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「暗闇焦点法」

 昨日月曜日は昼にかけて二時間BABジャパンから発行される『月刊秘伝』の取材を受けました。

 剣術に関して二時間があっという間に過ぎてしまうほど、色々とお話させていただきました。私自身これまで夢中になって遣ってきたものをあらためて振り返る時間でもありました。これまでおこなってきた稽古が今に繋がっているものであり、そう考えますと剣術だけでも色々と遣ったのだと思います。得物と身体の関係性が動きの発掘、感覚の追求に至るものであり、そこから技が生まれてきます。「技に身体が合うのではなく」「身体に技が合う」のであれば、「得物が身体を創り整える」のだと思われます。そうしたことに関連するお話をさせていただきましたので、掲載される日が確定いたしましたらまたお知らせしたいと思います。昨日お世話になりました皆様にはこの場でお礼申し上げます。


 そして本日火曜日は、「クラーチ剣術教室」の講習でした。今日は今週の土曜日にGold Castleでおこなう予定の「暗闇焦点法」をおこないました。

 この「暗闇焦点法」は前回の「杖術 特別講習会」でおこないましたが、相手が差し出した杖の断面に対して突きを入れ、その断面と突き入れた杖の断面の一部が重なるように目を瞑った状態でおこなう稽古です。

 この「焦点」という漢字の由来からいたしましても、この稽古法に合っており、杖の先端部に対し体全体を集約して感じとるように操作いたします。(漢字の由来はここでは省略させていただきます)

 そしてこの稽古法でもっとも重要なことは、慣れ親しんだ「目」からの情報に集中が奪われすぎてしまい身体を忘れてコントロール出来ない或いは、自らの身体の状態に気がつかない人にとっては、「目」に惑わされること無く、誘われること無く、視覚情報への集中を主体としない動き方が「暗闇焦点法」では身体への意識へ導くための稽古法として考案しております。

 これは覚え方の悪癖として、視覚情報や、記憶のイメージが、脳内でそこへ近づけるための目的となってしまい、当然そうした目的は大事なものでありますが、そのときに個人差がありますが、その視覚イメージや鏡を見ながらの視覚情報に合わせる稽古は、安易に形をなぞっただけで、本人の実感としては身になっていない脳と身体との流れが滞ったまま合わせただけのような動きになってしまいます。

 視覚で覚えさせる方法というのは、指導者としては楽なんですね。見た目の姿勢や角度を言うだけですから、技法・感覚・調和、そうしたことの細やかな問題に向き合わずして形をなぞらせてしまっては、一見短時間で出来たように見えたとしても、視覚を使わない一人だけでおこなう場合や、鏡の無い状況ですと上手く出来ずに自分がどうなっているのか分かり難いものだと思われます。

 身体と心というのは人間という自然の中で密接につながっているものですから、外側ばかりを気にしてしまい実は肝心要の内側が変わらないことには外側は変わらないのですね。

 目を瞑りますと頼れるのは自らの身体感覚の記憶になります。そしてその記憶は最終形の記憶となりますので、その最終形に至るまでの過程を身体に委ね、最終形の時点で動かずに点検し、次へと修正していくのです。

 こうした稽古は視覚優先稽古で安易になぞって覚えた場合、稽古に対する思考法としても根強く信仰されておりますので、なかなか心を開くまでには時間が掛かります。

 ですが、これは今日の講習で「本気の指導ですから。」と思わず雑な言葉を述べてしまいましたが、私もちょっと求めたものが強過ぎたかもしれないと自省いたしましたが、しかし、その時の私の中に一瞬、場の雰囲気が沈まないように楽しく私自身の身を守るのと、本当にその時その瞬間にお伝えしたいと思ったものを伝えるか否か…。その後者を選んだのでした。

 この「暗闇焦点法」は今後の私の稽古に深く関わってくるものとなりそうな気がしております。

 武道武術における稽古では、技を通じて心身の修養になるものであると、これは例外無くどの団体組織でも稽古理念として謳われているでしょう。であるなら、表面上のなぞった動きでは運動不足の解消にはなるかもしれませんが、自らの肉体を通じて人間という自然の働きが備わった身体と心の密接な関わりを磨き修練していかなければ動き損です。

 同じ運動をおこなうのであれば、より質の高い動きが求められます。その質とはなにか?と考えますと、例えるなら動きに対する子育てのようなものでしょうか。子育てを経験したことがない私が言うのもなんですが、自分の身体も自分の意思どおりにはいう事を聞いてくれません。

 どうすれば言う事を聞いてくれるのかシッカリと観てあげなければなりません。もちろん身体からの声も聞いてあげる耳を持って無くてはなりません。自分の身体は自分のものだから見るも見ないも出来るか出来ないかじゃないの?というふうに、表面的な結果で終らせてしまいますと、いつまで経っても身体からの反抗期は治まってくれません。しっかり向き合うために、他人の目を意識した視覚情報を一旦遮断し、内なる身体の感覚と、それに連なる心の未熟さを認め、静かにその我が身体の成長に手を差し伸べる修正を施していくことです。これは、技量に関わらず自らと向き合うということが出来る稽古法の一環でありますので人によっては思い掛けない発見があるかも知れないでしょう。

 集中というのは技術でもあり、その技術というのは自らの身体を観るという観察力です。その観察力を掘り下げておこなうには、努めて寡黙に、心で対話し、身体が隠している出来事を解し露にし、意識が支配せずに、身体そのもの心の働きも含め真摯に向き合うように努めます。癖と信仰は根深いものです。簡単には出来ませんのでその出来ない自分の理由に気が付いていくことが第一歩となるでしょう。


 今日の記事は私の稽古の根底にあるものの一部を記したものであり、楽しい雰囲気がもっとも効果的である講習会や教室などにおきましては、そうしたものを強く求めはいたしません。楽しくおこなうということが生きている目的とも一致いたしますので、どんな状況でも楽しめるように工夫し楽しむのです。それが出来ない環境は何かを犠牲にして楽しめる環境に移るしかないでしょうし、その犠牲の元は自身の判断の結果ですので、何を楽しむか欲張りにならずに、自らを知りその範囲の中で生きていくことが望ましいのだと思います。


 今夜は夜からひさしぶりに住吉で稽古の予定です。


  金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年7月15日(月/海の日) 『抜刀術 特別講習会』
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ
(お問い合わせ受付中)

2019年6月 武術稽古日程

2019年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-06-25(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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