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技に身体を合わせるのではなく、身体に技が合うということ

 22時過ぎに山形県で地震があったのを知ったのは稽古が終って帰宅の最中であった。一瞬ドキッとしたが、今では津波注意報も解除され一先ずは安心した。だが、まだ余震などが続くと思われるので現地の方々は不安な一夜を過ごされると思う。このまま落ち着いていくのを願いたい。


 さて、本日火曜日は午前中に「クラーチ剣術教室」に行ってきました。天気が良いせいか皆さんの表情がいつも以上に元気そうに見え、天候と体調の微妙な関係を感じた瞬間でもありました。

 今日はいつものように「転ばぬ先の一歩」をおこない、これまで後ろから方をタッチして一歩を引き上げていましたが、今日からは「ハイ!」という声のタイミングに合わせて前に出ている方の足を引き上げることにいたしました。これにより後ろの人のタイミングが取り易くなりました。そこで両足同時に引き上げる際の合図をどうするのかという質問に、最初は「りょうあし!」と掛け声をお願いしていましたが、なんだか長くタイミングが取り辛いのでSさん達が「ホイ!」と言っておりましたのでそれを採用。

 歩きながら後ろから「ハイ!」と言われればその時出ていた前足を一度地に着いた後さらに引き上げるというもの。つまりこれは躓いた際の状況を再現するもので、そのときは反対側の足は動かせませんので、前足が反射的に引きあがるかどうかが、転倒防止に大きく関わってきます。「ホイ!」については、両足で床を蹴らずにトンと沈むもので、これについては実際にこちらのみなさんが反射的に使う場面は限りなく無いものと思われますが、身体の使い方としてはさまざまな動きに働いてくるものですので脳トレ的な意味合いも含めましてみなさんにやっていただいております。

 そこで「じゃあ、ここで休憩にはいりまーす!」「はーい!」に思わず反応してしまう方もいらっしゃいましたが、この運動を毎週おこなっておりますと、瞬間的な反射を継続的に身体に体感させておくことで、実際の躓きに対する反応にも変化が見られると思います。まず、重心が乗った足を咄嗟に引き上げるということは、ふだん身体の使い方としてどのようにおこなっているのかを知らなければ若い方でも上手くは引き上げられないものです。どうしても床を蹴りやすくなりますので、躓いた瞬間に床を蹴っては即転倒ですので、まず床を蹴らないでしょう。どうしていいのか慌てているうちに倒れてしまうと思われますので、最低でも歩の踏み出し方は運動法の一貫として練習しておく必要があります。

 杖術では三十連円打をおこないました。七十歳代~八十歳代の方々も三十連円打を最後までおこなっております。もちろん進み具合には個人差がありますが、それでも難しい動きをおこなえるようになっておりますので皆さんの熱意にはきっと初めて観られた方にとっては驚きの光景となるでしょう。

 剣術では、「抜付之型」「真っ向突き之型」「巴抜き之型」などを久しぶりにおこない、一対四を想定した体捌きをおこなったのち最後にこれもまた久しぶりに「鹿威し」をおこないました。これは今年になって体調が思わしくなく、しばらく休講されていたIさんですが、それでも最近は無理をせず途中から参加され、合間に自由に休みながら参加してくださっております。Iさんの内に篭らない姿勢はほんとうに素晴らしいものがあり、精神的に強いOさんでさえ「あっぱれ!」と仰っておりました。

 そんなIさんは八十五歳位だと思われますが、最後におこなった「鹿威し」が一番上手で、これには毎度私も驚かされます。鹿威しとは、日本庭園などにある竹筒の中に流れ溜まった水がシーソーのように流れ落ちたあと軽くなった反動で「カコーン」と石などに竹が勢い良く当たる音のするアレです。鹿威しという名前からして、人間が鳥獣に対し何かしらの被害を負わないために工夫して作った知恵のある装置です。

 稽古でおこなう鹿威しとは、二人一組となり、相手が木刀の刃を上向きにして水平に構えます。そこに向かって上段から真っ直ぐに振り下ろし空振りすることなく打ち当てることが出来るかというものです。刃を上向きにしておりますので綺麗に真芯で捉えるのには時間が掛かりますが、真芯で捉えた瞬間には相手が驚いてしまうほどの威力が伝わりますので、ときに木刀が落ちてしまうことをこれまでいろいろなところで行いましたが見受けられる現象です。

 今日はその鹿威しを、目を瞑っておこなっていただきました。目を瞑りますとどうしても癖がある方へ剣がズレますので、そうした自分の癖を知り修正していくようにおこないました。まあ、あまり難しくならないようにお伝えしていかなければなりませんが、目を瞑って精度を高める方法は、自分と向き合うというキッカケにはなると思いますので、そうした稽古に慣れていない方にとってはお勧めの稽古法とも言えるでしょう。一人でも印を付ければできますので。


 夜からは松聲館で甲野善紀先生と稽古。

 先月発売された、私が指導監修をおこなったDVD『古武術は速い』を先生へ。

 稽古では、私が4月に発見した「蠢動」がどの程度効果があるのかを知りたかった。先生にもいろいろお伝えすることができて、その後先生の突きがさらに強力になり驚きました。

 剣術でもさまざまに手を合わせるような形で、抜き技が目の前で新しく誕生し、そうした対応にまた一段と変化され、あらためて「技に身体を合わせるのではなく、身体に技が合うのだ」ということを体感いたしました。

 体術でも浪之下という技のキレにこれまで受けたことの無い衝撃を感じました。いろいろと工夫してもさらにその上またその上を先生は行かれますので、自分の稽古でもまったく気が抜けません。

 先生から学ぶことは意識的にも身体的にも質の高いものです。また無意識の中で学んでいるものも確実に育ってきます。そうした学びが身体を通じて同時に心を育み次に循環して行くものであると思います。

 良い循環をしていく稽古。それは世の中にとって求められるものでもあります。逆になってしまっては武道武術にとって本末転倒でありますので、これからも先生との稽古を通じて私なりに広く学んだものを良い循環にすべく、自らをもっともっと向上させていかなければなりません。今夜はとても勉強になりました。


  金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年7月15日(月/海の日) 『抜刀術 特別講習会』
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ
(お問い合わせ受付中)

2019年6月 武術稽古日程

2019年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-06-19(Wed)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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