一喜一憂の間合い

 気持ちのよい月曜日の今日は、夜から高田馬場でT氏と稽古をおこなった。自宅から駅に向かう道中、フト「人間というのは自分の身の回りの出来事に対して一喜一憂しているが、よく身の回り以外のことを気にせず一喜一憂できるものだ……」とさまざまな事が今その瞬間にも起こっていて、それに関わっているかそうでないかで自身における心の状態はまるで変わってくる。つまりは、どこかで自分自身に影響のあること以外は気にならないようになっているのであろうか……いや、災害のボランティアなど、人の心はいざというときは関わりが無くとも行動を持って示している。身の回りのご縁が繋がっている方とはこの広い世界でおこっているさまざまな出来事の内の一つとして大切に守っていきたいものである。同時に、身の回りでなくとも、遠くに目を向けた事で感じる部分は養っていかなければならないとも思う。個々の世界は人それぞれであるが、やはり一番は、ご縁のある大事な人達を大切に素晴らしい時間を少しでも長く継続できることを願いたい。今日はどういうわけだかそんな事が頭をよぎった。

 
 本日の稽古では、抜刀術の「懐月」に少し変更点が加わった。といっても瞬間的な動きに関する部分は全く影響していないので、二之太刀というか突きに関する部分での変更ということに留まった。頭の中では刃の向きが上下逆になったり、峰に手を添えたりと実際におこなってみたところ、意外にスムーズに出来たものの、刀の刃の上下が入れ替わっただけで重心位置が変わりやりにくくなったことと、同時に右肩が詰まるということに気がついた。見た目的にも刃が下であるほうが形として説得力を感じる。T氏が来たところで、打太刀をお願いし、間合いの確認と新しい突きによる動きを確かめた。あらためて、新しくしようとした懐月であったが、これまでの身体の使い方、刀の向きなど、やはり変更には至らぬ形であることが再確認できた。その後の突きは、相手との間合いの問題から離れる訳には行かないので変更せざるを得なかった。合わせて納刀もこれまでの逆手納刀から縦納刀に変更した。この「懐月」は9/23(土曜日)におこなう「抜刀術 特別講習会」でおこなう予定である。

 T氏との稽古で呼吸の意識が話題になったが、呼吸を意識しすぎてしまえば、かえって不自然になりやすいので、呼吸を忘れても落ち着いていられる状態でなければならないと言ったような気がする。もちろん、落ち着かせるために呼吸法を取り入れておこなうヨガでは呼吸を大事に集中しておこなっているものであるが、共通していえることはリラックスした状態であること、力みが無くなり横隔膜が下がり、呼吸が自然と深くなり、結果として息切れしにくい状態となっている。

 現代人はなかなかリラックスした状態が作り出せないため、さまざまな不調が身体に表れやすいのではないかと思うのである。交感神経と副交感神経の働きであるが、ヨガの良いところは、呼吸や瞑想などで副交感神経の働きを活かし、身体の不調を自らの自律神経のコントロールにより整えているのである。仮にヨガでなくとも、そうした副交感神経の働きが生まれるものをおこなうことで、日常のストレスによる体の変調が整っていくものと思う。稽古では大きな気合を発することもあるが、心身の状態としてはリラックスした状態でおこなったほうが「発展的な気づき」が得られやすいように思う。まあ、武術稽古で副交感神経は働きにくいと思うが、リラックスしておくことは呼吸の乱れも明らかに違うし、技の精度にも関係してくるだろう。

 杖では久しぶりに指先で弾く持ち替え方をおこなった。これはほとんど伝えていないやり方であったが、今日は身体に負担の少ない内容でおこなうため、私もひさしぶりにいつも無意識でやっている持ち替え方を細かくお伝えした。見ていると何をやっているか分からないと思うが、杖に回転を掛ける事で、掌を駆け上がってくるような感覚で杖を持ち替えるというもの。止め時が難しくなる系統の内容であるが手之内の微細な感覚が養われることは間違いないだろう。

 今夜は珍しく武道場がガラガラであった。数年前までは月曜日の夜は数名しかいない状態であったのだが、ここ近年は小規模の団体がここを利用するようになり曜日時間帯を問わず賑わうようになってきた。私もここでの稽古は長くなってきたが、挨拶を交わすようになった他団体の指導者の方とここでお会いすることも楽しみになってきた。挨拶を交わし好意的になるということは、一喜一憂の間合いに入ったということでもあり、大切にしたいと思う気持ちが芽生えるということである。人と出会い、人を知るということは、大きな学びとなりありがたいことである。


2017年9月23日 「抜刀術 特別講習会」
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会  

2017年8月 稽古日程

2017年9月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2017-08-22(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


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1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『 Gold Castle 殺陣&剣術スクール 』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなっている

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

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