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誘いにのらない心身の稽古

 火曜日から水曜日になったばかりの深夜であるが、危惧しているのは台風19号による土曜日と日曜日の講習である。まだ日にちがあるため状況に変化が起こる可能性も無きにしも非ずであるが、今回は時間帯が両日とも被っているので冷静に判断し、後日ホームページなどでお知らせいたします。


 さて、月曜日は高田馬場で夜からM氏と稽古。二時間杖術のみをおこなったがパーソナルトレーナーで体格の良いM氏と「呼雀」や「雀返し」をおこなったときに、私にグッと寄せられて「気持ち良いですね!」と初めての感触に喜ばれておりました。
 上手くエネルギーが伝われば、無理に引かれて行く感じでなく、ピョンと自動的に雀が足を同時に跳ねていくような感じで寄せられてしまうので、その労力の無さと勢いに心地良さを覚えるのかもしれない。これまでにもこの稽古が盛り上がるのは、不快さが無く「引かれてなるものか」と思う反面、身体がアッサリ持っていかれてしまうので、初学の方には特に興味を持ってもらえる内容である。

 その流れから「捧げ首潰し」をおこなったが、M氏の反応を見て「ああ、この人は本当に優しい人なんだなあ」と感じたので、2、3回やって次の内容へと切り替えた。

 膝を抜いての重心移動、重心位置の把握、意識的な操作と任せた操作による把握部位の移行、そのような身体の内側の感覚を重点的におこなった。

 身体のことについて非常に興味を持たれている方であり、筋トレをお仕事にされている方がこうして武術における身体の使い方を学びに来られるのは珍しいことでもあり、私にとっても得られるものがあるので大変ありがたい。あらためて人とのご縁に感謝しております。

 
 そして火曜日は、「クラーチ剣術教室」での講習。

 着替えに使わせて頂いている場所は浴室の更衣室であり、今日はひさしぶりにTさんとお会いし、もうお一人の方と風呂上りにお話されておりました。傍で稽古着に着替えながら、初めてお会いする方の江戸言葉(江戸弁)がなんとも小気味よく、ちょっと憧れてしまう感じがありました。
 私は北九州に生まれ豚骨ラーメンを食べて来ましたが、今ではすっかり蕎麦の方に趣向が変わりました。尤も本当に美味しいラーメン(鎌倉のTさんが教えてくださった)屋さんは別格として、蕎麦屋が落ち着いて安心いたします。気持ちの面でも随分違うものですね。

 講習では、杖を使っての持ち替えを一歩と三歩ランダムにおこなっていただきました、足運びは細かく杖はゆっくりと操作する必要もあり、前進後退、好きなように動いていただくものです。こうした稽古は身体を使うことの心地良さを実感出来ますと、より動きが滑らかにさまざまなパターンが組み合わさるものと思われます。手先の操作、足運びとの調和、自在に動くアイデア、シンプルな稽古ですが深くおこないますと身体にとって総合的に効果的なものであります。

 今日は「三十連円打」はおこないませんでしたが、代わりに「杖を掴まれた際の対応」をおこないました。「捧げ首潰し」はさすがに出来ませんので、一番から四番までの手順をお伝えしながらそれぞれ二人一組となってそれぞれが教え合うようにおこなていただきました。やはり相手と力と力のテンションが繋がる稽古というのはなにか心の働きに作用するものがあるように感じます。

 接触し繋がっているからこそ解ることが互いの中で湧き起こりますので、新鮮なその都度の会話が予定に無く交わされます。稽古の面白さの一つには、予定調和に無いその瞬間の察知が互いに感じられる事にあるのだと思うのです。そこにあるのは在りのままですので、求めに応じられるか否かの面白みがあるのでしょう。

 最後の剣術では、ここ三週ほど続いている抜刀の「巴抜き」をおこないました。今日は相手に木刀で構えてもらい、そこで剣先の軌道を身につけて頂く様におこないました。しかし、これが意外に難しく、どうしても剣を差し出した相手に誘われてしまい、力を入れて抜いてしまったり大振りになって、無意識のうちに強く当てなければという身体の働きが優先してしまうのです。

 これは「鹿威し」にも当て嵌まることですが、一人でおこなっている形が、相手が目の前に付いたり、周囲の状況が普段と違っても「同じように出来るか」ということが大事になってきます。

 それはもう身体の働きというよりは、心の働きに関わってくるものですので、その関連している二つの働きを実感する稽古として、その人に応じた身体と心の分離をどう一纏めに収める事ができるかは、武術稽古における重要な課題と言えるのではないでしょうか。

 今日は心の制御をいかに身体で確認出来るかをお伝えいたしましたが、勿論私自身も生涯の課題として取り組まなければならないものであり、それを高齢者のみなさまにどのようにお伝えしていくか(しかも楽しく)という事が、これからの講師としての課題でもあります。

 失敗も材料ですので、その瞬間を諦めずに飲み込むことで、現場検証的に状態から違いを分析することが気づきへの近道になるかもしれません。ということも最後にOさんへお伝えいたしましたが、もはや、運動のためだけでなく、この教室ならではの身体への興味から心の働きに私自身の関心もあり皆様へ波及していっているような気がしております。

 あらためて、五年間毎週火曜日に一時間半、七十代から八十代の皆様と稽古が出来ていることに大きな感謝もありますし、その経験は私の中でとても大事なものとなり次への導きに通じてきます。これからも、無理の無いように調整していただきながら、それぞれのペースで喜びを得られるような講習に務めて参りたいと思います。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


2019年10月14日(月/体育の日)『杖整体操』

2019年10月19日(土)『抜刀術 特別講習会』

2019年10月21日(月)&22日(火)『関西特別講習会』

金山剣術稽古会ホームページ

2019年10月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-10-09(Wed)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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