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気づきという源泉

 ゴールデンウィークは連日の対人稽古となっている。今日は何年ぶりかにO氏と武術稽古をおこなった。

 私よりも体格がよく、さまざまな格闘技や武術をやってきており、身体能力はかなり高いだろう。そんなO氏と武術稽古ができるのは願ってもないことである。

 まず杖術からおこなう。身体能力と理解力が早いので、チョットしたアドバイスでどんどん身体がまとまってくる。その変化の実感に納得してもらえたのではないだろうか。私自身、出し惜しみなく持ってる材料を全て伝えるので、数年ぶりということもあり、とにかくしゃべり過ぎてしまったような気もする・・・・・・

 O氏との稽古で実感したことは、身体というのはやはり下体が強くなければならないということ。上体が強くなり過ぎると、下体の強さが弱まり威力が失われてしまう。起こりという面においても、アソビをとり上体を抜くことで、相手の力に対して透していける感じが生まれる。これは、私より体格も力も勝っているO氏だから感じとれたことだ。しかし、O氏の身体がまとまり、下体の強さが活きてくるようになってくると、かなり苦戦するだろう。O氏とともに私も成長しなければならない。

 剣術においては、袈裟に斬る剣の操法がまったく変わってしまったので、どのように伝えればいいのか極めて難しいのだが、とにかく私が振って見せて意味を説明するしかない。まず、私の袈裟斬りは、完全に向かえ身であり、エネルギーは腹を中心に上下に使っている。そのため、足の開き具合や、歩幅というものは、浮きをかけられる自然な位置としているため、あまり細かく決めないことにしている。ここであらためて気づいたことは、柄を離して持った場合、向かえ身で小袈裟に斬り下ろすと、どうしても左腕が邪魔になり斬り下ろせないのである。示現流の場合、左腕は鳩尾あたりにくっつけたまま、右腕で投げるように押し斬りに斬るのである。これにより、左腕が体幹部にくっついているため、遠くへ斬り下げても、体がく之字に折れることなく、体幹部の強さが剣に乗るのである。柄を寄せて持った場合、両腕が体幹部の近くにありながら斬り下ろすことが可能であるため、押し斬りにせずとも、刀の反りを活かした自然な引き斬りにより、刃物が自然に斬れる軌道でさらに体幹の働きと、向かえ身による脚足からの浮きが、一見手だけで振っているように見えるこの袈裟斬りだが、身体をまとめるためにカラダ中を総動員させているのである。すなわち、柄を離して持った場合、小袈裟に引き斬りで斬り下げた場合、左腕が体に当たらないためには体が開かざるを得ないのである。上体と下体の力配分が、柄寄せ持ちと柄離れ持ちではおそらく随分違ってくるだろう。剣から体術に移り変わる場合、どのような操法でなければならないかを、身体と得物を通じて感じ取らなければならないと思う。

 抜刀術では、さいきんの自分自身の抜き方が、脚足の使い方による重心移動にともなうハナレのエネルギーを重点的に意識しているため、体の開きによる鞘引きというものを、稽古に取り入れることにかなり苦慮したが、今出来ることから順に進めていくしかないと思い、鞘引きから体の開きによる重心移動でハナレをつくる稽古をおこなった。それから、膝の内抜きによる横への重心移動にともなう抜刀も説明したが、まだ危険な気がしたので、木刀による胴斬りをおこなった。半年前までは、指導に対しある段階的マニュアルみたいなものが経験から生まれてきていたが、現在は、私自身の通ってきた段階をそのまま伝えても、その使い方の変化に、混乱せずに短期間でついて来れるかと言えばおそらく混乱させてしまうだろう。だから、今はなるべくわかり易く、現在私がおこなっているまたは、気づいて実践しているものを、いきなりやってもらっている。これは、武術に真剣に取り組んで、身体の使い方に興味がある人なら、間違いなく納得してもらえると思う。

 そして、先日感じた水を掻く原理で、その得物やその軌道に最適な力加減でもって、起こりを消し結果的に速さが生まれるかというものをテストしてみた。軽いスポンジのような短い剣を片手で水平に持ち、それに対し、木刀にて脇構えからかわされずに打つことが出来るかというものである。これは、打つ方、かわす方、共に起こりを消す、起こりを感じるという稽古としては非常に高めることができると実感した。必要以上に力を入れず、最適な配分で、そこに運び込む感覚。自分でもいつおこなうかわからないように自分を騙す気持ちで特別何も意識しないこと。この稽古は、まだまだ進展する可能性があるので、次回の稽古が楽しみである。

 これからの稽古において、縁がある人とどのように出会うことになるのかわからないが、その出会いの流れは決まっているのかもしれない。知らず知らずの内にひとつひとつの選択が、自分の道を決め、その道で出会う人と共に進みたいと願っているのかもしれない。温泉に湧く源泉が枯れないためにも、商売のほう(お金や人気)に情熱が移り変わり、源泉は枯れてしまっているにもかかわらず、湯を沸かし色をつけ効能を語り(あくまでも例えであるが)・・・・・・そのような間違ったヒラメキや気づき方にならないように、現在の学んでいる環境、人々とともに、武術稽古から湧き上がる源泉を枯れさせないように精進したいと思う。


2013-04-30(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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