未知なる動きを求め、また未知なる人を求める

 失われた八月の夏となりそうな勢いであるが、こうした曇り空の天候が毎日続けば心の状態に何らかの影響が起きそうな気もしている。だが、有り難い事に稽古は未知なる発見に出会える可能性もあり、そこで出会う人とのやりとりの中で、間接的にさまざまな部分を見せていただいている。そうした心に響くような環境で日々稽古をさせていただいていることは非常に幸せなことである。

 夏休みの影響か、高田馬場の武道場も今日の午後は混雑していた。幾つかの殺陣団体と居合の学生達がひしめき合う中、W氏とG氏らと14時から16時まで稽古をおこなった。

 今日は久しぶりに、浮きを掛け落下していくことで時間的余裕が心理的に働いてくるということが実感できた。その他には、剣術での「裏交差からの斬付」において相手の正眼を極近い距離に置くことで、より厳しい状況から動き出しの脚部の操作と右手首の巻き込みと左手による引き込みが瞬時におこなえるかということが稽古になった。やはり剣術稽古では、初動における身体各部の統御が重要であると思うので、抜刀術もまた然り、私が体術を研究するなら初動における各部の統御と接触面(点)における皮膚の感覚からなる情報操作、この辺りが非常に難しいものであるが、圧や通し方、離し方、そこに剣術や抜刀術の感覚が如何に通じるかがテーマである。色々な技術や情報は蓄積されているが、やはり自らのものでなければ進展はしないし技というものにはならない。
 
 抜刀術では「懐月」(かいづき)をおこなった。稽古後変更点が浮んできたので、次回その動きが使えるものなのか検討したい。


金山剣術稽古会  

2017年8月 稽古日程

2017年9月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2017-08-18(Fri)
 

厄年が躍年となっている

 七月が暑かっただけに八月はどうなることやらと思っていたが、東京では四十年振りとなる十五日間連続で雨を記録している。レジャー関係では大打撃を受けているかもしれないが、このところ暑さが落ち着いているので日中の移動に関しては助かっている。

 本日の「高齢者のための剣術教室」では、相変わらず皆さん元気でなんだか私が励まされているような気になってきます。とくに自主稽古をされている方が増えてきており、三十分早めに来られている方や、講習の無い別の曜日に会場を借りて稽古をされているようです。私は一切そうした事をやるようになどとは言っておりませんが、みなさん自主的に声を掛け合って取り組まれているようです。

 講習では二十連円打の下がりをおこないました。扇足が絡んできますと「進行方向に対して遠い方の足を動かす」という法則がありますので、前進、後退、どちらともにそこを覚えておけば思考的負担が軽減されますので、後は扇の動かし方だけを考え上半身との兼ね合いに集中できます。

 生徒になられて二ヶ月近くになるMさんが十五番目まで進められるようになりました。私も毎週こちらに来ておりますので、この二年~三年を見ておりますと、以前と比べて姿勢が良くなった方や身体の芯がシッカリしてきた方、新しい動きによる吸収力の早さが見られる方など、着実に進展が見られるようになりました。

 最後の抜刀、正眼、逆手納刀を素早くおこなった際の動きではお伝えした私が驚いてしまうものでした。やはり、杖の講習時間を長めにおこなっておりますので、身体を扱う脳の回路といいますか、そうしたものの流れがスムーズになってきているものと思われます。昨年、品川区の方でおこなわれている体操の会で十五名の高齢者の方を対象に講習をおこなわせて頂いた時に、やはりクラーチ剣術教室の生徒の成長は凄いものであると実感したのでした。

 講習後家路に着き、八光流柔術豊和会さんのブログ「あんころ猫の手」で紹介されていた本「皮膚は「心」を持っていた!」が注文した翌日の今日届いた!お勧めされていたので期待して夜の住吉に向かう電車内で読み始めたが、一頁目から目を引く内容で、本の頁数は二百に満たないが、密度の濃い内容と文面が引き込まれやすく読みやすい。色々と腑に落ちる部分もあるので購入して良かった。

 夜は久しぶりに住吉での稽古。今日からオーストラリア在住のI氏と稽古を定期的におこなうことになった。目標のある方で、いろいろな教室などを見てこられてから私のところへご連絡をいただいたので、私としても責任を持って応えていきたいと思っている。今日の稽古では、まず身体の回路を整えることから始めたほうがいいと感じた。加藤氏から頂いた著書の中に「心的イメージ」という言葉があったが、そうしたこれから始まる稽古の中で新たな動き方を心的イメージにより身体の調和を導き出し、そうした動きを少しずつ記憶し、更新していけるように進めたい。

 今年に入って「金山剣術稽古会」の定期参加メンバーも新たに四名増えた。この稽古会は入会制ではなく参加制とも言えるものであり、翌月の稽古は私との連絡によって決まるものであり、基本的にはマンツーマン型の信頼関係の上で成り立っている。したがって長く続けるにつれ馴れ合いになってしまうようなことは無い。

 これから先の私自身の展開がどうなっていくのか考えることもあるが、地道にコツコツとが自分には向いていると思うので、自分の力量以上のことに首を突っ込まないように、いま出会っている人を大事に一日を送っていきたい。のんびり出来ることは色々な意味で幸せなことだと思う。これからはもう少しそうした自分も育てていきたいところである。


金山剣術稽古会  

2017年8月 稽古日程

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2017-08-16(Wed)
 

抜刀術稽古で調子が整う

 本日は高田馬場でT氏と稽古をおこなった。その前に40分ほど一人稽古で抜刀術をおこなった。納刀に関しては感覚的に以前よりも切っ先が一気に鯉口に入っていけるようになった。こうした稽古は稽古期間が空いても落ちていかないので有り難いと感じる。もっとも、毎日稽古しているが一人稽古はまた違ったものなので、この時間が無ければ私は進めなくなってしまう。いわば技術の進展と身体操作の追及が何かを生み出していくものとなり、やはりこの時間が生きていてもっとも大切な時間であろう。

 今日の抜刀術稽古では、幾つか変更点や進展は見られたが、何より身体の調子がここしばらくの中で久しぶりに軽く動いてくれた。私の場合、オーバーワーク傾向にあるので、患部の痛みなどからそのあたりを気遣うようになったことで、動き易くなったのだろう。そういえば以前数ヶ月前にも戸越体育館の稽古で驚く程その日は抜刀術の動きがこれまでに無いものだったので、その原因が分からないままであったが、おそらくオーバーワークによるメンテナンス不足が普段のコンディションを落としていたのかもしれない。

 今日は、その抜刀術稽古を40分終えたのち、不思議と身体が軽くなり調子が良くなった。まるで何かずれていた骨格のどこかが正しい位置に戻ったような感じがしている。疲労感が抜け気持ちも向上した。

 時間となってT氏との稽古に入る。一人稽古の影響からか今日は色々なことを話す事が出来た。このところ考えていたことであるが、人としての自分の変化というものは、自分が変わったなら以前の自分ではないので、自分の変化の度合いに気付きにくいのではないかと思うのである。事細かに違いに気がつけるということは、まだ本当の意味で変わっていない筈である。

 自らが変わりたい、変わろうと思っていた時期は長くあったが、周囲がどのように思っているかにより、それが自分が望む姿であるなら、そこが今の自分自身であろう。道を歩くとき、人と会話をするとき、お店でご飯を食べるとき、これまでと何が変わったのか、何が気になり、何が気にならなくなったか、そうしたことが今の自分の変化として気がつける部分でもある。

 稽古では出来そうに無い時と出来た時による景色の違いを検証した。三歩で壁まで届く距離を徐々に伸ばして行き、これは無理そうだなと思ったときのスタート位置から壁までの景色と、安定的に届くことが出来た際の景色というのは違って見えるものである。おそらく間合いと言うのも、そうした感じるものがあり、ある種の景色の違いが違和感となって教えてくれるのかもしれない。

 日常の心理面も同様に、自分の心をどのように満たすことが出来るかで景色が変わって見えるように思う。難しいことであるが、心が安定する範囲内で目標や求めているもののラインを上げ下げすればかなり救われてくる。常に高い目標へ上げ続けるのは、破綻が生じるし不満だらけの思考になってしまう。一日24時間与えられた時間を、考え方でどのように捉えるか、そしてそれを実践出来る生き方がある。健康とは、休息だけではなく、自分が望む時間を少しでも生きていくことで心身が喜び何かの目標ラインが上手く調整出来るのかもしれない。

 今日は脚部の使い方を集中的におこなった。私にとっても今日の稽古は有意義で心身ともにリフレッシュした時間であった。


金山剣術稽古会  

2017年8月 稽古日程

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2017-08-15(Tue)
 

出会いと共に自分の姿を見つめ直す

 昨夜の退出から12時間後の9時10分に同じく品川区総合体育館剣道場にてGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習をおこないました。午前の殺陣クラスは比較的少ない人数で始まり、次の杖術クラスの講習からOさんとYさんご夫妻の3人が入らして丁度よい人数となりました。今回でYさんご夫妻も体験参加を終え正規受講生となり、ひさしぶりにOさんと同年代に近い方が生徒になられて嬉しく思います。明るくて一生懸命なご夫妻ですので、この教室の雰囲気が一層良くなるものと思われます。

 殺陣クラスでは新たな展開「撥ね返しからの回転斬り結び」をおこないました。※(斬り返し改め、撥ね返しといたしました)
 少しずつ進めていくことで、それぞれのペアを見ても初めてにしては動けるようになっていました。この動きをさらによく見せられるように工夫していくことが今月のテーマの一つです。

 「払い~胴斬り~袈裟斬り」の一連の流れは、かなりの生徒が斬られ側のリアクションも含めて動けるようになってきました。互いの間合いやキッカケなど約束事のなかで安全におこなうことで、殺陣というものの雰囲気が掴めてきたのではないでしょうか。こうした立廻りになったときに、動きの中で「構え」や「斬り方」そして「斬心」などが意図的に見せられるかが大事になってきます。

 ですのでこうした立廻り系の稽古をおこなった際に、どの部分がなかなか上手くいかなかったかを記録しておくといいでしょう。毎回おこなっている「万乃型」(よろずのかた)では、立ち方、構え方、斬り方、斬り終えた後の形など一連の動きの中に取り入れておりますので、立廻り系の稽古での記録や記憶から、意識しなければならない部分を身に付けられるように取り組んでいただきたいと思います。

 杖術クラスの講習では、始めに「クロール」をおこないましたが、このクロールでの足運びというのは、杖の単体技での移動法にも通じますので、動き始めと動き終わりを揃えるための足運びとなるための股関節の使い方を姿勢から練っていくことが大事です。

 夕方の部では生徒と体験参加の方で賑わい、講習の止め時が難しい状況の中退出時間の10分前までおこないました。残り5分となったところで、皆が一斉にモップ掛けをおこない、あっという間に掃除が終わりました。なんといいますか、これまでは私が一人でおこなっていた事もあったのですが、やはり皆で一斉におこなうことでより気持ちの良い終り方が出来ますので、今後は品川区総合体育館での講習後はそうしたいと思います。

 日々稽古や講習が続いておりますが、生徒の皆さんとお会いすることでエネルギーを貰っております。お休みされている生徒の方もさまざまに気に掛けておりますので、また元気にお会いする日が来るのを心待ちにしております。そのためにも、私自身カラダを悪くする訳には参りませんので、心身ともに健康な状態で相手を見ていける自分というものを育てていきたいと思っていますし、当然稽古では技の向上を欲しております。世の中にあらゆるさまざまな生き方の人がいる中で、稽古を通じて関わりあっていく事が出来るというのは、今の私の状況を考えますと信じられない思いがいたしますが、私にとりましては一番の学びとなっております。人と出会い考えさせられるということは、無視できない事柄ですので、そこで刺激となり対応させられるということは、失敗も含め後に繋がっていくものです。焦り、不安、恥ずかしさ、色々な事がなかなか心身を落ち着かせてくれませんが、そうしたことも含め望んでいたことですので、楽しんでいきたいものです。

 この一週間は刺激の多い日々でした。あしたは何が起こるかわかりませんが、緊張と緩和を意識して過ごしたいと思います。

 本日もみなさま、ありがとうございました!


金山剣術稽古会  

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2017-08-14(Mon)
 

短期記憶と稽古の進め方の兼ね合い

 今週は濃い一週間となっている。月曜日は高田馬場で17時から21時までG氏とT氏と稽古。そこで突き返しを見直すことになった。火曜日は高齢者のための剣術教室が四年目に突入した。水曜日は戸越体育館でミネアポリスから帰省中の加藤氏とW氏と稽古。加藤氏とは自由が丘で二時間ほど語り合った。木曜日は高田馬場でW氏と稽古。先日の突き返しからの研究をおこなった。そして金曜日は海老名で井上さんと稽古。稽古後は四時間近くハシゴして語り合う。

 そして本日は、品川区総合体育館剣道場で15時30分~17時30分、18時30分~20時45分まで「立廻り特別講習会」をおこなった。お陰様で参加人数も丁度良い人数となり、進め過ぎず、退屈せず、というところの按配を見ながら第一部と第二部をおこなった。

 私もこの立廻りを普段の講習でおこなっているので、どのような進め方がいいのか今回はかなり準備して取り組んだことで、短時間で一定の成果は出たように思う。

 それは、先日の加藤氏から頂いた本の影響もあっただろう。

 つまり、手順の覚え方には、短期記憶で覚えられる範囲からおこない、そうして覚えた一つ一つのテーマの形を組み合わせていくことで混乱がおきにくいことが分かった。しかし、第二部の最後は、多少のサービスもあり先に進めた結果、やはりその手前の記憶があやふやになってしまい、全体的に混乱が見受けられた。その先を伝えるにはどの時期どのタイミングかということが大事になってくる。

 今日の講習でそれぞれに出来たところと、課題が残ったところが分かったのでは無いだろうか。それが今日の講習で最も重要なことである。今夜の記事は文体が敬体でなく常体となってしまったがこのまま行くとしよう。

 第一部では刀を水平に斬るところや袈裟斬りの刃筋、真っ向斬りでの切っ先から前腕上腕ラインなど、注意点と言うのは大体皆共通するものである。すぐに直せる部分は「気が付いていなかった」ことが原因であり、なかなか直らないものは「原因を突き止め切れていない」ことなどが挙げられる。原因を突き止めるには、逆算していくことが大事であり、その逆算して見つけた部分が「気が付いていなかった」部分であり、逆算するほどに明確になってくるため、気が付くことにより直せるものになっているはずである。

 そして先にも述べたが、気が付いてもなかなか直らないものは段階に分け、その人の短期記憶が出来る範囲内でおこなうと前に進みやすくなってくるだろう。稽古事は何にしても前に進めることが一番楽しいのである。短期記憶の容量は稽古していくことで少しずつ上がってくる。加藤氏から頂いた著書の中身に、訓練により82ケタの適当な数字を一ケタ1秒の速度で言ったものを訓練法により正確に覚えることが出来たという実験結果が挙げられている。つまり、短期記憶の使い方で、効率よく覚えられる範囲を増やし、最終的に長期記憶に移行していけることが出来れば、こうした稽古では一気に進む速度が上がるだろう。

 情報量の集約と、興味を引く楽しさと、前に進められると言う実感が、伸びていくには大事であると思う。こうした短期記憶の能力は学校のテストや試験などでも試されるが、人それぞれに個人差があるので、それでは本当の意味で人を判断できないだろう。

 今日はGold Castle 以外で初めて立廻りに参加されたGさんとKさんは二コマ四時間受講されて、終始楽しんでいらしたのが印象に残った。殺陣は安全におこなうための意識は常に持っていなければならないが、楽しく自由に出来る部分は発想豊かに自由に楽しんでいただきたい。


 あっという間に時間が過ぎていきましたが、それぞれに得るものがあった講習だったと思います。この立廻り講習は二コマでないと開催は厳しいため、会場スペースも含め、定期的に開催することは難しいかもしれません。また次の開催が決まりましたらその時はまた皆様宜しくお願いいたします。本日は怪我もなく充実した講習会となりました。お越しいただいた皆様ありがとうございました!


金山剣術稽古会  

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甲野善紀先生からの紹介文


2017-08-13(Sun)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


――――――――――――――

1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『 Gold Castle 殺陣&剣術スクール 』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなっている

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

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