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自らを掘り下げて新たな習慣を生きていく

 本日は、午後から免許証の更新手続きのため都庁第二本庁舎へ行ってきた。優良運転者講習だったため(ただ運転していなかっただけであるが)30分程であっという間に終了。あの30分というのは、免許証の写真をカードに貼り付けるための時間であり、ほとんど端折った講義やビデオの視聴は全く意味を成していないと感じるものだった。まあ、優良運転者といっても運転をしていないだけの人も多い筈であり、そういう人が何年ぶりかに運転する方が一番怖い。私も二年ほど前に運転したっきり全くしていない。以前は仕事で毎日のようにいろいろな車でいろいろな所を運転していたが、今では運転席に座ることが考えられない。習慣で当たり前のようにおこなっていたことが、数年経てばその感覚が感じられなくなってしまう。もちろん、運転をしてしまえばまだ勘は直ぐに戻ってくると思う。普通に過ごしていた日常でも習慣があればこそのものであり、武術を始めて来月でまだ十一年にしかならないが、当時は最低でも週二日の稽古、直ぐに週三日となり、2014年頃からは、最低週五日の稽古や講習となっている。こうした習慣が今の私には当たり前の日常であり、そう感じていられるから、その日のことは自然に任せられ、その先の事を同時に考え計画を立てることが出来ている。殺陣や剣術、杖術、抜刀術、体術、それらを稽古し進展させながら、講習会ではその趣にあった内容をおこない、ときにはアドリブ的にそこでおこなうものもある。稽古以外にも、運営に関わる手配や足を運んでやらなければならないことも多い。その他にも学ばなければならないものや本を読んだりなかなか時間を捻出するのが難しいが、そのように時間に追われながらやりくりして生きていることが、理想的な習慣と言えるのかもしれない。

 もっと楽をして、時間に余裕を持ちながら今よりも生活を全般的に上げていこうなどと、どう考えてみても、そのような時間が見当たらない。全てに自分の納得出来る向き合い方をしたいので、どうしても一つ一つに時間が掛かってしまう。だから、私の場合の習慣と言うのは、「納得出来る不器用さの中で、確実性を持って生きていく。」ということなのかもしれない。その時間の中には大笑いする時間も含まれているが、それも私という人間のバランスを保っていく上で欠かせない時間である。

 
 さて、昨日のGold Castle 殺陣&剣術スクールでは、昼の部と夕方の部と二コマ開催いたしました。
 昼の部では、小学校4年生のM君がお父様とともに体験三回目にお越し頂き、予てよりご注文いただいておりました武道具一式をお二人にお渡しいたしました。殺陣クラスでは、払いからの胴斬りを行っていただいたところ、M君が斬られる動きが上手く出来ていたようで、お父様もお母様も喜んでいらした姿が印象に残りました。M君も「ぼくは、斬られるほうが上手にできた!」と、いつも緊張気味の彼が自ら答えてくださいました。

 来週舞台本番を迎える中学一年生のRちゃんもお忙しい中お越しいただきました。舞台のチラシをいただき、ご本人に確認をいただきましたので、のちほどGold Castle のホームページにある「こくっち!」に舞台に関する詳細を掲載させていただきます。

 それにしましても、この時期に舞台公演やイベントの中止が相次ぎ、劇団など舞台活動を主軸に活動されている役者の皆様は本当に不安な日々を過ごされているものと存じます。人に生きるためのエネルギーを与え、感動を、その人の魅力を通して伝えていく芸術活動…それはいままでに数知れず多くの人々を勇気づけ感動を与えてきたものであり、そこに危機が訪れた場合、誰が勇気と感動とエネルギーを与えて行けるのか…今はスポーツも力無く同じように不安な日々の中で時が過ぎるのを待っているような状態といえるでしょう。

 こうした時期に元々採算の厳しい演劇の世界では、元に戻れるのならいいですが、このまま長く続きますと、多くの芸術の芽が犠牲にあってしまうものと思われます。これが時代の変化を生み出すキッカケとなるのか、それはまだ分りませんが、今はまだ多くの方がこれに対する問題から何かを見落としてしまっているのかもしれません。それは地球環境の破壊とも通じているものであり、いずれそこに世界中が足並みを揃えて携わっていかなくてはならない誤魔化せなくなってきたものに対し、自然の成り行きがあくまでもただ自然に導いているように思えます。

 講習にもどしましょう。

 昼の部の剣術では、納刀法を幾つかおこない、後方突きを稽古いたしました。鞘引きは、単に鞘を引くことを学ぶのではなく、鞘を引ききる最後の処理を覚える事が重要です。刀と鞘は、互いに真っ直ぐに入っているものですので、どのように抵抗無く抜ききるかは、現実逃避せず、シッカリ向き合って、自己解決せずに学んで行かなければなりません。

 後半は体術をおこない、前日土曜日におこなった正座からの片腕一点接触からの崩しを再び、私よりも体格のいい一年振りに復帰されたK君と手合わせいたしました。やはり前日のような中心に向う方法ではビクともせず、そんなことは以前からよくよく解っていたのですが、先日中心を探る稽古をおこなったため、そこで得たものが、今回の内容に入ってきてしまい妨げになっておりました。この日は落下とバウンドを使い、それを一点接触の右腕前腕部に働かせ相手を跳ばすように後ろへ崩したことで、まあ何とか形にはなったかなと、皆さんも興味津々で取り組んでいただきました。私自身驚いたのは、それを正座で両手を腿の上に置いた状態で相手に押さえ込んでもらう所謂「合気上げ」をおこなう前のような形から、落下のバウンドと背中の操作をおこなったところ、全員声を出して吹っ飛んでしまったのには驚きました。私もどのような違いがあるのか受けてみようと、四月からH大学の学生となるK君にその方法でおこなっていただいたところ、思いのほか後方へ飛ばされましたので、前日の上手くいかない出来事が幸いし、受けていただいた女性の生徒さんから「なんだか、アトラクションみたいです!」と、後方へ一回転するほどのエネルギーの伝え方には私も興奮を覚えました。この身体の使い方は元々やっていたものでもありますので、今後は、より利きが高まるための検証を探り、いずれロードバイクのKさんにどこまで利くかを試みてみたいと思います。

 夕方の部では、四月から中学一年生になるK君がお越しになり、高齢者のHさんと後期高齢者のOさんもお越しになられました。他にもいつものメンバーがお越しになられ、とくに高齢の方にとっては命の心配もある中で、Oさんなどは昨日今日と二日続けてお越しになられ、私も当然開催を私の判断で中止にすることはありませんが、「命を懸けて来て下さっているなぁ」と、体重30㎏前半のOさんにとっては、この日一日の稽古を、しかも殺陣はやりませんので、後半の一時間だけのために電車を乗り継いで来て下さっていると思うと、感じるものはあります。

 前日はそのOさんより先輩のSさんもいつものようにお越しになられ、なんというか、親御さんや子供たちもいつものように参加されておりますので、世間での外出自粛報道と、私の目の前の風景とのギャップにかなりの温度差を感じます。

 講習中は換気を良くするため、高いところにある窓を開けたまま行いましたので、風が武道場内の国旗を揺らすほど入ってきておりました。殺陣クラスでは「囲まれ稽古」をおこない、フリーにおこなっていただく中で、それぞれの間、緊張感、見せ方、そうした雰囲気の纏い方を身につけて普段の立廻りに芝居勘として取り入れていただく内容です。

 子役のお子さんや大人でも役者の方が(ある程度仕事を重ねた経験のある)上手なのは、それまでにそうした訓練をしてきたこともありますが、それだけでなく、「駄目なら仕事が取れないから。」という厳しさが根底にあります。頑張るのは当たり前の世界で、その皆が当然のように頑張っている中でどうやって己の個性を引き出して行くか、その状況で人と同じにならず、かつ意図するものを汲み取っておこなうにはどうするのかを、多くの失敗の中から、盗み、活かし、経験値を積み、場に適する術を身につけられているのだと思います。

 殺陣と剣術の違いについてこれまでに何度も訊かれてきましたが、特に大きな違いは、芝居が関わっており、その芝居とは、嘘を嘘と思わせないように嘘の上塗りを逆算的に積み重ねていることにあります。それが成立ということです。

 大袈裟に言えば、芯は全く何もしなくても、絡みがそれに応じたリアクションを取れば、芯は超能力的な何かを使っているようにも見せることができるのです。そのため絡み役の人達は、嘘の上塗りを成立させるために日々稽古に励んでいるのです。

 剣術では、ひさしぶりに講習で「連続切り返し」をおこないました。これは動画でも配信しておりますが、この動きの意図するものが解る人は少ないでしょう。BABジャパンのYさんに最初映像をお見せしましたときに、当時は六回までだったと思いますが、「マニアックですね、私は好きですよこういうのは!」と仰っていただいた記憶があります。その後、DVD「古武術は速い」の中身に基礎稽古法として、身体を練るための稽古としてやり方を解説しております。最初は三回の切り返しを、切っ先が正中線を三回渡り、その際に身体の幅よりも外に切っ先が出てしまわないように高速でおこなうことがなかなか上手く行かないでしょう。そこに、剣術稽古での基盤となる、身体の使い方や、体を作っていく、ということが関わっていきます。

 連続切り返しの後は、幾つかの技や、最近発見した鍔競り合いからの刀奪りをおこないました。とにかく全てに通じることは、逆境から学ぶということでありますので、武術稽古も然り、社会の出来事でも然り、逆境から自分が何を自得できるのかが、生きていく中で前に進んだといえることになって行くのだと思います。いつまでも、前に進まず、逃げて誤魔化してばかりでは、余計なものばかりを身につけてしまいます。その余計なものから解放される新たな我が身の在り方に身を置き、そこに預けることが出来た人は、ようやく習慣を変えることができますので、かつての習慣に足を引っ張られないように、新しいものを取り入れ、入れ替えていかなくてはなりません。そしてようやく、環境を整えたことで見えてくる世界、生まれてくる言葉が誕生するのでしょう。それが掘り下げてから成る行為なのです。

 話が逸れておりますが、生きていくことと自らが時間を費やしている活動或いは仕事、そうしたものが通じておりませんと、生きながらにして死んでいる時間を消化しなければなりませんので、それは私も二十代前半の頃に長く過ごしただけに、よく分っております。もちろんそうした逆境があったからこそ、今の私が存在している訳であり、逆境は逃げなければ必ずその後に活路を見出してくれます。「逆境無き活路は無い。」「活路は逆境から学べ。」まるで本のタイトルのようですが、それが生きて行く術に関わっているのだと思いますが、武術稽古そのものが逆境を想定した身体を通じての学びでありますので「生きて行く」という事に対して自然と考えるようになっているのだと思います。

 昔は、いつ死ぬかが分らない時代でもあり、死が身近にあった時代であります。何十年後どころか、数年後も分らない命に対して、武士であるなら死に場所を考えて生きていたのです。長生きして老後は年金で長寿を全うするなんて、「それで、どう生きたのか?」と、恥ずかしくてそんな事は言えないだろう。かつての武士は命よりも名誉を重んじていたため、それが生き方として当然の習慣となっており、切腹という「死」への意識が、次第に死に対する重さをも軽減していいたのではないだろうか。当然、いつの時代も色々な人がいた訳であるが、それでも時代が作り出した習慣というものが人々に与える影響は計り知れないものであり、何が良いのか悪いのかは、時代によりまったく反転するものでもあり、陰と陽がある限り、必ず恩恵の裏に報いが待っている。

 だから、いつの時代においても恩恵に甘んじながらも、その報いが生じたときに、逆境をどう乗り越えていくかの備えを心得ておかなければならない。それはテレビやインターネットという、広告がらみの商売を通過した情報からではなく、日頃の工夫、知恵、そういったものを働かせる己の身体と心に委ねられるのだと思う。それは師からでもあり、信頼出来る知人からでもいい。だからこそ、恩恵を受けている間に、自らの習慣をどのように預けているかが問われてくる。

 生きていくというのは、そのようなことなのかもしれないし、現代の経済利益と効率優先社会の向う先に、歯止めと言うものが仕組み的に当て嵌まらないのであれば、これは自然に破綻してしまうか、感情の乏しいロボットに近い人間達とそこそこ人間に近付いたAI達が、共になって何のためにか分らない利益と効率化を押し進めていくのであろう。だから私は、そうではない習慣に身を預け今を生きていたい。その日々が妨げられないことを切に願っている。


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2020年3月22日(日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

2020年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-03-16(Mon)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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