう。教えは待たず、自ら探るもの。

 続いて本日の稽古は、高田馬場で渡部氏とおこなった。

 今日は腰の落とし方を念入りに探る。

 これには、さまざまな部位の角度などあると思われるが、それらを動きの中で一々気にしていられないし、そんな猶予も無い。自重を感じる感覚、これは知覚なのだろうか、歩幅や爪先の角度や背中の角度、膝の角度や大腿部の付け根の角度、それらの全てが沈み具合によって自動的に決まってくる。その自動的に決まる部分は足裏に掛かる自重圧である。その感覚と知覚により、姿勢が決まると思われるが、骨格というのは人それぞれに違うものであり、その人にとっての姿勢が求められる。そこは同じようになっていなくても、自身の身体に感ずるものから掴んでいただきたい。素振りや素突きというのは、そこを探る稽古にもなっている。

 抜刀術では、最後に微かな感覚であったが、背中から動くという感覚が、鞘の出し方と柄への手の掛け方に似たような気配があった。これは無意識的にも意識的にも何かしらの情報を保存しているものと思われるので、次回稽古の際には試みようと思う。

 今夜は、その日の内に記事を書き終える事が出来た。まだ洗濯が残っているが、時間的猶予があるので、ゆっくり身体にも向き合える時間を取ろうと思う。


2020年9月21日(月/敬老の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-10(Thu)
 

豆腐に体が喜ぶ

 先ほど深夜シンプルに豆腐をワンパック食べたが、体に優しくて美味い。これから冷蔵庫に常備するかもしれない。そういえば先日五反田駅から品川区総合体育館へ向う途中の歩道のアスファルトが整備されていた。この道を約七年間歩いているが凸凹した道がレンガ風なアスファルトで平坦になったので、高下駄でキャリーバッグを引いている私にとっては歩きやすくなった。転倒が命取りになる高齢者の方にとっても良かっただろう。

 今年はやけに木星や火星が明るく見えるなぁ、と思っていたがもしかするとコロナ関連の自粛に伴う影響かもしれない。とくに東京は大気がくすんでいるので、そうした影響は考えられる。

 それにしても、この暑さで屋外を歩く人がマスクをしているのが信じられない。私は電車の中やお店の中だけはトラブルがおこらないように付けているが、それ以外では直ぐに外してしまう。もういい加減にしませんか?と思う。

 今日のクラーチ剣術教室では、不思議と新たな動きが幾つか誕生した。始終一致で動かしていたものを、差し換えによる始終一致に変更したり、三十連円打では、十八番「上手二扇」と十九番「下手一扇」のある部分に僅かであるが、効果的な動きを得た。
 最後におこなった剣の講習では、昨日の鬼雀の影響もあったのか、得物を寸止めで止める稽古を、正座や椅子に座った状態からおこなっていただいた。これはいい意味での誘いが掛かるので、誘われないようにおこなう稽古よりは、誘われることを良しとする稽古法として今後も取り入れようと思っている。

 夜空に僅かに輝く星を見て、ただの豆腐に体が喜ぶ。フトこれから私が暮らす生活環境の変化を夢見るが、それは贅沢な暮らしなんかでは無く、静かな場所で、単純に生きていけるような、それで前に進み続けている実感を得られる日常でありたい。死ぬときは別にいつ死んでも構わないが、そこに向けて行ければと思う。


2020年9月21日(月/敬老の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山孝之 YouTubeチャンネル

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『古武術は美しい』~合理性を追求した身体の芸術を身につける~


金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い』~型の手続きを追求した剣・杖の実践的な体使い~


金山剣術稽古会

2020年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-09(Wed)
 

一定数の割り合いにより人は動かされる

 この数日間、スコールのような大雨が断続的に降っている。幸いまだ外を歩いていて遭遇していないが、もし遭遇したらどこかで雨宿りしていた方がよさそうだ。しかし、このような断続的な大雨も数年前までは、異常気象だとか日本も熱帯化してきたと騒いでいたが、今は例年の天候となった感がある。私が子供のころ、小学校を卒業して中学に入学するまでの間、五日間ほどハワイのオアフ島へ、ツアーに参加したことがあった。どういう経緯でそうなったのかはあまり覚えていないが、近所の同級生と一緒に、子供達だけでハワイへ行き、最後はホームステイ(半日ほどだったと思う)して帰ってきた記憶がある。女性の添乗員だけが大人(二十代か三十代前半だったと思う)で、あとは小学生から高校生の子供達だけで十人ぐらいだったろうか、近所の同級生以外は全員見ず知らずの子供ばかりであった。姉が二人いるが、どうして私だけがそういうツアーに行くことになったのか分からないが、さぞ不満だったに違いない。たった五日間の生活だったが、こういう想い出が色褪せることはなく、大きな出来事だったと思っている。そうだ、スコールの話からハワイを思い出したのであるが、三十年以上も前の記憶であるが、突然大雨が降ったかと思うと、嘘のようにカラッと晴れていて、現地の人はそれに慣れているので誰も傘を差さずに歩いていた。「やっぱり外国なんだなぁ…」と当時は思ったが、今では日本でも同様の雨が降って来る。違いがあるとすれば、みな傘を差しているという事。我々日本人は少しの雨でもすぐに傘を差してしまうものです。

 さて、本日は高田馬場にて夕方から村田氏と稽古。先週は脚部鍛練稽古として「蟹の前歩き」「雀」「蛙」をおこなったが、やはりそれ相応の筋肉痛が訪れ、やはりそれが嫌ではなかったという感想であった。私としては「蛙」は脹脛への負荷が強すぎるため、この蛙を止めようと考えていたのであるが、村田氏はこの鍛錬が自分には必要であると熱望されたので、それならばと、数年前に私の一人稽古用としておこなっていた鍛練稽古をやろうと久し振りにおこなってみた。

 これが笑ってしまいたくなるほどキツイ。しかし、おそらくであるが脹脛への負荷は蛙に比べて少ないものと思われるため、今後は人には殆ど伝えていなかった鍛練稽古をおこなう予定。しかし、書いてしまったが相当ハードなのでこれはお勧め出来ない。そのため、村田氏のように学生時代にレスリングをやり、現在まで八年間柔術をやっているような方には引かれることはないかと思う。もちろん講習会では皆さんにさせるわけには行かない。蛙は、負担が少なく感じる割には翌日にはかなり身体に効いていることが実感出来る、しかし、負担が少なく感じられる分、ジャンプした自重に対し、ドンという骨の支えを使わずに吸収するような形で深く着地するため脹脛へ相当な衝撃が掛かっているものと思われる。今回数年ぶりにおこなった鍛練稽古は、ドンという骨での衝撃吸収と、重力に対する脚部の角度も負荷が溜まり難いものとなっていると思われるので、得物の振り下ろしと合わせてこれをおこないたい。名前は短時間でヘトヘトになりそうなものなので「鬼雀」(おにすずめ)と呼ぶことにした。(なんだか伝説の雀士を連想させてしまいますが、それは今文字にして気が付きました)

 村田氏との稽古は今日でまだ三回目であるが、二ヶ月ぐらいはやってきたような感じがある。会場が入れ替え制のため、二時間じゃ足らず、抜刀術も杖整体操もおこなうことが出来なかったが、それだけ集中してやる必要のあるものがあったということ。これからも長く稽古が出来ることを願っている。

 稽古後は、すぐ隣で棒術の稽古をされていたRさんと共に三人で更衣室へ。
 Rさんは何度かこの武道場でお見かけしたことがあり、稽古中の雰囲気がちょっと周囲とは一線を画すものがあるなと感じておりました。なぜだか私に親しみを持って挨拶して下さいますので、互いに何か感じるものがあったのかもしれませんが、東京在住のドイツ人であるRさんが、甲野先生の講習会に行きたいと、やっていますか?というご質問を受け、その稽古中の雰囲気と人柄から判断して月に一度、恵比寿でおこなわれている稽古会をお勧めいたしました。たしかそこは甲野先生の講習会に参加された経験がある方を対象にされていたような気がしたので、帰宅後七~八年振りぐらいに動作術の会を主宰されており、甲野先生の恵比寿での稽古会の窓口となっておられる中島章夫先生に連絡をいたしました。直ぐにご対応下さり感謝しております。Rさんが参加されるかはまだ分かりませんが、以前住んでいた沖縄に引っ越すかもしれないと仰っていましたので、それならば貴重な体験をされた方が良いと思ってお勧めいたしました。

 国籍が違っても通じ合う人が世界にはたくさん居ると思いますし、逆に同じ国籍でも全く通じ合わない人もたくさん居ます。そうしたものは途中で変わるものではなく、それが自然の関わり合いだと思うのです。多少の変化は起きますが、一定数の割合がどこにでもあるという事は世の大前提でありますので、その割合を見て舵を切って行こうと思います。


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2020年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-08(Tue)
 

仕事は身体に作ってもらう

 本日日曜日Gold Castle 殺陣&剣術スクールは、品川区総合体育館でひさしぶりに二部制で開催いたしました。数年前は毎週二部制を確保しておりましたが、現在は無理なく同会場で続いておこなえる場合のみ二部制でおこなうものとしております。

 そのひさしぶりの二部制では、ほとんどの方が昼間の時間帯にお越しになられ、夕方の部ではなんと三名での開催となりました。その分集中的に杖の立廻りを進める事が出来ました。九歳のYちゃんは、今日初めてこれをおこないましたが、芯の動きを七割方行っていただきました。初めてでしかもこの年齢のお子さんでここまで進められるのは驚きですが、三歳からダンスなど身体を使うことを学んでいるお子さんなので、目で見たものを身体に取り込む訓練がよほど積まれているのでしょう。ステージなどで楽しさと厳しさの両方を経験されていると思いますので、そうした現場を小さい頃に経験するというのは学校では得られない実社会に向けた勉強です。その中で良いときも悪いときもあるでしょうから、その辺りのフォローが大人達の役目なのかもしれません。

 昼間の部でも、高校一年生のRさんの紹介で同じ歳のAさんが体験参加にお越しいただきました。人が人を呼ぶと言いますか、若い生徒が若い生徒を呼んでいる状況に、これからの新たな展開を期待いたします。私が口うるさく言わなくとも、皆さん道場の入退出は座礼をし、(私にではなく自らの気持ちの中でおこなっていただいております)品川区総合体育館での講習後は、競い合うように掃除道具を取りに行って、競争しながらモップを掛けております。そうした子供らしさが私にはとても嬉しいものであり、世の中の色々な出来事など気にならなくなるほど幸せに感じられる時間であります。

 塾や学校や他の習い事など、忙しい合間を縫ってお越しいただいていることに感謝しながら、私の仕事は子供達にとって一体どのような仕事に映っているのだろうかと考えたりもいたしますが、殺陣や剣術杖術を教えている先生と思ってらしゃると思いますし、大学一年生になったK君のように、他の部分からも学びたいと仰ってくださった生徒もいらしゃいます。私自身といたしましては、ただ身体と向き合う事で、そこから断定的な言葉や考えが浮んできますので、その通りにやっているに過ぎません。自らの断定的とも言える迷いのない言葉(全てがそうではありませんが)というものは、身体感覚と大いに関係があると思っております。それは自己にあるものを把握しているものであり、その把握力が言葉に通じているように思えるのです。自分の感覚は自分のものであり、無いものは感覚として察知できませんので、知覚力とも言いますか、その部分と言語や思想には何かしらの関係があるように感じます。

 子供達の自発性を待ちながら、これからも場が自然と整っていくような、人が人を呼び良い循環となるように、さり気なく主宰して行きたいと思います。本日もお越しいただいた皆様ありがとうございました!


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金山剣術稽古会

2020年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-07(Mon)
 

今日はお二人の方が正規受講生となられました

 天候が不安定だった本日土曜日は、戸越体育館にてGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習をおこないました。

 杖術クラスでは、新たに摺り足の稽古をお伝えいたしました。杖を使っての摺り足には「クロール」がありますが、これは比較的難易度が高いものですが、今回お伝えしたものは、後ろ足の使い方が杖に自然と導かれるものがあり、クロールをおこなう前の段階としてまだ名前は決まっておりませんが今日おこなった杖による擦り足の稽古は身に付き易いかと思われます。

 三十連円打では、杖の動きに捉われ易いものですが、今日おこなった摺り足で出来ているかを確認してみるといいでしょう。

 呼雀や雀返しもおこないましたが、私自身としましては雀返しに進展がありました。以前は止めても身体が前のめりになっておりましたが、今回は後方へ小さくおこなうことで強力に引かれても止める事が可能と解りました。この稽古では相手の動きに対する入り方が体術などの稽古にも通じるものがあるかと思います。体術と言えば、今日は役者のKさんが来られ、晴れの日は毎日ロードバイクで20kmを走り、身長184㎝、体重94kgで身体が出来ている生徒がいらしゃいますが、今日は体術を幾つか試して見た所、やはりここまでの体格差がありますと通常のものでは通じないものです。今回は敢えて不利な条件の技を試みましたが、どこまで体格差が通用するのかを試してみたいと実践いたしました。もちろん利く技もありますが、止められた事の無い技を止められるというのは、私にとっても次なる課題を与えられます。関節を取ったり、当身を使ったりせず、愚直に接触技法による技の利きを求めるのは極めて困難なものですが、今後の課題の一つとして、体格差があっても、接触技法により相手を崩す技を新たに作り出す必要があります。

 杖術クラスの最後は「三十連円打」をそれぞれに最後まで覚えている生徒が、まだ途中までの生徒と組んでいただきおこなっていただきました。この三十連円打は、YouTubeの解説動画シリーズなどで色々な方の目に留まったようで、海外の指導者の方も動画で覚えて自分達の生徒達に伝えているようですし、中国の方では別の動画サイトで翻訳して公開しているようです。事前に確認の連絡は頂いておりますので、「どうぞご自由にやってください。」とお伝えいたしました。

 また国内におきましても、北海道の方や関西の方からも自主稽古をされているというコメントやメールを頂きましたので、稽古の手掛かりとして私が松聲館の杖術を参考に流れの中で体系化した三十連円打が徐々に広がりつつあるようです。

 続く殺陣基礎クラスでは、MさんとFさんが正規受講生となられました。まだお二人とも四回目ですが、四回目とは思えないような動きの成長が感じられます。この殺陣基礎クラスでは本当に基礎しかいたしませんので、ジックリと全員の動きを最後まで見届けることが出来ます。今日驚いたのは生徒のHさんが全ての構え、全ての斬りが見違えるほど良くなっており、修正箇所が殆ど見当たりませんでした。入会当初は、戸越体育館などで居残りで鏡の前で胴斬りなどを悩みながらやっていたのをつい最近のように思い出しますが、今日の動きを見ますと、生徒の成長には感動いたします。自粛期間中に自主稽古の時間があったようで、それが良い稽古になっていたのだと思います。立廻りで、この動きが崩れずにおこなえればかなり良い動きになるものと思われます。お芝居の要素など色々とやることが増えてきますので、それらも経験しながら、ジックリと今の調子で基礎を磨いていただければと思います。

 万乃型をお二人の生徒におこなっていただき、今回は最後の部分を幾つか繋げておこないました。この万乃型では、それぞれの基礎的な構えや斬り方を流れの中で組み合わせたものです。間であったり、緩急、目線、姿勢など動きの中でしか掴めないものがあります。一人稽古ではさまざま役の設定を自らの動きに当て嵌めながら万乃型をおこなっていただくと、また違った動きに気が付けるものと思われます。今回の殺陣基礎クラスは、体験参加の方も含め全員女性参加者となりました。基本的に女性の割合が多い教室ですので、特に土曜日は初めての方には驚かれることもありますが、みなさん真剣に集中して取り組んでいらっしゃいます。

 今回最も印象的だったのは、杖術クラスで最古参メンバーのOさんが、これまで一度も出来なかった両足を同時に開いてドンっと沈むことが出来るようになりました。Oさんのお身体の事はこの記事で何度も書きましたし、生徒の多くの方が存じているものと思いますが、私の前で本当に嬉しそうに感動的に、今までになく歩幅を開いて同時にドンっと落下した動きの景色は見たことの無いものでした。
 
 この動きを引き出したのは、呼雀をさせない雀返しをおこなった時だったと記憶しております。私が呼雀をかけ(もちろん危なくない程度に)Oさんに私の動き出しに即座に反応して両足を横に開きながら浮きを掛けて杖を引っ張って頂くのですが、私が気をつけて引っ張っても、よろめいて危なっかしく引き寄せられてしまいます。そこでおそらくOさんに何らかのリミッターが解除され、両足を同時に開くことが出来るようになったのだと思います。前方への転倒は即骨折に繋がり、骨折は寿命を縮める大きな要因でありますから、その危険に対する無意識的な反応の何かが新たな動きの記憶を身体に残したのではないかと私は推察しております。

 稽古ではさまざまな要因で思いも寄らぬ進展が生まれることもあります。追い込まれた状況や危ないと思えるような状況、私が体術で身体が出来ているKさんに受けていただくのも、そうした難しい相手とおこなうことによって、身体が何を感じ、次にどうしなければならないかを身体と脳に刻むことが、何かを引き出すものとして必要であると思っているからであります。出来るものだけをやっていても、そこにはもう興味がありませんし、進展する可能性を感じないものですから、出来ないことからどう工夫していくかが武術の稽古として学びに繋がるものだと思うのです。

 さて明日も品川区総合体育館で講習です。明日は二部開催いたします。昼間の部と夕方の部で分散すると思いますので、これまでよりも集中的にそれぞれの動きを見られるかと思います。W受講も歓迎しておりますので、みなさまお待ちしております!


2020年9月21日(月/敬老の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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金山剣術稽古会

2020年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-06(Sun)
 

金山剣術稽古会 個人指導(非公開)の枠を設定いたしました

 昨日木曜日は高田馬場にて渡部氏と柳澤氏と稽古。その前に恒例の一人稽古をおこなう。六月七月の木曜日は戸越体育館で開催していたので、ここ高田馬場での木曜日の稽古は三月以来となる。夏の木曜日と言えば何といっても道場の暑さである。昨年からエアコンが付いたものの設備が古く、今は換気で窓を全開にしているため、以前の懐かしい暑さが戻ってきた。

 私自身このところ抜刀術稽古に集中していたため、そろそろ杖術でも何かストックしているものがあるかもしれないと、渡部氏を相手に面に届くように杖を打ち込んで貰いながらその対応法を考える。
 すると、幾つか方法が見つかり、その中で技として成立しているものを選び稽古した。この動きは、実際に打ち込まれる間合いだからこそ見つかったものであり、「なるほど、距離により行うべき次の行動は違ってくるのか。」ということが、今までに無い距離感だからこそ気が付けたと思う。
 これは次回9/21(月/祝)に開催する『杖術 特別講習会』でお伝えする予定。まあ、それまでにまだ日にちがあるので、その関連の動きか、もしくは新たなものに気が付けるかもしれない。

 以前おこなった、両手を寄せての操法は、実戦的で有効なものであるが、杖により身体を作って行くまたは調整して行くことからすると、いささか両手寄せの操法はどこか身体に歪みが出てしまうような気配を感じるので、今はこの稽古はおこなっていない。

 最近集中的におこなっていたものは、体術、抜刀術であったが、杖術、剣術もさらに進展させていかなければならない。それらの源泉は一人稽古にあるが、金山剣術稽古会が少人数なのはそのためである。私の一人稽古の時間を確保して、その中で進展したもの、新たに気が付いたものをお伝えし、今ではDVDや書籍などでも紹介させていただけるようになった。講習会や稽古会で生徒や門人が集中的に取り組んで頂けるのも、すべてはこの一人稽古や少人数でおこなう型稽古などである。

 私が現在おこなっている講習会や稽古会などの情報は、二つのホームページによって運営されていますが、Gold Castle 殺陣&剣術スクールに関しましてはお陰様でほぼ毎週体験参加の方がお越しになっております。以前に比べて体験だけのつもりで来られる方よりも、入会を前提に受講される方が増えたように思えます。最近は若い十代のお子さんが増えて参りましたが、他の武道やスポーツなどで身体の使い方に致命的な癖が付く前に出会えることは私としましても嬉しいことであります。床を蹴る、肩に力を入れる、手之内を強く締める、こういった事を強要される前に出会えたことは幸運でしょう。また、精神的にも、自らの考えで工夫し、効果を上げることを奪うような、恫喝的な指導、理由に関係なく泣かせるような指導法、指導者とは偉そうな物言いが当然であるという誤った認識の植え付け、現代における各種ハラスメントの芽を育てるような指導法は、今の時代にはマイナスでしかありません。

 身体の働きは心の働きに関係しております。それが純粋なる稽古で育まれるものであれば自然に育ちますが、疑問を隠しながら行ったものは心にとりましてもなんらかのストレスや歪みが生じます。なんのために学んでいるのかが分っていないものはよくよく考え直した方がいいのかもしれません。

 そういう意味では、私はとても恫喝できるタイプではありませんし、多くの反面教師を見ながら自分に言い聞かせてきました。勿論まだまだ未熟な部分を痛感しておりますが、子供達の視線は心に突き刺さるものです。本来であれば、若ければ若い内から指導していきたいのですが、Gold Castleではクラス分けをしておりませんし、私の稽古内容を大まかに理解し最後まで集中しておこなえるものとして年齢を十歳からとさせていただいております。すでに何件かの親御様からのお問い合わせをお断りしておりますが、本当に本人が諦めきれずにどうしてもやりたいというのであれば、平日におこなっている金山剣術稽古会の方で承る覚悟です。勿論状況により継続か中止を判断いたしますので、一回毎の稽古は何のためにやっているのかということを判断しながらおこないます。

 Gold Castle 殺陣&剣術スクールにつきましては、現在土曜日と日曜日を合わせて二コマから四コマ開催しており、これ以上コマ数を増やすことは考えておりません。従いまして生徒の募集に関しましてはまだまだ余裕がありますが、あと十五名程と考えております。当然ながら長期休講される方も毎年一定数いらっしゃいますので、バランスは取れるものと思いますが、現時点ではそのような状況です。

 金山剣術稽古会につきましては、先ほども申し上げた通り、少人数で技の源泉の場として平日開催しております。基本的には毎週来られる方を希望しておりますが、都合により月に一、二回の方でも承ります。そして、最近新たに個人指導を希望される方の枠を設けることにいたしました。私も昨年と今年にDVDを出させていただいたことや、現在YouTubeなどの反響もあり、これまでと違った層の方からの稽古依頼も予想されますので、すべて非公開とし、稽古予定や稽古記事などの情報は掲載せず実施したいと考えております。日程は金曜日の15時~17時となります。その日程以外での出張稽古も調整可能であれば承ります。個人指導での参加費用は、お問い合わせの中で決定させていただきます。金山剣術稽古会の入会受付人数の空きは、月曜日は17時~19時が三名、19時30分~21時30分が二名、水曜日は一名、木曜日は一名となります。

 平日のため、金山剣術稽古会へのお問い合わせは稀でありますが、そこに出会いやご縁がありますので、その先にあるものを共有して人生の時間を使える方がいらっしゃいましたら、私はその日を楽しみにお待ちしております。

 さあ、明日は戸越体育館で講習です。杖術クラスはいつものように盛り上がるでしょうし、殺陣基礎クラスは正規受講生になられる方がお二人お越しになられます。その他にも体験参加の方も来られますので、賑わうのではないかと予想しております。明日は天候に注意しなければなりませんが、ご来場楽しみにお待ちしております。


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2020年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-04(Fri)
 

禍は方々にある

 本日の「クラーチ剣術教室」では、施設側からのお願いということで、今更であるが初めてマスクを付けての講習となった。初めてマスクを着用しておこなったが、暑さが身体全身のものとは違って顔全体に集中するため、大丈夫と思っていると脳に熱が溜まってしまう危険性がある。そのため、今日はいつにも増して皆さんを見渡しながら注意しておこなったが、やはり顔の汗が通常よりも多く出ていることに、普段の汗と違い喜べないものがある。

 コロナか、熱中症か、心身衰弱か、どのカードを選ぶか、物事を他人任せに受け入れず、その背景にあるものを読み解き、何のためにこのような事になっているのかを、私にもし子供がいれば間違いなく伝えておかなければならない出来事として、実践的に学ぶ人の心理や行動、それらを司る世の中の関係性として、批判だけでなく今後の物事の見極め力を育てるものとして前向きに対話していくだろう。何も考えずに、言われた事だけを正しいと判断してしまうと、その基準で育った思考はバランスや臨機応変さに大きく欠けてしまうものとなる。つまり状況判断が出来ない人が増えてしまう事案であるのだ。もちろん私が出来ているとは思わないし、間違っていることもあるかもしれないが、この先のワクチン接種における問題に徐々に踏み入って来ているため、それまでは、当面今の状況を弛めるとは思えない。コロナ禍はテレビ禍でもあり、それを指揮している政治禍も逆らえないところに来ているのかもしれない。

 武術稽古の役割には、少なくとも物事の道理が明確に或いは不明確にも問いに対する解答を示してくれるものであり、そこで真意に近づこうとする見識が養われるものである。

 それが生き抜く術でもあり、自らの生き方を問うものでもある。

 だから武術稽古には救いがあり、その救いをねじ曲げる稽古体系であってはならない。


 どちらにせよ、テレビ禍は今に始まったことではないし、世間の反応を感じながら数ヵ月後数年後の状況と今感じていることを照らし合わせ、これから先の出来事に役立てたいと思っている。これが何かの序章に過ぎないことで無ければいいのであるが…


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2020年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-09-01(Tue)
 

生き方の帳尻は

 八月最後の夜はなんとも気持ちのいい涼しさだ。蝉も落ち始めてきた。長い生涯を終えどんな気分だろうか。今年になって再認識したことは、テレビなどの情報偏向のあからさまさ、そしてテレビ視聴時間が長い層の受け売りと煽りに踊らされる様。生きるという事を考えるなら、同時に死ぬという事も考えなければならない。死は突然訪れる場合もあれば、ジワリジワリと迫ってくる場合もある。いずれにせよ死ぬ訳であり、どのように死んでいくかが生き方であり、いつ死んでも悔いが残らない(或いは限りなく少ない)生き方が、死に対する用意でもある。

 もちろん誰だって死にたくは無い。痛みや苦しさは味わいたくは無い。しかし死なない人は居ない。だからどう死ぬかをそれぞれが心に決めておく必要がある。蝉は一週間から一ヶ月間で生を全うする。これがもし半年も生きていたなら、騒音で大迷惑だと嫌われる存在になっていたであろう。

 人間の世界観は、銀河が無数にあるように、さまざまな価値観でこの世を生きている。自分の考えや思想などちっぽけなものなのである。しかしながら世界の人々の中で同じ銀河系に存在する人も居ることは確かである。インターネットは、さまざまな人が「一緒くた」にされてしまうものであるが、世界が広がればそこからさまざまなものがよく見えるのである。内容はともかく心の叫びを皆が交わしている場であり、その心が合う人を選ぶことが出来る。それだけのことなのである。

 さて、本日は高田馬場にて村田氏と稽古。

 独特な雰囲気を持つ村田氏との稽古では、脚部鍛練稽古や足運びなど、かなり下半身を練る内容をおこなった。おそらく明日は筋肉痛になると思われるが、それが嫌いなタイプではないので喜んで筋肉痛を味わっていただけるだろう。今日は「正面斬り」の素振りで気が付いたことがあった。それは腕を上げる際の掌の動きと肘の動きが、腕を上げるという身体の使い方そのものにおいて、理に適ったものであるということが解った。剣の動きからこの動きを三、四年前に発見したが、腕そのものを上げる動きとしても最適であることに今日の今日初めて気が付いたのであった。

 杖術、剣術、抜刀術とさまざまにおこなったが、あらためて身体が自然とそのようになることを目指して稽古をおこなうことが大事であると思った。その自然が不自然にならないように、感覚を磨き、必要なもの不必要なものを取捨選択し、そのなかで精度を高め、次なる取捨選択に移る。武術は年齢を重ねるほど世界が広がっていくものだと思う。私などアスリートからすれば引退の年齢であるが、年々感覚が育ち、動きの結果に繋がっている。それは動きの制約に縛られること無く、限られた身体の使い方が優位なルールでなく、制約に縛られず身体の使い方を発展し続けていくことがルールであるなら、怪我や故障に苛まれること無く、長く続けられることで信じられないような感覚が育つことも考えられる。時間を掛けなければ得られぬ世界があるだろうし、時間を掛けて続けられる身体の使い方でなければならない。筋トレは一時的なパフォーマンスは向上するが、基本的に本来の目的以外の時間を使って身体を酷使しているので、本来の目的中に身体に支障を来たす事は尤もなのである。そうしたルールの中での鎬の削り合いは怪我との戦いが常となりうるが、長く故障せずに身体を向上させられるものを求め、そこに得られる学びの追究が、価値のあるものであり、引退など無く、常に変わらずに自らと向き合って行くことが私の生き方となっており、そこに悔いも後悔も生まれない。

 心が合う人との出会いを増やし、そのなかで発生する何かを展開して行きたいと思っている。そういう意味では私にとっての2020年は新たな展開に向けた一年となっているのかもしれない。そこに向け、気を引き締めて取り組んで行こうと思う。


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2020年9月 武術稽古日程

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2020-09-01(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1990年
高校から実業団まで5年間ボクシングに専念する

1999年
中田秀夫監督との出会いにより映画に出演。上京後モデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2010年
甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務める

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンDVD
『古武術は速い』指導・監修

2020年
BABジャパンDVD
『古武術は美しい』指導・監修

2021年
「日本公認会計士協会(JICPA)」プロモーションビデオ出演

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