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小太刀稽古は伏線を練る稽古ともいえる

 夏至を迎えた本日は、品川区総合体育館剣道場にてGold Castleの講習をおこないました。

 今回の講習内容は「小太刀」でした。これまでにも何度もおこなっておりますが、あらためて小太刀稽古は発見が多く非常に興味深いものである。私自身、今日の講習中に気が付いたものも幾つかありました。

 先ずは、小太刀を支える左手の置き方に変更がありました。次に入り身に小太刀を額前に付ける際の軌道において、相手の刃を受け止める際に右手首の角度に得るものがありました、これは片手で相手の大刀を押し込む際の手首の使い方と同様ですが、この手首の角度というのは大刀であっても抜き打ちに斬る際は同様の使い方になっているものと思われます。縦方向に斬り下ろす正面斬りや袈裟斬りの手首の使い方と、横方向に斬る手首の使い方は身体の構造からいたしましても同じであってはなりません。今回の小太刀の稽古で、私自身今後の大刀を用いた剣術や抜刀術での横方向の手首の使い方が変わることになりそうです。

 そして入り身に入る際の小太刀の軌道ですが、相手への誘い(一足一刀の間合いから踏み出して面を狙いたくなる状況)となりやすいように小太刀を後ろへ引いたように構えます。そして左手は後方へ右手は円を描くようにおこない、その合わせた両腕の働きを活かすために後ろ足を開きます。これは杖術「玉簾」にある感覚と同様の身体観でありますが、そうした動きの始めとなる「転ばぬ先の一歩」が小太刀の入り身にとっては肝要といえるところです。

 左右からの袈裟斬りに対する「下がり受け」では、左右共に受けの高さが大事であり、それは間合いの状態から考えておかなければなりません。ですので、打太刀側といたしましては一足一刀の間合いから相手の首筋へ刀の物打ちが届くように打ち込んで行かなくては間合いからなる技の修練が成り立ちません。

 そして二歩目となる下がり受けでは、小太刀側といたしましては重心を前側に残したまま歩幅を小さく取る事で、次の転ばぬ先の一歩による前方への移動が速やかにかつ深く入ることが出来ます。


 休憩後は、実際に「入り身受け」「下がり受け」から技に続く動きをおこないました。

 まずは「入身返し突き」をおこなっていただきました。入り身に入る際の小太刀の円軌道、両腕の中心に相手の太刀を精確に受け止め、その際に右手首の角度を前腕部と水平に近い状態にいたします。そのため、最初に構えた際に手之内で握り締めすぎていては、刃筋と手首の角度に不備が生じます。第三関節に少しゆとりを持たせ手之内を締めすぎないことです。そういたしますと、前足の転ばぬ先の一歩と、左腕が後方に進みながら同時に右腕が円に前方へ回りこみ、その際に後ろ足が開きながら右手手之内の締め込みにより手首が水平となり、両腕の中心に相手の太刀を受け止め、その軌道により開いた肩甲骨に落ちた胸、そこに頭をうずめるようにしながら背中を使いますと大刀側よりも圧倒的有利な強さで押し込むことができます。

 時間にいたしますと一秒もありませんが、相手が打ち込んでくる気配を察知してからこれだけのことを精確におこなわなければなりません。

 「小太刀稽古は伏線を練る稽古」ともいえます。ですから、その一つ一つが身体に入り、実際に相手との型稽古の中で伏線が利いた実感を得たときは小太刀稽古特有の面白さを味わっていただけるのだと思います。

 
 続いては「波受返し斬り」をおこないました。これは、片手で相手の太刀を押し込める身体の使い方が整っていないとなりません。そのためには、相手の二太刀目を受けた際にその圧をもらい、引いては寄せる波のように受けた小太刀が引いたのち立ち上がっていくように相手を崩しながら押し込み、その動きの流れで背中を整え肩を上げた状態で胸を落とし顔を下げながら左手で相手が外せますので、そのまま相手の柄を持ち、支点として巻き込むようにしながら小太刀で崩しさらに首筋に刃をつけます。この崩しから首元へ刃をつけるまでの歩数は一足です。

 技に身体を合わせるのではなく、身体に技を合わせるのだと先日の記事でも書きましたが、この小太刀の技はまさに身体に教えてもらった動きであります。今まで稽古をしてきた中で、肩を詰めるように上げて良いということはただの一度もありませんでしたが、この小太刀の片手受けに関しましてはこれまでにも稽古で検討を重ねた結果、肩を積めるように上げなければ両手持ちの大刀を押し込んでいくことはとても大変です。この肩を詰めるように上げる際には肩甲骨が広がっていなければ働きが得られませんので、肩甲骨と肩、胸と頭、そういった繋がりのある部分を点検しながら身体を整えていきますと、身体の不思議さ面白さを体感できます。

 この「波受返し斬り」についても、技に至るまでの伏線が重要になりますので、小太刀稽古ではふだんの剣術稽古では気が付き難い部分の発見があります。そして小太刀ならではの両手で受ける際の接点圧力の操作が肝となりますので、身体の姿勢、骨格の位置、そうしたものに目を向ける、否、目を向けるのではなく中身を観る習慣が自然と身に付くようになれば大いなる進展も望めるかもしれません。

 今夜の記事は、私自身にとっても技術的発見が幾つかありましたので、Gold Castleの記事というよりは、私の稽古会の記事に近いものとなってしまいましたが、講習では常連の皆様も集中して取り組んでいらっしゃいました。互いに技に入る瞬間をどのように意識できているかが大事でありますので、上手く出来ても失敗しても自らの状態を把握するということが稽古でもあります。


 明日は、同じく品川区総合体育館剣道場にて15時から17時まで講習をおこないます。明日の殺陣クラスはこれまで集中的に時間を設けておこなっていなかった血振りから納刀まで幾つかのバリエーションをおこないます。刀を鞘に納める技術は剣術クラスでもおこなっておりますが、血振りからの流れで刀を鞘に納める動きでは、足元が気になったり、どのタイミングで合わせればいいのか実際におこなってみるとぎこちなさが動きに表れてしまうものです。完全に把握していれば、肝心要の納刀シーンでの気持ちにも入り込みやすくなるでしょう。指で挟んでクルッと回す納刀は私はおこないませんが、覚えておいて損は無い形を幾つかおこないますので、明日は参加された方にとって短時間でも得るものは大きいかと思います。

 剣術クラスでも体捌きのための納刀法を幾つかおこないますので、明日は納刀技術を飛躍的に向上させることが出来る方もいらっしゃるかと思います。居合刀をお持ちの方は持ってきて下さい。

 本日お越しになられましたみなさまありがとうございました。明日もまたお待ちしております!


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2019年6月 武術稽古日程

2019年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-06-22(Sat)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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