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『杖整体操』はその方に合わせた自由な姿勢でできます

 三連休最終日は品川区総合体育館柔道場にて『杖整体操』の講習会をおこないました。

 家を出かけようと表に出ると、ポストに先日注文した藍染のシャツとBABジャパンから月刊秘伝9月号がご恵贈されておりましたので、急遽引き返し、早速シャツと月刊秘伝9月号をバッグに入れて会場に向かいました。

 今月号では、ボディーワーカーの藤本靖さんのコーナーで忍者 青龍窟こと五十嵐剛さんがゲストとして登場されています。五十嵐さんとは甲野善紀先生のDVD撮影の中で井上欣也さんとともに、2013年から毎年ともに受けを務めさせていただいております。今年も8/16にDVDが発売となりますが、2013年から毎年同じメンバーで参加させて頂けるというのにも不思議なご縁を感じております。井上さんとは、以前は数年間にわたり毎月一回二人で交流稽古をおこなっておりましたし、五十嵐さんとは数年前に何度か田端にあった忍者道場で稽古をさせていただいたこともありました。お二人とも僕より十歳以上若いのですが、教えて貰うことばかりで温かさや優しさを感じ心から安心できる存在です。

 月刊秘伝に登場される方で、知っている方が多くなりましたし直接お会いしたことのある方も少なくありません。合気道の白川竜次師範は、以前Youtubeでたまたま演武を拝見し、こんなカリスマ性のある方がいたのかと驚きました。今月号でインタビュー記事が掲載されております。

 
 さて、今日の講習会に戻ります。

 始めは杖乗解しからスタート。今回はこれまでと違って私を中心に皆さんを円形状に配置しておこないました。周りの人の心地良さや雰囲気に感化されやすいように、私と皆さんという視線よりも、私を含めた皆さん同士が視界に入ったほうが良いだろうと思ったからであります。

 杖乗解しでは、講師としては不安な時間でもあります。それは、ただ横になっているだけで講習会として参加費を頂いてもいいのか…という思いが少なくとも脳裏によぎってしまったからです。しかし、これまでにいろいろな動き方を試しながら今のスタイルに落ち着きましたので、最も楽に気持ちよくなれる=副交感神経が優位になる という条件を始めに作ってから、そのあとの姿勢に入っていくことが重要であると思い至った訳であります。

 その後に続く幾つかの姿勢をおこないながら、身体を杖に委ねていくように身を乗せ預けていきます。そうして、杖整体操独特のものといえる二人一組、或いは三人一組になっておこなう「寝返し」や「両手持ち上げ」などをおこないました。これは、委ねる心理的信仰が整っていますと目がトロンとなり表情が弛んできます。私自身、日によって効きかたは異なります。

 最後のほうでは、自由にこれまでおこなった内容でやりたいものをそれぞれにやっていただく時間とし、その中で開脚をおこないたい方は私と一緒におこなうという風にいたしました。私自身、開脚についてはまだ解らない部分もあり、何かの姿勢で不都合がなければ別段開脚がさほど開かなくてもいいのではないだろうかと思っておりますが、不都合が生じている方も少なくありませんので、まさしく杖(つえ)として、開脚のサポートをしてくれております。

 今回は開脚の辛いFさんが参加されましたが、片足だけの開脚で痛みの無いようにおこないましたところ、左右ともに出来る形が見つかり、最後に両足を開いていただいたところ「さっきまで痛みがあったのに、無くなりました!ありがとうございます。」というさっきまでとは違う感想をいただき私も一つでも得られることが出来て良かったと安堵いたしました。

 身体の硬い方は、やはりどこかコンプレックスのようなものを感じていらっしゃると思いますので、どこかで「自分はどうせ硬いから駄目なんじゃないか…」と思われているかもしれません。それでも講習会に参加されるというのは、大きな一歩でもありますので、出来ることを見つけてあげてそれを実感出来るものとして初めての経験を体感していただくことに、この杖整体操の意義があるように感じます。

 私自身身体は硬いほうです。身体の柔軟性は生まれ持ってのものがありますので、そうした自分の中で必要なところまで解すことができればいいと思います。柔らかさに目が向きがちですが、硬さも必要な要素でありますので、一部分を切ってまで柔らかくするのとは違い、身体全体の詰まりを解し本来自分が兼ね備えている柔軟性の中で取り戻していければと考えております。

 杖整体操の講習は、不定期に数ヶ月おきに開催を検討しておりますが、今日おこなってみて効果が出てきている方や、次回を希望される初めて参加された方もいらっしゃいましたので、また日程を見つけて開催したいと思います。身体の硬い方、開脚の苦手な方でも諦めずに出来る方法が今日のFさんのお陰で見つかりました。Fさんがお越しにならなければ成果が検証出来ませんでしたので諦めずに取り組んで下さりありがとうございました。

 関西から戻ったその日に参加していただいた川原田氏も唯一の男性参加者として、私をサポートしていただきありがとうございました。杖があれば家でも出来ますが、効果的に感じられるのはやはりこうした畳の広い場所ですので、フローリングやカーペットの部屋ではなかなか難しいものと思われます。そして心身を導入させていく流れもありますので、リラックスした状態に持っていくことと、その後の予定が無い時間帯からおこなうことが理想です。稽古前や仕事前は無意識のうちに身体がそれを許さないと思いますので。

 また次回開催の時には、身体の硬い方やお知り合いの方などをお誘い合わせの上お越しいただければより心地良い空間が共有されるものと思われます。杖は貸し出し用の物が数本用意してありますので、このブログを通じて興味のある方は、しばらく先になると思いますが、第一歩を踏み出されることをお勧めいたします。

 本日も暑い中、そして連休中にも関わらずお越しいただきありがとうございました。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年8月24日(土)『剣術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ(お問い合わせ受付中)

2019年8月 武術稽古日程

2019年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-08-13(Tue)
 

山の日は盛況に包まれました

 三連休中日、今日は少ないものと予想しておりましたが蓋を開けてみればいつも以上の賑わいとなりました。

 殺陣クラスでは、基礎稽古内容として「万乃型」そして「払い五斬」をおこない、立廻りタイプM組と一対四瞬殺組とに分かれておこないました。タイプMでは、私が序盤を変更に変更を重ねましたので、覚えていただくまであまり進んでおりませんが、完成形の動きをイメージした時に、どうしても変更したほうが良いと判断いたしましたので、せっかく覚えていただいた動きを変更するのは忍びないのですが、流れ自体は変わっておりませんので、次回以降もよろしくお願いいたします。

 一対四瞬殺組につきましては、一応この立廻りは全員おこなうものとして考案しておりますので、今は分かれておこなっておりますが、状況を見ながら全員完成度を上げながら出来るように目指していくものとしております。

 ですので、現在の殺陣クラスでは、基礎的な構え、斬り方、刀の納め方、払い方などをおこないながら、後半は立廻り、タイプMと一対四瞬殺の二つをおこなっております。タイプMが難しい方にはまずは一対四瞬殺の方を覚えていただき、立廻りに慣れていただきたいと思います。

 続く杖術クラスでは、剣山による身体調整をおこなったのち、松聲館の杖術「下段抜き」をおこないました。その場でおこなう下段抜きは身体が整う感じがいたします。これまであまり感じなかったのですが、弛んだ身体の弊害を感じてからは、逆に内に集約するような、纏まるような身体の使い方が武術稽古に入る際の身体と気持ちのスイッチがONとなった感じを受けます。いまこうして書いてみてハッと気がついたのですが、フローに入るための心身の整え方に「その場での下段抜き」が有効であるように感じます。あらためてこうした動きを考案された甲野先生は凄いなと思うのです。

 次に、相手を付けての打ち込みと突きをおこないました。今日は私にしては珍しく、それ以外の技や型稽古をおこなわずに、基礎的な打ちと突きに時間を費やしました。今日は新たにお二人の青年が生徒になられましたので、彼らに向き合う時間も大事にしながら全体を注意深く観て行きました。

 二時間があっという間に過ぎ、生徒の皆さんそれぞれに感じる部分の合った講習だったと思います。今日はWさんが四百回生となられました。あまりこうしたことを発表されるのは苦手なWさんですが、全体を観る目は養われてきております。他にも三百回生、二百回生、百回生と受講回数を積み上げられている古参生徒も増えてきております。日々色々と状況の変化が生じる中で長く安定的に継続して続けられるのも簡単なことではありません。生徒が生徒を呼ぶものですので、稽古を通じてさらなる心身の発展に努めていただければと思います。そこから私も学ばせていただきたいと思います。

 明日は、15時30分から品川区総合体育館柔道場で『杖整体操』の講習会をおこないます。今日とは打って変わって気持ちよく身体を解すように横になったり、持ち上げられたりしながらおこなって参ります。明日までお申し込みは受け付けておりますので、ご都合のよろしい方はお待ちしております。杖をお持ちの方は飛び入り参加でも大丈夫です。もちろん初めての方も大歓迎です。


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2019年8月12日(月/祝日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

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2019年8月 武術稽古日程

2019年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-08-11(Sun)
 

稽古という人生の共有時間をともに

 すでに深夜の二時半を回っているが、土曜日の記事として記したい。

 今日から世間では三連休、そして盆休みの長期連休へと入りました。生徒達も何人か帰省されており、講習に来てくださった方も含めてさまざまな連休の過ごし方となっていることでしょう。そんな私は今日から三日連続で講習会を開催。関西からは川原田氏が杖整体操や金山剣術稽古会にお越しになられる予定。明日は、新しく生徒になられる十代の青年達と、体験参加に訪れる二名の女性陣達とフレッシュな面々となりそうです。

 今日の講習ではひさしぶりに「剣山」をおこないました。ひさしぶり過ぎて間違えて鍛練稽古である「飛び石」と勘違いしておりましたが、予測に対する実感を一剣山~七剣山まで素早くおこなうものです。考えて動く時間がありませんので、雰囲気を感覚的に掴みそれに対しどういった実感を得るのか、身体の張りと適度な緊張状態を引き出し瞬間における手続きを沢山増やすことで身体の調整をおこなう意味も含まれております。この剣山は明日の杖術クラスでもおこなう予定です。

 杖術では、基礎的な打ち方や突き方、それに対する構え方を確認。稽古で得た感覚がいつしか予測を引き上げ、そこに対する実感が予測に比べて辿り着いてないものであれば違和感を感じ始めるのだと思われます。ですが、その引き上げられた予測は、出来るための脳の先回りでもありますので、違和感を覚えたということはその予測に匹敵する実感を得るための気付きがどこかに隠されているのです。動きの心地良さというのは、予測に対する実感が匹敵している、或いは少し超えているものであり、何度でも続けたくなる稽古の部類になります。稽古と脳の関係は密なものであり、脳の働きを信頼し、どう意識と無意識を役割分担させることができるか、そこに身体の不思議さ面白さを感じずにはいられません。


 今宵はさまざな情報を。

 まずは、BABジャパンから発行されている『月刊秘伝9月号』(8/16発売)に金山剣術稽古会主宰として私がこれまでおこなってきた剣術について、それぞれの得物から学んできたものやそれぞれの特性など記事として掲載していただいております。

2019.8/16 発売 月刊秘伝9月号

 今回は、表紙に名前が掲載されており、私の木刀や袋竹刀にイスノキの原木に近い木刀などが表紙に飾られております。稽古における同志ともいえる得物が、毎月刊行されている武術雑誌として他に類を見ない月刊秘伝の表紙に掲載されている姿を目にするのは簡単には言葉に出来ない想いがいたします。講習会では普及型の一般的な木刀を用いておりますが、それ以外の得物でも集中して稽古をおこなって参りました。剣術に興味のある私の生徒達や門人の方々にも目を通して頂ければ幸いです。 


 そして、『かざあな。抜刀術編』の1分34秒辺りから聴こえて来る声は、この作品の音楽でお世話になっているMariさんと親交のある上野貞文様の「大祓の祝詞」を一部使用させていただきました。映像の中には入っておりませんが、ご許可を頂き動画サイトの方にクレジットさせていただきました。雷といい鹿島神流といい上野様といい何かこの作品には縁を感じます。あらためて、ご縁を繋いで下さったMariさんに心からお礼申し上げます。


 そんなMariさんがTakaさんとのユニット『TAMTAM』の25周年アコースティックLiveがYoutubeで観られます。
 TAMTAM ~25th Anniversary Acoustic Live Clips~

 「友達でいいから」は、きっと知っている方も多いはず。そう、作詞作曲はTAMTAMで、楽曲提供されていたんですね。本家本元はやはりそよ風のように心地良く内面に響いてくるものがありますね。お人柄が溢れ出る歌と映像でした。

 そんな方がGold Castleの生徒だということに驚きますが、現在は仕事がお忙しくなられ講習に参加できる時間が取れなくなってしまいましたが、それでも「生徒でいさせて下さい!」とこれまでに幾度と無く仰って下さり、MariさんとUmiちゃんは本当に私を影で支えて下さる生徒でございます。こんな若輩者の私が言うのも気が引けますが、どうか、これからも身体を大事に良いお仕事を続けて行って下さい!
 
 こうして沢山の生徒達とご縁が生まれ、続いていけるというのは本当にありがたいことであり、ジャンルは違えど生き方の共感の中で俳優さんであったり、イラストレーターであったり、ミュージシャンであったり、会社勤めをされている方であったり、引退された方であったり、若い学生であったり、さまざまな方が若輩講師である私を支えて下さっております。

 私にとっての財産は、そうした出会いの中で築いて来れた皆さんとのご縁であり信頼であります。これからもそうした方々とともに稽古という、人生の共有時間をともに過ごしていければと思います。

 こんな時間になってしまいましたが、日曜日もよろしくお願いいたします!


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

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2019-08-11(Sun)
 

身体の今も一期一会

 さあ、今夜も道衣を洗い終え一日最後の記事を書き始める。

 今日の金山剣術稽古会は、中学二年生の郁己君とパーソナルトレーナーのM氏とともにおこなった。

 郁己君とは今年の四月以来の稽古となったが、前回からさらに背が伸びていたので驚いた。会話も雰囲気もずっと落ち着きと余裕が感じられ、良い日々を過ごしているんだなと安心した。

 訊くと週に七日間はバドミントンの練習をおこなっているという。部活としての練習よりも自分達で集まって練習している時間の方が圧倒的に多いそうだ。長いときは朝9時から夜9時まで12時間。青春ですね!

 顧問の先生が練習を自由にやらせてくれるそうで、自分達で練習法を考え楽しんでやっているという。そのせいかみんな仲が良くダブルスは誰とでも組めるそうだ。実力は三年生よりも郁己君達二年生のほうが高いそうなので、来年の大会での成績は今よりも良くなると自信を持っていた。

 そういう意味では、私の稽古会でも興味を持てる内容を考え、真剣さの中でそれらを楽しめるようにおこなっている。嫌な事を我慢してやらず、興味のあることを存分に夢中になってやることで、結果として嫌々やったものよりも、時間も集中も増し進展に繋がってゆく。そして、そうした身体性からなる発想や思考法は、ものごとを上手く運んでいける術を同時に養っているのである。嫌な我慢よりも良い我慢を。良い我慢は我慢と感じない。だから心が育まれる。

 三十連円打では、前回四月に二十番以降の三十番目までお伝えしていたが、短い時間でしかお伝えしていなかったにも関わらず忘れずに動けていたので、さすが私と小学校五年生の頃から毎週二時間マンツーマンで一年間を通した生徒であると感心。

 見た目も中身も完全な青年となったが、笑顔は小学校五年生の頃と変わらずにニコニコと可愛いものである。

 今日はパーソナルトレーナーのM氏も一緒だったので、筋肉に関する専門的情報を得ながら基礎鍛練稽古、杖術、剣術をおこなった。杖術では抜き技、「鶺鴒突き」「影突き」をおこなった。バドミントンでもフェイントや相手を騙すフェイクも技術の中にあるだろう。そうしたフェイクも、視覚的に騙すというよりは、相手の反射反応を引き出すような肩の動きであったりそれらを、出すも出さずも有効に使えるものがあるかもしれないよとお伝えした。

 杖の抜き技を受けての説明だったので、それを聞く郁己君の眼が印象に残った。M氏には基礎的な動きを稽古していただき、同じ一足の足運びでも、ただ突くだけなのか、それとも誘いを掛け抜きながら突くのか、始終一致を変えずに突きを変えること。その身体感覚の調整を感じていただきながらお伝えした。

 この杖の抜き技では、攻め手側も受け側も互いに良質の稽古となる。気配を出さずに変化させる工夫や、打とうと思って抜く、或いは、抜こうと思って打つ、そうした意識における無意識レベルでの身体の整い方が相手の反射反応を引き出しはしないかと、そうした甲野先生の影観法とまではいかないが、なるべく意識を本来の動きに介入させないように、杖術の型稽古の中で意識しておこなっている。これは相手にとっても、抜かれた瞬間に対する反応が間に合っているのか遅れているのか、はたまた抜かれていないのに、抜かれた際の対応に動いてしまわないか、など非常に集中と身体の咄嗟の対応を養うものとして予定調和に無い稽古法として互いに技を掛けられるか、それに対し見極めることができるか、そういう攻防が稽古の中で養われる。

 合間に体術「蠢動」をお伝えし、郁己君やM氏に違いを体感していただく。最後に剣術「連続切り返し」をおこない、四回の切り返しを五十回おこなった。M氏はほとんどやったことが無いため、二回の切り返しにて一緒におこなった。

 以前は郁己君と百回おこなったが、一回一回が大変なので、これを五十回おこなうといっても結構大変なものである。しかし、やりながら「ああ、これは身体を練る稽古だけでなく、身体調整法としてこれからも必要なものになるな…」ということに気がついた。

 つまり、今週の月曜日におこなった稽古前の杖整体操による解しが利きすぎてその後の稽古に支障をきたしたことからもそうであるが、これはそれ以前からすでにその兆候に身体が染まりかけていたのかもしれない。身体がどういう状態であるかが重要で、硬すぎても駄目であり、柔らかすぎても駄目である。どの動きに対しどういう感覚で動きたいかが身体からのサインであり、そのサインが稽古内容を決定するといっても過言ではなく、私がおこなう武術稽古の方向性として、今後どのように身体を調整しておかなければならないのかということに気がつかされた気がする。人体のバランス性というのは、いつかの記憶どおりにならないもので、今の今ある状態にとって必要なものが大事であるということ。きっと「身体の今も一期一会」なのだろう。

 今日の稽古も得るものがあった。夏休みの期間を利用して稽古に来てくださる郁己君とご両親様のご理解、同じ身体を使う仕事をされているパーソナルトレーナーのM氏、それぞれの人生ひとときの時間を共有して学ぶこの瞬間をこれからも大事にしていきたい。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

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2019年8月12日(月/祝日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

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2019-08-10(Sat)
 

稽古法で如何なる身体性を身に宿すか

 昨夜はどうにも眠れず、四時半頃から蝉が鳴き、小鳥がさえずり始める六時頃にようやく意識が落ちたものの八時過ぎに目が覚める。そこからモゾモゾと寝たか寝てないかの間ぐらいで9時過ぎに起き、合わせても三時間弱しか眠れなかった。しかし床に入る五時間ほど前から何も食べていなかったのでそれほど身体が重たくなっていない。内蔵は十分休めたという事か。

 起床後はいろいろと連絡をおこない、ホームページのページの追加など眠れない間に考えていたことをおこなった。殺陣と剣術の違いはよく訊かれる質問であるが、これを端的に説明するのはどうしても長くなってしまう。人によっては、殺陣はお芝居で剣術は実戦などと安易な回答で済ませるが、剣術にも演武があり実戦の演武とお芝居の殺陣はどう違うのか?という疑問もとうぜん沸いてくるだろう。長く言葉で説明すれば解決することであるが、昨晩は布団の中でフト突然に「そうか、殺陣は身体の外側を稽古するものであり、剣術は身体の内側を稽古するものなのだ。」という言葉によりこれまでの端的に説明するための難問が払拭された。

 つまり殺陣は見た目を重要視し、その見た目を集団で作り上げるために構成と拍子を考えそれに見合う動きを当て嵌める。安全かつ見栄えのいい動きを身体の使い方と剣捌きにより表現していく。それに対し剣術は、自らの身体を細かく観察しそこで得られる感覚を大事に身体統御をおこなえるように稽古する。見栄えという発想は無く、結果として見栄えが良くなるものであり、とうぜん鏡を使って視覚に頼る稽古は極力避けている。

 このように、殺陣と剣術における違いは自らの身体において、外側の意識なのか内側の意識なのかによって大きく異なる。そういう意味では、剣術で内側を練りながら稽古し、殺陣により外側を意識して稽古をおこなうことはGold Castleならではと言えるだろう。

 さて、本日の金山剣術稽古会は高田馬場で渡部氏とA氏とともに稽古をおこなった。

 開始前に誰も居ない武道場で五十分ほど一人稽古をおこなったが、今年からエアコンが付いたとはいえかなり汗をかいた。帰宅して風呂敷から道衣を取り出したが思ったよりも汗で湿っているのでこうして記事を書きながら洗濯していることもしばしばである。

 稽古では、今週月曜日の稽古前におこなった身体を解し過ぎることの弊害を意識しながら、適度な緊張を保ち意識的な動作より若干先に行っている位の速度で動けることを淡々とできるか。そうした身体の状態が整えられているか。それらを考えながら渡部氏にお伝えし、A氏にはまずは基礎的な動きをおこなっていただいた。

 休憩時に思わず、現代における武道武術が求められているものとは?また、時代に対応するもの(生き抜く術)として武術が存在するのならば、今の時代は戦後の昭和と掛け離れてしまっていることは言うまでも無い事であり、不便な時代だからこそ通用していた考え方と、余りにも便利な時代となった今、通用しなくなってしまったこともあるだろう。辛抱しなければならなかったものと、辛抱しなくても済ませられる事などなど…

 もちろん辛抱は必要であるが、どういう状況で辛抱を育てていけるかにある。嫌な事を我慢してやり続ける辛抱なのか、自らのやりたいことの中で一つ一つを確実におこなっていけるか、待つことができるか。

 ハラスメントがこれだけ騒がれるようになったのは、時代の転換期における価値観の違いもあるだろう。子が親になったときに言われている虐待の連鎖のように、気合いや根性で身に付けた身体性はおそらく相手に気合いや根性を求めてしまうのではないだろうか。私はかつてボクシングをやっていたので、気合いや根性というのは当たり前のように意識していたし、ボクシング以外でも緊張感のある学校や土地柄でもあったので、気合いや根性が無ければ見抜かれ危険な目にあってしまうという、子供の頃からそうした意識の持ち方は自然に養われたのかもしれない。

 近年の稽古では技術の追求が気合いと根性を押さえ込んでいるような気がしている。つまりは、集中して自らの身体をつぶさに観察し続けることが稽古の中では何よりも重要なものであり、気合いと根性というより、「静なる覚悟」が技術を狂わせないものとして気合いと根性に変わり今の私を司っているように思う。もちろん大きな声を出すこともあるが、それは出しているというより出てしまうものであり、身体の自然な働きとしてその場その瞬間に応じた最適な発声(呼吸)となっているようにも思える。

 ただ、うるさければ良いという発声は声ありきの考え方なので、身体感覚の追求を求めるならば、そのあたりを冷静に考え納得出来るものでありたいと思うのが自然だろう。これからの時代に対処できる身体性はどのように身に付けていく必要があるのか、その時代に求められるものが武術にあるのならば、これからの時代を見据えた身体性を養う稽古法が重要であると考えている。(ここでいう身体性とは、身体を通じて感じられる発想であり、その人物に擦り込まれた性質や法則に作用する核の部分である)

 まだ若いA氏であるが、これからの稽古においてさまざまな発見が自らの身体と向き合う事で得られるものと思われる。一人でも黙々と楽しめるタイプは、独自の世界観を構築していける可能性が高いので。

 自らの一人稽古、門人や生徒達への指導、そうしたことが自然と身体を通じての学びとなり続け、これからの私を形付けて行くだろう。私自身も不思議に思うが、どうやらそういうふうになっているらしい。


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『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

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2019年8月 武術稽古日程

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甲野善紀先生からの紹介文


2019-08-09(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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