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得られる稽古に感謝

 この時期、星の少ない都内では木星が主役とばかりに夜空に光り輝く。いつか、満天の星空が常となる場所で暮らすことが憧れであるが、そうした場所で武術稽古に励まれている方は、どんな環境でどんな景色で日々を過ごされているのだろうか…と想像してしまう。

 毎日知らない人だらけの東京での生活から、人が少ない場所で野生動物との遭遇もめずらしくない環境に身を沈めると、そこで出会う人との対話やコミュニケーションは密なものとなるだろう。そうした生活環境での稽古というのは果たしてどのような空間が生まれるのだろうか…。


 昨日は戸越体育館柔道場、本日は高田馬場にて渡部氏と稽古をおこなった。渡部氏は今月で私の稽古会に入会して丸四年となる。その間に何人かの方が入れ替わったが、渡部氏に関しては殆んど休まれた記憶も無く、剣術、杖術、抜刀術、体術など私の受けとなり打太刀となり技の考案に大変貢献してくださっている。このままあと数年経てば渡部氏にも注目が集まるような状況になるかもしれない。だが、そうした事に全くと言っていいほど興味の無い方なので、ときに私もお人柄を学ばせていただきながら自由に稽古をおこなわせていただいている。あらためて感謝したい。


 昨日の稽古では、三時間半おこない、新たな杖の操法の発見に自分の状態が分らないほど高揚してしまい、激しい動きを連続して動き続けてしまったため左ふくらはぎを痛めてしまった。幸いにも一日経ってずいぶん回復したが、新しい畳の摩擦係数が素早い脚足の動きに負担が掛かりすぎていたのだろう。

 しかし、今週の月曜日にT氏と稽古をしていた際にフト思いついた動きが、昨日の稽古で突きと横払いと下からの打ち上げへと加わり、それぞれに浮きを使った独特の脚足操作が求められる。そこに実感として心地良い重心と摩擦係数の中でのスライドが前進方向、左方向、右方向とそれぞれにあり、膝を抜く操作にかつて私が憧れていた甲野善紀先生の「水鳥之足」が私の中で自然と動きに表れ、渡部氏が「もう、ずっとやっていましたよ!」と心配するほど左のふくらはぎに痛みが出て出来なくなるまでやっていたのであった。

 これは来週の6/15(土)におこなう「杖術 特別講習会」の中でお伝えしたい。自分の足が今までに経験したことの無い動きと感覚を覚えることになると思われます。

 ふくらはぎを痛めたので、鞘付木刀を使って8日土曜日の講習でおこなう「柄奪り反し斬り」と「柄奪り倒し」をおこなった。これもまたドーパミンが放出されるほど新たな動きに整理され、「柄奪り反し斬り」では、昨年7月の剣術特別講習会でおこなったものから左右の手が反対となり、そのことにより相手は右手が柄を持ってられなくなり、技を掛ける側が緩めてあげなければ激痛におそわれることも解った。何度かその辺りを確認したが、渡部氏の右手が真っ赤になり涙目を浮かべていたので次に移った。次は「柄奪り押さえ突き」という稽古をしていたが、どうにも技としての構成に冴えを感じるものが無く、いろいろと検討しているうちに相手を倒してしまえばいいということになり、一旦その動きの手順と方向が整理され終えたのであったが、フト思いつきもっと簡単に遣ってみたところ、より実戦的に短時間で有効な動きが見つかり、「柄奪り倒し」というシンプルな名前となった。だが、シンプルゆえにどこかで同じような技は存在している可能性が高い。対応策も考えられたが、準備無くこれをおこなわれると咄嗟の対応には反応出来ないと思っている。さあ、これが8日(土)の講習会でどのような反応となるのか楽しみだ。

 そうしたこともあって、昨日の稽古は三時間半おこなったが一時空調が効かないほど暑く動いた。その中で検証し実感した中で得られたものが多く見つかったので、源泉の場でもある私の稽古会ならではの時間であった。


 そして本日高田馬場での稽古では、私のふくらはぎの事もあり、杖術の手之内についてより細かな検討をおこなった。杖の持ち替えについて、指先で弾くようにおこないながら掌の張りを使って杖が下から上へと駆け上がってくるように絶えず回転させながらおこなう操法を、私としてもどのように見えるのか興味があり、稽古開始して間もなかったがその動きを動画で撮影していただき、二人でその映像を確認した。ゆっくり遣っていても杖が掌の中でスルスルっと回転しているので良く解らない。両手手之内は不思議な動きに見えるが実際の操作はどうなっているのか映像で確認するには難しい。しかしこれは出来るようになると、何ともいえない心地良さがるので「やめられない系」の稽古となってしまう。

 今日の稽古で最も得るものがあったのは、昨日の剣術稽古でフトおこなった相手の突きを払うようにして相手に突き入れる技。これは鹿島神流にある「突返」を武術を始めて二年半頃まで熱心におこなっていたものであったが、あれから七年半が経ち、今の身体の使い方でおこなうと、これは稽古としては進展していくものが感じられるので、昨日少しだけおこなった際に今日の稽古で検討することを楽しみにしていた。

 そして本日この技の検討にて、クラーチ剣術教室で高齢者のみなさんにお伝えしている「転ばぬ先の一歩」が剣に重さを乗せることに役に立っていることが解った。腿の引き上げ方について、これまでは両足を基本にさまざまにおこなっていたが、「転ばぬ先の一歩」により抜刀術の「抜付」にこれまでにない実感があり、そうしたことが今日の「突返し」でもそうであるが、今後の剣術に何らかの進展をもたらすものと思われる。

 解っているつもりでも、その事をあらためて丁寧におこなうことで、実は気がついていないこと、有効であること、というのは少なくない筈だ。一人ではそうした事に目が向き難いものであるが、人に丁寧にお伝えすることは自分にとっても得られるものがあり、見落としていた部分や思い込みであった場合もあり、そうしたことに気が付けた瞬間はこれからの時間を有意義に感じられるので大変ありがたいのである。勿論、そうしたことは更新し続けていかなくてはならないのが定めなのであるが。

 「突返し」(鹿島神流は「突返」)では、転ばぬ先の一歩に加え、同じ条件として、打太刀側の正眼からの突き(鹿島神流では無構からの突きだったと思う)に対して以前おこなっていた「峰渡」という技の要素も効果的であることが解った。峰を渡ることから命名したが、この場合手之内の使い方と柄の位置が、峰渡の初期の頃と近いため、そうした要素が技の中で合致し私の中で今後の剣術稽古の内容として採用に至ったのである。

 最後に抜刀術をおこない、最後の最後にふだんおこなわない「抜付」を居合刀にて転ばぬ先の一歩を使って抜いてみた。予想していた通り、通り良く抜くことが出来た。そう、今思わず出てきたが「通り良く抜けた」という言葉がシックリくる。

 武術を始めたころは、常に頭の中は剣術のことで占領されており、アルバイトをしていても頭の中では剣を振る際の身体の使い方を考え、そうしたアイデアの大半は武道場に来て一瞬で使えないものとわかるものばかりであった。だが、当時の私にはこのことを強く想像出来る事が生きているという証でもあった。そうした使えないアイデアばかりを家で試し道場で試し、気が付けば思い浮かんだ事に助けられている今がある。それは自分だけではないさまざまな支えがそれを行わせているものと思われるので、そのことには本当に感謝しなければならない。僅か二日間の稽古でも、そのなかで得られたものは物凄く大きい。勿論これまでの稽古でもそうであるが、そうした時間軸を生きていられるということは武術によって救われた紛れも無い実感です。

明日6月7日は「杖整体操」が生まれて丸一年です。都内での講習会や関西での講習会でもおこなうようになりました。私としては、無理なく身体がそこそこに柔らかくなりました。硬くなりますと怪我のリスクが高まりますので、丁度良い具合に淡々と出来る状態を常に維持出来ることがこれからは重要であると感じております。今後も私自身の身体を実験台として杖整体操をお伝えしていこうと思います。

 昨日、今日と得られる稽古をありがとうございました。


  金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年6月15日(土)『杖術 特別講習会』のお知らせ
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ
(お問い合わせ受付中)

2019年6月 武術稽古日程

2019年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-06-07(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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