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循環していくことの大事さ

 入学式前に桜が全て散っているのも珍しいものである。新宿スポーツセンターがある戸山公園はすでに新緑を迎えつつある。同じ場所でこうも景色が一変するのかと不思議な気もするが、それは稽古場とて同じである。少ない人数での集中稽古や大人数で賑わう稽古。特別講習会を終えた24時間後に同じ道場に入っても、その景色は24時間前とはまるで違って感じられるから不思議である。つまり、景色とは、心理的状況によっても大きく感じ方が変わるものであり、素晴らしい景色というものは、心理的な部分にまで作用するものであり、その素晴らしさとはやはり自然の力によるところが大きい。

 今日の稽古ではW氏とともに「蛙の真っ向」を丁寧に五十回おこなった。私自身これを先週の火曜日に同回数おこない三日間階段を昇降するのも大変なほどの筋肉痛に見舞われたが、今回はおそらく大丈夫であろう。一回毎の負荷は大きいが、故障に繋がるような姿勢や衝撃ではない。だが人によっては膝、腰を痛めることになるかもしれないので、お勧めはしない。バランスやタイミングその姿勢など上手く動けると心地良さがあるので苦痛なものではなく、むしろ身体がついてくればまだまだ沢山やりたい鍛練法である。

 杖術では馬突きからの変化形である馬突きその二(まだ名称が決まっておりませんので今はこう呼んでいます)をおこなった。私自身受けも含めてこの動きに身体が溶け込んできたように思う。

 お辞儀潰しでは、伸筋の働きを活かした初動をおこない有効である事を確認した。これは私自身もW氏のお辞儀潰しを受けてみてその違いを実感した。重心が後ろに行かないようにおこなう事と、前方への掛け方がこの技の効き具合に大きな差となってくる。

 剣術では、間合いを詰めながら相手に抜かれずに差し出された木刀を打つことが出来るかという条件の下、袈裟斬りをおこなった。この稽古は、一人でおこなう素振りと違い、より脚足の使い方に集中が高まり、肩の気配を消すための手の内の使い方などが自然と身につきやすくなってくる。間合いが届いている状態で打つか抜かれるかという稽古は単に腕力で簡単に出来てしまうものなので、間合いを広げてギリギリ届かないところから、腕を遠くに伸ばすような斬り方ではなく、脚足の使い方により、その場で斬るような腕の使い方で打つ事がこの稽古の目的としているところである。

 昨日の記事で書いた鹿島神流の「位太刀」を何年ぶりだろうかW氏の正面斬りに対しておこなった。もちろん私自身の剣の操法や脚足の使い方は当時おこなっていたものとは全く異なっているので「位太刀」とは言えないのであるが、この相手が真っ直ぐ中心に斬り込んでくるものに対し、斜めの斬りというのは、身体が整い、剣の軌道が精確であれば相手は手の痛みで耐えられなくなってしまう。現に、手加減しなければW氏の指関節を壊しかねないのでかなり気を使っておこなった。いったいどれ程の力が伝わるのか、打太刀と仕太刀を交代してみると、なるほど、これは自らのエネルギーも相手の斬りの威力に加味されている事が分かり、それは、ある境界線を越えたところでどちらかに作用するものである。ただこの場合、斜めの方が有利である事は力学的にも言えることだろう。しかしながら、打太刀の私も正面斬りにおいてその境界線を割って斬り込んだところ、斜めに斬り込んできたW氏の剣を押し潰すような形となり、その際の私の手の内にある感触は柔らかく樫と樫が凝縮するような感じが残る。しまった!「手は大丈夫ですか?」と聞いたが、やはりW氏の手は痺れていた。久しぶりにこの「位太刀」と「位の構え」を参考にした形を稽古したが、その形を身体が気に入っているようで、今後の稽古法で重要な役割となるべくものにしたいと脳のどこかにストックしておこうと思う。

 「斬割」においては、結果として円の軌道になっているものであり、円の軌道で斬ろうとしてしまうと大事な部分が疎かになってしまうことが分かった。そのことが分かり、斬り込む刹那の形が精確になり、同時に蛙の真っ向で感覚的に身に宿した背中との関連が、斬り割る際に術者にとっても、また相手にとっても感じるものが大きく異なる。そうしたことからこの「斬割」稽古は益々欠かせない稽古内容の一つとなっている。

 「睡蓮」では、斜めの構えを位太刀から掴んでいくものとしたが、この睡蓮という稽古の場合、重要なのは斜めから一瞬の転じによる働かせ方にあると思われる。つまり、真っ直ぐに対する斜めの優位性から、手の内の技術とそのタイミングにより、小さな変化に大きな効果を生み出せるかという事である。2月26日に撮影し現在制作中の「かざあな。(剣術編)」にもこの技を収録してあるが、小さく斜めに差し出した剣が「カーン」と大きく響き渡るほど、僅かな変化で崩されているので、斜めの有効な使い方というのはこれからもさまざまに得るところがあると予感している。

 抜刀術では、昨日に続き「隅返し」をおこなった。私自身「かざあな。(抜刀術編)」のスタジオ撮影の演武よりも今のほうが抜けているので見るのが辛いが、そうした違和感があってそれを何とか解決しようと頭から離れないことで進展するものなので、これはこれで良かったのだろう。W氏曰く、「これは難しいです。」と仰っていたが、対人間への技として間に合う事が出来るかという要素と斬るための刃筋を精確に操作する要素が互いにぶつからず、上手く噛み合って行かなければならないからである。そこで一つ気付きを得たのは、斬るための円の軌道が長いと最後に左肩に負担が掛かってしまう。そのため、円の軌道を極力小さくし、その小さくした斬りのエネルギーを補うものとして重心操作があり、さらに全てを明かすなら、脚足との同調が斬りの速さを奪うため、右手により切っ先を飛ばしそれに追随して右足が寄せられる、そしてそれに同調し、左肩への負荷を取り除くために支点を流すのである。つまり、斬るべき対象に対しては円を最小に威力を集約し接点を滑らし、その直後は支点を流し、身体へ負担の掛からない形となる。そうしたことが、今週の月曜日、水曜日、木曜日の稽古で具体的に解ってきた。

 それにしても、一日一日の稽古は、過去を過去としてしまう説得力がある。稽古を通じて得られる重要なものの一つに、「確証はなくとも確証と言える読心力が備わる事」にあり、そのための分析力が、稽古に対する感覚への向き合い方から自然と身に備わってくるものだと思っている。もちろんそれは稽古法に大きく関わって来るので一概にとは言えないが、特に俳優さんにとっては男性女性共に、こうした感覚は演じる事はもちろんんであるが、人に注目される生き方を選ぶ人にとっては、察し応じる感性は養っておかなければならないものだと私は思っている。

 すでに告知しておりますが、今月も再び関西で二日間に渡って杖術と剣術の講習会をおこなわせていただきます。世話人の川原田喬生氏が情熱をもって奔走してくださり、甲野善紀先生のサイトでもお知らせして下さっております。川原田氏にこうしたお話を頂けた事は本当に有り難い事です。私の中に、野望とか、その先を見据えた何かというものはありません。私が今の活動で暮らしているのは、そうなるしか生きて来れないと思って選択し、その自分で決めた生き方の中で納得出来る時間の使い方を少しずつ少しずつ増やしてきた途中の状態です。この先も、そうして納得出来る時間の使い方に触れ、結果として何かのためになれば、いろいろな人の想いや行動が上手くストレス無く循環して行けるのではないかと思うのです。「自然とは循環」とも言えるのかもしれません。そうした循環の中で生きていくことが自然であるなら、私としてはそうした仕組みを考えながら良い循環となるように、稽古でいただく感覚を還元していく気持ちで日々望んで参りたいと思います。


2018年4月14日(土) 「剣術 特別講習会」
(お申し込み受付中)

2018年4月30日(月)&5月1日(火) 「関西特別講習会」
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会  

2018年4月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-04-06(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


――――――――――――――

1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『 Gold Castle 殺陣&剣術スクール 』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなう。

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

2018年
『 関西特別講習会 』として人との繋がりを大事に遠方での講習会もおこなっている。

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