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精神性と体系

 三連休最終日となる本日は品川区総合体育館柔道場にて『抜刀術 特別講習会』を開催いたしました。

 この三日間は講習続きでしたが、一日~三日間時間を調整して来てくださった方々もいらっしゃった事と思われます。杖術や剣術に比べて抜刀術は疲れやすいものです。

 それは常に静止状態の中で自分の身体の各部分と折り合いを付けることが求められているからであり、自分の身体と常に対峙しているからであります。

 つまりそれは、鞘に納められた刀を通じて自己と向き合う時間と言えます。

 納刀も然り、鯉口に切っ先が飛び込むための集中は意識の大半が自然とそこに奪われるものですが、どっこいその飛び込んだ瞬間の身体の状態をつぶさに観察し、その状態感覚に至るまでの身体各部分に集中を分散させるのです。そしてそれが通常の納刀とは異なる身体各部の調和感覚を一瞬の間に整わせることにより自己と向き合う稽古につながります。

 今日は講習前に早めに到着したということもあり、少し肩甲骨を動かす体操をおこなったせいか、講習が始まり二尺七寸の居合刀を鞘から抜いた際にあまりの軽さに「刀を間違えたか…?」と、そんな筈があるわけも無いのに、どうしてなのかしばし無言でその答えを探そうと留まったのですが、ハッキリとした答えは見つからず講習を進めました。

 おそらくではありますが、肩甲骨を動かした際になんらかの位置に馴染んだことで、今日初めて手にした得物がいつもの感覚とまるで異なり、扱いやすい感覚にもなっていたことは事実です。こうした肩甲骨を動かす運動はいろいろとありますが、開閉、立甲、そうした運動の中で得られる感覚は筋トレとは異なる繊細さを失わない運動といえるでしょう。どういう運動で筋肉と同時に筋の働きや感覚を身に宿すかが重要であり、全く異なる運動でおこなった場合は、その動きの感覚を身体は覚えていますので、それとは全く異なる働きに適合するかは述べるまでも無いこことです。杖術稽古でも、右足前右手上の構えから動きを身に付けたのち、逆側の動きとして左足前左手上に転換いたしますと覚えた右側での感覚が左の動きを邪魔してしまうことがあります。

 手順一つでそうですから、筋肉を付けてしまうまでの一連の工程は、その筋肉を付けるための動き方動かせ方の稽古であるなら上達するでしょうが、抜刀術のような動きでは、筋トレをやったことで感覚が鋭くなった、総じて動きが速くなったということにはなりません。ですから筋肉をつけるのは良いことですが、どういう目的のために付けるかという事が怪我の防止、技術や精度の向上に大きく関係しているものと思われます。決して筋トレを否定している訳ではありませんので、武術とは別に筋力の少ない方は安全にトレーニングできるようにパーソナルトレーナーを付けてのトレーニングも良いでしょう。これからの時代は高齢化が益々加速して参りますので、さまざまな身体に関するビジネスが目や耳に入ってくるでしょう。そうした中で、何を信じ、何をおこなっていくのかは、それぞれの人たちにとっての見極めが肝心になります。然し、世の中で何かを探し当てるということは至難であります。

 「精神は体系を装う」これがあらゆる組織の取り組み方や実践に表れております。

 私はほぼ毎回記事の中でこの「精神」という言葉を使うようになりましたが、すべての根本はそこにありますので、世の中を見極め生き抜いて行くには、自らの精神性と他者の精神性を考えて行かなければなりません。

 言葉や文章のほとんどは体裁を保つためのものです。このブログもそうですが、SNSなど言葉や映像写真に溢れております。人は表面から見た情報に時間を掛ける事無く次から次へと求めていきます。そうした世の流れから何を感じ、すべての事柄にはお金を生み出しているシステムがあり、本当のことを見極めて行くには「精神性と体系」が整った環境に身を置かなければ難しいでしょう。

 お金や名誉を第一に考える精神性では自ずと体系はそこに形成されております。言葉や文章は体裁を整えるためのものであり、実際のところは精神性を見極めなければ掴みづらいものです。

 ですから人は、なかなか探したいものを見つけられないのでしょう。

 
 話が脱線してしまいましたが、脱線した内容のほうが熱が入ってしまうものです。抜刀術の講習では、一つ一つの技を解説しながらお伝えしておりますが、一人稽古では技だけでなく、構えに入る前から抜刀納刀が終わり元の位置に戻るまでを一つの型としておこないます。その間は意識と無意識の狭間の中で自らの身体と対峙し続けていくことです。

 何かを求めるには、求め方が大事であり、そうした求め方が何かを養っていくのではないでしょうか。学びは「精神性と体系」によって大きく異なるでしょう。生まれ持っての資質、教育を受けての考え方、大人になるに従い犠牲の中で培った考え方、そうしたそれぞれにとっての「精神性と体系」から根強い信仰となり、それがどういった立ち居振る舞いでみずからの生き方に反映しているのかが体系を問うものとして考えて行かなければならない事なのではないでしょうか。

 
 再び脱線してしまいましたが、講習会は最後まで皆様熱心に取り組んでおられました。常連の皆様は流石に動きが良くなっております。初参加のKさんも雰囲気のある方で熱心に取り組まれておりましたので、ご紹介いただいたIさんにはお礼申し上げます。

 講習後はいつものキリンシティへ。

 今回は連休最終日ということもあり、懇親会の参加人数がいつもの半分ほど。ですが色々とお話ができましたのでそれはそれで良かったと思います。講習会が終ったので明日は月曜日という気がしてならないのですが、明日は午前中から「クラーチ剣術教室」がありますので、今夜はこの辺にしておきます。

 本日もご参加いただきありがとうございました。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年8月12日(月/祝日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ(お問い合わせ受付中)

2019年7月 武術稽古日程

2019年8月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-07-16(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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