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いろいろ試される時期

 3月一杯新宿スポーツセンターが臨時休館と決定したことで、今日は3月の稽古日程の変更、そのための代替会場の確保、そのほかの施設の利用状況の確認などをおこなった。

 現状、Gold Castle 殺陣&剣術スクールは日程通り開催できるものと思われるが、今後どのようになって行くのかは不明である。私自身が感染、もしくはその疑いが感じられれば即中止となることもありうるので、今後しばらくはこの問題が付き纏うことになるだろう。

 金山剣術稽古会の開催に関しましては、新宿スポーツセンターでの開催が中止となり、急遽戸越体育館での開催に変更いたしました。予約が取れない日もありましたので、水曜日と木曜日の計五日間となってしまいますが、日程は金山剣術稽古会のサイトでご確認下さい。

 
 本日は暫く行けなくなる新宿スポーツセンターでの一人稽古。
 昨日気が付いた新たな展開の抜刀術を稽古した。直立姿勢から構えと抜きを一調子におこなうことは難しい。だが、何本かに一本は求めている実感に近いものが感じられたので、もう後戻りせずこのまま次の感覚を養っていくことに躊躇など無い。

 構えを通って抜きに発していくが、足などの動きがある分、これまで静止状態でおこなっていた身体の使い方との違いが見つかるものもあった。 それにしても、自らの下手さ加減が良く解る。しかし、これまで長く構えから練ってきた身体の使い方とそれらを統御する感覚が無くては出来ないものである。

 これを一から始める人にお伝えするのは無理である。そのため、これまで通り講習会などでは構えた状態から抜刀する稽古をお伝えしていかなくては、混乱と諦めになってしまう恐れがある。まずは、私がどこまで出来るようになるのかを修錬し、何れ進んだ方と共にこの稽古に入れるようになればと思っている。

 
 世の情勢は日を追ってテレビ等が不安感に拍車を掛けている。まあ、情報を伝える必要があるので仕方がない事であるが、受け止める側の我々が、どのように判断し行動していくかが大事である。まだ暫くは混乱が続いて行くだろう。そのとき自分はどう立ち振る舞って行けるであろうか。いろいろ試される時期である。


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2020年3月22日(日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-28(Fri)
 

抜刀術が根幹から変わる

 前置きなく書きたい。

 抜刀術が大きく変わる事になった。
 それは今日の稽古で色々な要因がまさに変わるための布石として今日この日に訪れたのだと思わざるを得ない。

 縛られていたものというのは全く気がつかないものだ。逆に、その縛られていたものを大事にしていたのだからなおさらである。

 色々な要素とは、これまでの理由の見当たらない違和感や、他人知人からの間接的な情報、最近出来るようになった抜き方からのヒント、修正のない予測の習得、そうしたことがこれまではやろうとも思わなかった「何も構えていない状態からの抜刀」に気付かせて貰うことになった。

 抜刀術は、止まっている間の方が稽古時間が長く、その各構えの中で如何に手続きと状態把握が行われているかが稽古の稽古たる部分であると考えていた。しかし、果たしてその構えとは実戦的であるのか?実戦的な誘いとなっているのか?ということを検討してみたときに、「勿論、誘いであることは誘いであるが、本来の誘いの掛け方は見え見えのものではなく、フトした瞬間に誘いに感じられる、または誘わずとも相手の起こりから予測される太刀筋への反応が、構えていない状態からでもさまざまに抜けなければ実戦的ではないのではなかろうか?」という思いが湧き上がったのである。

 そのことが一番の抜刀術の変革につながる要因と言えるだろう。

 しかし、数年前にも同様の事を考えたが、起こりがハッキリと生じ時間が掛かってしまうため、構えからおこなうものであるという考えを切り捨てることは出来なかった。だが、今日の稽古で数本試みた結果、構えから始まる抜刀よりも、直立した状態から構えと抜きが一調子におこなわれると、それは捉えられないものになることが解った。当然構えから始めた方が物理的な速さは勝っていると思えるが、静から動へのコントラストが明確で、抜く手は捉え辛くとも、全体的な風景は眼に納まりやすい。

 直立した姿勢から構えを省いて抜きに移ることは不可能であるため、抜く前に構えとなる道筋を辿らなければならないが、その構えに対し、修正なしで身体が整う状態を信頼し動けるかという予測力もこれまでの稽古の実感が大きく影響している。すなわち、これまでやってきた事が、今回の抜刀への試みに気づかせてくれた実感であり、直立姿勢から構えに納まるまで極力修正せず整えられるか、ということを2017年以降取り組んだことが大きく関連している。今回まだ数本しか抜いていないが、もう今までの抜き方を身体がやりたくなくなっている。直立姿勢から構えに移行し抜きに入るまで、どのような速度でおこなえるのかが今後の研究課題であるが、速く動きすぎると構えが乱れ結果抜きが悪くなってしまうだろう。これまでさんざんおこなってきた構えからの抜きの感覚を手がかりに、どのように構えに移っていけるのかが非常に難しくもあり身体が待ち望んでいる部分でもある。「ヌルッと刀を抜く」という表現を聞いたことがあるが、今ならその表現の意味が少し解るような気がする。決して、眼に納まるようなただユッタリとしたものではなく、良く解らぬまま抜けるために今後は工夫していきたい。それにしても、このことに気がつくまでかなり年月が掛かってしまった。だが、その年月がなければ自らの身体でこのことに気が付かなかったことは確かである。


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2020年3月22日(日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-28(Fri)
 

『杖整体操』開催のお知らせ

2020年3月22日(日)に 『杖整体操』おこないます。 

この体操の目的とするところは、気持ちよさの中で身体が整っていく調整が成される所にあります。その気持ちよさには、杖という一本の丸棒が腕の重さによる負担や心的ストレスを和らげ、バランスの乱れた姿勢を整えやすく出来るところにあります。

この体操には、痛みを堪えて伸ばすことや頑張りは必要なく、ただ気持いいところを探しながらその位置を見つけた時に、温泉に浸かるような感覚で留まりリラックスするだけです。

元々は私の身体の調整法の為に考案したものですが、これまでにない身体の心地良さと痛みを堪えることなく気持ちよさのなかで身体の詰まりが取れ、疲労やそれに伴うストレスが抜けていく感じが得られたことから、講習会や稽古会等で色々な人を対象におこなってきたものです。それぞれの反応を受け、内容を整理しより効果的に身体の心地良さとリラックスが得られるための講習会を開催しようと至った訳であります。

ヨガの要素や、体操の要素、整体の要素も、この杖整体操には含まれておりますので、カラダの硬い方やカラダが凝っている方、精神的になかなかリラックスできない方、武道に関係なく会社員の方でも安心して簡単におこなえるものです。頑張らずに心地良さの中で身体が整う講習会ですのでご関心のある方は一度ご参加ください。
(動きやすい服装で大丈夫です。貸し出し用の杖はご用意してあります。)


2018.11.22 杖整体操

2018.11.03 杖整体操④


【開催日】
2020年3月22日(日)


【開催時間】
15時00分~16時30分


【会場】
品川区総合体育館 柔道場


【参加費】
2.000円


【お申し込み方法】
Gold Castle 殺陣&剣術スクールのホームページ、または「こくちーず」より下記の内容を明記してご連絡下さい。
①「氏名」 
②「年齢」 
③「性別」 
④「杖の有無」 

上記の内容を確認しましたら、こちらより折り返しご連絡させていただきます。

2020-02-26(Wed)
 

魔の落ち込みに誘われない身体への興味

 本日の「クラーチ剣術教室」では、一週間前と状況が変わり、私も皆さんに移すようなことが合っては一大事であると、体温を測って家を出ました。35.8度でありましたが、会場に着いても受付で体温を測りましたが、おでこに照射し一瞬で体温が測れる器具には驚きました。ほぼ同じ体温でしたので問題なく入室いたしました。

 私自身が感染することは全く恐れていないのですが、とくに高齢者のみなさんへ移してしまうことは、絶対に避けなければなりませんので、その辺りには念を入れて気をつけております。それでもこうして講習が続けられるのもありがたいことです。私はオリンピックに対して関心をもっておりませんが、今回のウイルス事案は世の中が一体なにを大事に考えているのかを浮き彫りにさせる事案であると思われます。過去の東京オリンピックと現在の東京オリンピックの意味に大きな違いがあることは私が言うまでもないことですが、今回の件も含め、そしてオリンピックが終った後、なんだか良くわからないままに盛り上がりに便乗した先に何が待っているのか、そこに「それ見たことか」と微かな期待はあります。流行や盛り上がりには、必ず何かを置き去りに突っ走っていく気配があります。勿論そうした流行や盛り上がりによって得られるものや生まれるものもありますが、肝心なことはそこよりも、基盤であるものを疎かにしないということが何事においても肝心でありますので、そこに失敗する前に気が付けることが賢明なのです。

 
 本日の講習では、さいきんのパターンとして、開始前にすでに前回の内容を自主練習されておりますので、「じゃあ、それをやりましょうか」とその内容を行うようにしております。今週も杖では「轟之型」をおこない、それぞれにポイントなどをお伝えしながら進んで参りました。
 続いて、数週間ぶりに「三十連円打」をおこない、後半の二十五番から三十番までを集中的におこないました。

 剣の方では、「柄奪り反し斬り」と「赤城の山」をおこないました。柄奪りの方では、足運びとの連動をお伝えし、赤城では、刀の抜き方から、剣を上げる際の角度など細かく点検して参りました。

 今年は11月に文化祭に出ると発表いたしましたので、それに向けて皆さんも熱が入っているのを感じます。お二人の方が稽古着を揃えられ、四名の方が稽古着に着替えて参加されるようになりました。しかし、先々週にSさんが自宅のお部屋でベッドから落ちて鎖骨を骨折し、今日も最後に見学に来られましたが、痛みはないもののしばらく腕は使えない状況ですので、お休みとなってしまいました。時期的に今で良かったと前向きに考えれば、また復帰されましたときに文化祭に向けて励んでいただけるのを楽しみにしております。

 Mさんは、ずっと左肩が上がらない状態でしたが、今日最初におこなった杖の体操で「大の字」を行った時に、普通に両手を上げることが出来ておりましたので、思わず「Mさん、左腕は痛くないですか?」と訊いてみたところ、「ああ、もう気がついたら手が上がるようになっていました。」と仰られ、これまでは、片手で上げていたり、少し良くなったときは左手をかるく添えるようにしておこなっておりましたが、今日は完全に左右同じように杖を支えて上げられておりましたので、「おおっ!」っとお声掛けいたしました。

 身体の具合は、良いときもあれば悪いときもありますが、ハッキリ言えますことは、適度な運動が出来るのであれば続けたほうが良いという事です。どういう運動内容になるのかはその方々の出会いに関わってきますが、運動は目的でありますが、その目的は結果としての目的になるようにおこなうことです。

 分り易く言いますと、長く楽しく効果的に成果を出すには、運動をするという意識ではなく、何かが出来るようになる、何かを作る、どこかに行く、誰かに何かをしてあげる、というような自分の運動するという一番の目的以外の優先順位を一番に上げることです。

 そうすれば、「運動?そういえば運動だけど、そんな事考えずに身体の使い方や手順のことで頭が一杯よ!」といような感覚になればしめたものです。ですが、身体の調子がいい時は元気に色々な動きが出来ても、一旦病気や怪我などでお休みされてしまいますと、一気に気持ちが落ちて弱気になってしまうケースが考えられます。そういう「魔の落ち込み」が突然やってくるものですので、そこで関門を突破できるか、そこでリタイアしてしまうのかで、その後の健康寿命にも影響を及ぼしてしまいます。そうなりそうなときに支えとなるのは、実際にそれらを乗り越えた方々の経験からなる言葉です。今回Sさんが骨折の中では軽症とされる鎖骨の怪我でしたが、見学に来られるほど意欲は衰えておりませんので、復帰されたあとに、その経験を他の「魔の落ち込み」が訪れた方に、精神的な支えとなってくれるものと想像しております。

 
 昨日の『杖整体操』の影響で、私としては珍しく深夜0時前に就寝いたしました。今日参加された方お二人にお会いいたしましたが、お二人ともすぐに眠れたそうです。私の場合、普段の稽古時には身体のモードを切り替えなければなりませんので、杖整体操と逆のスイッチを入れる内容をもっと具体的に考案というか選定しておく必要があります。アソビを取るような、狩が始まるような感覚というか、それは連日の杖整体操により必要であると個人的に思い始めたところです。そしてそれが瞬時に切り替わるようになればいいのですが、杖整体操への信頼が確立した今、今後の課題として稽古に向き合いたいと思います。

 本日もみなさまありがとうございました! 


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-25(Tue)
 

三日連続の講習は杖整体操で締める

 連休最終日となった本日は品川区総合体育館柔道場で『杖整体操』の講習をおこないました。

 講習といいましても、簡単なものですので、どのように行えばいいのかを知っていただくだけで後はご自身で簡単に取り組めるものです。ただ相手に動かしてもらう内容につきましては一人では出来ませんので、講習で人にやっていただくと独特な気持ちよさが訪れます。しかし、誰でもその気持ちよさが訪れるかと言えば、そうとも言えませんので、身体を観ることに慣れている、もしくは何かの経験を当て嵌めずに、純粋に身を委ね探ることが出来るかにも掛かってきます。気持ちいい所が悪い所でもありますので、逆に言えばあまり気持ちよくなかった場合には、気持ちの良かったときに比べ状態は悪くないということでしょう。

 毎回参加いただいている常連の方は、完全に自分でやり方と留まり方を掴んでおられますので、終った後は立ち上がるのも直ぐにできない脱力の状態となっておりました。

 やはり広い空間と畳の上で部屋を暖かくしておこなうと気持ちのいいものです。私も帰りは下駄を左右間違えて履いていると思うほど、足裏に掛かる重心が整っておりました。歩く際にも急ぐ気にならず、ゆったりと五反田駅まで歩きました。

 次回は3/22(日)15時00分~16時30分 品川区総合体育館柔道場でおこないます。同会場で12時00分~14時00分まで講習をおこなっておりますので、続けて参加される方にはより気持ちよくなっていただけるものと思われます。杖整体操特有の気持ちよさをまだ実感されていない方には、ぜひ一度体験されることをお勧めいたします。本日もお越しいただいた皆様ありがとうございました。


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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2020年2月 武術稽古日程

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甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-24(Mon)
 

楽しさと興味。 どう導いていけるか

 本日日曜日のGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習では、体験参加者がお二人お越しになられました。昨年暮れ頃から正規受講生になられる方が続いており、長期休講される生徒とバランスを保つかのように維持しております。

 安定開催を続けるという事はおそらく大変な事だと思うのですが、ご縁に恵まれ当スクールに訪れて下さる方々のおかげで毎回講習内容を考え、どのようにすれば生徒達や体験参加の方が納得出来るか、それらのバランスをどのようにおこなうのか、緊張感を保ち考え続けられることが日常の一部として習慣となっております。

 講習会と稽古会の違いというのは、伝える側と伝えられる側との間にある無言の会話です。

 稽古会のように講習会をおこなったこともしばしばありますが、やはり反応が違ったものになってしまいます。講習会では、講習会の伝え方がありますので、それをどのように私自身一段階上げていけるかが、毎回の講習後に感じているテーマでもあります。

 今日の殺陣クラスでは新しい内容を多く取り入れました。
 最初というのは誰でも全てを覚えるところから入りますので、大変な部分もあったかと思いますが、今後も今日おこなった内容を選定しながら順次お伝えしたいと思います。

 簡単なセリフを付けた「一対四瞬殺」では、セリフが入ることでタイミングや、そのリアクションによる見せ方の意図が明確になってきますので、これをおこなったグループは楽しみながら取り組んでいただけました。

 杖術クラスでは、基礎的な打ち込みや突き、単体技などをおこないました。
 これが体に入ることにより技に用いることができますので、考えながらおこなうことを徐々に考えなくても出来るように、それでも常に何かしらを考え続けているのですが、シンプルな動きでは考えをドンドン進めて行けるように、考えが停滞しないようにおこなうことが重要です。私も少し口が厳しくなることもありますが、後半集中が落ちてきたときや、その稽古の目的を察知していない場合などは、少しピリッとしていただくことも御座います。

 それでも一番集中していただける事は楽しさのある稽古ですので、目的が分かり易く、見た目に興味をそそられる内容が、多くの人たちを対象におこなう講習では重要なファクターとなります。

 稽古会の場合、マンツーマンやそれに近い状況ですので、興味に対する眼の向きどころがより繊細な箇所に及ぶものと思われます。講習会のように人数が多い場合、「私だけが勝手に違うことを考えては…」というような、皆が一様におこなっていくことが習うという事であると解釈されてしまいがちなのかもしれません。もちろん自分勝手に全然違うことをやってしまっては私の講習会の場合上手く行かなくなってしまいますが、同じお題の中で自分なりの考えを持って動いてみたり質問されることは大いに歓迎しております。もしかすると私が提案したものよりも良いものが見つかることもあるかもしれませんので、そうした人が一人また一人と現れてくれることを楽しみにしております。

 本日も三連休の二日目、世間では外出を控える風潮にある中、お越しいただきありがとうございました。明日は15時30分から品川区総合体育館柔道場で「杖整体操」の講習会をおこないます。貸し出し用の杖も御座いますので現状当日参加でも大丈夫です。私も明日は自分の身体を労うつもりで声のトーンも下げユッタリと行わせていただきたいと思います。


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-24(Mon)
 

本日はSさんが正規受講生となられました

 夕方からは荒天となった本日土曜日。強風を警戒してお休みされたOさんの言葉どおりとなりました。後期高齢者で体重30kg台前半のOさんにとりましてはご本人もおっしゃっておりましたが命取りとなりますので、このようなご判断は賢明であったと思われます。

 そして本日はそのOさんよりも先輩のSさんが正規受講生となられました。書道の先生でもありますので、学ばれることについての真摯さには私も見習うべきものがあります。ゆっくりと焦らずに、出来ることよりも(出来るようになりたいと思われるでしょうが…)考えながら、悔しさを持って取り組んでいただければと思います。

 ひさしぶりに「悔しさ」という言葉が出て来ましたが、前述のOさんも六年程前は出来ないことに悔しさを持ち続け、決して諦めずに粘り強く取り組んでいただきました。お身体のこともあり、休憩を挟みながら体調に合わせておこなっておりましたが、こうして考えて見ますと、今は、休憩も皆さんと同じタイミングでしか取ってなく、内容も全く同じことをやっておりますので、それが当たり前のようになってきておりますが、よくよく考えますと「大変なものである」と思います。運動を楽しむ程度という感じは一切無く、尤も私もそのように受け止めておりませんでしたので、その日に出来る内容で悔しくなるような(結果としてですが)塩梅の内容を即興的に考えてお伝えしておりました。本日生徒になられましたSさんも、当時のようにマンツーマンでおこなえる時間はありませんが、まずは最初に得物に慣れること、とにかく触れ続けることが大事ですので、諦めなければ必ず成果は訪れますので、私もその日の内容を考えて丁度良い塩梅で悔しくなれるように動きをお伝えしていこうと思います。

 今日の講習でも、そうした「悔しさ」はあったかもしれませんが、冷静に考えますと、皆さんと同じ時間動いて最後まで集中して取り組み続けておられますので、周囲に惑わされなければ自ずと結果はついてくるでしょう。Oさんも待望の同世代の方が生徒になられましたので私といたしましても良かったと思います。

 講習ではカンペル平面とフランクフルト平面について少しお伝えいたしました。まあ、お伝えしたという程のものでもないのですが、これは随分前に中村考宏先生(えにし治療院院長/スポーツ&股割り研究所所長)や中島章夫先生(動作術の会)の講習会などで耳にした記憶があったことから思い出したものですが、顎の角度というのは以前から気になっていた部分であり、私の場合は五年程集中的にボクシングをしておりましたので、顎を引くということが武術を始めた当初は体に染み付いておりました。

 現在はボクシング歴よりも武術歴の方が倍以上となり、顎を引くことや床を蹴るという染み付いていた癖は完全に消えてしまいましたが、それでも顎の角度についてはまだまだ改善の余地はあるなとずっと感じておりました。

 これにつきましては、ボクシングをやっていなくても、私が講習などで多くの人を見ておりますと、やはり顎を引きすぎる下を向き過ぎる癖というのは多く見受けられます。こうして書いてしまいますと、生徒の何人かは「ああ、私のことだ!」と思ってしまうかもしれませんが、一部の方だけではなくかなりの方が(私も含め)顎の角度についてはまだまだ何かに誘われてしまっていると考えます。

 心と目線、目線と顎の角度、顎の角度と姿勢、さまざまな関連があると思いますので、今一度動きの中で点検してみるとよろしいかと思います。とくに「三十連円打」など覚えてしまった動き(覚えているところまででも良い)の中で、視線や顎の角度、その他に余裕があれば重心移動を滞らせないこと、踵を上げないこと、など動き方の癖を改める稽古には最適な内容であります。

 以前にも書きましたが、覚えたところがゴールではなく、覚えたところからようやく稽古に入れます。講習中にも言いましたが、「得物の動きに興味を持つのではなく、それを操っている身体そのものの状態に興味を持ってください。」というふうにお伝えいたしました。目に見える表面的なものは、最初の段階であり、なるべく早くそれを脱し見えない部分の働きに関心を持てるようになることです。
 先日の木曜日の稽古でもお話いたしましたが、「見習うということの大事」には、見続けることで、その見たものが自分の身体を通してどのように働かせることが出来るかを模索し始めることに大きな意味があるのです。単に見たものを考えずに同じように動けても、それは身体の使い方に脳を通したものではなく、ショートカットして視覚情報から、安易に動こうとしてしまうことの弊害を避けるために見て習うということを大事にされているのだと思います。

 今日は二週続けて体験参加にお越しいただいた役者のKさんには、シンプルな単体技をお伝えしておりましたが、なかなか苦労されており、お伝えするのは簡単でしたが、「間違えている理由は分かっていますが、教えません。」と笑い混じりにお伝えし、あまり動きも見せないようにして考えていただきました。その後直ぐに出来るようになりましたが、最初に時間を掛けてでも自ら手繰り寄せた感覚というのは、動きが出来たかどうかよりもその時期は大事なものですので、出来ない時間を大切に見てあげられるかが講師としての私の仕事の一つとも言えるのかもしれません。

 カンペル平面とフランクフルト平面ですが、歯学の中で用いられる基準平面のことであり、カンペル平面とは顔を横から見た線だけで表しますと、鼻下点から耳珠点を結んだ線であり、フランクフルト平面とは眼窩下点から耳珠点を結んだ線ということになっております。歯学的見地ではなく姿勢という観点から考えますと、フランクフルト平面に比べカンペル平面のほうが、脊柱起立筋や僧帽筋の緊張が和らぎ、気道が広がり呼吸も楽になります。身体の抜けている状態を求めるなら、この顎の角度というのは意外にも心理的執着が邪魔をしている場合も考えられます。感覚的に鋭い方はおそらく自然に顎の角度も整ってくるものと思われます。
 しかし、実際にどの角度がいいのかはその状況により様々であると思いますので、自らの中で日常の基準値として緊張と呼吸が楽になる位置をあらためて探ってみるのもいいかもしれません。そうなりますと、私の場合カンペル平面とフランクフルト平面の中間位の角度が丁度良い位置になります。
 顎の角度一つとりましても意識して動くという事は難しいものですので、身体各部の最適化を図っていくには、これまで覚えた動きをテキストとし、動きの精度や調和感覚、重心位置などこれまでと違った観点で取り組んでみられることをお勧めいたします。

 本日も充実した講習となりました。明日も品川区総合体育館柔道場で12時よりお待ちしております!本日もありがとうございました。


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

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金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-23(Sun)
 

表裏は常に一体のもの

 天変地異や今回のコロナウイルスによる感染など、人々の命を脅かす出来事は誰にでも起こりうる可能性を持った出来事である。日常とのギャップが、それまで現実逃避していたかのような本来の現実の一部として人類が止められない形で姿を表すと、いつの時代でも人々は不安に騒がしくなるものである。

 何事も備えあれば憂いなしであるが、備えがなくなっても憂いなしでいたいものである。損得勘定だらけの世の中で、憂いなしで生きていくには、そのことを早いうちから見極めて欲を夢と履き違えた時間の浪費にしないためにも、何事にも気持ちの整理を付けられる状態でありたいものだ。

 
 さて、昨日の金山剣術稽古会の稽古では、脚部に負荷の掛かり過ぎる運動をおこなったことで、帰宅後かるく走った際にふくらはぎに嫌な張りが感じられた。数年前にも同様なことが関連していたので、私の数年に及ぶふくらはぎへの問題解決法として、昨日の衝撃が強すぎる運動を今後は見直さななければならない。それはつまり衝撃を吸収しない着地のことである。

 蟹や雀は問題ないが、蛙はやり過ぎると良くない。しかし衝撃を吸収し深く沈みこんでいるので、よほどのことが無い限り傷めるリスクは少ないだろう。問題は、足首を固定しフラットな足裏のまま繰り返しジャンプし、ドンドンと大きな音と共に繰り返し飛び跳ねることである。強烈な自重が身体に掛かり、骨が強くなる運動として欧州の方で似たような動きをおこなっっていたが、これを靴を履かずに高く跳んでやっているので、ふくらはぎへ過度の衝撃が掛かっていたと思われる。

 なぜこんなことをやっていたのかというと、鼠蹊部のバウンドを利用した重力の反発を全身で感じ、それを身体の感覚として感じるためである。それをやっていると、真っ直ぐに落下した際の重力の地に掛かる威力に、(その威力のためにやっているわけではないが)何度かこれを続けたくなる感じがあり、それを極々小さくするまで徐々に加減していく中で応用出来る部分もあるからである。やってみなければ分からないことや、無意識(小脳)に落とし込むことでいつしか出来るようになるものもあると思われるので、感じたものというのは導かれるままにやることが多い。

 剣術では、構えによる得手不得手なものがあり、例えば、相手が上段であれば脇構え、脇構えであれば八相、八相であれば正眼、正眼であれば下段、下段であれば八相というのが、昨日の稽古で感じ取れた。尤もそんなものではないことは百も承知であるが、上段の優位さについては昨日の段階では検討する時間がなかったが、これまでの稽古においても剣術では八相や下段からの攻防(打太刀は正眼もあるが)がほとんどであり、下手に戻って(今でも下手であるが)各構えにおける、有意性を確認したいと思った。ありがたいことに、平日の私の稽古会ではそれが出来る環境にある。出来たものを伝えようとつとめてきたが、出来るまでの過程を共におこなうことも大事である。それは自らを信じなければならないことでもあるが、残念な思いをさせずにその瞬間に訪れる何かを共有したい。

 明日は、戸越体育館剣道場で12時30分から杖術の講習をおこないます。三連休の初日となりますが、私は三日間連続での講習となります。この三日間、二日間、一日でも、訪れていただける皆様と共に良い講習にしたいと思います。


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
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金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-21(Fri)
 

冷めない活動であるために

 このところ少しずつ身体が変わってきているのを感じる。感覚は日々少しずつであるが、身体そのものは時間が掛かっているが何かしら変わってきている。首と右肩、さいきんは左肩にもやや痛みが感じられるようになっていたが、杖整体操で徐々に状態が戻って来ているのを実感。気持ちのいいところが悪いところというのは私の身を持って確信している。動けないほど気持ちの良い所はなおさらだ。

 この10年で体脂肪は1%~2%増えたが体重は7kg前後増えた。最も少ないときと比べると10kgは増えている。以前は食費もままならなかったというのもあるが、食事量を抑えて体重管理に努めていた。ボクサー時代からの体重管理は癖なのだろう。癖というものはなかなか直るものではなく、居合刀を二尺七寸にしたことで体の芯を強くしなければ故障してしまう予感があったので、これまでの長年の食事制限を解除し、食べたいだけ食べるという考えに切り替えた。

 しかしそう簡単に身体は大きくならず、今まで制限していたのは何だったのか!と思えるほど体重は変わらなかった。稽古したり走ったりしていたので、エネルギーとして使われてしまっていたのだろう。さらに講師となって指導にあたるようになり、頭の中がフルに動いている状態なので、この脳内のエネルギー消費量にも馬鹿にならないものがある。

 数年経ってようやく身体が受け付け始めたのか少しずつ体重が増え始め2kg安定的に増えるのに半年から一年程掛かったと思う。その積み重ねでようやく7kg前後増えた。それは私が望んでいたことであるが、今後体重がどうなっていくのかは分からない。おそらく増えてもあと1~2kgだと思うし、もしかするとある時期から今よりも少なくなるのかもしれない。今はとにかく、未熟なりに揃えるものを揃え、その感覚を知り、そこから次への段階へと向いたい。

 
 稽古記事に入る。

 火曜日の「クラーチ剣術教室」では、Sさんが自室で怪我をされこの日は見学となられた。六年目となりますと、これまでに転倒や骨折、さまざまなご病気でお休みされながらも復帰された方々もいらっしゃいます。現実にはいつまでも元気でという訳には参りません。しかし関わるという事は、その人に対する思いが、関わっていない人と比べ全く違うものですので、感情を動かされますし、少しでも元気でいてもらいたいというのが人の情というものです。気持ちの部分というのは生きる意欲にも大きく関係しますので、僅かでも私の活動がそこに貢献出来るよう励んで参ります。

 Gold Castle 殺陣&剣術スクールや金山剣術稽古会、そしてこのクラーチ剣術教室におきまして、「冷めた気持ちで出来ない!」というのは私の性分でもありますが、冷めてしまった環境では私自身の生きている時間を無駄にしてしまいますし、自らがおこなっている活動に冷めてしまうようなことがあっては、何のためにやっているのか余りにも虚しいものです。一人でおこなうことというのは、冷める状況になりにくい(ならない)ということでもありますので、おそらくこれからも関西の川原田氏のような私以上に熱い思いで講習を考えている方との活動は別として、自らの活動を長く続けていくためにも冷めない状況であることを優先的に選んで、人付き合いをして行かなければならないと思います。

 
 そして水曜日は戸越体育館にて渡部氏と稽古。

 今日はひさしぶりに殺陣の研究稽古をおこなった。このなかで、次回の講習でおこなう内容を検討し、突きに対する剣の扱い方や体捌きを幾つかお伝えする予定。さらに、これまでに無い動きを作ったのでこれも次回23日の講習でお伝えしたい。間のタイミングを掴む内容ともいえるだろう。もう一つおまけに、以前からあたためていた「一対四瞬殺」に簡単なセリフを付け、そのタイミングにより、この動きが面白く引き立つものになると思うので、これも23日の講習でおこなう予定。したがって23日の殺陣クラスはかなり面白く新鮮な講習となるだろう。新しい生徒達もそうだが、数年おこなっている生徒達には楽しめるはずである。

 続いて体術稽古をおこなった。今日は先日月曜日にフト考えた小太刀の「引込み潰し」を応用した潰し技を渡部氏にも受けていただく。意外に止められるかと思っていたが、思わず「ワァ!」っと声が出てしまう瞬間があり、そこにこの崩しの興味深いところがあるようだ。小手返しのような手首を極めての潰し方も幾つか試みたが、関節を極めておこなうことは極めて有効であるが、私があまりそうした稽古をしていないせいか、それはそれで覚えておき、未熟な内は安易に関節を極めず、もっと知らなければならない原理を探さなければならないような気がしている。
 
 その他にも得られたものはあったが、それはさておき最後は杖整体操でいつものように稽古を終えた。右肩の痛みが痛気持ちよいところから、さらに気持ちよいところにジーンと集中と合わさり、しばらく留まっていた。一度体勢を立て直すために解いたが、再度そのジーンが訪れることはなかった。ああ、勿体無い!

 講習などでは、基本的な姿勢をお伝えしておりますが、日によって身体の状態が違いますので、何度か経験されている方は自由に形を崩して、または編み出してやっていただくとより効果があると思います。講習では後半にその時間帯を設けております。

 何度かインフォメーションしておりますが、2/24(月/振休)15時30分~17時00分に品川区総合体育館柔道場でおこないます。私も少しずつ講習でおこなう内容と流れを整理してきましたので、安心して次回の講習も進めたいと思います。貸し出し用の杖にもまだ余裕がございますので、興味のある方はご連絡お待ちしております。


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-20(Thu)
 

予測と無意識

 先週木曜日は高田馬場にて杖術「旋打」を千回おこなった。尤も数のためにやったのではなく、現在の身体でどのような状態になるのかを味わってみたかった。

 六分ほど掛かったが、止まらずに動き続けるため、六分前とその後では「ここまで状態が変わるのか」という程の、汗と呼吸の乱れを感じた。以前は翌日足腰の方に筋肉痛が訪れたが、今回は肩回りに訪れた。身体全体を動かすので部分的に張りが出たり感覚が狂うような事はなさそうだ。たまに自分に喝を入れたいときにおこなうといいだろう。

 そして本日月曜日は高田馬場で竹田氏と稽古。

 昨日日曜日の講習でおこなった小太刀による「引込み潰し」が素手では出来ないだろうかとフト頭をよぎり、何となく出来そうな気がしたので、ほどなくして訪れた竹田氏と脚部鍛練稽古のあと、さっそく素手による引込み潰しを試みた。

 すると、予想通り腰下が不安定になり膝が折れ崩れる結果となった。当然それだけでは解らないので、やり方をお伝えし、何度目かに私の膝も弛んだので、これは他の人でも崩れるだろうと、次回の体術稽古で大いに検討したいと思っている。

 その流れから、手首の角度と崩しの方向に興味が湧き、小手返しのような形で、小手返しとは異なった体制から崩すこともおこなってみたが、利くことは利いたがこれはもっと慎重に色々な事を考えてそのなかから何かを掴みたいところ。引込み潰しの興味深いところは、関節を極めることなく、身体が腰砕けになったように崩れることである。まだ今日の今日なので点検不足な箇所があるかもしれないが、最近は体術でもそうした訪れが徐々に出始めているので、尤も以前からあったが、その内容がより興味深いものに変わってきた気がする。

 竹田氏との稽古では、質問が私の何かに響いてくるものがあるので、思わず話し込んでしまうことも少なくない。今日は、ギリギリに杖の先端部を喉元に突き付ける際に、「どうやってギリギリに付けられるんですか?躊躇とかないんですか?」と訊かれた際に、中心を取られた際の竹田氏の反応に対する要因と合わせて、「何も考えずにやっています。目で見ながら調整する時間などありませんので、そこに行くぞと思うだけで、あとは自然とそうなっています。」と、あまりにも説明になっていない私の言葉であるが、このことは昔から自分でも考えたことはあり、ギリギリに斬りつけようとか、突き入れようというのは考えてなく、結果としていつもそのようになっている。これは何度やっても自然とそのようになるものであり、そう言えばなぜなんだろうか?と今日はその事に付いて考える機会となりました。

 それはおそらく、「最終の形を無意識的に予測している」ということだと解りました。

 予測とは経験からの予想でもありますので、その経験を重ねた身体の状態を無意識の内に想定し、その最終形への計算が合っているのだと思うのです。ですので、悪い予測イメージを植え付けられてしまうと、まるで催眠術でもかけられ続けているかのように、ある動きに対して過敏に反応してしまうのです。

 これは何度も例えに使っていますが、階段をスタスタ下りられるのも無意識の計算を脳がやってくれているからであり、足に掛かる衝撃の計算を予測の中で整合させているのです。階段を下りるという事は日常的におこなっておりますので、「当たり前」のことですが、剣術や杖術では、ギリギリに剣先や杖先を突きつけるということは、「予測を育てる稽古」が関わってきます。

 ここに瞬間的に剣先を奔らせたい、杖先を突き入れたい、という静から動、動の中、動から静、それらを点検しながら、常に進展を探る眼を持って取り組みます。

 今日の言葉の中で出て来た事は、違和感は予測の無意識が意識と表れ訴えかけているものであり、それはとてもありがたい事であり、心地よさを感じられる手続きの変更、それにともなう一手間の出し入れと動作の見直し、などから予測の無意識を育てることに繋がっているのだと思います。

 シンプルな動きの中から、予測を育てる(無意識の計算力を高める)稽古の継続的な進展が、その人にとっての基本の動きとなるのではないでしょうか。これは金山剣術稽古会のホームページ「今日の気づき」にも書きましたが、違和感となって進展を促す身体からのサインも、基本がいつまでも変わらずにいれば、その身体からのサインを無駄に足を引っ張られ続けてしまうことになってしまいます。基本がその人にとって無意識の計算力を高める(階段をスタスタ平気で下りられるような)ものであれば、その基本は、その人のさまざまな動きに関わる基盤となり重要なものとなりますが、「基本」という言葉の雰囲気に従ってしまいますと、それをやり続けることが全てに繋がっているかのような勘違いをしてしまいますので、基本も進展し続けていかなければならないものであるということを、忘れてしまってはならないのだと思います。

 こんなことを思ったことはないでしょうか。
 道を歩いていたり、ランニングをしている際に「あの段差を右足で跨ぐのか左足で跨ぐのか…ああ、おそらくこの感じは右足だろう。」というような予測との整合確認。

 これは数メートル先なら大体当てることが出来ます。とても何歩目は右足か左足かは意識して計算できるものではありませんので(相当訓練すれば出来るかもしれませんが)歩いたり、走ったりしているなかで、身体がその地点の足を予測し、この先が面白いところですが、それを違和感か否かで感じさせてくれるところにあります。(当然ですが、止まってしまいますと、そのセンサーは全く機能せず、何も分からなくなってしまいます)

 数秒後の未来を違和感か否かで感じさせる無意識の計算力もまた人間の持っている能力ですし、そのような計算力を育てる稽古というのが稽古の核になっていなければならないような気がしております。

 今日も得るところの多い稽古でした。竹田氏が帰られた後は、45分間一人で杖整体操をおこないました。来週24日月曜日(振休)に品川区総合体育館柔道場にて15時30分~17時00分の時間帯で杖整体操をおこないます。副交感神経が優位になる講習ですので、そのなかで自律神経にも働きかけるものがあるでしょう。私の実感としてはみぞおち辺りに心地よさの火種が残っている感覚がありますので、太陽神経叢の辺りは神経細胞の集まりが各臓器に放射状に伸びておりますので、私のみぞおちの心地よさの実感はこれに関係しているように思います。初めての方は、楽に気持ちよくなる時間を得ていただき、常連の方は私が最近感じた、みぞおち辺りの心地よさが本当に感じられるものなのか、私としては興味深いところであります。

 果たして人間はどこまで無意識で予測ができているのだろうか。


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2020-02-18(Tue)
 

興味が自発性を生み出す

 本日のGold Castle 殺陣&剣術スクールは、2ヶ月半振りとなる深川スポーツセンターでの開催となりました。

 殺陣クラスの講習では、柔道場ということもあり急遽倒れ方をお伝えし、手を付かず鞘を下敷きにせず衝撃を吸収しながら自然に倒れる方法をおこないました。

 これは一度集中して稽古いたしますと、かなりの方が身に付いて来ますので、その後の立廻りで倒れる際に安全かつ見栄え良く指定の位置へ倒れこむことが出来るようになります。サポーターなどの保護具を付けなくとも出来る方法ですので、身に付いておりますとバリエーションが幾つかありますので何かと重宝いたします。

 生徒達には立廻りタイプMをおこなっていただき、新しく生徒になった生徒達には「万乃型」や斬り結びと受け、鍔競り合いからの突き飛ばしなどお伝えいたしました。

 タイプMでは最後に全体で通していただきました。アングルや間合いなど、以前と比べて良くなりました。姿勢や、大事な瞬間の間と芝居勘というのは、センスと年期に関わってくるものですので見て盗むものとなりますが、こうしたものを掴むためには、主役の芝居だけではなく、絡みの脇役の芝居が、主役を演じるときに「ああ、そうなるのか。」と、対比で感じられるようになります。殺陣は、主役よりも脇役の芝居が成立に大きく関係してきます。下手に斬っても、上手にリアクションをしてくれますと良く見えるものですし、逆に上手に斬ってもリアクションが無ければ悪く目立ってしまいます。

 そのあたりのリアクションは当然のこととしながらも、立廻りの中で細かな修正を掛ける眼を持って動き続けなければなりません。間合いやタイミングのような主観的なものから、角度による、成立したか否かの調整は俯瞰的に観察しながらおこなわなければなりません。よって、斬り方、姿勢、体捌き、というものはすでに身体への準備ができているものですので、動きに入ったときに、どのように主観と俯瞰で見えているか、調整出来るかが立廻りの上手な人であると思います。

 おそらくこうしたことは現代劇のお芝居でも同じことなのでしょう。発声、イントネーション、表情、仕草などは基礎的に身についていなければならないものですので、主観と俯瞰でどのようにそのシーンを見ている人に印象付けるかが演者としての役割であります。(偉そうにすみません)

 
 剣術クラスでは、今回小太刀と体術をおこないました。

 小太刀では、入り身に入る小太刀の軌道が後方から回り込ませるようにおこなっておりますが、これは身体を引いていく効果もあることが解りました。この入り身だけでも両手両足がバラバラにい動いておりますが、左前足は前重心から腿を引き上げ落下するように前進し、右後ろ足は開きながら寄せて行きます。それは両足同時におこない、そのホンの僅か前に手元の操作が先におこなわれます。柄を握る右手は一旦引き上げながら弧を描くように額前へ小太刀を付け、峰を支える左手は、人差し指と中指の間に峰が触れる位置から、小太刀が弧を描く際に左手之内全体を回転させ、下向きだった指先が上向きとなるように、中指と薬指の間に峰が触れるようにいたします。これは感覚的に自然とそうなるようになっております。これら両手両足が全く別々の動きをしながら一瞬で間合いを詰め相手の振り下ろす太刀の下に入っていきます。正確には太刀が振り下ろされる前の鍔元寄りへぶつかって行くような感じとなります。

 中心を取る稽古では、どこで中心を測るのか、その後に続く「引込み潰し」では、引き込みで相手の腰下を崩し、同時に相手とぶつからない方向に移動させながら小太刀を使って潰していきます。このときの「引き込み乍行き乍」という乍(ながら)の身体使いが難しいところであり、またこの技の面白いところであります。

 体術では、思いのほか様々なことをおこないました。生徒達のリアクションが新鮮でありましたので、「ああ、これに興味を持って貰えるのか」と、思い込みが上手くいかない原因の一つであることをを考えさせられるような内容を幾つかおこないました。「触れ手落し」は旧バージョンでも新バージョンでも驚いていただけましたが、お伝えしても直ぐには出来るものではなく、そのあたりが稽古会とは違ってお伝えし辛い部分があります。まあしかし、今日は殺陣クラスでも剣術クラスの体術でも、それぞれが受動的にならず、自分達で考えながらやっておりましたので、興味という材料があってこその自発的行動でありますので、このことは今後も大事にしていきたいと思います。

 本日も雨の中、お越しいただきありがとうございました!


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2020-02-16(Sun)
 

一人稽古だからこそ出来る稽古

 ノートパソコンを使用しているが、この六年間外出先で使った試しが無くまたその必要性も無かった。昔のデスクトップに比べて現在は薄型で画面も大きいので、近日中にデスクトップに買い換える予定。

 先日は家電量販店に行きパソコンを見るもサッパリ判らなかった。しばらくは勉強する必要がありそうだ。それにしてもパソコンというのは高いものだ。

 その日は他にも新たな武道具屋に行ってみようと二箇所回った。

 木刀や、杖など確認し、お店の雰囲気や他の道具類を確認。結果としては、これといって良い出会いはなかった。また日をあらためて別の店を回ってみようと思う。

 
 本日土曜日のGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習は、戸越体育館剣道場にて一列に座っていただくのが一杯なほどお越しいただきました。土曜日にしてはめずらしく体験参加者と見学者合わせて五名いらっしゃいましたので、いつにも増して狭く感じる空間でした。

 今日感じましたことは、伝える側と伝えられる側との対応の遣り取りが、そこに求められる言葉を決めるものであるということです。そこで「なるほど!」というような言葉が発せられた場合には、伝えられる側の求めが場の空間とともにその言葉を引き出しているのだと思います。ですので、伝える側にとりましても、それを引き出してもらえることは自らの言葉ではありますが「気づき」となっておりますので、大変ありがたいものです。

 伝える側と伝えられる側の循環が、安心と信頼の中で自由におこなわれれば、互いに良い空間となり、それがさらに全体に広がっていけば、同じ技量の人でも、その時間内に感じたものはそうでない場の雰囲気と比べて大きな差があるものと思われます。ただ黙って聞いているだけでもなりませんし、考えもせず質問ばかりしてもそれは目的が違います。それには、互いの言わんとしていることが感じあえる中で、交わせる言葉なのかもしれません。

 今日の講習では、体験参加のグループには目を使いすぎないことと、生徒達には、バランスを崩す際のコントロールが出来るように普段の身体の反応を捨てるように、新たな動きに慣らしていくための方法などをお伝えいたしました。

 精度を高めるようにおこない、神経を使って身体を動かしたものは、雑におこなったものよりも精度が高まり、身体の把握がより感じられやすいものです。ある程度の段階まで神経を使い、そこからは考えずに同じようにできるか、そして、さらなる展開が訪れたときに再び神経を使って取り組むのです。これは勿論私が私に言っていることですが、常に進み続けていかなければそこで止まってしまいます。神経を使う部分と使わない部分、これは身体においての事だけではありませんが、その状況に応じた神経の使い方というのもまた稽古で身につける感覚の一つと言えるのかもしれません。

 例えば稽古に飽きてしまった。いつもの内容に興味が持てなくなってしまった。という方がいた場合には、それは稽古の方法がマンネリしているということです。とくに目を使って、目だけで姿形を確認している稽古と言うのは、実感を目で確認し、それで判断しているため、表面的な景色でゴールとしてしまいがちになっているのではないでしょうか。それはゴールではなく、入り口であり、ようやくそこから身体を通じて試行錯誤が始まるのです。とうぜん目では確認出来ない(分かる人には分かりますが)感覚の実感ですので、今までの生活というのは一般的に目で判断し目で解決しようとするものですが、武術稽古では感覚と実感で、利きにどう影響するのかを確認しながら詰めて行かなければなりません。ですので、目を使っておこなっていたものから、目を使わずに身体を観る別の眼をどれだけ持てるか、ということに意識を向わせれば、飽きてしまったり、興味を失ってしまうような浅いものではないという事に気付かされるでしょう。今までに無いものを知ることが学びでありますので、そこそこの人生経験で当て嵌められるようなものは学びでなく、ただの応用です。応用では今までに無いものは得られません。ですから、今までに無いものを得ていくためには、今までの生活で得られない部分に眼を向けなければなりません。それは目で探すのではなく、感覚を探り実感を得ていくのです。そのための方法を私は発しております。

 
 しかしながら、古参の生徒達は動きがずいぶん変わってきました。まだ間に合わせの動きに誘われやすい部分も見受けられますが、間に合わせで済ませることよりも、正確に精確な操作が出来るための手段を考えることに意識が向い始めると、さらに一段進めることが出来るように思います。一人稽古の重要性と言うのは、単に予習復習といった稽古量のことではなく、まったく別次元の稽古であることから一人稽古の重要性を説いております。

 つまり、言われたことを正確にやろうとすることは、間違いではないのですが、正解でもありません。

 自分で何に気が付けるのかを、一人稽古では嫌でもそこに焦点が向かわざるを得なくなってきます。

 そこでようやく感覚に眼が向き始め、あれこれと試し、現時点における最善の感覚を得ようと模索するのです。これが一人稽古だからこそ出来る稽古です。

 不思議なもので、地味な稽古でも先に述べたように精度を上げるように神経を使いながら精確におこなうように取り組むことで、複雑な動きや、型稽古に通じてくるものが自然と備わってきます。段階がありますが、飽きてくるというのは、悪い思考ではなく、寧ろ次に取り組むべき変化を身体がサインとして送ってくれているものであり、自らの稽古法を自分で提案し、それを実行していくのです。そのような、お膳立ても含めて稽古は考えて行かなければなりません。ただ、言われたことをやるとか、素振りを何回おこなうというのは、ほんの一部分のことにしか過ぎませんので、同じことばかりしていても脳は備わっている筈の能力を活かせません。

 まあ、誰も飽きてはいないのですが、今夜の記事は、流れから一人稽古の重要性に向ってしまいました。逆に言えば、ずっと飽きずに同じことを楽しくやれていることのほうが危険です。まあ、おそらくというか絶対に楽しさが持続するとは思えませんが。感覚を磨いていくという事は、同じ動きであったとしても、違う動きに変化したとしても、その中にある手続きや働かせ方は変わり続けているという事です。それは目を使わないからこそ気がつける事であり、進展と相まって興味を持ち続けることが出来るのだと思います。未熟な私が偉そうに書き綴り恥ずかしい限りですが、ここに向かうことで今と世界が変わってくる人が訪れることを期待しております。

 明日はひさしぶりの深川スポーツセンターでの開催です。今年初めてだと思いますが、間違えて品川区総合体育館に行かないようにお気をつけていただきたいと思います。無意識のうちにいつもの電車に乗ったりしてしまいますので。

 殺陣クラスは、立廻りを中心に進めて行きます。撮影はおこないません。剣術クラスでは、小太刀と体術をおこないます。「引込み潰し」や「触れ手落し」がどのように利くのか私としても楽しみにしております。

 本日もお越しいただいたみなさま、ありがとうございました!


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2020-02-16(Sun)
 

時代に求められる剣とその見極め

 今日は建国記念日。ある時期から祝日または振り替え休日が月曜日になるため、ポンと合間に祝日が入るのも新鮮に感じる。そのため、ダイヤの変更など気にしておかなければならない。

 それにしても気のせいか、休日というのは空の空気が違うように感じる。空気の色というか淀みが薄れるというか、それは気のせいもあるかもしれないが、実際に工場の稼働率などによる大気の状況が変わるのかもしれないし、人々のオーラが纏う負の連鎖が落ち着き視界をクリアにしているのかもしれない。

 
 今日の「クラーチ剣術教室」では、雲一つ見えない快晴の中前回初めてお伝えした杖術「轟之型」が本日もメインとなった。ここクラーチ溝の口という素晴らしい住宅の中で、毎週講習をさせていただいているのはまさに文字通り「有り難い」ことだと思います。

 区の施設を借りたり個人開放施設の中で講習や稽古をおこなうことは、参加される方がいらっしゃれば可能ですが、このような多くの人が生活されている立派な住宅で剣術教室をおこなわせて頂けることは、ご縁がなければ不可能です。

 以前一年間ほどイオンカルチャークラブで講師を務めさせていただいたこともありましたが、やはり直接生徒の方々とやり取りが出来る状況の中でおこなうことで感じられる部分があり、それは私からだけではなく、皆さんからも同様に近い距離感の中で接することが出来るのだと思います。勿論距離感は大事ですが、その微妙な距離感を見誤ってしまいますと、こうした自営活動というものは脆くも崩れさってしまうものです。私が一人で活動をおこなうのも、そのような脆さが訪れないように長く誠実な安定活動が出来るように自らの意思で最善を決定できるように、また間違いは早急に対応できるように気をつけておこなっております。イオンカルチャークラブでは、私が思う運営との違いを感じたことから一年間という区切りを待って辞めることにいたしました。

 今年で六年目を迎えるクラーチ剣術教室も、生徒の皆さんやスタッフの皆様も私を信用して下さり、以前は毎回緊張して会場に赴いておりましたが、今では家に帰るような、とまでは言いませんが、安心してこちらに到着させていただいております。考えて見れば、ただの一度も「ああ、今日は行きたくないな…気が重いなぁ…」ということは、この教室だけでなく全ての講習会や稽古会において感じたことはありません。むかし会社勤めをしていたころや、アルバイトをしていた頃は、毎日嫌な思いで気が重い中通っておりましたが、そう考えますとその部分におきまして私は幸せであると感じます。

 ですが、そこで甘えが出てしまわないように、有り難い環境で長く行わせていただいていることに感謝して自らの立場を弁えて今後も皆さんからの信頼を失わないように務めて参りたいと思います。

 今年は11月に文化祭に出場することを宣言しております。これまでにない変化となりますが、そのことでマイナスになることは無いと判断しております。みなさんの優しさを受けながら、それを喜びに変換してお返しできるように今年は励んで参ります。

 日々体調の差が感じられる年代の皆様ですが、毎週火曜日は元気で入られるような、自然とそうなるような教室でこれからもありたいと思います。いつも皆様には優しくして頂いておりますが、こうした日々は特別なものであり、誠に有り難いものであります。当たり前のように感じられるようになった日々が、いつしかそうで無くなる日が訪れるのは世の習いでありますので、そうなる前にありがたいことに感謝していたいと思います。本日もみなさんそれぞれに喜んでいただけたと思います。ありがとうございました。

 
 先日日曜日の講習後に品川区総合体育館にて、青木一弥さんとお会いし、その時のお写真を今朝送って下さいましたので、ここに掲載させて頂きたいと思います。今と昔、剣の使い道は異なりますが、その根底にあるものは今も昔も変わらぬように、いやそれは無理かもしれないが、己を律し、微かでもその古人から繋がる時代に生きるものとして、剣の使い道は異なりながらも、通じるものを真に求め、流行に流されない剣の使い道でなければと思っております。そのためには、根底にあるものが何かが問われるのではないでしょうか。青木さんとは、昔生き方を語りながら稽古を重ねた時期がありました。それは更衣室でもメモを取っていただくような真剣さで、この記憶は私の中から消えることはないでしょう。さまざまに需要がありますので、それにどう自分の精神性を重ねていけるのか、そこに飛躍がかかっているのだと思います。

2020.02.09 青木一弥さんと


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2020-02-12(Wed)
 

時の流れとともに

 どのような事があっても昔から時間は止まらず均一に流れていく。人間の体内には多くの細菌が生息し、地球にも我々人間を含めた多くの生き物が生息する。また宇宙空間でも多くの銀河や星々が存在している。大きさでいえば上には上があるし下には下がある。その時間の今は、大小関係なくその時を過ごしているということなら、あらためて時の流れ、その訪れの瞬間というのはスリリングであり、絶えず当然のように続いている連鎖でもある。

 人生とはそうした時の流れの中で、幸や不幸を置いておくとするならば、この世の全てと共に時間を平等に過ごすことを与えられたということなのだろうか。仮にそれ以外の時間を超越した世界があるならば。

 
 昨年10/6(日)にフランスの雑誌GEOADOの取材を受けましたが、発行予定が5月頃になるとのご連絡をいただきました。私の所にご本が届くようですので、生徒の皆様には会場でお見せすることが出来ると思います。


 さて、昨日月曜日の稽古では、高田馬場にて17時から竹田氏と19時からM氏と稽古をおこなった。最近は私の中で走るという事が瞑想に近い感覚でおこなうようにしていることで、身体の負担を察知し無理なく継続できるようになった。走り出してしまえば他の事に対する無意識の誘惑から遮断されるため、集中して自らの身体に対して気持ちよさを維持できるように努め、それとは切り離して、思考は興味のあることが自然と降りてくるように次々と考えが浮かんでくる。この身体と心を切り離すことが、私にとっての走る必要性になっているが、筋トレとは異なり、動きの感覚を鈍らせることは無く、怪我しないように気をつければ、現代は退化するほど足を使わないので、競技的な走りとは違い、生活の中での補う走り「補走」として、そこに瞑想のような集中状態と、故障しない身体全体の把握がその時間内には保てる。意識の持ちようによって、走るということの意味が大きく変わる。この日は10㎞をゆっくり淡々と走れた。

 その後の稽古では、全く疲労感が無く寧ろ足取りが軽いことに驚いた。時間ギリギリだったので、会場に向うまでの高下駄の速度が今までの実感よりも上をいっており、想定よりも速く楽に進んでいる感覚だった。そのため、肌着に汗をかいてしまい更衣室で着替えるまでが大変だった。

 竹田氏との稽古では杖術の「上段扇抜き」や「渦潮」「下段受け払突き」などを初めてお伝えした。合気道を経験されている方なので、こちらが中心を取っていくような動きには独特の反応を感じる。私の場合高校から五年間アマチュアボクシングをしていたが、その時の中心感覚というのは、身体の軸を意識したもので、その軸に対し身体を回転させパンチを連動させていたように思う。今ならば、おそらく手打ちに見えるようなパンチでも、身体の使い方によって重さを乗せることが出来ると思うし、その事によって、疲労度は軽減し、軌道の予測は取りづらいものとなるだろう。当時学んだ基本に忠実におこなったことは、その当時は信頼していたものであり、相手を倒すこととは別に基本の動きを身に付けるということを信仰的に守りながら鏡を見てシャドーボクシングをしていた。今思えば、この基本と鏡のシャドーがいけなかった。常に相手を倒す空間と流れの間、そして攻撃に対応できる感覚と身体のさまざまな逃がし方など、剛柔の中で、鏡を使わずに戦うための(基本の動きを身に付けるではなく)身体感覚を練り上げることに時間を割くべきだった。結果九州大会で準優勝どまりとなったが、今でも高校生活の三年間は全く後悔していない。遊ぶことも無く、鼻や左手首を骨折もしたが、それでも強さに憧れ、殴りあう生活の中で育まれるものはあった。高校二年生のときに、ふとした転落事故で左手首を骨折し、三ヶ月間まともな練習が出来なかった。左はジャブだったので、当時の手首のスナップを使った速さの感覚は失われてしまった。その期間右手を鍛えようとパワーリストを購入し、左手用の重りを取り出し右手用にも加え学ランの下に密かに装着して高校生活を送っていた。今思えば隠すこともなかったと思うのだが、教室では皆と距離を取って三年間過ごしていたため、ある時腕を掴まれた際に「オマエ、何かつけてるだろう!」となりバレてしまったが、左手の骨折が治ったのち両手首にパワーリストを付けて過ごしていた。何年か前に実家でギプスと、パワーリストが私の部屋の机の中にあったような記憶があるが、今はどうなっているかわからない。

 19時からひさしぶりにM氏と稽古。パーソナルトレーナーで体重も90kg台のM氏に先日進展した「触れ手落し」を試みた。竹田氏は両膝が付くまで利いたがさすがにM氏の体格では背中が真横になるまでだった。それでも、以前であれば相手が備えていれば首が少し前に傾く程度だったものに比べれば大きな進展だろう。今書いていて、触れ手の軌道に工夫ができるかもしれないし、芯の当て方にもまだまだ試せることがありそうだ。仮にもし90kg台で筋肉質のM氏が一点接触の触れ手落しで膝まで落ちたら、これはちょと自分でも信じられないことだろう。しかし、見方によってはこの程度のことが出来なければというものもあるので、何かしらの工夫による解決策はあると確信している。


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2020-02-12(Wed)
 

今週は中学一年生のRちゃんが新たに生徒になりました

 本日日曜日は起床してみると首が軽くなっていることに気がつく。右肩も少し軽くなった気がする。やはり身体が気持ちいいと求めているところへ無理なくおこなうことは、お腹が空いたから御飯を食べるように当然と言えば当然のように思う。気持ちよさにもさまざまな状況が関連しているので、ただ楽をしているということでもない。意外に、いや、意外でもないか、人は身体の訴えに応えられていないのかもしれない。

 
 今日のGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習は、品川区総合体育館剣道場でおこないました。この品川区総合体育館も日曜日の講習では開催頻度が多く、安定した開催が出来ております。しかし、7月中旬から9月中旬まで東京オリンピックの関係で、この会場が利用できなくなります。そのため、戸越体育館やスクエア荏原そのほか他地区での開催が増えることになるかと思いますが、抽選結果など諸々の状況に応じて最適な運営となるように判断して行きたいと思っております。

 講習では今日から中学一年生のRちゃんが正規受講生になられました。お芝居で殺陣を経験し、そこから興味を持って当スクールにお越しいただくようになりました。現在お陰様で小学生や中学生の生徒が増えております。本人がやりたいという思いがあれば、学ぶための態度は自然と整ってきます。この辺りは小学校や中学校と大きく違うところで、「こういうふうに動きたい、出来るようになりたい!」という思いが、真剣さを引き出し、自分で考え、乗り越えていく順序を辿って行くのです。これは、机の上の勉強や、友達と遊びの中で身に付けていくものとは異なるものです。それぞれに必要な要素がありますが、武道武術の中では、身体と心という面が大きく関わってきますので、それは指導者にも言えることですが、伝え合っていく中での心のやりとりが実は、一瞬の間でさまざまなものを感じ取り、判断し実行に移しているのだと感じます。そこに迷いや誤った判断が生じてしまいますと言葉にないものが伝わらず、そこに感じさせる何かがあるのですが、このやりとりというのは私にとりましても緊張感のあるもので、無意識的な判断でおこなわなければ嘘になってしまいます。

 お子さんはある意味大人を試している部分もありますので、その試験にどう応えていくかが問われます。ただの人気取りや、口うるさいだけの指導者では子供を舐めるなと見透かされてしまいます。私自身まだまだ子供染みていると思っておりますし、お子さんの中には私よりもシッカリした部分を持っている人もいますので、私という存在は色々な立場に変化しながら、彼等彼女達と当たっていければと思います。

 殺陣クラスでは体験参加に10歳の男の子がご両親様とお越しになられました。お父様が一緒に付いて下さいましたので、私がお伝えしたものを、お父様と一緒におこなっておりました。お陰で私は生徒達全員をくまなく見ることが出来ましたし、講習内容である「斬られ方」の稽古が皆上手になっておりました。

 このGold Castle 殺陣&剣術スクールで学ぶことの意味を、今の生徒達の姿から感じ取りますと、単に殺陣や剣術、杖術が出来るようになるということよりも、それを学ぶ上で避けては通れない心のやりとりがあるということでしょう。

 私が言葉で伝えることというのは、理路整然と順序立てて伝えるというより、その瞬間そのタイミングで感じたことを、そのときのニュアンスとテンションでそのまま伝えているため、自分でも何を言おうか考える前に口が喋ろうとしてしまっています。それが行き過ぎないように、注意しながら務めておりますが、この記事もそうですが次に何を書くのか考えず、その流れの中で生まれてくるものを大事にしてやりとりを交わしております。

 勿論、喋らずに観て流すこともよくありますが、それも考えてのことですので、全く手を抜かず下手なりに指導させていただいております。
 
 続く杖術クラスでは、「渦潮」「下段受払い突き」「燕打ち」などをおこない、生徒になって間もない方には「三十連円打」をお伝えいたしました。役者のMさんは、私のところで二年四ヶ月が経ちましたが、役者さんにしては珍しく杖術に強い関心を示され、一人稽古などもよくされているそうです。殺陣も勿論上手になっておりますが、杖術もかなり上達されました。私は34歳から武術の道に入りましたので、人生本当にわからないものです。考えて見れば小学校二年生ぐらいから身体を動かす運動を今までずっとやり続けて来てますので、自覚は余りないのですが身体を動かすことは好きな方なんだと思います。その当時から考え方というものは根幹の部分では変わっていないと思いますので、武術を始める以前から何かしらのそういう考え方のようなものは確立していたようにも思えます。まあ、それが故にこちらへ流れ着いたのかもしれませんが…

 講習後は、青木一弥さんと会場でお会いし、昨年九月に四年ぶりの再会を果たし、彼が東京浅草剣舞会エッジ-志伝流-の代表として活躍されていることを知りました。かつて私とマンツーマンで稽古をした時間というのは私にとっても、また彼にとっても掛け替えの無い時間であったと思います。ひとの縁と言葉にしますと呆気ないものですが、出会うタイミング出会う場所、そうした奇跡の連鎖が縁というものだと思いますので、これからも青木さんのご活躍を楽しみにしております。

 今日もある生徒さんと講習後にお話いたしましたが、「自分の精神と合ったものを見つけられると、自分がそれで良いと思ったことが素直にそこに通用するものであり、そのなかで、やるべきことと自らの精神を高めていくことは同時にあるものですので、それはすなわち生きていくことにも繋がっているのだと思います。そこに早いか遅いかは人それぞれの通らなければならない道程があるのでしょうが、自らが選択したものというのは、私が言うのも何ですが、それは自分で決める以前に、もうそうなるようになっているのだと思います。」

 近道がいいのか、遠回りがいいのか、お金持ちがいいのか、有名になることがいいのか、長生きすることがいいのいか、名誉が欲しいのか、さまざまに考える事は何かが具体的にそうなりそうな気配を感じたときに一気に傾いてしまう可能性があります。私もそうかもしれませんし、それはその時になってみないとわかりません。ただ、そのことを思い描きながら日々を過ごすよりも、今の今、ベストを尽くせることに、そのことを考えて取り組んでいった方が、人生いつ何時どうなるのか判らない日々の中で、積み重ねた時の勘定がその後の今を映し出す筈ですので、今出来ることにベストを尽くすことが、今を生きているという実感に通じていけるのではないでしょうか。

 何にベストを尽くせるのかはひとそれぞれですので、それに向かって日々精進していけることがあるのなら、それは幸せなことだと思います。何かに裏がありますと、結局は脆くも崩れてしまう瞬間が訪れるように思います。

 私も私の言葉に責任を持てるように明日からまた始まりたいと思います。本日も皆様ありがとうございました。


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-10(Mon)
 

身体の観方を稽古する

 このところ毎晩自宅で杖整体操をおこなっている。今日は講習の合間に時間が空いていたのでおこなったが、依存しているのではなく、身体の不調箇所がどうなるのかを自ら被験者として確認したいからだ。

 1/22の朝から首の具合が悪く、さらに半年以上前から右肩の痛みもある。四十肩ではないが、悪い刀の抜き方をしてしまい、その時の痛みが現在ゆっくりとズラすように治り掛けてきている。動きに痛みや支障はないが、完全に戻るまでにはまど少し時間が掛かりそうだ。首の痛みに関しては、寝違えたのか、それとも何か深層筋に疲労が溜まっていたのか、おそらく両方だと思われるが、これほど長く首の痛みが続いているのは近年記憶にない。だが、その「犠牲」で身体の使い方で自得出来たものがあった。深層部をぶつけることで威力が増すことであるが、勿論こうした身体の使い方は以前から学んでいたものであるが、果たしてそれが自分で出来るかというと、まだ先の事だろうなという感覚であったが、多少なりともその威力を検証して確認することは出来るようになった。今後の力の伝達における稽古の中で、時間を掛けて取り組むことになるだろう。

 一昨日の夜は、深夜の杖整体操中に、終わりごろだったので意識もフワーっとなっており、何をやっても気持ちがいいような状態の際に、立った状態で肘掛天秤に杖を掛け、少し顎を上げ、前足を開き、その方向に体を捻るようにしながら、ゆっくりと歩き、左右交互に捻るようにおこなったところ、首の詰まりが少し解消されたような気持ちよさというか流れのようなものを感じ、その後すぐに就寝したが、翌日から首の具合が軽くなった。肩に関しては、右上腕の下側、肩から肘にかけて筋肉痛のような痛みが発生したが、それが嫌な感じではなく、寧ろ肩の不調の原因である何かに効いたのでは?というような気がしている。これまでにも、随分前に腰を痛めたときなど、直る際には必ず痛みの部位が移っていくものだったため、その痛む部位のズレと痛みの質が何となく感じられるようになった。

 こうしたことから、杖整体操を毎晩おこなっているが、それともう一つには、気持ちよさの持続である。この感覚は不思議であるが、気持ちよさを求める身体の姿勢や意識の集中が、歩いていても、走っていても、同様に気持ちよさの感覚がみぞおち辺りに残っている。これがなんなのかは分からないがほおって置くと消えてしまいそうな気がするので、この状態が身体にとってまた心にとってどのような作用があるのかをもっと検証したいという思いから、杖整体操を続けている理由にもなっている。


 さて、本日土曜日は戸越体育館剣道場にてGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習をおこないました。
 昼の部では杖術講習をおこない、今回ひさしぶりに基礎的な打ちこみや突きに時間を割いておこないました。土曜日は古参の生徒達が多く、どのような動きになっているのか確認したいという面もあり、杖の軌道、手の内の使い方、下手の操作、重心移動と慣性の繋がり、寄せ足の歩幅、爪先の角度、静から動に移る瞬間の身体の状態、などなど様々な箇所をそれぞれ点検いたしました。こうした稽古は、動きがシンプルな打ち込みや突きなどで確認したほうがいいので、地味な稽古ではありますが、身体の中の部分をいろいろと試して行く中で、実感の違いを検討していく作業でもあります。目で見て、同じような形をおこなう稽古は、初めておこなう人の段階ですので、それをゴールにしてしまうと、初めての人と大して変わらないもので止まってしまいます。

 形を覚えるのはその日の内に、その後はそれがどうであるのかをさまざまな感覚を総動員して、未知なる感覚を求め、実感レベルを高めていくように、常に未知なる物がその先にあり、それは自分で手に入れるという、いまその瞬間に訪れる可能性のあるものとして稽古して行かなくてはなりません。それだけ自分を観ていくということは重要であり、「形と言うのは中身の結果である」ということを経験できる稽古にしなければなりません。

 次におこなったのは対象的に「自由に動く」ことを目標に稽古いたしました。この杖で自由に動くというのは簡単なようで難しく、足が止まらずに動き続けることは、その瞬間毎に身体が反応していかなければなりません。ですから、この場合、ゆっくりと止まらずに失敗をしながら、今までにやったことのない動きを引き出すように、自由とはいえ、止まれない、持ち替えしか出来ない、という制限をかけることで、やりやすさと難しさを併せ持つ動きとなります。

 始めにおこなった基礎的な打ちこみや突きの中で、丁寧に身体各部の働きを探るように、実感レベルを高められるようにおこなう稽古と、次におこなった自由に動く稽古では、やりやすさと追い込みを掛けた中で、自分でもそんな動きがあるのかという瞬間に立ち会うことが幾度となく訪れます。その感覚を自分のものとし、教えられて身につけたものと、自分で身につけたものとの違いを感じ、教えられて身につけたものの実感レベルをより向上させる(或いは、より良いと思えるものに変えてみる)ことにつながることが一人稽古では大事になります。

 すなわち、今日おこなった前半の講習は一人稽古に対する意識の向け方をお伝えしたものです。

 型稽古や技のなかでは、さまざまな情報を管理し統御して動くためには、意識せずとも精度と調和が整う身体の働きになっていなければなりません。そのためには、前述した身体の使い方が常にバージョンアップされているかが肝心になります。逆に言いますと、型稽古や技をたくさん積んでも、無意識レベルでおこなえる身体の働きを促すまでの実感は得られにくいのかもしれません。一つ一つの興味深く取り組んだシンプルな動きの精度が進展し、その結果、ひさしぶりにおこなった型稽古や技が上達していたということはよくあることです。未熟な私が熱を上げて書いているのもお恥ずかしい話ですが…。

 後半は、「三段抜き」をおこないました。いわゆる「講習受け」する内容ですが、前半の内容とのバランスを考えますと、必要なものであります。シンプルな動きの中で身体各部分を確認し、自由な動きの中で、自らの動きの特性を感じ、調和感覚を実感する。そうした稽古を試すものとしてこの技をおこないますと、動きは異なりますが、「身体の観方」というものを意識しておりましたので、ただ言われたとおりの動きをやるのではなく、(なかなか出来るものでもありませんが)自身の身体がどう動けるのかまたは動きたいかを探り、今出来ること、感覚的に掴めそうなものへとアクセスするのです。そうした中を観る習慣といいますか、脳の使い方を変える稽古とでもいいましょうか、身につけるということは、まだ無いものを手に入れなければなりませんので、その手がかりの一つに感覚の実感がありますので、手繰り寄せられるような自身との向き合い方が、ただ同じように動けたという稽古から先に進むためには大事になってきます。

 それでも、昔に比べますと皆さん動けるようになってきておりますので、得意な動き、苦手な動きさまざまにあるかと思いますが、これからもさらなる飛躍を目指して励んでいっていただきたいと思います。その熱意は薄れることなく感じておりますので!

 夕方からは殺陣基礎クラスをおこないました。
 体験参加二回目の役者さんが、稽古着も揃え木刀も購入されており、気合いタップリの稽古をされておりました。こうした方と稽古されますと引っ張って行かれるものがありますので、他の生徒の方々も、遠慮がちになることなく、稽古がやりやすかったのではないでしょうか。日曜日の講習では殺陣クラスは1時間の持ち時間で、立廻りもおこなうため、この殺陣基礎クラスでは1時間半立廻り以外の基礎的な内容に時間を割いておこなっております。そのため、構えや剣の振り方がその日の内に改善される場合が多いように感じます。最初から基礎を稽古する時間となっているため、ジックリ進めても全く飽きるような気配は感じられませんので、今後も土曜日の殺陣基礎クラスでは、私自身にブレーキを掛けるつもりで、ジックリとおこなっていきたいと思います。
 
 本日も、常連のみなさま、杖術クラス、殺陣基礎クラスにお越しいただいた体験参加の方々、ありがとうございました!

 明日は、15時より品川区総合体育館剣道場でお待ちしております。


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-09(Sun)
 

『杖術 特別講習会』のお知らせ

2020年3月20日(金/春分の日) 品川区総合体育館 剣道場にて、杖術特別講習会を開催いたします。

前回同様、新たに発見した「両手寄せの操法」をお伝えいたします。その他にも「燕打ち」「大燕打ち」などこれまでにない動きをご紹介したいと思います。初めて参加される方には、杖の基礎的な扱い方と手の内の使い所をお伝えしながら、幾つかの動きをおこないます。

初めての方や他流の方も歓迎いたします。
(貸し出し用の軽い杖を数本ご用意しております)


2018年11月23日 関西特別講習会
※写真は関西特別講習会での講習風景


【開催時間】
15時00分~17時00分
18時00分~懇親会

【会場】
品川区総合体育館 柔道場


【参加費】
3.000円


【お申し込み方法】
ホームページまたはこくちーずより下記の内容を明記してご連絡下さい。
①「氏名」 
②「年齢」 
③「性別」 
④「杖の有無」 
⑤「懇親会の参加または不参加」

上記の内容を確認しましたら、こちらより折り返しご連絡させていただきます。


≪プロフィール≫
松聲館 剣術技法研究員
金山剣術稽古会 主宰
Gold Castle 殺陣&剣術スクール 主宰
高齢者住宅 クラーチ溝の口 剣術教室講師


≪参考動画≫
三十連円打

十一之型

かざあな。杖術編

2020-02-07(Fri)
 

「触れ手落し」が大きく進展

 昨夜、「明日の戸越での稽古は体術と杖術を考えているが、体術ではこれといって何をやろうか考えが浮ばないなあ…」と、別にやることを決めず、いつものように、その瞬間訪れる出来事に委ねることにした。だが、なんとなく何かあるような予感はしていた。

 朝起きて食べる時間を失い、そのまま午後まで稽古をおこなったが、エネルギーは全く落ちなかった。

 「では体術からやりましょうか。」と始まり、片腕を片手で解かれないように掴む工夫を色々と試したが、「これはこれでゆっくりおこなうと互いの稽古になるなあ。」という感じはあったが、さして大きな気付きは無く、30分ほどやって切上げる。次に何をおこなうかイマイチ気持ちが決めかねていた中で「じゃあ、ひさびさに触れ手落しでもやりましょうか。」となって、約一ヶ月振りにこれをおこなった。

 あまり関心が無くなったのは、根本的な威力の問題であり、相手が楽に立っている状態であれば、スコンと両手が床に付くほどエネルギーが通るのであるが、首に力を入れたり、少し体の芯に緊張があると、少し前のめりに動く程度のものにしかならない。

 そのため、この技では身体の手続きの精度を高めるものとして割り切っておこなうものと当初から考えていたが、それでも何とか可能性でも見つけられれば大きな一歩となるのだがと、一ヶ月ぶりにあまり気乗りしないテンションの中で渡部氏に受けていただいた。

 「今日は耐えるように身体に力を入れておいてください。」とお願いし、いつものようにおこなうと案の定少し前のめりになって一歩か二歩進むだけである。やっている側としても、もう二度とやりたくなくなってしまうような利きの悪さなので、気が付けば一ヶ月も間が空いてしまったのだろう。

 「それでも、なんとか…」という思いのなか、私が受けに回って渡部氏に潰してもらおうと待っていると、「ちょっと、こうやってもいいですか?」と私の位置とは異なる位置からはじめるようだったので、「ああ、どうぞやってみてください。」と期待無く立っていると、グッと沈むぐらいの威力を感じたので、私は目が覚めたように「いま、どうやったんですか!」と大きく崩れはしないものの、私自身未熟であるとはいえ私以上に崩せた渡部氏のやり方に驚き、方法を教えていただく。

 渡部氏いわく「先生が前に言っていたようにぶつかるように動いてみたんです。」という言葉に、すぐさま「ちょっと、代わってもらっていいですか!」と、力を入れて立ってもらい、腕にぶつかるように動いてみたところ、渡部氏がダダダダっと前方へ移動したので、「少しフラップを下げますね。」と、当てた手刀の角度を下げ、前方へ芯から進むのと前足の引き上げの具合は、下手ながら突きの威力を高める稽古で何度も検証していたので、その突きの感覚を触れ手落しに取り入れておこなってみたところ、渡部氏が両膝を付いて床に落ちたので、絶対に忖度しない渡部氏の反応に驚き、何度も何度もおこないながら、最終的には一歩足を前に出してもらい、蠢動や身体が強力になる全体を巡らせるような動きなども試して受けていただいたがそれでも両膝を付けるまで潰すことができた。私が耐えるように受けても、しゃがみ込むまでは崩される。おそらくこれは誰でも直ぐに出来るものではないと思うが、耐えようとしている相手に僅かでも崩せるキッカケが見つかれば大きな一歩であると思っていた望みが、僅かどころか未だ信じられないところまで進める事が出来た。色々な方に試して利き具合を確認したいが、片足を前に出して、蠢動などの強力な状態にしていただいても潰せたので、まだどこかでそう甘くは無いと思いながらもどれほど通用するのかを試してみたい。

 今日の稽古で得られたものは、この「触れ手落し」の大きな進展であるが、そのことにより初動の発力における一つの基盤を練る稽古が今後進んで行きそうなところだ。今までおこなっていた動きの見た目は変わらずとも、その中の部分の働きの実感が得られたことで、その精度を高めながら他の技などに使えるようになれば、私にとっては大きな出来事になるかもしれない。結果を出していない事柄を書き綴るのはあまり良くないが、稽古法の先に訪れるかもしれない可能性を嗅いだときに、好奇心と興味が全てを突き動かすように、そこに身を任せるしか考えられない。

 渡部氏のアイデアが無ければ気が付かなかった触れ手落しの進展は、本当に有り難く、これを機に今後も渡部氏自身の気付きにより教えて貰うことが増えてくる気がしている。これまで培ってきたものが今後さらなる飛躍に向かうことになれば、私の稽古会の密度も高いものとなり、さらに重要な源泉の場となるだろう。この場を借りてお礼申し上げます。

 
 杖整体操には、ヨガの瞑想に近い感覚が得られることと、体操や整体の作用も感じられるものがあり、特徴的なことは「ただ、気持ちの良い所を観ていくこと。」としているが、さいきん月曜日の稽古後などに一人で40分ほど、杖整体操をおこなうようになり、今までに無いフラツキを感じるほど副交感神経の優位性が増したように思う。

 そうした状態を掴めるようになったせいか、どこか鳩尾の辺り、先日記事にも書いた太陽神経叢(たいようしんけいそう)の辺りに気持ちよさの火種となる心地よさが微かに残留している感じがある。

 これは数年前に井上欣也さんとのコラボ講習でヨガを受けさせていただいた際に、数日間瞑想後の気持ちよさが残っていたものと同種のもので、しばらくして消えてしまい、自分ではそれを蘇らせることが出来なかった。しかし、さいきんの杖整体操の副交感神経の優位性の度合いから私でも独特な心地よさを残すことが出来るような気がしており、これがいつまで続くか判らないが、今日も稽古に向う戸越体育館までの道中、ただ心地よさだけを外さないようにしようとしていたところ、昨日の10㎞走った際の気持ちよさに通じる心地よさの維持ができた。そのため、精神的にとても落ち着き、すべての選択がそこに合わせるものとなるため、余計な心理状態に誘われること無く、かつ思考は落ち着き払い、いろいろな考え事も気持ちよさ、心地よさを邪魔せずにできることも解った。これがなんなのか、解らないしあまり追求しないほうがいいと思うが、このことを人に進めるつもりもないし、気のせいかもしれないし、マインド的な何かかもしれないし、ただ私にとって、身体の状態と心の状態に良い影響となっていることを迷い無く感じるので、そこだけを考えていればいいので簡単なことであるが、しかし気持ちよさの火種となる心地よさを残留させることができるか否かは感覚的な実感なのでむずかしいのかもしれない。あらためて2018年6月7日杖整体操に気が付いたことは、私が思っていた以上に大きなものであった。


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-06(Thu)
 

何かが繋がってきた今日のひととき

 気持ちよさ、或いは心地よさ、これを伝える身体の能力は有り難いものである。ただ、気持ちよかった。で終らせては身体の導きを無視してしまっている。

 身体の使い方やさまざまな感覚は、後付けで気が付いたほうがいい。もっというなら気にしないほうがいい。だが、意識集中することで感覚を掴むことができる。そこに少しばかり落とし穴もある。

 良かったときの再現は身体の使い方や感覚に意識を集中しやすくなるもの。しかしそれは、本来の目的から少し逸れてしまい、後付けで気が付いたものをメインにしてしまい、そこから結果を求めようと順序が変わってしまうことがある。

 未熟ながらも、私なりにそのことは考える事がある。

 美味しい。という味覚は、どういう理由で美味しいのかを科学的に説明するとなると恐らくとても面倒くさい根拠をあげなければならないと思うが、美味しいというのは、その根拠を全て解読しなくとも美味しいのである。勿論味覚は人によって異なるが、その味覚が流儀と同じように、どういう動きがその人にとって気もちいい実感になるのかはそれぞれ異なる。

 よって気もちいいという事も、どう気もちいいのかを説明すると大変であるが、一言で気持ちいいという表現にするなら、身体全体の感覚や神経など、現時点における味覚レベルがどの食事を美味しいと思えるのかと同じように、現時点での動きがどうなのかを一纏めに判定する舌を持つような実感と近いのではなかろうか。(敢えておかしな日本語にしております)
 
 気持ちよさと言っても、解釈はひとそれぞれ微妙に違ってくると思われるが、あくまでも導きのサインとしての感覚である。

 今日は夕方から10㎞走ったが、身体の使い方や姿勢に重心と呼吸、これまではこのことを常に試行錯誤しながら走っていたような気がする。だから全然気持ちよくなかったが、今日はそれらに意識を運ばせずにただ気持ちのいい状態を外さないように心掛けて(ランナーズハイとは異なる調和の一致感の維持)どこまで維持出来るだろうかと試みてみたところ、近年全く無かった、最後まで10㎞気持ちよい状態のまま終える事が出来た。そんな時間と労力の無駄をして何になるのかという思いも数年前まではあったが、気持ちよさを維持するという事は稽古として重要であると今日の今日実感できた。

 内から外からさまざまな誘いの中から、最後まで気持ちよさを優先し、そのことで身体と心にどういった働きがあるのかを感じ得たことは大きかった。

 つまり「気にしない」という訓練にもなり、どこに焦点を合わせるかで、開けよう開けようと思っていた蛇口を実は反対に閉めていたことに気が付く。この気持ちよさを当てるということは難しく、いつも毎回それが引き当たるとは思っていない。それは、状況や経験によって、気持ちよさの蛇口が開かないからである。

 新鮮な状況であれば、気持ちよさとともに、身体の使い方に気が付くものであるが、慣れてしまえば、気持ちよさが失われ、それを呼び戻そうと身体の使い方をさまざまに試みる。そこに一つ落とし穴があったことに今日は走りながら気が付いた。

 気持ちよさを呼び戻そうとその時の身体の使い方を何とか精度を上げようとすることで、ある程度は戻ってくることもあるが、身体の使い方を念頭に探り続けると、それは前述の例えのようにどう美味しかったのかを科学的に分析し、そこからどうすればもっとこの食材が美味しくなるのかを考えるようなものであり、それはもう、食べる人の味覚が美味しいと思わなくなってしまったいわゆる舌が肥えてしまった状態であり、食べるものそのものを変える必要がある。つまり、意識的に身体に捉われず気持ちのいい感覚に委ねるような精神状態の中で後付けで身体に教えて貰うほうがいろんな意味で身体に良いと思える。

 先日の懇親会でFさんからチャクラのお話も伺ったが、今日はその私が感じる気持ちよさという一点を外さないように走っていると脳にというか腑に落ちてくるものがさまざまに訪れた。そんな状態だったので走っている現実が薄いまま10㎞を走り終える事が出来た。速く走るとか疲れないように走るというよりも、ただ気持ちよさを最後まで維持させながら走るということは、一種の瞑想に近い感覚なのかもしれない。

 私がそこに焦点を求めたのは、「杖整体操」の影響だろう。ただ気持ちよく心地良くなることを大事におこなうと、それだけで十分な身体の調整が成される信頼をこの1年8ヶ月で得たことにある。

 その副交感神経の優位さは、最近の私は道場で稽古後に一人で40分ほどおこなうと、帰りはフラフラに力が抜け、瞑想後のように感情が落ち着いたところに沈降してしまった状態となる。昨年末に武蔵円明流の青木さんと稽古の終わりに杖整体操を行ったときに、「視野が変わりますね、視力が良くなったような気がします。」という感想をいただけた。以前から感じていた手を重ねた誘導法などでも、受け手は目を瞑って呼吸に集中するため、目を開けた際の視野の変化を感じていたことがあったが、杖整体操でも同様かそれ以上の変化が起こるようだ。一昨日の稽古後に一人で杖整体操をおこなったが、案の上帰り道はフラフラした感じとなり、路肩に止まっていたアウディのハザードランプが異常に眩しくて、LEDの明るさにも限度があるだろう!と目を細めて通り過ぎたが、その後に同じくハザードを点灯していたトラックも少し眩しかったので、「副交感神経の優位になると瞳孔が開くのか!」と考えたのであったが、帰って調べてみると、反対に狭くなり、交感神経の優位さで瞳孔は開くらしい。副交感神経優位からなる視界の変化は他に違うところが関係しているのだろう。攻撃的な時は瞳が小さくなるイメージがあるのだが、まあこのあたりは他の要因も考えられるためあまり気にしないことにしよう。

 杖整体操では、気持ちのいいところはいつも同じところではなく、身体の調子が悪いところであることがこれまでの経験で分かったため、そう、気持ちよさとは、その行為を訴える身体からのサインであるということに、気持ちよかっただけで終らせない、その意味とは、というところに眼が向きだしたのであった。

 昨日の杖術の一人稽古で、両手寄せとこれまで通り離した状態をさまざまに流れの中で混ぜ合わせ自由に動いてみた。
 これが、近年失われていた気持ちよさ(調和感覚の一致感やさまざまな神経などの滞りの一部解消などではないか)が得られた。これが今日走ってみたときにフト気持ちよさだけに焦点を合わせてやってみようという思いに至ったのだと思う。

 ※この「気持ちよさ」とは、私なりの実感を極めて端的にした言語表現の一つであり、快楽とは全く異なるものである。


 前置きが長くなってしまったが、昨日月曜日の稽古記事から。

 月曜日は高田馬場にて竹田氏と稽古。
 杖術では私自身ひさしぶりに「流転落し打ち」をおこなった。これは相手側が目を瞑ってしまうようなハッとする技であるが、それを引き出しているのは杖合わせに打ち合うことにあると昨夜の稽古で解った。

 おそらく、杖合わせにカーンと打ち合わせることで、無意識的な一段落が付くのではないかと考える。その余韻も冷めぬ内に全体が大きく動きながら前のめりに杖が落とされるので、その前のめりの最中に顔面へと打ち込みが入ってくる怖さもある。何度やっても嫌なものであるのは、その始めの杖合わせの打ち合いが、何かしらの誘いになっているからだと思うのである。それが一段落なのかどうかはまだハッキリしていないが、カンカンと杖合わせに激しく打ち合わせてもこのような把握の最中に驚きは無い。把握から外れるということは、予測を裏切る、予測を裏切るということは、何かしらの心理の虚を突いているという事なのだろう。誘いとは、こうした心理的な働きの虚を突けるかどうかに関わっていると思う。


 そして本日火曜日は午前中から「クラーチ剣術教室」の講習へ行ってきました。

 今日はお休みの方が多く、丁度今日やろうと思っていた「轟之型」をおこなうにはスペースが使えて周囲を気にせず(天井は気になりましたが)おこなうことが出来ました。

 新しい動きをお伝えする中で感じたことは、動きの基盤が核となり応用が技となるのであれば、応用箇所が旬な部分であり、その旬な部分をどう見つけ出せるかが大事になってきます。つまり、脳内の記憶の引き出しには、記憶のレンタル期間が異なり、基盤の稽古で長期保存された記憶は、技への応用や何かを発見する際に、「あ、アレね!」で済むのです。その「あ、アレね!」を増やせるかで、ある部分は楽に気持ちよさだけで動けるようになります。ですので、基盤の稽古は重要で、基盤なだけに最先端であり続ける必要があります。

 後半の剣術では、最近袴と道衣を揃えられたSさんとマンツーマンに近い状態でおこないました。そのことをSさんが「今日は得をしました!」と本気で仰って頂けたことに、身体に対する関心が、その他の運動とは異なることを実感されるようになったのだと嬉しく感じます。私が思っていた以上に、稽古着から整う心身の働きは大きいようです。

 講習後はレストランで食事を頂きました。
 今日は人数が少なかったこともあり、ちょうど食事にいらしていた以前生徒でいらした90歳のDさんもこちらのテーブルに来てくださり、いろいろと楽しくお話をさせていただきました。用事があって出かけていらしたWさんも帰宅され四人テーブルが埋まっていたのでお誕生日席へ。3月には私も45歳。これからもより何かを発展的に伸ばしていくためには、執着を捨て最新の記憶に私を持っていかなければならないのかもしれません。ですが、若い頃の記憶というものは何らかの脳の働きを損なわせないものがあるようにも感じておりますので、その柔らかさは失わないように整理整頓取捨選択しながら、基盤を最新のものにしていくことを怠らないようにしたいと思いますが、この場合の基盤とは一体なんでしょうか?


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-05(Wed)
 

歩く時間は大きな時間

 本日は毎年二月の第一日曜日に開催される古武道演武大会が、日本武道館ではなく、工事のため東京武道館で開催されました。以前この記事や、講習後に日本武道館で開催とお伝えいたしましたので、間違えて日本武道館の方へ行かれた方には大変申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫び申し上げます。

 さて、今日の講習はいつもに比べて少な目の人数でしたが、殺陣クラスでは血振りからの納刀を各バリエーションでおこない、立廻りタイプMの前半を稽古した後、後半を各組に分かれておこないました。タイプⅠからタイプMになって一年ぐらいになりますが、最後までの動きがようやく身体に入って来たように感じます。4/29(水/昭和の日)12時00分~14時00分品川区総合体育館剣道場にて『立廻り特別講習会』(Gold Castleの生徒限定)を五名以上お申し込み頂いた段階で開催を発表いたします。

 内容は、現在おこなっている「立廻りタイプM」と時間的余裕があれば「一対四瞬殺」を考えております。まだ開催の見込みは立っておりませんが、タイプMに関してはこの4/29の特別講習会で一区切りにしようかと考えております。5月からの日曜日の殺陣クラスの講習内容は、今までどおり、毎週始めに週毎に基礎稽古内容を組み、後半は立廻りをおこないますが、これまでおこなったタイプⅠやタイプMのような手数の多いものではなく、実験的に剣術に用いられる身体運用を用いた技を短い手数の中でアレンジしながらおこなってみようかと構想を練っております。杖術も取り入れるかもしれません。一対四瞬殺に関しましては毎週ではありませんが、今後も継続して誰でもが楽しめる立廻りとしておこなっていきます。

 剣術クラスでは、納刀法と抜刀術を歩きながらおこないました。静止状態から幾ら動けるようになっても、動きながら刀を抜き差し出来なくては稽古が進んだとは言えません。手之内の技術は異なりますが、動きながら自らの身体を掌握していくには杖術稽古はとても有効です。とはいっても、決められた動きをやるだけでは余り意味がありませんので、足を止めることなく自由にさまざまな動きを行い続けることが今までに無いものを引き出すことに繋がります。私もこの辺りは弛まないように気をつけなければなりませんが、稽古は現時点のレベルの中で条件を厳しくし続けていくこと。そこと向き合う時間は失ってはなりません。これは私に言い聞かせているものでもあります。

 今日は居合刀を自分のお金で買ったという中学二年生のK君が姿勢について、私が後ろから肩甲骨を掴んで開閉し、それに骨盤が連動して動いていることを実感してもらったところ「おおっ!」っと声を上げ、初めて気が付いたその骨格の動きの繋がりに興味深く確認しておりました。

これまでに胸椎と骨盤角度の関連性は言葉で何度も言って来ましたが、今日のように、その部位を触ることで具体的に集中が各部へ注がれていきます。触れられることで動きが実感しやすいのだと思いますが、これは私にとっても落とし穴的なところでした。それは、私の感覚としては、肩甲骨や骨盤、鼠径部に股関節、膝や足首、重心、手首、指関節、頚椎、重心、身体の抜け、浮き身、他にもまだあると思いますが、そうしたものを常にどこかで確認しながら動いているのですが、その一つ一つを確認するというよりは、全体的な調和感覚の中で、違和感や、納まりの良さ、等の感覚からどこに問題があるのかを経験の中で探り当てていきます。

 そうした経験値が積まれれば、さまざまな動きや状況に応じた身体の使い方が備わってくるものと思われますが、そのためには、身体各部の状態を観察し把握掌握できる動きの精度を高める稽古が求められます。そうした動きの条件を厳しくしていく中で、身体と脳の連係は無意識レベルにまで高められるのではないでしょうか。

 長々と書いてしまいましたが、そうした身体各部の状態をまずは知ることが大事であり、それは意外に分かったようでも「納得的実感」までには辿り着いていないということです。私が実感的に感じられているものとしてお伝えしていてはいけないのだと、今後は伝え方を慎重にしなければなりません。(あまり過剰になってもいけませんが)

 姿勢の悪さをあらためて考えて見ますと、「肘」が大きなポイントになってきます。

 つまり、肘が外側に開くことで、肩甲骨が広がり、胸椎が引っ込み、骨盤が後ろに傾きます。これが自然な骨格の「連鎖位置」です。

 とくにデスクワークでは現代はパソコンワークですから、肘が外側に広がって胸椎が引っ込んだ形で猫背になっていますと、「ああ、このひとはデスクワークのお仕事をされているな。」と一目で判るものです。

 ですからそうした日々の偏りを治していくには、逆の姿勢を意識しなければなりません。肘が外側に張っている人は、腕全体を前から後ろへグルっと回し二の腕を正面に向けて肘を下向きにいたします。そこで手のひらが前を向いている人は、肘から先だけを内側に回して、自然な手の位置にいたします。(上腕は動かさないように)これでおそらく肩の位置がやや後ろに下がったと思いますので、その時の胸の角度と、骨盤の角度が、無理な緊張無く自然に先ほどまでよりも姿勢が整っていたなら、なるべくその状態を直ぐに作れるように練習しておきます。そして、最も姿勢の修正が出来る時間は移動時間ですので、歩いているときや、電車に乗って立っているときや座っているときなど、毎日どこでも姿勢の偏りを削っていくことが出来ます。ただ、無理に胸や腰を反ってしまいますと痛めてしまいますので、緊張のない状態で自分の今の状態で出来る範囲で継続して頂きますと、毎日の事ですから意外に成果は早く訪れるかもしれません。仕事中は意識が姿勢の改善に向かうことなど余裕がないでしょうから、先に述べた時間を有効に使いますと、毎日確実に取り組むことが出来るはずです。

 今日は中学一年生のRちゃんが体験参加三回目にお越しいただきました。大人の生徒に混じって、若い世代のお子さんがその雰囲気の中で学ぶものが多いはずです。言葉だけで言われることに少し飽き飽きしてくる時期でもあるでしょうから、大人の学び方を見て吸収して行くことが、普段とは違う環境の中で、身になっているものだと感じております。子供は、本当はどうなのか?という点については敏感ですから、嘘や言葉だけの説明よりも、本気で何かを証明しようとすることが、純粋な気持ちに対する信頼や、真っ直ぐであろうと輝きを失わせないためにも、大人が見せる姿というのは言葉で説明するものよりも大きな説得力のあるものです。勿論私がそうした姿を見せられているのかは分かりませんが、これからも子供達もそうですし大人の皆様からも納得していただけるものであるために、私は前に進むための力を落としてはなりません。

 講習が終って帰り際に中学三年生のR君といろいろお話いたしましたが、バレーボル部で主将を務め都大会でベスト16に入った経験も、彼の少林寺拳法での輝かしい経歴にプラスとなって、またこれからの成長に通じてくるでしょう。私としましては、小学生だった生徒が、中学生となり、高校生、大学生となっていく段階で交わす会話の内容が変化していくのを楽しみにしております。昨年の3月から受験勉強のため休講中のK君も今年で大学生となります。復帰を楽しみにしておりますが、このような喜びというのは、主宰している者にとっての報われたご褒美なのかもしれませんね。年月を重ねるほどに、人の出会いや心身ともに成長した姿など喜びを感じることが出来ます。とうぜん喜びだけではないこともありますが、それらを上回る喜びが全てを力に変えてくれますので、あらゆることに感謝しなければなりません。常にこのような気持ちでいられれば良いのですが、人生は厳しいものですのでなかなかそうにはなりません。おそらくそうした波を乗り越えてこれからも生きていくのだと思います。

 今週も集中した講習となりました。二月は逃げると言いますが、逃がさずにシッカリと中身のある月にしたいと思います。本日もありがとうございました!


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-03(Mon)
 

脳を意識した今回の特別講習会

 本日土曜日は品川区総合体育館剣道場にて『剣術 特別講習会』を開催いたしました。今回は二コマ、大刀の部と小太刀の部を合わせて四時間おこないました。

 大刀の部では、脳が疲れる内容でしたので、二コマ参加された方はかなり脳内が疲れたのではないかと思います。
 自分を騙すようにいつ剣を発するのか自分でも分からないようにおこなう内容のものや、相手に誘われず、相手の動きを占って剣を操作しないようにその瞬間の判断に身を委ねることができるかを試される内容や、打太刀へ斬り結ぶ際に、手元に打ち込むのか面に打ち込むのか、軌道を変え意識させることで、抜き技に掛かり易くなることなどお伝えいたしました。私としては最後におこなったまだ名前は付いていませんが、先週の木曜日に突如生まれた返しの水平斬りが興味深いものであり、始めにWさんに打太刀をお願いして貰い、技をおこなった瞬間の皆さんの反応が、私が興味深く感じたものと同じ表情に変わっておりましたので、返しの水平斬りが理に適った動きとして非常に有効であることが実感できました。さらに水平斬りの直後に正面斬りを加えておりますので、体捌きとしては私がおこなってきた「十文字斬り」に近いものがありますが、おそらくその十文字斬りの手之内が、今回の技には活かされていると感じます。

 小太刀の部では、入り身と、諸手での中心の取り方、片手での中心の取り方を稽古し、ここに時間を割いておこなった意味は、その後におこなった、各技において「作りと崩し」に関わってくるものですので、中心の取り方と、接点圧の維持は身につけておく必要があります。

 小太刀でも最後におこなった「引込潰し」が私の中では興味深いものであり、先々週の木曜日に生まれたものですが、引き込み方と、同時におこなわれる潰しがなんとも微妙なバランスでおこなわれており、私としても今日の講習で色々な方とやってどういうふうに潰せるのかが興味のあるところでした。木曜日は上手くいっていたが意外に出来ないのではないかとも考えておりましたが、全員とやってみて同じように潰すまでの引き込みとの兼ね合いが取れ潰せました。この柄を持った左手による引き込みと小太刀による潰しには相手の身体の嫌なところに導いていくのですが、これは稽古を重ねて出来たというよりは、この動きを試す前に、何となく出来るような気がして最初から出来たものです。「波受返し斬り」では、波受け後の中心を外さない操作と圧を逃がさない操作が肝要です。小太刀は得物稽古の中でも体術に近い感覚がありますので、私にとりましても興味深い稽古内容の一つであります。

 懇親会では三時間近く話し込んでしまいましたが、普段出来ないような会話が今日は出来たように思います。次回は3/20(金/祝)に『杖術 特別講習会』を開催いたします。あらためて告知させていただきますが、次回は昨年5/20に発売された私の初めてのDVD『古武術は速い』を定価より1.000円割り引いて直接お渡しいたします。基礎鍛練法、杖術、剣術、小太刀、抜刀術、それぞれの特徴的な部分を解説しながらお伝えしております。ご興味のある方は、サイトを通じてご購入していただくか、私の手元に幾つかありますので、それを直接お渡しいたします。

 本日は懇親会も含めると約8時間共に過ごされた方々もいらっしゃいました。こうして毎月開催できますのも、お越しいただく方々のお陰であります。次回の特別講習会も興味深く取り組んでいただける内容のものをお伝え出来る様に励んで参りたいと思います。お忙しい中来て下さった方々もいらっしゃったと思います。お越しいただいた皆様、ありがとうございました!


2020年2月24日(月/振休)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年2月 武術稽古日程

2020年3月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-02-02(Sun)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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