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無意識の計算力に委ねた思考法

 今夜は部屋の中が温まっているのか28℃と暑く甚平の半ズボンを履いている。今日の午後からの高田馬場での稽古は真夏のようで、まだ体がこの武道場の暑さに準備出来ていない感じがした。ここは昔からスタッフの管理体制が素晴らしいので、鍛練の為に空調を入れるということは滅多に無い。

 さて、そんな高田馬場での稽古では人数は少なかったもののダンサーが二名音楽をガンガンにかけて踊っていたので、これはこれに合わせた方が稽古になるだろうと思い、W氏とともにこの音楽に合わせて杖で自由に動くということをおこなった。私としては以前、ドラムセットなどが常設されてあるスタジオで、ある方のご子息の即興に合わせて抜刀術や、天井が低いため素手での杖の体捌きなどを一度おこなったことがあり、撮影したその映像を後で観た時に、なんの音あわせも何もしていないのにピタリと揃う箇所が幾つかあり、この映像には自分自身冷静に観て驚かされた。演奏時は、何も考えずただドラムのリズムに身体がどう反応すのか、いやもうそんなことも考えず、ただ身を任せるだけということが起こり得るという経験をさせていただいたのであった。

 その映像を私の知り合いの映画監督(商業映画を撮った知人)に貸したつもりがあげてしまったようになってしまい、もうその映像を観る事は出来ないが、渋谷の宮益坂神社の境内にステージを作ってそこで、ギターリストにボイスパーカッションやポールダンサー達と一緒にイベントをおこなったこともあった。

 そんなことを思い出しながら、今日の武道場でダンスミュージックをかけて踊っているその音楽を利用して、身体がどのような反応を示すのかそこに私自身興味が湧き起こり、W氏には大変だったかと思われるがしばらくこれを続けた。私もW氏に動きの雰囲気をお伝えするために少しおこなったが、ビートに乗った杖と脚捌きの動きに遠くで踊っているダンサー達が興味を示しそうになったので、動きを止めた私にW氏が「今、やって頂いた方がいいと思います。」と促されたが、もっぱらW氏を観ることにに専念した。ただ私としては、ダンスなどほとんどやったこともないのであるが、杖を持って動けばこれまでと違うような動きが自在に身体がそれをおこなってくれるような感じで「俺にこんな動きが出来るのか…」というなんとも気持ちのいいものであった。甲野先生が津軽三味線やディジュリドウを聴きながら舞いを稽古に取り入れられているのも、こうした内から湧き出てくるような感覚なのだろうかとそのとき頭をよぎったのであった。

 もちろん、普段の動きではビートに乗って動くわけには行かないのでリズムを要せず、無駄な動きを無くし、身体の隙を無くすように努めなければならない。今日の稽古で良かった点は、そうした音楽を利用させてもらった事により、その後の稽古で耳に入ってくる音が全く気にならないばかりか、自分の物として音が存在しているような気になり、稽古法としてこういう対処の仕方もあるのかと納得することが出来た。その他にも、以前剣道の団体が所狭しと大人数で現れたときには、視野に捉えながら彼らの素振りや掛かり稽古の際の起こりを捉えて抜刀術の稽古をさせてもらった。もっともこれは起こりを捉えやすかったので稽古としてはやり易かった。

 今日は先週に続き小太刀の稽古をおこない、より具体的に動きの精度を高めることが出来た。あらためて小太刀は「振り下ろす太刀の下こそ地獄なり踏み込んでみよ極楽もあり」というような、同じような意味合いの道歌が幾つかあるが、これはとても重要である。得物が短い分精度が求められ、こうした精度の追求は他の稽古でもさまざまに活きて来るものである。このところ信頼しているのは、「身体が兼ね備えている無意識の計算力」であり、逆にそれが災いしてしまうこともあるのだが、こうした計算力を身体に経験させることが大事である。そしてその計算力を意識下に引っ張り出すには、思考的に意識しないことで、身体が知っている計算によりこれまでにない感覚をもたらしてくれる事がある。これはあくまでも脳や意識についての素人的な例えなので、言葉として間違っていることは承知で書いているが、ニュアンスとしてそのように考えている。もっとも言葉そのものも全てはニュアンスなので、言葉から得られるものというのは音を聴いて自分なりの経験から理解して、身体に落とし込んでいるだけなので、言葉や説明は大事であるが、それが完璧ではなく補えていないものが多いということは理解しておかなくてはならない。

 夜は久しぶりに住吉でI氏と稽古をおこなった。

 三年程前までは、毎回ほぼ貸切り状態で使える場所だったが、ここ近年は大人の居合いの方々が増え始め、たまに剣道や空手などの団体も利用することになった。ここは移動式のキャスターが付いた鏡が沢山あり、居合いの方から鏡をどうぞと、断ったものの、遠慮していると思われ仕方なく二枚も受け取ってしまったが、実際には鏡は稽古の邪魔なのである。それを敢えて書く必要もないと思われるが、少しだけ述べると、観ることと見ることは違うので、観ることで多くの情報と計算力を養うには、見てしまっては一部の外見だけしか把握出来ず、自分の身体を物真似するような真似感覚に陥り易い。鏡の前で張り付いて稽古するというのは一体いつからの事なのか分からないが、私がボクシングをやっていたころさんざん鏡を見て練習していたので、この辺の問題点は身を持って体感している。鏡の前だけでやっていると、鏡がないと確認出来ないというレベルのため不安になるのである。またもう一つには、鏡に映る自分の姿が好きなのかも知れない。つまり、出来ていない姿が好きであるということは、出来ていない事の恥ずかしさを知らない、或いは出来ていると思っているのかもしれない。だから、鏡は怖いのである。

 I氏との稽古では、私にとっても言葉に引き出されるものがありそれが得難い時間でもある。おそらくそれは「通り」とも関係しているのであろう。価値観や、観ている世界に対し、どのような取り組みで、そのための在り方など、そうしたことの伝わり方というのは、言葉に合っても言葉に無くても「通り」があれば判るものである。心の純度が高ければ、少ない言葉から多くを感じ、自らの時間に活かす事が出来るだろう。そうした言葉に不思議と私自身、どうしてこの口から発せられているのかが不思議に思うことがある。おそらくこうしたことも、身体の計算力の働きの一種であり、経験したこと感じたことが意識下にある前に、すでに身体がどこかでその事柄の関連性やそれに向けての行動を無意識の内に選び実践しているのではないだろうか。そうしたことを、ある責任の中で言葉として述べたときに、脳が整理をして意識下にそれを持ってきているように思うのである。だから、こうしたI氏との稽古での会話というのは時間を惜しまずに、I氏によって引き出されることが私にとっての学びとなっている。

 ストレスの発散についてご質問を受けたときに私自身思わぬ言葉が口から出た。

 「ストレスというのは人から受けることが多いので、やはりストレスを解消するのも人の力なんです。私の場合、あまりストレスは溜まりませんが、こうして日々いろいろな人とお会いしていますので、そこでストレスは発散されていきます。今日ここに来る前にストレスがあったとしても、今日の稽古でそれは無くなっています。思うに、ストレスもお金のようなもので天下の廻り物のような気がするんです。人から受けたものは人で解消し、結局は人が関係していると思うんです。」

 自分で言っておきながら、確かにそんな気がするなあと思う。お金もストレスも流れのようなもので、そこに集まる状況になっているかそうでないかで、その場が変わらなければどうしようもないこともある。その状況をどうするかは、その人の考え方次第であるが、上手く行く方法が解っていたら人間誰でも成功するのであるが、解らないから苦労する。だが、あきらかに上手く行かない方法で失敗している人も多い。だから人は、学ばなければならない。

 心の純度を高めることは、通りの良さに関係していると思うので、環境と状況に対応出来る方法を模索し実践しながら、変化が起きたとき、その機を逃さず掴めるようにプラスに辛抱出来る能力も重要である。そういう因果は人の出会いを生み良縁の中で、強く進んでいけるものと思われます。

 今日も意味のある一日となりました。こうした日常を送らせてただけることに感謝いたします。


2018年6月9日(土) 抜刀術 特別講習会
(お申し込み受け付け中)

金山剣術稽古会  

2018年5月 稽古日程

2018年6月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-05-18(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


――――――――――――――

1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『 Gold Castle 殺陣&剣術スクール 』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなう。

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

2018年
『 関西特別講習会 』として人との繋がりを大事に遠方での講習会もおこなっている。

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