甲野善紀先生からの紹介文
2010年9月14日に松聲館で初めて甲野善紀先生にお会いした日の記憶は今でも鮮明に残っております。
それから今日に至るまで稽古に伺うようになるとは想像もしておりませんでした。
今の私を作っている核となるものはここにあります。
誠にありがたくも甲野先生から紹介文を書いて頂きましたので、ここに掲載させていただきます。
金山孝之氏紹介文
武術研究者 松聲館主 甲野善紀
金山孝之氏に初めて会ったのは2010年だったと思う。その初対面の時から剣術に対する並々ならぬ情熱を抱いていることがわかったので、その志と情熱を傾けて大いに剣術や抜刀術の稽古に向き合ってほしいと思い、それならば稽古用の模擬刀ではなく、真剣を使った方がいいだろうと、私が持っていた刀の中から一振り金山氏に貸与した。
以来、金山氏の稽古への情熱は消えることなく燃え続けているので、ここ十年ほどの間に出した私の著書やDVDでは、受として、誰よりも金山氏に一番多く出てもらっていると思う。それは、剣術に関心の強い金山氏だが、元々ボクシングを学んでいたということもあり、体術にも情熱と工夫がみられるからで、私が書籍で写真の撮影や、公開で演武をする折などに出てもらう相手として、金山氏はまず最初に頭に浮かぶ存在となっているからである。
また、金山氏の常に研究を怠らない姿勢は、私との研究稽古の後は、必ずその時の感想や気付きについてメールが来ることでもわかる。お蔭で私もこのメールを読んで、自分の気付きを見直し、次の技の展開への参考にさせてもらっている。このように金山氏は、私の技の研究に少なからず貢献してもらっているので、数年前に「松聲館技法研究員」となってもらった。
金山氏が指導している教室の中には、高齢者の方々に木刀の振り方や抜刀法などを指導するものもあるようだが、そこに参加されている方の中には体の動きが不自由になりかけていた方もいらしたようだ。そして、そうした方は無味乾燥なリハビリよりも、木刀などを手にすると、何か心に張り合いが生まれるのか、思いがけない効果が出ることもあるようだ。リハビリといったものも、そのリハビリを行う時、精神的にも張りを持てる内容にすることは重要なことだと私は思っていたが、その点、この金山氏の指導による武術の稽古が優れたリハビリ効果を現したことは、私がかねてから抱いていた考えを実証した好例だと思う。自身、武術探究の情熱を持ちつつも、いま挙げたような武術指導によって、高齢者や体が不自由になりかけた人に、新たな希望を与える金山孝之氏の活動は、少なからぬ社会貢献にもなっていると思う。
元々、金山氏が武術に志したのは「本当に迫力のある殺陣のできる俳優」を目指したということがキッカケのようであるが、今はその事より「実際にどこまで剣術が使えるようになれるか」という事の方に強い関心が出ているようだ。ただ縁があり、機会があれば、スクリーンの中で活躍し、結果として多くの人達に日本の剣術をはじめとする武術の魅力を伝え、この道に志す人材が途切れないための役割を荷ってもいただきたいと思っている。
それから今日に至るまで稽古に伺うようになるとは想像もしておりませんでした。
今の私を作っている核となるものはここにあります。
誠にありがたくも甲野先生から紹介文を書いて頂きましたので、ここに掲載させていただきます。
金山孝之氏紹介文
武術研究者 松聲館主 甲野善紀
金山孝之氏に初めて会ったのは2010年だったと思う。その初対面の時から剣術に対する並々ならぬ情熱を抱いていることがわかったので、その志と情熱を傾けて大いに剣術や抜刀術の稽古に向き合ってほしいと思い、それならば稽古用の模擬刀ではなく、真剣を使った方がいいだろうと、私が持っていた刀の中から一振り金山氏に貸与した。
以来、金山氏の稽古への情熱は消えることなく燃え続けているので、ここ十年ほどの間に出した私の著書やDVDでは、受として、誰よりも金山氏に一番多く出てもらっていると思う。それは、剣術に関心の強い金山氏だが、元々ボクシングを学んでいたということもあり、体術にも情熱と工夫がみられるからで、私が書籍で写真の撮影や、公開で演武をする折などに出てもらう相手として、金山氏はまず最初に頭に浮かぶ存在となっているからである。
また、金山氏の常に研究を怠らない姿勢は、私との研究稽古の後は、必ずその時の感想や気付きについてメールが来ることでもわかる。お蔭で私もこのメールを読んで、自分の気付きを見直し、次の技の展開への参考にさせてもらっている。このように金山氏は、私の技の研究に少なからず貢献してもらっているので、数年前に「松聲館技法研究員」となってもらった。
金山氏が指導している教室の中には、高齢者の方々に木刀の振り方や抜刀法などを指導するものもあるようだが、そこに参加されている方の中には体の動きが不自由になりかけていた方もいらしたようだ。そして、そうした方は無味乾燥なリハビリよりも、木刀などを手にすると、何か心に張り合いが生まれるのか、思いがけない効果が出ることもあるようだ。リハビリといったものも、そのリハビリを行う時、精神的にも張りを持てる内容にすることは重要なことだと私は思っていたが、その点、この金山氏の指導による武術の稽古が優れたリハビリ効果を現したことは、私がかねてから抱いていた考えを実証した好例だと思う。自身、武術探究の情熱を持ちつつも、いま挙げたような武術指導によって、高齢者や体が不自由になりかけた人に、新たな希望を与える金山孝之氏の活動は、少なからぬ社会貢献にもなっていると思う。
元々、金山氏が武術に志したのは「本当に迫力のある殺陣のできる俳優」を目指したということがキッカケのようであるが、今はその事より「実際にどこまで剣術が使えるようになれるか」という事の方に強い関心が出ているようだ。ただ縁があり、機会があれば、スクリーンの中で活躍し、結果として多くの人達に日本の剣術をはじめとする武術の魅力を伝え、この道に志す人材が途切れないための役割を荷ってもいただきたいと思っている。
2017-01-03(Tue)
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