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胴斬り

 今日は木刀での左右の袈裟斬り稽古をおこなっていたときに、フト胴斬りを試してみた。

 剣術を始めた当初は、当時の師範から鹿島神流の組太刀などずいぶんと教わることができた。その中で、鹿島神流の木刀である、鍔の付いた太い直刀を用いての基本組太刀(袈裟斬り、斬り割り、割り突き、位太刀、足払い浮船)や、袋竹刀を用いての組太刀(裏太刀、実戦組太刀、合戦組太刀、相心組太刀)など合わせると、剣では40手ちかい技を学んだ。

 しかしながら、殺陣の稽古や他流の方とのかつての稽古の中で、胴斬りをおこなうことがしばしばあった。私はこの胴斬りというのがいまいちシックリしないまま見過ごしていたように思う。それは、私が学んでいた鹿島神流系の剣術稽古では、袈裟斬りや籠手斬りはさまざまにあり、しかも続飯付けといって相手にくっついたままネバリを掛けつつ崩し(潰し)てゆく。袈裟斬りにしても実際には寸止めのところで相手に降伏の機会を与えているし、籠手斬りにしても、刀の峰を返して打ちつけている。また合戦組太刀では、鎧などの防具の隙間(喉元や脇の下など)への突きを寸止めでおこなっている。潰し技や投げ技にしても最終的には、相手に対して降伏の機会を与えているのである。これが鹿島神流の「包容同化の精神」である。

 私が思うに胴斬りでは、間合いが近くなるため、相手に猶予を与えている間がないのではないかと考える。(唯一学んだのは、抜刀してからの「祓い太刀」である)

 そういった経緯からこの胴斬りについてはあまり深く稽古をしていなかったのである。他にも理由があって、胴斬りといえば殺陣の手でよく目にするので、そういった殺陣的な胴斬りのイメージが頭にあったこともやらなかった理由のひとつかもしれない。

 だが、今日の稽古で私が学んでいる稽古の流儀から、ピタリと当てはまる胴斬りが生まれた。それは、膝の抜きによる重心移動、そして体幹部のまとまりと、居つかず支点を作らない体捌きである。これは、胴斬りという名の、横方向への重心移動のよい稽古になると思う。まだ生まれたばかりなので、刃筋の正確さと、斬れる軌道の研究も習得しなければならない。だが、この胴斬りという、切実な状況から瞬時に起こりなく(せめて小さく)身体と刀が横へビュンと移動しなければならない。だから、この胴斬りは実際に斬らなければ自分が死地に残ってしまうのだ。

 この横方向への膝抜きによる重心移動は、考えなくても自然にそうなるように、今までの使い方がガラリと変わるように、完成度を上げていきたいと思う。そうなることを想像すると、ワクワクしてくるし、実際に稽古をしてみて、通常足を出して軸足を回収するのとでは、速さとまとまりが全然違うので、体感的にも何度でもやりたくなってしまう稽古である。

 この胴斬りの状況設定は、打太刀は上段または八相、仕太刀は左右共に袈裟斬りができるように、左右とも肩に担ぐ感じに、剣をあまり寝かせず肩に付けずに構える。打太刀が、真っ向斬りもしくは袈裟斬りに踏み込んできた際に体を沈めつつ同時に膝を抜いて重心移動をおこない横方向(もしくは、やや斜め方向)へ身体と刀が共に移動してゆく。
 あるいは、鍔競り合いから剣が離れた瞬間におこなうこともありうるだろう。

 このところは、杖術と抜刀術がメインとなって研究していたので、剣術のほうでも現在の身体の使い方のテーマに沿った操法を追求していきたい。杖もそうだが、剣においても、カラダが置いてきぼりになるような操法は死地に居残ってしまうため極力避けなければならない。
 

2013-04-16(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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