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ミトコンドリアに催促されて

 昨日1月22日(月)は四年ぶりとなる東京での大雪となった。都心部で23cmと計測されていたので、場所によってはそれ以上に積もっていたところも多かったと思われる。こんな日は、余程のことがない限り会社も休みにした方がいいのにとニュースを見て思った。都心部は交通機関が機能しなくなるとどうにもならないので、いつもの当たり前がそうした判断を鈍らせてしまう。かなりの人が大変な思いをして昨日一日を過ごされた事だろう。私は運良く昨日は第四月曜日ということで稽古が無い日だったため、近くに出歩いただけで公共交通機関を利用せずに済んだ。

 一日経って、本日火曜日は「高齢者のための剣術教室」に向かうため残雪残る早朝いつもより早めに駅に向かった。案の定電車が遅れていたため(もう最近毎週この時間帯の遅延を書いている気がする…)違うルートで途中乗換えのため駅から出て200mほど歩く。徒歩7分と書いてある乗り換えのための駅がどこにあるのか分からなくても、人々の後を付いて行けば簡単に次の駅の改札に辿り着く。このルートは万一の時に、時間短縮出来るためふだんは利用しないが(乗換えで歩くのが億劫なので…)いざというときに一気に20分位は挽回出来る保険ルートといえる。今回で三回保険を利用した。

 おかげでいつも早めに着いているがその時間よりも10分ほど早く到着することが出来た。稽古場では、まだ電気も点いていない部屋でHさんがひとり、杖を真剣に振っている姿が背中越しに見えた。今日は雪のため朝はウォーキング出来なかったそうであるが、毎日Wさんと二人で早朝1時間近く歩いているそうである。ここは空気も良いし高いビルも無いので空も良く見え体にいいだろう。WさんもHさんも何より共通しているのは、すがすがしいところである。自身に対する前向きな気持ちというのは結果として自分自身を守ってくれるものでもあり、そうしたものは日々乱れやすいのであるが、パートナーとともに毎朝ウォーキングに出られるというのは、心身ともに健康を維持していられる秘訣ともいえるだろう。その後、1時間半の講習よりもさらに1時間位前に来て自主稽古されているので、身体に不調が無いとは言えない中でそれだけ意欲的に取り組まれるということは、かならずその中で得られるものを感じているからであると思う。その他にも自主練習に参加される方は多い。こうした状況は本当に講師としてはありがたいとしみじみ思うのである。

 講習後はひさしぶりにレストランで食事。今日はいつもの広いテーブル席が空いていなかったため、6人掛けのテーブルに私を含めて8名が席を寄せ合って食事をいただいた。これもいいものである。

 全くの他人であればパーソナルスペースに侵入されたような不快感があるかもしれないが、親しい仲間内であればむしろそれが逆に距離があいているよりも心地良く感じられるから不思議なものである。これはその場の雰囲気というものも大きく関係している。例えばファミリーレストランや喫茶店では他のお客との距離が近いとあまり落ち着けないものであるが、焼き鳥屋やおでん屋ではカウンターで隣の客と肘が当たりそうな距離に居ても嫌な気がほとんどしない。むしろこういったお店で広々としていたら同じ食材でも受け取り方が違ってくるに違いない。その空間に必要な間合いというのは実に繊細で人間心理の妙というものを弁えておかなければならない。(電車の中というものはなんとか変える事はできないものだろうか…)

 食事が終わり皆さんから玄関前まで見送られる。突然Tさんが雪を投げてきて、次にHさんが投げてきてプチ雪合戦が始まった。「どこまで元気なんだHさんは!」と思いながら私も遠慮なく投げ返す。そんなこんなで皆さんと挨拶してお別れ。しばらく歩いたのち、トートバッグの中から財布を出そうとしたら雪の塊が入っており慌てて掻き出した(笑)。これだけの雪があったら、何人かで巨大な雪だるまを作る計画をしてもよかったかな…とチョッピリ後悔。こども心が失われてきたのかなぁ。

 夜からは住吉でI氏と稽古。小名木川沿いの遊歩道を雪掻きする人はいないだろうから恐らく歩きにくいだろうと予想していたが、ところがどっこい、お日様の力で土手の草木に至るまで完璧に溶けて何にも無かったのには驚いた。しかし対岸側の日陰になっていたであろう場所はまだ雪が沢山残っており、日向と日陰はこうも違うものかと考えさせられた。

 会場に到着し、I氏が訪れるまで一人稽古。今日はどうしても剣が振りたくて早めに向かったのであったが、それほど時間も無かった。しかし得るものが直ぐに訪れた。

 18時25分に始めて、四分ほど袈裟斬りをおこなった。前脚とのタイミングに大きな違いがあり、その場で引き上げても得物とのタイミングにより前に進む推進力が得られることが実感出来た。次の六分間は「正面斬り」をおこなった。午前中におこなった高齢者のための剣術教室で初めて取り入れた袈裟斬りから斬り上げ、さらに胴斬りから正面斬りという一連の流れをみなさんに覚えていただくよう講習の最後におこなったものであるが、その時の最後の胴斬りの終わりから正面斬りに繋げる手の内の操作が、夜の住吉の稽古で感覚的に思い出され、試しに使ってみたところ、今まで何度か試みたことはあったと思うが、この第三関節を使うことがこの新しい操法に適っており、このことに興奮してしまい、時を忘れるほど集中してこの新しい正面斬りをおこなった。かなりやったつもりであったが、時間にして十五分程。I氏が訪れたため、もったいぶるようにして改めて稽古を開始した。

 休養は大事である。心身が整えば内から湧き出すようなエネルギーが、まるで細胞が指令を出しているような気がしてその活き活きとした状態が治まらない。なんだか若々しくなってきたような、ミトコンドリアからの催促が脳を支配したかのような、そんな状態に、昨日一日かなり休養できたことが大きかったのかもしれない。

 別段予定していたわけでもないが、I氏とともに「蟹の前歩き」三往復(90m)「雀足歩法」三往復(90m)「飛石」三往復(90m)「馬突き」十往復(300m)「旋打千回」をおこなった。これだけで1時間近く掛かってしまったが、身体が求めている時というのは普段出来ないことでもやりたくなってしまうものである。昨年の1月は「飛石1km」というのをおこなったが、明日明後日身体にどのような反応があるのかを楽しみにしたい。まったく同じメニューをおこなったI氏も流石である。

 今日はなんと言っても「正面斬り」のさらなる進展である。左手の形が刃筋をより精確に捉え「鹿威し」でI氏の木刀を連続でド真芯で捉え、あっという間に木刀にヒビが入ってしまった。これは、左手の第三関節をより有効につかうには有用な操法である。もう今までの操法は恥ずかしく感じてしまうから、こうした気付きというもの、そこから変わる気持ちの変化というものは実に勝手なものである。だが、それがあるから迷わない、戻らない、という有り難さともいえる。

 今日は実に良い稽古、良い一日であった。


2018年2月12日(月/振替休日)
「杖術 特別講習会」
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会  

2018年1月 稽古日程

2018年2月 稽古予定

甲野善紀先生からの紹介文


2018-01-24(Wed)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師

現代武術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
神田すずらん館にて「現代武術教室」講師を務める

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