FC2ブログ

秋を感じる心地良さ

 本日は新宿スポーツセンターで渡部氏と稽古。その三十分程前に杖術、剣術、抜刀術などの一人稽古をおこなった。数年前は一人で二時間~四時間位はおこなっていたが、ここ数年は三十分~一時間位となった。しかしながら、その短い時間で得られるものがあるから不思議である。以前にも書いたが、稽古以外の時間が稽古のためになっており、そうした潜在的な流れから稽古をおこなえば何かが発見できるという循環になっているのだろう。稽古以外の時間とは、稽古に支障となる問題を作らないということや身体の状態管理ということでもある。そのためには何処に出入りしているか、どういう人間と付き合うか、どういう趣味をもっているか等々性分趣向さまざまな部分が関わってくるが、私の場合はあまり人と何かをワイワイと盛り上がって行うタイプではないし、趣味も金銭的に負担の掛かるものは全く無い。考えていることは、自身の技の向上、生徒や会員の向上、場の整え方、安定開催のための運営準備、休養のしかた、そうしたものが日々のほとんどを占めているが、趣味と言えるのは関わっている人の舞台やイベントを観に行く事、テレビに出られている場合は知人に録画してもらい後で観る事。これは私が昔そういう仕事をしていたこともあり、今の立場から純粋に楽しんで応援することが出来る至福の時間でもある。知っている人が出られていると、見方が全然違いますよね。「がんばれー!」とハラハラしながら観るのがなんともいいんです。


 さて、直ぐに話が逸れてしまったが、稽古に戻ろう。

 剣術の一人稽古では、袈裟斬りにおける「剣に残り身が引かれる感覚」の難しさをあらためて実感。これは、私の木刀が先日後藤氏との斬割稽古で深くヒビが入り使えなくなってしまったので、新しい木刀を購入したのであるが、以前の699gの木刀に比べ軽いためより引かれる感覚を掴むのに難しさを感じた。

 しかしながら、新しい木刀の重量に慣れだしたことで、身体の計算力が慣性の掛かり方を把握しようやく剣に引かれるようになった。この稽古では、身体が安定し過ぎていてはそうした剣の慣性に残り身が引かれるといった重心移動の伝達はおこなわれない。その伝達が剣から身体に通るための身体の状態を掴む事がこの稽古で得られる整え方の一つである。

 どうして残り身が引かれる剣の操法なのか?と問われれば、まず直ぐに動ける身体の状態を感覚的に掴むためでもある。些細な事で体が反応出来る為の身体の加減具合を知っておくこと。そして、私がこの稽古をおこなってまず初めに驚いたことは、疲労度が極端に軽減されることであった。その場で剣を振るよりもどうして慣性に重心を乗せて移動すると身体に負担が来ないのだろうかと疑問に思ったのである。その疑問の答えはまだ仮説の段階であるが、自ら発したエネルギーの行き場が自らに戻ってきているということだと思っている。それがエネルギーに重心を乗せることでまるで天井クレーンの振れ止めのように、吊った重量物がその慣性に振れることなく、クレーンの動きを合わせる事でピタリと綺麗に荷振れが止まったときのような感じと似ている。これは私が二十代の頃JFEスチール(当時の会社名はNKK福山製鉄所)の高炉に風を送風する第二高炉送風機という部署で巨大な天井クレーンに乗って仕事をした経験があるので、あの荷振れが追いノッチ一発で止まったときの「どうだ!」という気持ちよさがあったのであれから二十年経っても良く覚えている。六年務めた会社の最後の三年間がその部署だったが、高炉が休風に入るとたちまち忙しくなり平穏な監視業務に緊張が走るのであった。まあ、その話はいずれ機会があったときに…

 次に「正面斬り」でも真っ直ぐに斬ることの難しさから、右手の役割と左手の役割が明確となった。これは以前からのテーマでもあったが、安定的に真っ直ぐに剣を振ることはなかなか難しい。剣道や居合い殺陣などでもよく「絞る」という言葉が聞こえるが、私は全く絞らない。絞ると肩が詰まり腕の負担が多く力の使い方として効率が悪いからである。だがこの「絞る」を絞れない状態が出来ないまでに身体で覚えてしまった方は、杖にしても剣術にしても抜刀術にしても全ての打ち終わり斬り終わりに肩に力が入り技への障害となってしまう。

 稽古の面白いところというのは、そうした無理のある身体の使い方、違和感のある身体の使い方をどのように直し技の向上を実感出来るかということにあるのであるが、身体への探究稽古を遮る、誤った「基本の教え」が人間の持っている無意識の計算力を使えずにしてしまっている。そうしたことが潜在的にストレスとなり、表情や指導法、周囲への配慮、そうしたものになるべくしてなっている状況であると感じている。これはもう全ての事に言えるが大きな組織となってしまったものの宿命でもある。その中で、学ぶことの取捨選択を出来ればいいのであるが、強制的にそのような身体、思考にさせられてしまうと可哀想である。

 また逸れてしまったので話を戻すが、正面斬りでは左手が斬りの出力であり右手が舵の役割を果たしている。これは今後変わって行くかもしれないが、現時点ではブレ難い軌道を得ることが出来た。

 抜刀術では、座りでの納刀「逆手廻し納刀」の足運びの手順に若干の修正が入り、動きの一致を得ることになった。抜刀術については八割位の感覚でこれまでの全力の動きと同等か凌いでいる実感があった。それはどういうことかというと、「杖整体操」により身体の詰まりや歪みが治まり、これまで普通だと思っていた状態が実はとても扱いづらい状態であったということである。だから、気持ち的に意気込むことも薄れ「こんなので速く抜けるのか…」と思うのであるが、なんだか以前よりも制御良く軽く扱えるのである。おそらく、無理をしている状態の身体だと無意識の内に心理的にも無理が生じていたのかもしれない。前回本厚木で井上欣也さんと稽古をおこなった時に、「駅で会った瞬間に姿勢が変わったのを感じました。」と仰られた事と、稽古中に「もう疲れるような動きはしたくないでしょう?」と仰られた事がなぜだか今でも稽古の度に頭に浮び、そういや闇雲に疲れるような稽古は以前の私は好んでしていたのであるが、今はやりたくなくなってきている。その都度「井上さんに看破された通りだなぁ」と思うのである。以前からそのつもりであったのであるが、杖整体操を得てからは身体の実感として、身体が嫌がるような稽古はしなくなってきたように思う。つまり、普通の人から見てキツイと思われるような稽古もやっている本人は心地良くおこなっているというように、動き方を変えていきながら楽な動きを得るための感覚と計算力を高め、それを発揮できるための杖整体操で整えておくことがこれからの稽古の習慣となっていきそうである。

 稽古の最後は杖整体操をおこなった。今日は頭で考えていた二人一組の調整法を試してみたが、これが笑うぐらい何にも感じないものであり、迷う必要も無いから良かったと思えるほど何も感じなかった。それがあったお陰で一つ得たのは、仰向けになって行う「両手持ち上げ」を順手のままクロスして持ち上げてみたところ、肩甲骨が開くこともあり首の抜けが気持ちよくこれを採用することにした。そして施術者の負担に課題のあった「交差持ち上げ」は今回おこなった順手のままクロスして真上に持ち上げる方法と心地良さは同等なので、負担の少ない今回の手法を採用し、以前の順手と逆手の捻り持ち上げはこれに変更しようと思う。

 今感じることはアマチュアスポーツの問題もそうであるが、時代が変わったということ。当然であるが、昔の世の中と今の世の中は大きく変わっている。その変化の速さはインターネットで世界と繋がったことも大きい。人の判断は国内のみならず世界基準で考えさせられる時代でありその反応が直ぐに分かる時代である。一流の方法が目に入りやすい時代でもあり、もちろんすべてが信じられるものではないが、やり方というのは時代に合わせて変えて行かなくてはならない。もう少し書くが、頭が柔軟に養われていく学び方が今の時代には必要であり、精神論は今の時代にはマッチしない。本当のところはどうなのかということに、皆がフリーのマスコミのように人々の目が厳しくなってきている世の中で、思考が限定的になってしまう学びは対応に欠如が生じてしまう。そのような学び方は連日のパワハラ問題がそうであるように、今の時代これからの時代を生き抜いていける柔軟な考え方を、自ら考えた学びの中で実践していくことが、人が人の可能性を高められることに使える時代として求められているのではないかと思うのです。

 今夜も長くなってしまいましたが、明日は午後からYさんと出版社に伺う予定。初めて訪れる出版社のため楽しみでもありますが慣れていないため緊張もしております。七月末にも別件での打ち合わせを出版社でさせていただきました。私の知らない世界を覗き見させていただくだけでも貴重な経験ですので、明日はYさんにおんぶにだっこでお世話になりますのでよろしくお願いいたします。


2018年10月7日(日) 「杖整体操」のお知らせ(お申し込み受付中)

2018年10月13日(土) 「剣術 特別講習会」(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年9月 稽古日程 加筆修正いたしました

2018年10月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-09-14(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


――――――――――――――

1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『 Gold Castle 殺陣&剣術スクール 』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなう。

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

2018年
『 関西特別講習会 』として人との繋がりを大事に遠方での講習会もおこなっている。

――――――――――――――
    
ご質問や、稽古希望の方はこちらの【 お問い合わせ 】よりご連絡下さい。

その他ジャンルを問わずお仕事のご依頼や『 剣技指導 』などのご依頼も受付けておりますのでこちらの【 お問い合わせ 】よりご連絡下さい。

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

管理画面
金山孝之のブログQRコード
QR