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身体の求めを信用して

 睡眠時間を優先したため金山剣術稽古会の記事をしばらく書いていなかったが、まずは9/11(水)昼からおこなった戸越体育館での稽古から記したい。

 この日は例によって渡部氏との稽古。平日の昼間や午後から稽古が出来る方というのは、普通に務められている方や学生の方では無理である。渡部氏も時間を作って稽古を優先して来て下さっている。お陰で私としても型稽古が進んだり、体術などでも受けていただいたり、また私が受けることで掴める事も多い。こうしたご縁は私が武術を続けていく中でこれまでにも何人かお世話になったり、これからもお世話になる方も現れると思うが、未熟な私といえども、渡部氏のお陰で進展のペースが保たれていることは大変感謝している。

 この日は二時間強体術、一時間弱杖整体操をおこなった。

 体術稽古では、ほぼ全て座りでの崩し方を研究。合気上げのような掴まれ方から横に崩す動きをさまざまに検証。背中を使ってみたり、前後の動きでおこなってみたり、交差する形でおこなってみたり、そうした中から円に相手の腕を使って肩を押し込んでいくような動きが有効であった。その際の反対側の手も、引き込むのであるが、その順序を確かめながら、同時におこなうことで崩しからの展開に繋がりやすいことが解った。

 この日は他にも、こちらに向かってきた腕を押さえての崩しにおける、腕の取り方に自然に引き出される軌道が合った。これは杖術における手之内の感覚や手首の軌道などの情報から身体が無意識にそれを選定したようなきがしている。脳で言うならば、大脳皮質でおこなっていた処理を、小脳でおこなうことが出来るようになったということなのかもしれない。つまり、考えて動く際の手順などが、感覚に通じるものではなく少ない実感の検証でしかなかったものが、ある時期から考える前に、感覚の実感が手続き手順の修正を後から気付かせてくれるようになったということだと思う。もちろん、そのレベルはまだまだ低いものであるが、高望みをせず、自らの中で実感進展を得られる内容で工夫することが一つの流れを形成し、その中で必然的に何かが生まれてくるのだろう。

 その腕を触れ取るような形で、同様に脚部も連動し浮き身に近い操作感覚で重心も移動しながら相手の肩を押さえ、その流れから袈裟固めに入るということが自然と流れの中で出来た。それが袈裟固めだと知ったのは、その後渡部氏のスマートフォンで調べて解ったことであるが、正座の中で重心移動中に足を差し換えるようにおこなうので、これも身体が自然に動いた動きのため興味深いものであった。

 渡部氏は私のところで五年目に入るが、これまでに武道を一切学んだ経験が無いため、わざと受けを取るどころか、常に全力で抵抗してくれる。これは私が甲野先生の受けをおこなうときと同じように、どうすれば止められるかを自分なりに考える楽しみが芽生えているからだと思う。自らの身体と心の状態を観察しつつ、自由に工夫し合える稽古の在り方は、まさに研究稽古であり、身体と心の関連性を踏まえるならば、こうした稽古というのは単なる武術稽古には留まらないだろう。

 この日は珍しく受け身を少しだけおこなった。私自身受け身のための稽古というのは、多少おこなったことはあるが、膝を抜いた際の重心移動の動きをギリギリまで確認するために転倒することは床の上でもたまにおこなっていた。それが、結果として衝撃を逃がす倒れ方となり、殺陣などでおこなう倒れ方に大いに役立つこととなった。そうした手を着かない倒れ方は、Gold Castleの講習で幾度と無く指導するようになり、倒れる際の自重の逃がし方を身体が先回りするように教えてくれている感覚があり、それに無意識に従うことでいつの間にか出来るようになったものと思う。まだまだ、受け身は難しいものがさまざまにあるので、機会があればそうした今までおこなったことのない受け身にも身体が望めば取り組んでみたいと思う。

 最後は杖整体操で身体を解した。一時間弱ジックリとおこない、とくに背中や肩廻りを杖乗に解した。講習会では、私もおこなっているが、基本的には参加される方を導いて行かなければならないため、私自身への効果は薄いものである。この日のような状況では、私も渡部氏もそれぞれが好きなように自由におこなっているので、最も効果的にその日その時の状態で身体を解すことが出来る。この日は、久し振りに開脚で頭が畳に着いた状態で維持できた。開脚自体は大して時間を使っていないが、仰向けに寝た背中の乗杖解しが背中を伸ばしてくれたのだろう。これは、心身の状態が利きに作用していることが解ったので、やはり自分で自分の好きなようにやるのが一番利くだろう。しかし講習会でおこなう利点もある。それは、自宅でおこなうよりも畳の道場で人が集まっておこなう事で心身の集中度が増し、呼吸の深さや働きが、自宅でながら的におこなうものと比べ遥かに利いて来るのである。そして、杖整体操特有の、持ち上げ操作や、寝返し、といった一人で出来ないものもあり、あの心地良い不思議さは心身の受け取り方によって差はあるが格別のものを味わった方にとっては納得であろう。

 稽古後は身体がかなり弛んだのを歩きながらも実感。あの心地良さは身体が望むものとしてのサインであるならば、それに応えてあげなくてはならない。なぜなら、普段は身体を纏めるための働きを課しているのだから。寝るだけではバランスが追いつかない、そうした日々の稽古であり、年齢を重ねて行く上で必要に感じるものでもある。日にちが過ぎての記述であるが、三時間があっという間に過ぎた中身のある稽古であった。


 そして9/14(土)はGold Castleの講習後に、同会場にて金山剣術稽古会の土曜日稽古会をおこなった。この日も渡部氏だけであったが、骨盤角度と脹脛への影響について実感出来る部分があった。おそらく普段の私の稽古における姿勢は、骨盤が後傾した状態での調和感覚を求めたものが多く、そのためそれに応じた身体の整い方になってきているのではないかと思うのである。したがって、前重心に骨盤を立てた状態で走った場合の脹脛への影響は、自重に対する衝撃が、後傾で作られた衝撃に対する備えと比べて脆い部分があるように思える。浮きにしてもドンと掛けたものの衝撃は相当であろう。それによって骨が強くなったり膝関節が馴染み、痛み難い状態を保存しているのかもしれないが、その衝撃が何も影響しない訳は無いはずである。この日の稽古では、私自身数年前から実感していた脹脛と動きの相性について、骨盤角度が関係しているのではないかという事が、その部位に感じる張りの違いから一つ思い込んでいたものを改めるキッカケとなった。

 木刀を使っての峰返し潰しでは、この日おこなった講習会でも説明した、前腕と右手首の角度を真っ直ぐに保ったいわゆる横に斬る手の形で試みた。すると、何度か試したが何れも手応え無く渡部氏が崩れるのであった。そこで欲が出てしまい、今度はそれに背中を介入させてみようと試みたところ、通り悪く重たい感触となってしまった。この稽古は繊細な感覚でもあり、その後元の状態に戻しても、何かが記憶して邪魔しているのか、先のような通りの良さが蘇り難い事がある。この日は幸いにも何度か試して元に戻ったが、この峰返し潰しは、上手く出来ても、その数日後安定的に出来る保障の無い難しさがある。だから私としても飽きることなくたまに検証して確認するのである。

 剣術では、「斬割り」改め「斬突き」(きりづき)をおこない、「払いからの斬突き」そして「斬突き返し」をおこなった。斬突きに関しては、遠間にて、間合いを詰めながら斬り込み、相手の正面斬りを弾き、切っ先を喉元に突き付けるものであり、その間合いを一気に詰めながらおこなう形から、名称を改めることとした。

 その中でおこなった「斬突き返し」であるが、私の中で「なんだか技と言うほどのものでもないので、うーんこれは…」と渡部氏にこぼした所、打太刀側からすればそんな事はないと言う。そこで、打太刀、仕太刀を入れ替わり、渡部氏の動きを観察してみたところ、やはり簡単には出来ない部分があるという。それは脚足の移動と剣を振り上げた際の誘いの瞬間にあるのであるが、そこで待てるか否かが技として成立しているかどうかの判定基準になる。

 つまりは、質の部分が技に関わっているのであるが、質が変わっていれば別段技とも思えない、申し訳なく感じてしまう安易な動きと思えてしまうが、質を変えずに同じようにおこなうと、誘いにもならず打太刀をしていて不思議な感じには映らないのだろう。あらためて、剣術や杖術における稽古は、器用な動きでなく質を変えていける稽古でなければならないとこうして記事を書いている今、自らに言い聞かせている。

 抜刀術では、先日一人稽古で得るものがあった「隅返し」をお伝えした。試しに動画を撮ってもらい確認したところ、やはり離れから斬りに移る際の手元の位置が以前とは明らかに異なり、どのコマを観ても形に違和感が無くなってきた。しかし、二尺七寸では身体に対する衝撃が思いのほか強く、久し振りに翌日身体の節々に痛みが生じた。

 そして昨日9/16は、高田馬場で渡部氏と竹田氏と稽古。祝日ということもあり、月曜日としてはこれまでにないほど人で溢れた。この会場は、貸し切りで無く、個人開放の時間帯は誰でも利用できるものであり、そのためさまざまな武道武術団体が同一空間内にて稽古をおこなっている。この光景はなかなか面白いものであるが、昨日は剣道が場所の三分の二を占め、その大声に私も大きな声を出さなくてはならず、大声は威圧的になりやすいので、萎縮と受け身になり易く、あまりいい環境ではなかったが、こういう状況下では、周囲に惑わされない集中状態を自らの身体に向けた集中が上回ることが出来るかを試せる場でもある。

 杖術、剣術、それぞれにそれぞれの内容でお伝えしながら、場所の範囲が限られている中で久し振りに多くの種類をおこなった。

 最後に抜刀術をおこない、静と動の間、そこに自らが感じるものを技と同様に稽古して行かなくてはならない。それはなぜだか解らないが、身体が自然とそこへ感じさせてくれるものがあり、それは技そのものに今その瞬間関わって来るものではないのかも知れないが、精神として練っていくべきものはその働きの間にある。誰かが言っていたとか、そういうものであるとかではなく、自然とそこに気が付いていったということが大事であり、それは鏡を見て確認すべきものでもなく、自らがどうであるかを確認しているということでもある。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年09月28日(土) 『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2019年10月14日(月/体育の日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

2019年10月19日(土)『抜刀術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2019年10月21日(月)&22日(火)『関西特別講習会』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ(お問い合わせ受付中)

2019年09月 武術稽古日程

2019年10月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-09-17(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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