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二杖之位

 このところ連日私の中で展開が進んで来ている。これは、自分でどうにかしなきゃ、というものでなく、勝手にそうなっているような、今これを書いている心持ちからすれば、他人事の出来事を記しているような感がある。

 そうした日々より少し前の11月中旬辺りは、武術の厳しさ、というものを深層部で感じるものがあり、それは生存に対する厳しさというよりは、「稽古の今すべてがどうであるか」という事に感じさせられるものがあり、しばらくは自分を責めたくなるような思いに苛まれていた。

 だが、その思いを断ち切り、前に進ませてくれたのも稽古からの教えである。そしてそのような教えというのは誰かに伝えてもらうものではなく、自らの身体と感覚で断定的に気づくことである。しかしながら、そこには無意識レベルでの教えが既に心身に与えられてているので、結果として直接観て触れて学んだものを、無意識のうちに自らが意識下に引き出したということなのだろう。

 そんな11月中旬の心境は、いずれ何らかの状況が訪れる前触れだったのかもしれない。今だからそのように感じることができる。

 稽古記事に入る。

 本日は戸越体育館で渡部氏と稽古。
 稽古の大半は杖術をおこなった。「攻防一体」「燕打ち」「大燕打ち」を一通りおこない、あらためて点検。技というのは突然生まれるものである。出来たものが技であり、そこに練習してなんとか出来るようになったというものは無い。技という原理や理合いに身体が合っていなければ稽古を重ねても出来ないものである。逆を言えば、原理や理合いというものを身体が感じられれば、突然出来るようになるということでもある。勿論そのレベルに応じての話であるが、それでもその世界というのは安易には拓けないものであると思われる。そこに身体の面白さがあり、稽古における「一寸先は気づき」が待っている。

 今日の記事のタイトルにある「二杖之位」(にじょうのくらい)。これは新たな杖術の操法における構えの名称である。二杖とは、杖を二本使っているかのような状態であり、そうした状態で人が立つことを意味したものである。

 その構えから新たに「二杖転換」という組杖における攻防の型が生まれた。これは「攻防一体」の原理を互いに用いたものであり、その特性から間髪入れず転換した動きが生まれ、そこに両手を寄せ支点を転換に用いた二杖之位から放たれる技は、私にとって大変新鮮なものであり、今後の展開がどうなるのか非常に興味深い状況となっている。

 「表裏一体実と成す。」という自分の中から湧き出た言葉が、私の中で大きく堰を切ったように杖術を変える事になった。勿論今までの操法も今後研究して行くと思われるが、この「表裏一体実と成す。」という、眼の使い方からこの言葉が誕生したが、こうした思想であったり、信仰や、真理を求めることが技や身体の使い方の原理に関わってくることを、今回初めてといえるほどの驚きとともに身を持って痛感している。

 最後におこなった抜刀術にもそれは関係してきた。
 「稲妻抜き」の研究で、まだ講習会でお伝えしていない新たな脚足の使い方(見た目には区別が付かないと思われるが)の理解が進んだのであった。それは、表を意識して身体の使い方を工夫しても、どこかに無理が生じ、それが違和感や居着きに感じられてしまうことにある。しかしながら以前までは、それが一番心地良く抜けるものとして身体が選んだものであり、身体が馴染んできてようやく違和感を覚えるのである。

 そこで、11月後半辺りに一人稽古で脚足の使い方をあらためたところ、居着く感じが無くなり初動の違和感が解消されたのであった。しかし、この左右の脚足の操作手順の難しさになかなか身体が馴染めず、どうしたものかと、一人稽古の度に感じていたのであったが、今日の戸越体育館での稽古で、それは、表表で考えているから結果として実にはならないのだということが解り、裏の動きがどこにあるのかは、身体が感じているものなので、目に付き難いこの裏の脚部の操作には一瞬一手間掛かるのであるが、その裏の動きを省略してしまっては、全体としての実にはならないことが「表裏の見眼」の原則から悟ることができ、身体はこちらの採用を選んでいるのだが、手間が掛かっているような気がしていた不安は、「表裏一体実と成す。」という言葉で納得できるものとなった。当然であるが、表に見える手間は無駄な手間であり、表裏一体にはならないが、裏である裏方の影なる働きは省略していいものではなく、その辺りの見極めが「表裏の見眼」には重要となってくる。

 稽古の成果というのは、自身の身体でも感じることが出来るが、より成果を感じることができるのは、そのことを目の前でおこなっている人の動きによってである。今回の「稲妻抜き」の稽古では、渡部氏の動きと音がこれまでにないものとなっており、私も共に研究しながらおこなっていたが、音により進展具合が解る。それは、瞬間的に断定的にそう感じるものなのである。そうした事も関係してか隣の道場で稽古をされている団体の方が珍しいことにこちらの稽古を覗きに来られていた。もう四年ほどこの時間帯で稽古しているが、隣もいつも同じ中国武術の団体で慣れている筈であるが、見えない稽古風景をこうして覗かれたのは初めてであった。

 何か自分の中で、技量はさておき、今までと違う展開になってきたことは感じているので、そうした時期と流れに身を任せてこれからも稽古に向き合っていきたいと思う。さまざまなことに感謝いたします。


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2019年12月07日(土)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会

2019年12月 武術稽古日程

2020年1月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2019-12-05(Thu)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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