エッセンス

 今日は高田馬場と住吉でのダブルヘッダーとなる稽古をおこなった。まず午後からの高田馬場では、稽古前に「万乃型」を少し変更したため、それをW氏に見せたあと共に最初から最後まで説明しながらおこなった。これまでとの変更点は、抜刀からの真っ向斬りが最初に加わったことと、正眼からの突きが加わったこと、そして斬り上げは足の差し換えでおこない、反転して刀を真っ直ぐに立てた状態で一間置いて八相に入りながらの胴斬りとなり、反転しながらの血振り納刀となる。あらゆる体捌きがここに入っているので、この万乃型を身に付けることで、今後の私がおこなう立廻りにおいて動きの理解力が格段に良くなるだろう。

 今日の稽古では抜刀術の「懐月」にこれまでと違う動きを求めることになってしまったので、現在いろいろと試行錯誤している段階である。手っ取り早いものというのはやはり成長を妨げるものであり、そうした事に気が付かなくなってしまわないように、誤った方向性に知らず知らすの内に行ってしまわないように気をつけなければならない。

 今年は抜刀術稽古に時間を割いていくので、その分杖術稽古を減らしているが、それが可能なW氏との稽古は非常に重要なものとなっている。一つの目安として、私がおこなっている袈裟斬りの稽古にどう感覚的に理解を示しているかが、稽古段階の状況としての判断基準となっている。

 そもそもこの袈裟斬りは、ただ右足前(逆は左足前)の中段八相から斜めに振り下ろすだけなので、動きとしては余計なものを削っていきながら細かい手順を働かせ、その操作技術の精度を高めることを目指しておこなっているが、これは私の中でもっとも重要としている剣術稽古と言えるかもしれない。ただそれだけに、この袈裟斬りは人に伝えづらいものがあり、段階を踏んでからでなければ出来ないものである。もっとも私自身これが良いのかどうか分からないが、ただどういう訳であるか、私の意思なのかどうか知らないが、武術稽古を始めたころから袈裟斬りだけは特別な拘りがあるから自分でも不思議である。今講習会などでおこなっている袈裟斬りはかつて学んだものであり、当時はこの剣先の軌道に寝ても覚めても頭を悩ませていたものである。こちらは内部感覚的なものよりも、操作技術を重んじたものであるため、比較的取り組みやすいものだと思われる。

 夜からは住吉に移動してI氏A氏と稽古をおこなった。お二人との稽古では殺陣の依頼を受けての稽古であるため、剣術というよりは殺陣の要素が濃い稽古をしている。もちろん私がおこなっているので、そのあたりの差はあまり感じにくいものであるが、改めて歩き方、走り方、下がり方、構え方、構えた状態での進み方、剣を縦に振ること、横に振ること、斜めに振ること、刀を納めること、その前の血振り、など、全身の調和が全ての動きに関わってくる。かつてある団体で武術と殺陣を融合したものをおこなっていた時期があったが、その時は剣術の型稽古の動きでは殺陣にならないことを感じていたので、今現在私が殺陣を教える立場となる流れを受けて、結果的にそうなっていく運命のようなものを感じながら、重要なことは型をそのまま当て嵌めることではなく、剣術をはじめ武術稽古で身に付いた「全身の調和という操作技術」が、殺陣というある状況設定に求められる動きに対し臨機応変に、さまざまに適応し魅せられることであると思っている。そのため、「剣術は実際に人を斬るためのもので、殺陣としては動きが速すぎて良く分かりにくいし、地味ですね。」という人もいるかもしれないが、それは剣術を剣術としておこなった場合の事であり、殺陣として見せるための理合いというべきか、拍子や間というものが、全体の形の中で見せ方を考えたときに、やはり、侍を演じるのであれば剣術を身に付けた上での立廻りというものが説得力のあるものであり、そうでなければ身に付かない動きがあることも事実である。ダンスやアクロバティックな動きを取り入れておこなうのもパフォーマンスとしては良いかもしれないが、多くの人に刀の扱い方や、いにしえの剣術家をのちの誰かが掘り起こしていくことに繋がるような、もっと使命感を持って芝居というものはお伝えしていかなければならないように感じる。もちろん堅苦しい動きとなってしまってはいけないが、どこかにそうしたエッセンスは保ち続けていたいものである。


 2017年2月25日(土) 「立廻り 特別講習会」
 (お申し込み受付中)
 
 「金山剣術稽古会」 
 (経験不問 御連絡お待ちしております)

 2017年2月 稽古日程

 2017年3月 稽古日程

 甲野善紀先生からの紹介文


2017-02-17(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


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1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『 Gold Castle 殺陣&剣術スクール 』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなっている

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

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