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六日連続稽古を終えて

 私はSNSとは距離をおきたいタイプであるが、仕事の窓口看板として必要なホームページと、私の日々の情報をお知らせするこちらのブログとYoutubeで必要最低限な動きを紹介している。その他は無料のイベント情報掲載サイトも利用しているが、基本的に今の時代、武術と言っても仕事を承るにはインターネットでのやり取りが大半を占めている。

 武術稽古は日々の気付きの積み重ねでもあり、身体を練っていくには修錬は欠かせない。だから、SNSを利用させようとする時代の思惑にある程度の抵抗感を持っていなければ、日々の妥協に己のやるべきことを阻害させられてしまう。時間は誰にも平等にあるものであり、SNSに蝕まれないようにしなければならない。

 
 三連休が終わりました。私にとっては三日連続での講習会であり、この三日間全てにお越しいただいた方々や二日間お越しいただいた方々もいらっしゃいました。個人的には六日間連続の稽古会や講習会でしたので、このような時期に稽古が出来ましたこと大いに感謝しております。

 一年中作務衣に高下駄(たまに雪駄を履きますが)で過ごして七年は過ぎたでしょうか、毎年一年で高下駄は履き潰しておりましたが、昨年の元旦に履き下ろした朴歯が例年になく頑丈で、大体元旦から十月一杯、或いは十二月一杯で台の底面まで磨り減ってしまうため完全に履けなくなってしまうのですが、今回は年を跨いで未だ履き続けております。歩く距離がそれほど変化しているとは思えませんので、硬い朴の木だったのでしょう。鼻緒も全く痛んでおらず、このままだと八月位までは履けるような感じがしております。

 そんな格好で過ごしておりますと、稽古着の補修で何度かお世話になったリフォームのお店の方が、私の格好に興味を持って挨拶して下さいますし、数年前に一度だけお祝いのために日本酒を買いに行った酒屋の店主さんが、駅までの道すがらよくお会いするのですが、行きしなには「いってらっしゃい。」帰りしなには「おかえりなさい。」と偶然擦れ違うたびに必ずご挨拶して下さいます。数年前に一度しか行っていない酒屋さんですが、またいつか何かの時にはここで買わせていただこうと思います。

 今日の講習では、先週の日曜日におこなった体術の座りからの一点接触による崩しで、全く崩すことが出来なかったロードバイクのKさんと講習前に何度か手合わせをお願いいたしました。先日研究した落下による反動を試みたところ、一回目は崩せたのですが、二回目は対応されビクともせず。両手を使って崩すことは出来たのですが、やはりそんなに甘くないことを痛感。すぐに講習に入りました。

 講習では今回も「囲まれ稽古」をおこない、周囲から斬りかかられる際の体捌きを身のこなし方がそれらしく見えるようにおこなっていただきました。そうしている最中に、遅れてきた方がいらっしゃったので、確認に行ったところどうやら別の殺陣教室の生徒さんが時間を間違って訪れて来られたようでしたので、もうその教室は終っており、可哀想でしたので「よかったら、やっていきませんか。」と、周囲の生徒達の雰囲気の良さに引き込まれるように、一緒に稽古に参加されました。

 私もこの教室をおこなって七年目に入っておりますので、訪れる方を見て大体の予測が付いて来るようになりました。ただ、生徒になって間もない方や体験参加に来られる方は、指導者がどのような人なのか解らないと思いますので、その辺りで同情してしまうこともあります。そこはご縁もあれば、運もあるかと思いますので、見抜く力を養いながら時間と労力を無駄にしないようにしていただきたいものです。

 講習では、ひさしぶりに始めから通しで立廻りタイプMをおこないました。まだ生徒になって二年足らずの中学三年生になるK君と中学一年生になるK君も以前に比べて良くなってきております。イラストレーターのYさんが正面から見て拍手しておりました。

 私も立廻りに関して「どこで嘘をつくか」が、上手く見せるポイントになると解りました。これは、どちらを選ぶかということでもあり、状況に応じて、リアルな体捌きも必要であれば、嘘をつくことで下手な人でも上手に見える体捌きもあります。もちろん上手な人でも嘘が必要となり、その嘘によって成立させるものがあるのです。逆に言えば、嘘をついても成立しないものは、嘘をついてはならないのです。

 これまでに、リズムやアングルといった、剣の扱い方や体捌き以外にも必要な要素はありましたが、「嘘の使い方」が今後は、より見栄え良く楽しめる立廻りの演出として欠かせないものになってくるような気がしております。そのためには、嘘を嘘と思わせない、身体の使い方と剣捌きが基盤になくてはなりません。そうしたものは殺陣クラスだけでなく、剣術クラスや杖術クラスで、より説得力のある身体の使い方を身につけておく必要があります。

 若いお子さん達は飽きずに成長しております。近くにおりますと目を合わせられないお子様でも、離れたところにいますとしきりにこちらを伺うように気にしております。そこに子供の可愛さがあり、見てあげなくてはならないものがあるのです。今日は、杖術クラスで「慣性」の話になったときに、ちょっとした笑いが全体を包み込みましたが、あの皆が一緒に感じられるもの、真剣であるからこそのちょっとした笑いが、大人と子供が混じってそれぞれが自然な環境として稽古されております。「上手になりたい」というそれだけの純粋さは、ライバルを蹴落としたり、自分を良く見せる必要が全くありません。「それだけじゃ、何かの証が残らない。」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなものは、見た目の形に残ったものよりも、そうしたものが無くても続けられ、なぜ続けられて来れたかの方に、大きな何かが残されております。

 講習後は、ふたたびロードバイクのKさんに相手をお願いして、座りでの一点接触からの崩しによる体術稽古をおこないました。ここで、再度落下と反動を試みたのですが、強引に崩すか止められるかといった具合は変わらず、落下は相手に先回りさせる時間が十分にあるため、「ああ、これはまた研究し直さなければならないか…」と思った瞬間、何となく雰囲気から背面が使えるのではないかという気がして、早速試みたところ、Kさんがワザと力を抜いて倒れたような感じになり、「ああ、なんかタイミングが悪かったのかな…」と信じきれずもう一回おこなったところ、ときにビクともしない頑丈なKさんが後ろに飛ばされて倒れたので、二人して驚きました。Kさんが「なんだか、もうこの時点で(腕を交差した形)防げる気がしません」と、今までの形勢が一気に逆転した感想に信じられない思いがいたしました。最後にKさんが「いなす感じでやってもいいですか?」と構わずにやってもらいましたが、手を使っていないのでいなされてもほとんど影響を受けず、そのまま後方へ突き飛ばすように崩すことが出来ました。 その後、Kさんが帰られたのち、杖整体操に参加される私よりも体格のいいK君やWさんにも試みたましたが同様に勢い良く崩すことが出来ました。

 背面への気付きでしたが、この三連休でもっとも興奮した瞬間でありました。この発力が他にも応用できないか、(尤も他から応用したのであるが)実感を得られましたので、今後の稽古でさらに研究してみたいと思います。

 
 講習後は、『杖整体操』をおこないました。今回大学一年生になるK君が初参加。身体が硬いほうで、相手を付けておこなう「寝返し」や「両手持ち上げ」など、あまり効かないかもしれないと思いましたが、様子を見ていて「おっ!これは効いてるな。」と感じられましたので、四回ほど寝返しを続けておこないました。女性陣にはYさんとSさんがうつ伏せからの両手持ち上げをおこない、これが一番気持ちよかったと、そのままうつ伏せで暫くまどろんでいただきました。(分る人には分るあの感じです)常連のOさんも、うつ伏せでおこないましたが、身体の可動域の関係上難しく、椅子に座っていただき後ろへ軽く釣り合いをとるような形で引っ張り、ゆっくりと戻しました。これには、戻しの気持ちよさが感じられましたので、私としましても安堵いたしました。

 今回も、私自身身体の状態が抜けて気持ちよく帰路に着きました。講習をしながら、自分の身体も気持ちよくなるというのは申し訳ないような気もいたしますが、私の経験上、これは剣をやっている人には特に効き目が強く表れますので、この感じを知っている人と共にこれからも身体を労ってあげる講習をおこないたいと思います。

 本日もお越しいただいた皆様ありがとうございました。そして連日お越しいただいた皆様にも重ねてお礼申し上げます。


金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

2020年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-03-23(Mon)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンDVD
『古武術は速い』指導・監修

2020年
BABジャパンDVD
『古武術は美しい』指導・監修

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