時代に応じて変革が求められるもの

 本日は、品川区総合体育館剣道場にてGold Castle 殺陣&剣術スクール剣術クラスの講習をおこないました。

 今日は先月75歳になられたOさんが三百回目の受講回数となられました。体重30㎏台前半で20年間関節リウマチに症と付き合いながらの三百受講は並大抵ではありません。ザッと計算いたしましても、週に一回毎週参加されても一年で約五十回位ですから、六年間掛かります。実際にOさんは今年で六年目となりますが、安定して継続できたことは怪我や病気の予防がシッカリ出来ていたということでもあります。今後は受講回数は十分な回数ですので、自らの動きの基盤、身体の確認の目安となる動きを自ら定め、周囲とは別に幾つかこだわりの持てる動きをこれから長く付き合う技として選定することをお勧めいたします。

 これまで通り、皆と同じ動きをおこなうのも良いですが、それだけでは本当の意味での動きの追求に辿り着くのは難しいので、自らの動きの進展を実感出来る稽古内容を、杖術、剣術、抜刀術、それらの中から一つか二つずつくらい、ご自身の身体で深く向き合える内容のものを選定し、それと同時に皆と同じ内容のものをおこなっていきますと良いでしょう。こうした稽古は私もそうですが、自らの動きの質を確認するものとして質を確認する基盤の技というものは必要になります。

 他の生徒の皆様も同様に、これまで沢山の技や動きをおこなってまいりましたが、その中で一人稽古が出来る環境の方は、ぜひ自らの動きの進展を確認出来る(トライ&エラー)稽古で学んだことを、自身のこだわりの内容に取り込み検証してみてください。きっと、これまでと違った身体の面白さ不思議さに気が付けると思います。

 Oさんの存在は、他の生徒の皆様にとりましても、「私に出来るかしら…大丈夫か不安…」と思われている運動経験の少ない女性の方には勇気をもらえるのではないでしょうか。Oさんの動きによっては驚く手順の調和が取れているものも見受けられますので、私は決して嘘で褒めませんから、その方の状況を踏まえた上で、動きを観て「いい動きです。」とお伝えしております。今後の課題は、先に申し上げました自らの身体の使い方を判断出来るものを選定することと、動きや技に使われる意識を、別のところにも同じように自らを観察し注意して行かれるとさらなる進展と状況に新しいものが見えてくるようになるものと思われます。難しいことですが、自分と向き合う時間が取れているということは、総合的に進展できる環境にあると言えますので、私の想像にもつかないこれからの成長を若造が生意気に語っているのは百も承知ですが期待しております。ですので、怪我や病気にはくれぐれもお気をつけ下さい。

 
 講習では、常連の皆様以外にも久しぶりとなる65歳のNさんや奈良から体調不良にも関わらず参加して下さったKさん、体験参加が終了し今日から生徒になられたFさん、体験初参加の方がお二人いらっしゃり、11歳のK君が入会したいとお母様にお伝えし、さっそく武道具の発注をお受けいたしました。こうした事は賑わうこの教室の雰囲気を作ってくださる生徒の皆様のおかげであります。初めて訪れた方が安心して楽しめる環境であることが開かれた場には重要ですので、生徒のみなさんの自然な雰囲気が11歳から75歳まで幅広く受け入れられる空間にあるのだと思います。

 剣術では「突き」を一段~三段突きまで、脚部と手之内の連動の妙といいますか、それぞれに興味を持って取り組んでいただけたと思われます。内容といたしましては、突きをさまざまに稽古したのち、「劉之型 霧」のみとなりました。内容といたしましては、それだけなのですが、重心移動など動きの中に「憧れ」を抱くものがあれば、どのようにしてそういう動きが出来るのかをみなさん興味を持って集中して稽古をされます。初めて参加された11歳のK君も一時間半最後まで集中が切れることなく取り組むことが出来ました。見学されていたお母様も息子さんの取り組む様子をご覧になって嬉しさもあったかと思います。小学校五年生といいますと、私にとっての毎週一回一年間マンツーマンで稽古してきた郁己君がいますので、一週間毎の成長には本当に驚かされたものです。その郁己くんも四月で中学二年生。休憩時間になぞなぞを言っていた少年も、声が変わりおそらく身長も私を追い越したかもしれない青年となりつつあります。部活動などで以前のように稽古は出来なくなりましたが、また長期学校が休みになった時に稽古に来られるのを楽しみにしております。

 話が逸れてしまいましたが、子どもは大人をよく観ているものですので、そういう目を感じて私も成長させられます。私は誰にもやとわれず、武術を仕事としてご飯を食べております。ですので、私自身の成績を気にすることや上司の目を気にせず、私は私の言葉をストレートに伝えることが出来ます。しかしながら言葉よりも、大事なことはその人そのものの存在でありますので、日々の生き方が重要になります。

 先日フト思ったのですが、武術や武道が、その時代に求められるものとして成り立ったのであるのなら、時代が変わりその大きく変わった世の中に応ずる武術や武道に変わっていかなくてはならない筈です。

 当然の事ながら時代は変わりゆくものです。今を生きる時代に求められる武道武術とはいかなるものなのかを考えた時に、武道武術自体も変革し今を生きる時代に通じるものでなくてはならない筈です。これから益々時代は未来を現実としたものになってゆくでしょう。なんのために武道武術をやっているのか、ただの懐古主義になってしまわぬよう、いつの時代も最新を求めて探求していくことが望ましいと私は思います。映像が氾濫する時代、そうした情報と目が肥えていく時代においてこれまで普通に存続していたものに対する「違和感」が、時代の変化と共にひそやかに忍び寄って来ているのではないでしょうか。

 
 講習後は、となりの柔道場に移動して「杖整体操」の講習会を開催いたしました。杖整体操は初めて参加される方が少なくなく、これまでに四名の方がこの杖整体操の講習会で初めてお会いすることになりました。その中から、金山剣術稽古会に参加された方もいらっしゃいましたし、先日の剣術特別講習会にご参加下さった方もいらっしゃいました。こうした体操からご縁が生まれる環境も大事にしたいと思っておりますので、「以前から身体のことについて関心はあるけれど、剣術や殺陣はちょっと苦手。」という方には杖整体操はご縁が生まれやすい講習会であると思われます。次回は4/29(月/祝)15時30分~17時00分 品川区総合体育館柔道場でおこないますので、身体の硬い方や自分でリラックス出来る方法を知りたい方、お気軽にご連絡下さい。

 杖整体操では、Fさんが開脚して畳に頭がベタッと着くようになり、身体の硬いYさんは5㎝手が前に着くようになりました。相手に引っ張ってもらう「寝返しゆりかごバージョン」では操作する側も負担がない為、今後はこれをお伝えしていこうと思います。効果は「両手持ち上げ」と同様の目がトロンとしてそのまま寝ていたい状態になりますのでこれで十分です。


 帰宅後は、生徒のNさんより1月14日に撮影した「立廻り特別講習会」の仮編集された映像を送って下さいましたので全員分確認。

 今の段階は、画像の質感が決まり、編集のつながりのタイミングが決まったところです。あとは、先日フリー音源を聴きまくり、そのなかで有料でしたが一つマッチする音源が決まりました。効果音などもNさんが合わせて下さいますので、私としましてもその音を重ねた映像を観て作品感が増すものと想像しております。

 贅沢を言えば、Mariさんにお願いしたかったのですが、まだ「かざあな。抜刀術編」もありますし、この規模のものをお願いするには申し訳なく思いますので、いつか準備して、教室としての作品を作れたらとも思っております。しかし、Nさんが無償で(Nさんが頑なに辞退されますので止むを得ず)撮影と編集まで私のワガママを聴いて下さっており、大学院での授業と研究やドクターとしてのお仕事の合間を縫って作業してくださっております。

 Nさんには諸々ご負担をお掛けしております。編集がもっとも大変かと思いますが、俳優さん達の映像を編集する機会もそうそうないものと思いますので、信頼しているからこそのお願いでもあります。みなさんが喜んでいただける映像を楽しみにしております!

 お陰様で本日も充実した一日となりました。明日もこの幸せな一日が深川スポーツセンター柔道場で待っています。明日もまた賑わいのある講習となりますように、みなさまお待ちしております。


2019年3月09日(土)「杖術 特別講習会」のお知らせ(お申し込み受付中)

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2019年3月 武術稽古日程

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2019-02-17(Sun)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
北九州市門司区出身
世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者住宅 クラーチ溝の口
クラーチ剣術教室講師

パークシティ溝の口
杖術 巴の会主宰

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