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紙一重の深さ

 昨夜は、松聲館で甲野善紀先生と稽古。先生は4/23から武術と食事に共通する組立ちのようなものを実感され、以降食事量が激減されている。お痩せになられていたので、訊いたところ53kg台と仰られ驚愕した。

 私の場合、武術を始めた頃は55kg台で、夏場の稽古後は52kg台に落ちたこともあったが、現在は61kg前後で、しばらく60kgを切っていない。かつてボクシングをやっていた頃は、高校二年の時に試合前の軽量時に44.7kgに落としたことがあったが、約10kgの減量は、舌がザラつき、頬骨が飛び出し、頭が小さくなり、指の間に隙間が広がり、お尻の肉さえ無くなった。一ヶ月間一度も笑わず、毎日立ち上がるたびに貧血で、声も高くなった。そうした影響があったのか、18歳で大腸ポリープを摘出したが、短期間であったとはいえ、人生で最もキツイ日々だったと思う。

 体力は無いに等しかったが、腿の軽さ、腕の軽さには驚いた。今は、そうした生活とは無縁となったが、それでも体重をどの辺りにするかということは常に考えている。私が体重を増やし始めたのは、武術の道に入ってからであり、それでも最初の三年程は今までの状況から自分を変えることがなかなか出来ずにいた。しかし、居合刀を二尺四寸五分から二尺七寸に替えた際に、この身体では壊してしまうと直感し、自分の中で体重制限していた値のリミットを解除した。

 それでもなかなか体重は増えなかったが、一年毎に徐々に平均値が増え始め、感覚的に重たくならずに得物に合わせた身体に近付いた。だが、先日正面斬りを二千回やった影響なのか、先日おこなった正面斬り数十回が、感覚的に鈍くなっており、力はついているものの、それが仇となり瞬間に感じられていた心地よさのようなものが失われていた。ああ、やっぱりそうなったかと思ったが、鈍くなる稽古は本当に鈍くなるということが実証できた。あらためて、稽古は感覚の追求に沿っていかなければならず、それが鈍くなるようなものを優先してはならない。

 昨夜の稽古では、先生の突きに機先を制されるような、分っていても驚いてしまう働きがあり、それがどうしてなのか、太刀奪りという先生の稽古法に、身体と意識の使い方、また、それが備わっていることで、あらゆる心理的働きが自らにも相手にも利いてくるということが納得できた。つまり心理的なものを技として運用して行くには、身体が無意識に近いところで、感覚的には無意識で、そのことを行えることが基盤になっていなければならない。

 それは、強さと弱さが紙一重となる身体の使い方にも言えることであり、その基盤にあるものがあるかないかで、紙一重の差と言うのは天と地ほどの差になっているのだと思われる。それは紙一重だからこそ気が付き難いものであり、信じ難いものでもある。だから、稽古と言うのはその段階に応じた稽古があり、その道を辿ってようやくその事に気が付けると思えるし、そのためには、稽古を重ねて行くしかない。つまり願いを通すための念が日々の中で稽古に宿ってなければならない。それは、次なる稽古までの間にも活き続けているものであり、願いと言う関所を通過するための手形を探していることに等しい。

 少し語りすぎたが、あらためて人間は自らの身体を把握することに務めなければ、誤った方向に流れてしまう。尤も人間の資質とはもっと違うところで作られているのかもしれないが、学ぶことの概念が根幹から崩れてしまっている現代では、少数派の人々が、誤りから離れ、距離をおき、軌道修正した学びを実践していくことが重要だと思える。その人の力量の中で。

 とにかく、昨夜の稽古も記憶に残るものであり、石臼で挽いた玄米の溢れ方や、ゴロゴロとした心地よい音、それだけでも当時は良い時代だったような気がして、貧しくても、平均寿命が短くても、生きている瞬間の感動は大きかった筈である。今を感動して生きて行くためには、情報発信とは無縁な所にある人からの情報が必要なのかもしれないし、情報を浄化する謙虚な志も求められる筈である。そこがまだ未熟な現代なのだろう。


2020年6月6日(土)『抜刀術 特別講習会』(お申し込み受付中)
※中止になる可能性がありますので御了承下さい

金山孝之 YouTubeチャンネル

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

甲野善紀先生からの紹介文

2020-05-23(Sat)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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