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身体と心が失われている世の中

 昨夜金曜日は、夜から松聲館へ伺い甲野善紀先生と稽古をいたしました。先生から「最近はどうですか?」と訊かれることに毎回ドキリとしておりますが、それはすなわち稽古が進んでいるかということでもあり、その報告を拙い言葉でお伝えさせていただいております。

 先日の関西特別講習会から帰った翌日の稽古で、「呼雀」に対する「雀返し」の微妙な運ばれ方になんとか工夫するものは無いかと、「蠢動」にて試して見た所、全く駄目であり、続いて浮きと蠢動を合わせたものをおこなったがこれは予想通り駄目。

 では、浮きの直後に蠢動をかけてみてはと思い立ち、これがピタリとはまり、蠢動の特性についてあらためて発見があった。

 もう少し日を溯ると、関西に行く前に身体の安心感を求めた状態は身体の働きにとって弊害があるということに気が付き、無意識で安心していた実感を、そうさせないように、「状態に安心感を与えなくても、もういいですよ。」と解放してあげるように、身体各部を点検することで、以前に比べ蠢動の利きが向上したのであった。

 そうしたことから、蠢動の使い所というのが、身体の抜けた状態において極めて有効であるなら、崩されたり動かされたときにも有効であることが、今回の「雀返し」で検証出来たのである。

 抜け目無く整えた状態で利きが落ちるのであれば、瞬間的に「まずい」と感じたときに使える蠢動は発見したときと同等の興奮に近いものがあり、今後さまざまに状態を保ってくれるものとなるのではないかと期待している。もちろん、この蠢動をいつまでも頼りにしていてはならないので、これを越える状態の整え方を見つけたいと思うが、今はまだこの蠢動を使いこなせるようにしたい。

 
 そうした、これまで頼りにしてきたもの、有効であったものというのは、ある時に弊害となる場合があり、大事にし過ぎてしまったことで先の進展に辿り着けない場合があります。信じていたものをやめるということは、意外にも執着があるものですから、不安を避けたがるのが人の性でもありますので、失敗しながら不安の中で、微かな瞬間を逃さず観察し続ける集中が大切になります。

 意識と無意識を掴んでいくように、身体からの声に意識が譲ってあげられるか。日本語として意味が解り難いものと思いますが、身体的実感からは、詳細に間違いの無いように多くの言葉を使ってお伝えするより、感覚的な表現の方が身体を動かす際にはピタリと嵌ることがあります。ですから、文章というのはある意味実践者の感じた思考、行動、問題、解決法、そうしたさまざまな脳内伝達回路の整理が、身体を通じて嵌る言葉や文章になって行くのだと思います。それは意識と無意識のバランスにも繋がっており、理路整然すぎる説明は意識の割合が多く、無意識に感じる何かを引き出すのは、ある種抽象化されたものや例えの方が伝わりやすいことがあります。

 そこに、身体を使う実践者の言語という名の呪文のような音による気付きが、さまざまなものを状況に合わせて整えていくようになって行くのではないでしょうか。身体と心は益々興味深く、そして身に備えなくてはならないものだと感じます。

 昨今の事件ニュースは、一昔前までは信じられないようなものばかりです。事件の当事者も、その少し前までは多くの人達と同じだったはず。明日も明後日も、凶悪な人を除けば、そうではなかった人が、そのようになってしまうでしょう。こうなった時代はなぜなのか?他人事の批判で溢れる負の連鎖も、根本的な日常の情報過多な商売の犠牲に多くの人々がなってしまっているということ、昔の大人たる姿はなぜ崩壊してしまったのか?その原因は今の世の中をどう考え、何を希望に人が生きて行かなくてはならないのか、そこが完全にモラルの崩壊とともに、希望の見えない今を目先のストレス発散のために人は生かされているように感じるのです。ストレスが溜まる仕組みが構築され、そのストレスを解消させる機能を生み出す。そうしたマッチポンプな世の中の仕組みは不健康であり、まともな人も変わってしまうのではないでしょうか。

 身体と心を見つめること。武術稽古にはこうした異変にも気がつける学びが備わっているものと思われます。

 話がかなり逸れてしまいましたが、日常は生き方でもありますので、どういう日常を過ごしていけるかを、確証の無い将来でなく、今の今をどう過ごすかに目が向けられれば、ストレスを利用したマッチポンプ的な世の流れから離脱し、もっと息が楽になる生き方が出来るような気がいたします。


 甲野先生との稽古を終え終電で帰宅。稽古の余韻が強かったのか、その後二回見た夢でも稽古の続きがありました。夢というのも中には不思議なものがあります。不思議なものは不思議なままにしておいたほうがいい。そんな夢でした。

 
 そして本日土曜日は、戸越体育館にてGold Castleの講習をおこないました。

 先週は土曜日にしては珍しく体験参加の方がお一人お越しいただきましたが、今回はお二人お越し下さいました。

 今日は杖術ということで、始めに一人稽古のポイントと、家に帰ったら稽古をやるやらないに関わらず、まずは袋から得物を出して部屋の一番目に付くところに置くことをお伝えいたしました。

 一人自宅で稽古をおこなうには、狭い空間でどうしていいか分からず、言い訳を作って自分を許してしまいがちです。一人稽古をやりなさいという強制は一切しておりませんが、やった方が良いという事は確実ですので、やりたいけど中々暇が無いという方は、得物を出して目に付くところに置くことを習慣化してみてください。まずは五分でも触ってみる、そうすれば身体の方から興味を持って考え始めますので、気が付けば三十分、一時間と時間が経過してしまうものです。本当に五分だけでも良いのです。

 意識は稽古をしたくなくても、無意識では興味を持って待ち望んでいるかもしれません。ちょっと触れる機会が大事ですので、生徒の皆さんには実践していただきたいと思います。


 さて、明日は品川区総合体育館剣道場で12時から講習です。11月となり復帰される生徒達もいて、久しぶりにお会いできることを楽しみにお待ちしております。体験参加の方々もいらっしゃいますので賑わう講習となるでしょう。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


2019年11月09日(土) 『剣術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会

2019年11月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-11-03(Sun)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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