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暗闇での照準

 本日は高田馬場にて渡部氏と稽古。先週おこなった杖の持ち替えにおける細かな手之内の操作がまだ私の感覚に残っていたのか、突きに関しても細かい部分で有効な手之内の使い方に気が付いた。これにより今日の稽古は突きが中心となり、さらに残像目掛けて突いて行く稽古法もなかなか面白いものであった。

 壁に、喉の高さと鳩尾の高さに印となるテープを貼り、間合いを取り歩を付けて突き入れる。その際に目を瞑り、残像に残った印を目掛けて突き、残像の印にズレがあったら位置を合わせ、最後に目を開けて確認する。目を瞑っておこなうため、その印と自らの正中線にある中丹田と上丹田の位置も整えながら歩を進め床を滑っていく。暗闇の中にある残像も、残像と言えるほどハッキリしたものではなく、むしろ記憶に近い印象だ。しかしながらその形は暗闇の中にも微かに存在しているので、そこに手之内と上、中、の丹田を意識し進めていく。

 そうして暗闇での突きが印に合う回数が増えてくると、今度は目を開けた状態で印を狙って突いてみる。

 すると、杖の断面よりも面積の小さい印に歩を付けながら突いて行く際の照準精度が安定的に向上した。おそらくは、目に頼れない暗闇で動きの癖を炙り出し、照準における身体全体の動かし方が整ってきたように感じた。つまりは、目がそれを気付かせないように働き過ぎていたのだろう。こうした目を瞑る暗闇稽古は、体術でも中心を取る際には有効かもしれない。目はとても便利で状況判断を明確にしてくれる。しかし、それが仇となり惑わせるものとなっている。「見えているものに惑わされない」または「惑わされているということに気が付いていない」ということが、稽古全般の中で言えることなのかもしれない。もちろんそれは稽古に限らず、世の中の出来事としても当て嵌まっている。

 突きに入る初動が手之内の気付きによりスイッチ化したことで、負担が減少し心地良さの中で動けることが本構え、下段、それぞれに確認できたことから、目を瞑るという流れになった。

 続いて、先週の水曜日におこなった廻しからなる突き、横打ち、下からの打上げをおこなった。これは浮き身の連続技といえる技でもあり、今後の杖術稽古における質的転換の基礎編として残していく操法になりそうな気がしている。

 抜刀術では「逆手前方抜き」をおこなった。歩を伸ばすのは腿の引き上げと中丹田上丹田の意識的な追従にある。尤も追従というよりは、同時に近い感覚であるが、ここをおざなりにしてしまうといろんな意味で前に進めないのである。

 「逆手廻し納刀」は、手之内を緩めることと回転させる瞬間はなるべく支点を固定しておくこと。支点と言えば、中丹田は身体の支点であると現時点で私は考えている。つまり動き出しに良く、全身の調和を司る司令塔的な位置であると思う。これを固定させ支点化させれば崩れやすくなり、逆にこれを固定しないようにずらす事で崩れにくくもなる。「前の中丹田後の下丹田」という言葉を今作ったが、これは私の地道なテーマでもあるので、このまま進めて検証していきたい。

 最後はひさしぶりに「杖整体操」をおこなった。

 今日は身体が硬くなっていたので、三十分程おこなう予定であったが、それまでの稽古に時間をとられてしまい、残り十五分の中でおこなうこととなった。とはいえ、やはり身体の固まった所をほぐすのには最適な体操である。開脚が開かなくなり右足の付け根から膝裏にかけてピリッとした痛みがあったが、開脚したまま天秤に杖を担ぎそのまま気持ちのいい方向で留まる事で、なぜだか分らないが先ほどまでの痛みが解消され可動域が向上した。これはやはり、背中全体における凝りや詰まりが原因にあるものと考える。そうしたものが何かしらの引っ掛かりとなり身体の可動域に制限をかけているのだろう。気持ちの良い動きが身体に悪いはずが無いという私の考えなので、無理に痛いところを我慢して動かすことは、身体からのサインを無視して結果痛めてしまう事になるので、身体からの喜びのサインに耳を傾け、自分の思いよりもそちらを優先して留まる位置を決めていけば自ずと好結果に繋がるものと私は信じている。

 帰宅後は軽く走った。先週水曜日にふくらはぎを痛めたが何とか無事に走れた。床を蹴らないことで脆くなった部分はある。床を蹴る足というのも、人間が活動するには退化させてはならない気もしている。日常の動きと異なりバランスを保つのが難しいが、まだまだこの身体は向上させていかなければならない。


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2019年6月 武術稽古日程

2019年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-06-14(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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