遅速の一致

 本日のGold Castle 殺陣&剣術スクールは午前の部を戸越体育館でおこない、続く夕方の部を品川区総合体育館でおこないました。

 まずは戸越体育館の講習から。

 9時10分スタートという微妙な時間帯からの開催については、会場自体が8時45分に開館いたしますので、9時00分スタートには時間的猶予が無く、そのため9時10分~11時10分という時間帯で開催しております。午前の部では、一ヶ月ぶりにKさんやTさんも参加され初めてお越しになる体験参加の方もいらっしゃいました。今日の顔ぶれからいつもの生徒の方々も含めて、殺陣クラス、杖術クラスともに講習内容を予定から全て変更しておこないました。

 基礎的な内容というのは、やらなければいずれ引っかかりますし、そればかりですと飽きてしまい講習としては不合格となってしまいます。ですのでその辺の配分と見極めが大事になります。

 殺陣クラスでは「払い五斬」がみなさんにとって技術の習得と殺陣の雰囲気が味わえるものとなっており、これに関しましては、課題が明確になりますし、動きの目的が分かりやすいということもあり今後の殺陣クラスの講習内容の中でも重要な位置を占めてくるでしょう。当たりを優しくするということが、自身のコントロールがなかなか身に付かない方にとってはこれまでに意識しない部分でもあり、斬り合いというこれまでの刷り込みから身体の反応が客観的になれる一つの手段と言えると思われます。

 杖術クラスでは基礎的な部分からおこない最後は「流転落とし打ち」という緊張のともなう組杖稽古をおこないました。とくに杖の操作というのは「遅速の一致」が求められ、楽器演奏もそうですが(演奏した事もないのによく例えますが…)曲になるためには、両手両足がさまざまな速度で一致しているのと同じように、動きの中で身体各部の動きがそれぞれに役目を持ちながら調和(一致)の中で動いていきます。ですから心地良さというのはそうした整った状態を身体が細かい計算の中で判定しているものと思われます。体験参加に来られたNさんは、運動経験があまり無いということですが、音楽をやって来られたと伺いましたのでそのあたりの感覚が繋がってきますと、スポーツとは違った心地良さ、相手と勝ち負けのためにおこなわない、自身の身体と向き合うことで心理面とも関わってくる感覚の稽古に興味をもっていただければと思います。

 夕方の部では、会場を品川区総合体育館に移しておこないました。先週に続きミュージシャンのWさんが参加され、殺陣クラス&杖術クラスともに良い時間を過ごされておりました。私の推測ですが、学んで技術を習得することはもちろんですが、そこよりももっと大切な部分に焦点を当てて時間を大切に使われているように感じます。稽古で動きを覚える、技を身に付けるというのは一つの手段であり、そこに至る大前提として神聖なる武道場で礼に始まり礼に終わるということが形骸化したものではなく、どういう考えで武道場に来て稽古をおこなうかということが、実はそこを稽古していかなければ成長にはならないと思うのです。

 人という生き物は誰しも醜い一面も併せ持っております。ですからこういう場所で禊をかける心境で取り組めるかということはとても重要なように私は感じております。技量よりも、神聖さが稽古をおこなう者としての心持ちにどれほど備わっているかということが、稽古の中で養っていかなければならないもう一つの部分でもあります。動きばかりに目が向き、たいせつな心の存在を置いてきてしまっては、なんのために武道場で稽古をしているのかということになってしまいます。こうしたことは、私自身これまで感覚的にはありましたが言葉や文面で書いたことはありませんでした。ただ、こうしたことを考えさせられる状況があり、それはこれからお伝えしていかなければならないものとして私自身反省させられた点でもあります。

 こうしたことから、私自身今夜は知人と電話で話した際に思わず、「人間と言うのは器用な人ほど、なぜ器用にしなければならないのかという前提があり、その器用である必要性が無くなってしまった時にその人の本当の姿が分かるのではないか。」ということから、自分を良く見せようとしてしまう事について考えさせられました。笑いながらの会話でしたが、どうして鍛練稽古をしているのに、電車の席が空いたら座りたがろうとしてしまうのだろうか。座れないぐらいでイラッとしてしまうのであれば、仮に、誰かが法律で、毎週日曜日はどこどこの施設へ行って蟹と雀と蛙の鍛練稽古をしなさい。しなければ罰金もしくは懲役刑となります。ともなれば、殺意が沸くほどの怒りになるでしょう。ですが、自ら考え自らの判断でおこなっているのであれば、キツイ内容でもそれは喜ばしいことであり率先してやってしまいます。そうしたことから、鍛練稽古とはどこかで自分を良く見せようと言う考えがあるのかと考えさせられたのです。もちろん、身体への効果を実感しているのでおこなっているのですが、であるなら、エレベーターに乗れなかったりや電車で座れなくとも、その瞬間に僅かでも不満な心情になってしまうというのは、鍛練稽古をやっておきながら可笑しいものだと言葉に出たのです。

 つまりは、自らの意思で先に決めておくことで、ある不都合な状況になった際に心理的なマイナス作用は働かないのではないかと思えるのです。我慢する辛抱することも昭和世代にはよく言われていたことですが、「捉え方を変え精神的優位にする」ことは、同じ状況下でも、人の醜さを引き出さない事になると思うのです。今の時代は、予測すれば分かりきったトラブルなど日常茶飯事ですので、こうした幼稚な時代を乗り越えていく術を身につけて行かなくてはなりません。

 すごく話が逸れてしまいましたが、だいたい逸れた内容のほうが熱が入っていますので逸れるくらいがいいのでしょう。夕方の部の殺陣クラスでも、「払い五斬」のなかで、殺陣と剣術の動きの違いについては、「見せる心地良さと、見せない心地良さ」というふうに例えられるかもしれません。漫画でも面白さを伝えるために必要なコマの画というのはありますし、役者さんやモデルさんでも、カメラの前でこの瞬間というのが感じられると思います。そうした外せない時間というのが殺陣にはあり、そこをどう動きの中で技術的に見せて行けるかということも肝心です。剣術はその逆でもあり、如何に分からないように見えないように技を通して動けるか、身体の調和をどのように探り当てて行けるか、といった部分もあります。ですので、殺陣に関しましては動きの中で時間(間)を感じ、その中で必要な画をどのように表現できるか、ということが大事になります。速く動いてしまい、その見せるべき画のコマが欠けてしまってはなんだか心地悪いのです。私自身どうしてこのような感覚が宿ったのか不思議でありますが、今日不意に言葉に出た「遅速の一致」が大きく関係しているように思います。先にも述べましたが、この遅速の一致は、杖術などの稽古では特に求められるものであり、私の場合、頭で考えると言うよりは、身体に入っている遅速の一致の判定が、殺陣になった時に直感的に感じることが出来るのだと思います。

 あらためて、剣術や杖術で身に宿るものというのは、身体各部が脳となり、それぞれがどうしたらいいかを断定して教えてくれますので自分で自分に助けられております。

 こうした記事を書いてしまうと、私の教室は相当難しい事をやっているように思われてしまい、体験参加の方もお問い合わせの連絡に踏みとどまってしまうかもしれませんが、生徒のほとんどの方は皆さん何も経験した事が無い状態から始められてますし、今現在も初めての方の体験参加が続いておりますのでご安心下さい。

 本日も充実した講習となりました。お仕事が落ち着いて復帰される方々もいらっしゃると思いますので、久しぶりにお会い出来るのを楽しみにお待ちしております。


2018年4月30日(月)&5月1日(火) 「関西特別講習会」
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会  

2018年4月 稽古日程

2018年5月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-04-16(Mon)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


――――――――――――――

1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『 Gold Castle 殺陣&剣術スクール 』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなう。

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

2018年
『 関西特別講習会 』として人との繋がりを大事に遠方での講習会もおこなっている。

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