FC2ブログ

平成年の瀬最後の稽古

 しっかりと風邪をひいてしまったが、私が主催の稽古会や講習会のすべてが終わった27日の夜から、「もう風邪ひいてもいいよね?」とカラダからの訴えに、「ああ、どうぞどうぞ、一年間大事なところでよく踏ん張ってくださいました。」と感謝の気持ちで、延期してくれていたであろう風邪を存分に味わっている。普段は、ちょっと身体を休めたり、やろうと思ったことを先伸ばしにすることに後ろめたさがあるが、風邪だと大義名分があるので早く治すためにも休むことに罪悪感が消える安心感がある。

 しかしながら、風邪も油断していたのか、昨日29日は私個人として今年最後の最後となる稽古を甲野先生のところでおこなってきました。12月に入って三度目の先生との稽古は、今年になって松聲館へ訪れることがこれまでのペースより少なくなってきた私にとってありがたい限りでした。

 そうした時間の中で学ぶものというのは、表面的なものではなく、身体感という感覚の感じ方を実感することにあります。「感覚の感じ方を実感する」という言葉は重複しているように感じますが、なかなか掴み難い感覚を動きの中で実感するというのは難しいもので、そうした手掛かりの無いものをどのようにして実感できるように感じるか…。そこに稽古の稽古たる集中が求められるのだと思います。そしてその実感に近付く感覚を得ていくのに一番なのは、直に見たり触れた中で感じることです。それは意識的な部分もそうですが、なにより身体がそのことを学んでいるのだと思います。それを意識下に浮上させるには、自らの稽古に掛かってきますが、そうした身体が記憶した感覚や経験はどこかでずっと足りないものを待ち兼ねているようにそのことを気にしている筈です。

 今年一年の収穫の中に、そうした身体への信頼、無意識の計算力に任せる事が理解出来るようになりました。それには稽古をベースにした日常のサイクルが関わってきますが、深層心理に潜む優秀な編集者がやりやすいように、意識(自我)がいつまでも邪魔しないように、進展的譲歩ができるようになったと思います。

 今年最後の稽古を終えて、今日一日は真剣と居合刀、杖や木刀等手入れをおこない、本年度の書類関係など全て整理いたしました。掃除が大変かと思っておりましたが、意外にもさほど片付けるほどのものが無く、捨てるものも例年に比べ圧倒的に少なくなりました。

 私の性格は家庭的ではないので、一人実用性の中でシンプルに動きやすく生きていくことでしか自分を保っていられないのかもしれません。だからこそ、前に進める状況で生きて行く事が私に合った水であり、その水の中特有の活き活きと動ける発想や行動力が私にとっての生きている証であり、これまでもこれからも全てであると言えます。

 今年一年は本当に大きな一年でした。もうすぐ2019年になりますが、私は私で築いたものを守りながら、その場が私の居所であるように、執着無く、私の生きてきて関わっている方々との時間が血縁よりも濃いものであると思っていますので、そうした生きてきた厳しさの状況の中でこれからも闘い守り、今の時間を生きて行こうと思います。

 来年もみなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。


2018-12-30(Sun)
 

金山剣術稽古会 稽古納めに大事な発見

 本日27日(木)をもって本年度、私が主催する稽古会&講習会の全てが終了した。稽古が終わった直後に待ってましたとばかりに風邪を引いてしまうから人間の身体は不思議なものだ。だが、よくここまで持ちこたえてくれたと感謝したい。


 まずは昨日26日(水)の稽古記事から記したい。

 昨日は午前9時から品川区総合体育館にて、加藤氏と渡部氏と稽古をおこなった。柔道場ということで、体術稽古からおこなった。ひさしぶりの体術稽古では、仙骨操作のによる足裏感覚が曖昧なものとなってしまい、威力としてもイマイチなものとなっていた。この仙骨操作による足裏感覚の精度は磨いておかなければならないことをこの日痛感した。しかしこの日のお陰で、本日大きな進展があったので、さまざまな出来事は周期の中で繋がっているという事をあらためて実感した。

 杖術、剣術、抜刀術とこの一年間の間に進展したものを加藤氏にお伝えしながら、最後は退出時間ギリギリまで杖整体操をおこなった。

 私に年齢の近い加藤氏であるが、もうアメリカでの生活のほうが長くなっている。しかしお会いしても全く言葉に発音の違いも無く、もの静かな佇まいに、本当は日本に住んでいるのでは?と思ってしまうほど日常の生活環境が想像できない。ミネアポリスではこの時期マイナス20度~30度になることもあるそうだが、想像以上に大変な寒さであると思われる。周囲に日本人がほとんど居ない生活環境の中で、剣術や杖術、抜刀術を稽古されている。しかしそれはおそらく、日本でおこなう稽古環境とは違うもので大変な思いもあるだろう。加藤氏にとっての武術とは、日本人であることの時間を保ちそのなかで自らと向き合うことが彼のなかで外せないものとなっているように感じている。だがそれを継続するのは、日本で日本人が日本の武術をおこなうのに比べて困難であろう。2013年から毎年欠かさず年末に訪れて下さる加藤氏とは、これからも長く稽古を通じて繋がっていきたいと願う。

 
 加藤氏との今年最後の稽古を終えて、帰りに五反駅に向かう途中お店に入り三人で食事。想い出にと、激辛で有名なお店に入り、先日テレビ番組でも放映されていた店内でラーメンをいただく。これが大変辛いのであるが味はとてもおいしく加藤氏にも喜んでもらえた。武術の出会いは生き方の出会いでもある。毎年この日を楽しみにしておりますが、いつかは私もミネアポリスに行って見たいとそんな日を夢に思っております。今年も彼の地から稽古にお越しくださりありがとうございました!


 そしてこの日は、夜から終電近くまで甲野先生のところで稽古。私も稽古会や講習会を主宰しそれだけで仕事をしている身となって、なかなか時間を空けることが難しくなってしまった。これはとても有り難いことであり、そのことは常に感謝し、当たり前に感じてはならないと肝に銘じている。そうしたこともあり以前のように甲野先生のところへ行けなくなってしまったのであるが、お会いするとそうした時間が一気に埋まるから不思議である。変わるものと変わらないものの大事さ。これは本当に私自身大事にして行きたいと思っております。


 そして本日は、品川区総合体育館剣道場で渡部氏と稽古。

 この広い会場を二人で利用するのは贅沢であるが、戸越体育館が耐震化工事のため利用できないので、3月末まではここで稽古をおこなう予定である。会場費など考えると負担も大きいが、この稽古で得られることの重要性を考えると費用のことなど問題にならなくなってくる。

 今日の稽古では新たな発見が幾つかあった。そうした発見が得られるものとして、私にとって道場から感じる雰囲気が変わったことが大きい。

 これは以前の記事にも記したように、日常のサイクルが無意識のなかでそのような進展に繋がる時間を配分しているのだと想像している。今日の稽古で、道場から伝わる雰囲気がこの少人数での稽古の記憶をどこかで残しており、そこに無意識的にシステム化された流れの展開が今日の稽古に当て嵌まり、研究稽古の余韻を道場の風景から心地良く感じるのである。

 そんな中、昨日の稽古でおこなった体術の検証として、仙骨の操作による身体の強さを、これまでの強さを凌ぐ強さとして操作の方法が解った事にある。これは講習会などで渡部氏の横方向へ振り回す際の強さを知っている方には分ると思うが、その強く操作した渡部氏を、難なく振り回すことが出来るようになった。この時の操作法はここでは記さないが、足裏の感覚としては、これまでに踵と爪先の接地圧について述べていたが、さらに土踏まずまで接地圧が掛かるようになった。そのため足裏全体での接地圧が強く掛かっているので横方向に対する身体の強さはこれまでの比ではない。これは昨日の稽古でもそうであったが、足裏感覚は養い続けて行かなくてはならないので、体術稽古の中では外せない一つの検証内容としてこれからも進展させていかなければならない。

 横方向も強くなれば、操作手順を変えた縦方向も土踏まずまで接地圧が感じられることで強力になった。昨日まではひさしぶりの操作にまるで失われた感覚だったのが、一晩経って見違えるように変わったのはこれまでにも何度か経験したことであるが、そうした突然の展開には驚かされてしまう。

 そしてもう一つ大きな発見は、剣術の操法に新たな兆しが見えたことだ。

 流れからいえば、12月11日に江東区スポーツ会館で突然生まれた、斬り上げから袈裟斬りに繋がり正面斬りへと続く剣の操作である。これは左手手の内が瞬間的にさまざまな動きをおこなっておりその独特ともいえる動きは杖術の手の内から自然と用いられるようになったものと思われる。考えて取り入れた動きではなく、勝手にそのようにおこなった動きに自分自身「今のはなんだ?」と、どう操作したのか自分の身体に訊きながらおこなっている。

 そのときに初めておこなった三連続の斬りでは、右腕や肩回りがパンパンに張ってきたのだが、それはその日だけであり、それ以降は拍子抜けしてしまうほど身体への負荷や負担が感じられなくなってしまった。その要因は、手元の動きが小さくなったことと、斬りに連動する足運びを慣性に任せることで、剣を止める衝撃の負担が減少したことが考えられる。

 そして12月24日、電車の中でフトこの剣の操法からあらたな動きが頭の中に浮んできた。これは不思議なもので、動きの実感が得られない中でも名前が先に浮び、一人稽古でも体捌きを練りながら技として有効な剣の操法を、連続的な動作に生ずる心地良さの中で継続的におこなえるものとして、ようやく見つかったような気がしたのである。

 それは斬り上げと袈裟斬りが左右対称に続くのであるが、これまでに私の稽古の中で斬り上げというのは他の斬りが優位に立つことから敬遠していたのであるが、今回の手の内による瞬時な変化に独特な心地良さと効果を感じるものがあり、さらにこの剣の軌道から特別なものとして発展させたいという想いが生じこれまでに無い軌道の型が誕生した。

 陽が落ちて月が昇ることから、「陰陽之祓い」(いんようのはらい)としてこの太刀筋は私の中で大事に育てたいと考えている。そして、この陰陽之祓いが生まれるキッカケとなった12月11日に、突如として生まれた斬り上げから袈裟斬りのあとに正面斬りをおこなう剣の操法を「陰陽之太刀」(いんようのたち)として名前を付けることにした。これまで一振りで終える操法の多い私の剣術において、新たな展開となっていくだろう。

 そして抜刀術「鷲眼一閃」にも進展があった。

 先週の水曜日にも構えの角度をずらす事で、斬撃力を高めかつ剣に引かれる軌道が取れたことで間合いをこれまでよりも大幅に詰める事ができた。その際にこれまで鳴りにくかった刃音が二尺七寸の長刀片手斬りでも聴こえるようになった。しかしながら今日の稽古では、刃音がなるための刃筋の手の内を安定的に保つのに苦労し、半ば諦めかけた最後に「どうしてこんなことを今まで気が付かなかったのか!」という簡単なことで刃音が簡単に鳴るようになった。もちろん、刃音が鳴ることだけを目標に稽古しては、技そのものが成立しなくなってしまうのでそこは当然注意しているが、この抜きに関しては間合いを詰めることと斬撃力を高めることが、重心の使い方や中丹田の意識、柄を噛む手などにより初動エネルギーが高まったことで成立するようになった。刃音からしても、その場の抜き付けより明らかに威力は上である。さて、その刃筋の立て方であるが、あまりにも簡単なことなので恥ずかしくて記事には出来ない。しかし、それが簡単でも刃音が鳴る威力がこの抜き方から出来るかは別問題である。

 今日一日の私が主催する最後の稽古は、大きな発見の連続でもあった。稽古が一段落し、来年に向けての整理をして行かなければならないが、そうこうしている内に2019年が始まってしまう。同じ数日間でも、これまでの一年の総括とこれからの一年のスタートはまったく心理的状況が入れ替わっている。これからの数日間はそうした日々になると思うが、風邪を治しながら頭と心と身体を次に準備して行きたい。

 今年一年、金山剣術稽古会でお世話になったみなさまありがとうございました。来年からは新たな展開も増えてくることになるかもしれませんが、これから益々外国人が日本に押し寄せてくる中で、日本人らしさが見直されてくるかもしれません。そうした日本人のことを一番知らないのは日本人かもしれないという、リスペクトを持って日本に来られる外国人の方に恥ずかしくない精神を持っていたいものです。来年は否応無く時代の変化を感じさせられる年になるでしょう。そうした時代を共に武術稽古の中で学びを得ながら生き抜いていきたいと思いますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。


2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-28(Fri)
 

平成30年 クラーチ剣術教室 全員参加で賑わう稽古納め

 今年最後尽くしの日々が続きますが、今日は「クラーチ剣術教室」が年内最後の講習となりました。

 今日は骨折されたHさんが早くもギプスが取れて講習に参加されました。他の場所で転倒された際に右手首を骨折したということですが、まだ二ヶ月経っていないと思いますので怪我の程度に安心いたしました。私の場合高校一年生の頃、12月の部室の大掃除で焼却炉から足を滑らせてしまい、二メートルほどの高さから下にある柵に強打しないため、瞬間的に飛び越えて頭から下に落下。地面に衝突する際に手を付いてうつ伏せとなったのですが、思いのほか衝撃が無くてホッとしたものの、立ち上がってみると左手首の形が曲がったままで、ちょっと突き抜けそうに飛び出た感じで、これはマズイと顧問の先生とともに病院へ急行。五分ずつベッドの上に整形外科の先生が交代しながら合計十分間反対の方向に曲げてなんとか変形は免れました。そのときは、おそらく余りの激痛だと予想されていたのか、ベッドの周りに看護師さんやら色々と数人に囲まれて、少しでも呻くとバッと身体を押さえ込まれた経験は不気味に覚えております。私の場合お正月を挟んで三ヶ月間ギプスが取れませんでしたので、ボクシング部に入って、ようやく手首のスナップを使う左ジャブのコツを掴んだところでしたのでかなりショックでした。

 まあそんな苦い経験もありましたが、Hさんは元気に出来る範囲で参加されました。Kさんとの漫才のようなやりとりが見られたのも久しぶりで嬉しかったです。本日はみなさん気を使ってくださったのか全員参加となり、Sさんが昨晩夢に見たという文化祭での剣術教室のお話を伺い、「それは正夢になるかもしれませんよ!」とこれまでおこなってきた普段の内容がもう少し全体的に形になってくれば、十分そのままでも文化祭でお披露目は出来る可能性があります。

 今日はそうしたことも含めまして、これまでの講習の中でも代表的な内容をおこないました。

 杖では「二十連円打」剣では「抜付之型」「真向突之型」「赤城之山」などは、ほとんどの方が私と一緒におこなえば最後まで出来るようになっております。まだ他にもたくさんおこなっておりますが、完成度を高める内容のものと、その場を楽しむ内容のものなど色々とありますので、それらをバランスよく組みあわせて講習をおこなっております。

 それにしましても久しぶりにおこなった「二十連円打」の盛り上がりは私の出番が無いほど、皆さん10名がそれぞれペアになって教え合いながら白熱しておりました。私はもうその場で邪魔にならないように笑っているだけのおさぼりタイムでした。…って冗談です。

 最後は三人一組位に分かれて「杖整体操」をおこないました。この杖整体操は、今年の6月に突如として生まれたものですが、動きの心地良さはもちろんですが、講習会や稽古会における全体的なパッケージの中でとても大きな役割としてその場の空気を守ってくれております。もちろんいつもおこなう訳ではありませんが、さまざまな選択肢の中で、その時その瞬間に必要なものとしての優先順位はかなり高い位置にあります。それはおそらく只の体操やストレッチとは違う、心に作用する働きが関わっているからだと思います。来年はさらに安定した内容で私の身体のケアのためにも、この杖整体操をおこなっていきたいと思います。

 クラーチ剣術教室も五年目に入っておりますので、生徒の皆様も八十歳代の方が増えてきております。毎週こうした得難い場所で得難い方々と講習を行えますことは私にとっての心のケアでもあります。来年もこれまで築いてきた皆様との信頼関係の下、楽しく大きな怪我のないように毎週笑顔でお会いできることを楽しみにしております。

 本年も大変お世話になりました。生徒のみなさま、スタッフのみなさま、住人のみなさま、いつも暖かく迎え入れて下さりありがとうございます!来年もみなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。


2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-25(Tue)
 

2018年 Gold Castle 殺陣&剣術スクール稽古納め

 小雨模様の日中でしたが、夜となって雲が払われ綺麗な満月が顔を覗かせました。そんな12月23日(日)天皇誕生日の本日は、品川区総合体育館柔道場で午前9時10分から講習をおこないました。なぜ9時10分という中途半端な時間かといいますと、会場自体が8時45分に開館いたしますので、着替えや受付設営準備等を含めますと9時丁度に始めたいところですが、慌しく始めるのは講習に影響いたしますので、落ち着いて始められる9時10分からの開始とさせていただいております。

 それでも私は着替える時間が足りませんので、日曜日の午前の部は自宅から稽古着に着替えて行っております。冬はコートがあるので良いのですが、夏場はもろ剣術衣に袴姿ですので目立ってしまいます。しかし、早朝は意外に袴姿の方も見かけるものです。とくに山手線代々木駅で下車される武道関係者は多いです。おそらく明治神宮の傍にある至誠館へ向かわれているのでしょう。

 今日は久しぶりの柔道場ということで、殺陣クラスでは斬られてからの倒れ方をおこないました。この倒れ方は私のオリジナルですが、アクション専門の人でなくても安全に見栄え良く倒れる方法があります。これは、殺陣の技術の中でも刀は振りませんが、役者さんにとっては実用的であり頻度的にも可能性の高いものだと思われます。殺陣にあこがれて教室を訪れる方は、剣術や杖術に興味を持って参加される方と比べ圧倒的に多いことは、体験参加の時間帯が殺陣クラスに集中していることからも伺えます。

 しかしながら、殺陣は気持ちよく斬る稽古だけでは成立いたしませんので、斬られる稽古も同時にしなければなりません。そうしたときのお芝居というものは、主役を見てあこがれたイメージとともに、殺陣を成立させるためにおこなうべきパートの役目も身につける必要があります。

 よく、剣術と殺陣の違いは何ですか?とご質問を受けることがありますが、殺陣は斬る側も斬られる側も良く見せるために段取りとお芝居を稽古いたします。剣術は、その技が有効であるかどうかを体捌きに含まれる技術などを磨きながら、有効にするための稽古を身につけていきます。もっと端的に言えば、殺陣は見た目に判るように全体でお芝居をすること。そこに見ている側が心地良く感じられる、テンポと見栄えが関わり、それを皆で協力して作り上げます。そして剣術は、ある状況に対しての対応法として有効な技をさらに有効になるように体捌きや感覚といった自らの内なる部分と向き合いながら技の出来不出来を通じて自らを問うものであります。見栄えやお芝居、協力といったものは無く、協力ではなく理合いで通じるかどうかを検証しています。殺陣は外なる世界を追求し剣術は内なる世界を追求しているのかもしれません。

 もう少し書けば、殺陣はお芝居でおこなう斬り合いの事です。つまりその場の状況で求められた動きをおこなうことが殺陣であり、お芝居そのものと言えます。剣術は斬ることそのものを稽古しているわけですから、殺陣をおこなう以前に剣術を身につけておかなければならないことは当然と言えば当然のことなのです。

 ですが、そんなに時間を掛けていられない(昔の役者さんはかけておりました。)現代では、殺陣から入ることが常とされ、いきなりお芝居用の斬り方や斬られ方を身につけることになります。そうしたことの伝達が広がり、本来の剣術とは掛け離れた刀の扱い(重たいはずの刀を片手で振り回すことなど)が見た目の華やかさから違和感を唱えるものも少なくなり、ダンス的パフォーマンスにも組み合わせやすくなったのではないでしょうか。カンフー映画の世界的影響力は、本物のカンフーを身につけているスターがいたからであり、カンフーを知らないカンフー映画は存在しないものと思われます。そこであらためて、剣術を知らない殺陣というのはどうなのかと思いますが、そこに時代劇の本当の魅力がある筈なのです。しかしながら、それは殺陣ばかりを責められたものでもありません。剣術も伝承の中で形骸化したものとなり、殺陣となるべく動きの参考になるものが失われていたことは否めません。ですから、剣道や居合いといった部分から作品に参考にされている部分はあると思いますが、やはり立廻りとなるとそれらでは上手く見せる事は難しいでしょう。

 私の教室がどうして殺陣と剣術を同時におこなっているかの一つの答えはそこにあります。時代劇が衰退した要因の一つに王道のチャンバラが撮れなくなったことも関係していると思いますが、それには剣術自体の伝承の衰退も関わっているものと思われます。人のエネルギーの元には憧れがありますので、時代劇のみならず、剣術界のためにもそうした役割を担う人が現れ発展していくものとして、エンターテインメントの発信力は重要なのです。


 今日の殺陣クラスでは、立廻りタイプⅠをそれぞれ絡みA~Dまでの斬られる場面をメインにおこないました。そのなかで、斬るという実感を持つと見栄えが変わることも分りました。これは実際に斬ってもらうことが一番リアリティが感じられやすくなるのですが、包丁で何かを切る際にも、ただ形を綺麗に振り下ろすのと、しっかり手元を見て斬るための包丁の引き方がある筈です。それと同様に刀でも、相手のどの辺りをどういう感触で斬るのか、その「感触」をお芝居で感じながら斬ると、動きが見違えてくるものと思われます。振るのではなく、斬る。その手応えと抵抗感を感じることで細やかな力感と表情に表れます。ただし、力任せに力んで強引にやってしまうのは間違いですのでお気をつけ下さい。それは大振りです。

 生徒になって間もない中学一年生のR君は「万乃型」を後半の入りまでおこないました。私よりも背が高く足も長いので、歩幅を広めに取る事でとても見栄えが良くなりました。忘れていましたが、体験参加一回目のときは、今日と同じ会場だったのですが肩がどちらか斜めに上がっており明らかに姿勢が曲がっていたのですが、最近はそうであったことも忘れてしまうほど、姿勢の歪みは大きくは見受けられなくなりました。おそらくですが、自分の武道具を手に入れたことにより、家でも触っているものと思われますので、構えや振り方など短い時間でも熱心に集中いたしますとこの頃の年齢ですと瞬く間に変化が見られると思います。気がつけば中学一年生を指導して中学二年生も含めますと六人位でしょうか、親御さんといたしましても子供の変化を大きく感じる時期だと思いますのでいろいろな不安がある筈です。学校では学べないものは私のところにはあります。大人と対等に礼儀の中で触れ合うことや、私が誰にも雇われず、自分の評価のためではなく、直接私の意志を伝えることが出来ます。受験勉強は進学や就職のための暗記の努力と言えますが、退学や退職したときの勉強はどのように身に付けているのでしょうか。

 多感な時期の大半を暗記に使わせられるのは、その後の長い人生を生き抜いていくには野生を知らず野に放たれた動物のようなものです。暗記には無い生きていくための幸福の価値観の見つけ方、学ぶことに心が通っているか、法律に触れている人も触れていない人もそのあたりは関わってきているように感じます。需要と供給で成り立つのなら、需要が変わらなければ供給は変わらない。需要は私達の考えであり生き方なのですから。

 
 ひさしぶりに話が大脱線してしまいましたが、講習に戻ります。

 続く杖術クラスでは、今日が最後ということで少し疲れる内容のものを組みあわせておこないました。「倒れ雀」「差し換え突き」「馬突き」「旋打」といった、全てふつうにやれば疲れる内容の組み合わせです。しかしながら最後におこなった「鬼ごっこ」がもっとも疲れる内容でしたので、今日お越し頂いた皆様はこれまでの講習の中でも記録的に疲れさせてしまったかもしれません。

 それでも皆さん、笑いながら取り組んでくださいましたので今年最後の講習といたしましてはGold Castleらしい良い終わり方が出来たのかなと感じております。


 今夜は「杖整体操」の記事もこのまま一緒に記していきます。

 今回は全員Gold Castlebの生徒さんばかりの参加となりました。中学一年生のR君も続けて参加。この歳の参加者は初めてでしたので、私としましてもどういった反応になるのか興味深いものでしたが、大人と同様に温泉に浸かるような感じでゆったりと気持ちよさを味わうことが出来ておりましたので、あらためて杖整体操の幅広さを感じました。私自身、今日ひさしぶりにジックリとおこなうことが出来ましたので、腰の具合が良くなり詰まっていた感じがかなり解消されました。古流の剣術など腰を反った姿勢では、腰が詰まりやすく動きによっては腰に痛みというか重たさ鈍さを感じますので、そういった方は杖整体操にある腰を揺らがせる操作が効果的です。

 この杖整体操の参加費は2.000円と比較的参加しやすいように設定してあります。家で一人で出来る方法を覚えて行かれるのもいいですし、こうした集中し整った場でおこなうことでしか得られない効果もありますので、まだまだこの心地良さを知らない方には是非体感していただきたいと思っております。


 おかげさまで怪我人も無く、一年間無事にGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習を終える事が出来ました。今年は、一月から毎月月末の日曜日にビデオカメラで立廻りを撮影し、四月にタイプⅠの区切りとしてホームページに生徒限定公開として掲載いたしました。稽古を重ねて行く中で、再び今度はもっと編集をして動きを見せられるものとして撮影をしようと考えが定まりました。私の教室は、イベントや舞台などおこなっておりませんので、より有意義に使える効果的なものとして映像を撮る事を一つの成果として賛同していただける方には協力したいと考えております。しかしながら、専門家ではありませんし機材も一般的なものなので撮影と編集のクオリティに関しましてはあらかじめご了承いただきたいと思います。ただし、私は細かい部分まで妥協はいたしませんので、時間は掛かりますが尽力を尽くすつもりです。

 一年ありますと、皆さんそれぞれいろいろな出来事があると思います。また来年も変わらずに笑顔でお会いできることを楽しみにしております。それぞれの発展や安心できる場として、また来年もよろしくお願い申し上げます。

 今年一年ほんとうにありがとうございました!


2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-24(Mon)
 

雀のすすめ

 本日は小雨の中、今年最後となる深川スポーツセンターでの講習でした。

 杖術の講習では、始めに鍛練稽古として「倒れ雀」をおこないました。音を立てないようにおこなうことでこれまでと比べて負荷が強く掛かるため、徐々に動作を大きくしていくように心掛けました。

 そして今回の内容は力の伝え方、通し方をテーマにおこないました。中丹田を意識した押し込みから、下丹田、腿の付け根と腹を圧縮するようにした力の使い方、それから予定に無かった「迎え雀」をおこないました。この迎え雀は今日名前をつけたのですが、相手に雀をさせられるという、ちょっと面白い笑い溢れる内容でした。杖の端を互いに持ちながら、片方は引き寄せもう片方は引き寄せられまいとするのですが、相手の操作が上手く行くと、否応なしに雀足で迎えに行かされるような動きとなります。

 その光景をしばらく堪能したのち(笑)、「雀返し」をおこないました。これも稽古ではほとんどやっていなかったものですが、術理的には頭で分かるものでしたので、雀には雀で対応し、互いに雀合戦をおこなうという面白い内容でした。引き寄せられまいとする側は、肩の力を抜き、相手の動きを見て瞬時に小さくて速い雀を掛けます。(雀を掛けるという言葉は今出てきましたが)大きな雀を掛けますと、浮いている間に迎えに行かされますので、そうならないためには、機先を制するが如く相手の掛けた雀に対しすでに落ちている位の速さが求められます。つまり、相手が引き寄せる際に、何もしていなければ簡単に運ばれてしまい、また大きな雀を掛ければ浮いている間に運ばれてしまいますので、相手が引き寄せるそのタイミングに合わせて落として行かなければならないところが、この稽古の雀による浮き身の掛け方の実用的精度を高めるものとなります。この内容は見た目にも、やっていても楽しく、かつ脚部の操作とその感覚に得られるものがありますので、来年の関西での講習会などでもおこないたいと思います。

 後半は、杖を掴まれた際の対応法をおこないました。関西からお越しのKさんの受けが異常に強くてこれには驚きましたが、後に分析してみたところ、杖を掴む際の掴み方の目的が耐えるための持ち方になると、この崩し方にはさらなる工夫をしなければならないということが分かりました。今後の課題として、この状況からどのように対応していくかを検討してさらなる技の向上に努めます。

 最後は「合心之型」と「合心之型その二」をおこないました。演武動画「かざあな。杖術編」にも収録されている技ですが、動きのつながりを如何におこなうかがこの技の重要なところでもあり、そのためには相手を観察しその機を捉えて自らの動きに置き換えていくことが大事です。それはつまり、相手に動きを引き出してもらうものであり、相手にしてみれば動きを引き出してあげるための精度と力量に応じた動きにすることが求められます。型稽古に必ず関わってくる問題点の一つでもありますが、互いの技の引き出し方が、何処を捉え何処を観て互いの共通認識の下おこなうのかが型稽古の条件であります。心理面の働きも関わってきますので、型稽古における技を引き出せる互いの共通認識と呼吸は実は動き以上に深いものがあります。

 充実した土曜日の講習も今年はこれで最後となりました。おかげさまで土曜日の剣術(杖術)クラスは安定して開催できております。皆様の成長も驚きに慣れてしまうほど感じられております。来年からの課題は、「自身の身体とその際の心の状態を把握する」ことをテーマとし、運動神経や体力筋力の向上とは別の意味でも重要で欠かせないものでもありますので、自らへの観察力と集中のしかたを身につけることが何よりの進展への近道でもありますので、その辺りをお伝えしながら楽しく真剣になれる内容を今後も継続できるように努めます。土曜日クラスのみなさま、今年一年ありがとうございました!

 明日は、Gold Castle 殺陣&剣術スクールの稽古納めとなります。午前の部から品川区総合体育館柔道場にて開催いたします。その後四十分ほど時間を置いて特別講習会「杖整体操」をおこないます。身体が硬い方や、心にストレスを抱えている方、そうしたことの調整が上手く行かない方などおすすめですので、今年一年最後の最後にゆったりと過ごされてみてはいかがでしょうか。お申し込みはまだ数名しか集まっておりませんので、少人数での開催となる可能性が高いですが、杖はみなさんお持ちですし、貸し出し用のものも数本ありますので、ご予定に空きがある方は一度試しに参加されると想像していたものと違うと感じられると思います。

 それでは明日もみなさまお待ちしております!


2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-22(Sat)
 

中丹田は司令塔なり

 中丹田の意識ということをこの一ヶ月以上前から言い始めているが、この一ヶ月間で中丹田を意識することで身体各部の働きが最適化され、それぞれの配分、手続き手順など、これまでタイミングを緻密に計りながらそれぞ技として作り上げていたのであるが、中丹田の意識というのはそれら身体各部への計算を考えなくとも、自然に最適な状態で整っている感じがしているのである。これは、あまりに簡単でなにも難しいことではないので、果たして「気のせいではないだろうか?」とか、「思い込みによる錯覚なのでは?」などと注意を向けながら講習会や稽古会で取り組んできたが、今日の4㎞のランニングでそのことが間違いないと確信できた。


 走るというのは、動作の中でも原初的なものでありシンプルなものである。しかしながら私も昔よりは少なくなったが走ることは止めていない。昔は心肺機能を向上させるために走っていたが、ここ近年は身体の調整のために、心地良い振動と弛みで固まった身体各部を解すつもりで走りながら、走れなくなることの内容に継続的に短い距離を走ることが重要であると感じているからである。もっとも日常において、連続して走り続ける必要は無いだろう。だからこの事が身体にとって自然なことなのかは甚だ疑問であるが、原初的な運動として走ることが出来なくなるのは私にとっては耐えられない苦痛でもある。ボクシングをやっていた頃に比べれば、どこまででも走れそうな身体への信頼は失われかけてきているが、それは走ることを前提とした生活ではないから普段からの身体運用法とマッチングしないことも含め致し方ないことである。

 しかしながら、今日走ってみて中丹田に集中しこの箇所を疲れさせないように、まるで接待でもしているかのような気遣いをしてあげることで他の身体各部が最適化されるような楽な働きをそれぞれがおこなっていることに驚いた。

 これまでには、重心の掛け方、膝の曲げ具合、爪先の蹴り出しか、腿の引き上げか、さまざまに身体に加わる負荷を感じながら退化しない部位のため、武術としての身体運用法に特化し過ぎた日頃のツケが感じられ始めているが、走れなくなる事だけは避けようと時間を見つけては走ってきている。かれこれボクシング時代を含めれば二十八年となる。だが、床を蹴らない身体運用と、下駄や雪駄による日常の歩行は、インナーマッスルと呼ばれる大腰筋を鍛え、身体を強く幹を丈夫にした。しかしその代償としてふくらはぎを始めとした床を蹴るために使われる筋力は退化した。

 だから走れなくなることを切実に感じ始めている。

 もちろん蹴る力を極力抑えた走り方(一年ほど実践したが)をおこなえばそれなりに走れるが、走ることに自然な体の使い方はそうとは思えない。だが、武術的身体運用で偏った身体の作りはそれ相応の感覚と働きが備わっており進展に繋がる身体感覚を研ぐものでもある。

 そのような矛盾を感じながらも、鍛えるためではなく、身体の固まりを解すため、適度な振動を全身に与えながら原初的な運動も継続しておこなえる身体であり続けたいと思うのである。

 話を戻すが、中丹田の意識、すなわち中丹田の意識集中が結果として身体各部への最適化を促し、シンプルに統御できることで、動きの精度が向上したのではないかと思うのである。「腰が身体の要であるなら、鳩尾は動きの司令塔である。」


 さて、それでは昨日木曜日の稽古記事を記したい。

 昨夜は江東区スポーツ会館にて二ヶ月ぶりにI氏と稽古。二ヶ月あると、お互いにそれぞれ進展した出来事があった。I氏との稽古は技や身体を作ることが主眼ではなく、精神的なものの考え方や思考法といった、分野が違えどその先に通じるもののためにI氏の質問によって私もこれまでに色々な言葉が引き出されてきた。だから、I氏との稽古は私にとっての学びでもあり、そうした「場」における生身の身体感が発する空気が、じつは日常のサイクルの中にあることがハッキリと解ったのである。

 「どのようにして、そのような考えに気付かれたのですか?」というI氏のご質問にもあったように、「それぞれの場があって、それは講習会や稽古会、家での作業や電話の内容など、そうした場の点と点が一定サイクルとなっており、円に循環しているので、その『活きた循環』が、発展的に物事を進めているんです。」というような事をお答えさせていただいた。

 それと併せて深層心理の優秀な編集者に委ねることについてもお話した。意識下にいつまでも留めておいては良くなるものも良くならず、身体に委ね、意識下に浮上させ、というようなことを随時同時並列におこなっていくことで、日々何かしらの編集者からの報告を聴くことが出来るのである。そこに至るまでの要所要所の場が大事であり、その流れを日常のルーテーィンとして余裕を持つことで、多少の不安材料や上手く行かないことも、そのサイクルの中の出来事であれば何ら動じることも無く楽観視出来るものでもある。それが、自身の生活周期として成り立っているのであれば、自分の言葉が生まれるはずであるし、何を言われてもその言葉の裏側にあることも見えてくる。なぜなら、言われようのない生き方を手に入れていれば言われる訳は無いのであるから。


 昨日は静かな稽古空間であったが、そう長くは続かず、このところずっと火曜日木曜日ともに剣道家がこの会場を訪れることになった。音が響く造りになっているので、剣道団体がこうした個人解放の場で稽古をされると大変なのである。こういう場では声を張りあげず、技術に特化した静かで集中した稽古法を思いつくことが、現代に通じる武道としての対応法であると思うのであるが、いかがなものか…


 しかし、昨夜はそうした音にも稽古を乱されることは無く、I氏とともに実りのある稽古となった。

 杖整体操で新たな動きが生まれた。これはI氏が会場に訪れるまで一人でおこなっていた時に見つかった動きであるが、腰を伸ばす動きとして、半跏趺坐に座り足の付け根に杖を挟み、前に背中を丸めながらお尻を浮かせたところで静止し、後は呼吸で僅かに前後するというもの。呼吸で自然と身体が動き、その際に腰が伸びる心地良さが得られるのである。

 I氏も杖整体操をおこない、とくに最後におこなった「両手持ち上げ」には衝撃的感動を覚えたようだ。これは以前にも行ったことがあったが、今回は心の緊張を緩和しながらこれまで無言でおこなっていたものを、安心させるように動作手順をお伝えしながら進めて行った。

 杖整体操の中でも、相手に操作してもらう内容のものは特殊な作用が働いている。以前にも記したが「1/f ゆらぎ」的な働きがあると思うのである。そのため、僅か1~2回しかおこなっていないのに、身体を解すというよりは心の中にテンションを掛け繋がった状態で安心できるゆっくりとした戻り方が、胎児の頃のような母親の心臓の鼓動を長く聴いて育った感覚を呼び覚ますかのように、記憶に無いあの頃を呼び覚ますかのような不思議な心地良さを得るのである。

 これはおそらくヨガにも無い短時間で得られる不思議な感覚ではないだろうか。

 身体のことに詳しいI氏が衝撃的感動で、しばらく座ったまま呆然とされていたのがとにかく印象的であった。私としては、心に届かせることが出来て良かったと思うし、I氏なりの発展をさせていただければと思う。

 一回の稽古は偉大であり、そこから得られた身体感に繋がる情報は計り知れないものがある。良い稽古は、やはりその場に訪れる方の思いの真摯さとその先に繋がる学びの姿勢である。今年も10日ばかりとなってしまったが、来年もこうした良きサイクルで発展的稽古、発展的学びを得て、発展的出会いのあることを期待しております。


2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-21(Fri)
 

稽古は凄い

 今週は快晴が続き気持ちの良い日が続いている。日中は穏やかな陽射しから日没にかけてオレンジと群青色につながる澄んだ空色。そして都心部の空では、オリオン座やシリウスが主人公とばかりにウルウルと輝きを放つ。寒くて日が短い時期はあまり好きではないが、この時期にしか感じられない空の美しさと穏やかさには、一年の内でもっとも空に目を向けてしまう時期でもある。いつかは空が一年中綺麗な土地に住みたいと願っているが、今はまだまだ東京で地に足をつけてやっていきたい。


 さて一昨日水曜日の稽古記事から記したい。

 この日は早朝から品川区総合体育館柔道場にて渡部氏と稽古。少し遅れて後藤氏も参加。後藤氏は体調が優れない中、八王子方面からお越しいただいているので、この稽古会での稽古にかける思いというものを肌で感じ、それが自然と私の中で意識下に浮上する深層心理からの導きにつながっている。そのことについては昨日木曜日の稽古記事にも記したい。


 朝一番の稽古は気持ちが良い。深夜の無人の空気が道場内に充満し、その静寂の余韻が感じられるからでもある。稽古が終わってもまだまだ瑞々しい新鮮な青い空色なので一日がとても有意義に感じられる。ただ、満員電車という大変な状況をどう乗り越えるかが課題であるが、いつかはそうしたこととは無縁の地で朝稽古を毎日おこなえることに「とても贅沢な夢」といえるほどの想いを抱いている。


 稽古の中では進展したものが三つあった。一つは「倒れ雀」と呼んでいる前方に倒れながら杖を持ち上げ脚部に浮きが掛かる鍛練稽古。 これは後藤氏からのアドバイスで、杖を上げるタイミングをギリギリにせず、杖に引かれる感じにおこなったところ身体全体への負荷が大きく軽減され身体を壊すリスクが大いに下がった。
 これの大事なところには「音をさせないように着地する」という、以前には取り入れなかったことを入れたため、大腿四頭筋への負荷が高まってしまったことが手順の変更につながり、かつ集中を求められ身体精度を向上させる稽古法として進展することができた。危うく私もこのまま続けていれば身体を壊していたかもしれない。


 二つ目は、剣術による「三段抜き」である。

 前回加藤氏と稽古をおこなったときに、動きの中で脚足の使い方をお伝えする際に、私自身がどのように動かしているのか把握出来ていないため、言葉で伝えられず見せる事しかできなかった。ふしぎなもので、動きの調和感覚や心地良さから、その動きの判定審判を意識が身体に下しているのであるが、身体がやっていることを意識的に把握できない状態に陥ったのであった。これは初めての経験であったが、今までにも、突然生まれた動きというのは身体感から意識へ整理して納得しながら進めてきたのであるが、その日は言葉でお伝えしようと考えると調和感覚や心地良さが失われてしまうのであった。
 動き方が解らないものをどうやって再現しているのかが不思議なところであるが、脳でそれぞれの手順を追っていては間に合わない速さに凝縮された技の場合、無意識下にある脳の記憶の判定審判団が動きの手順ではなく、「時間と圧と重心」をその瞬間の中で最適なものとして記憶しているのではないかと思える。そのトータルの感覚意識が技となっていて、そのことを細かく説明していくことの難しさというのは、もしかすると言語化が身体感にあるものとズレがあるということを脳が察知していて、言葉通りにしてしまうと似て非なるものになってしまうことを何処かで警戒しているのかもしれない。


 そうしたことを、水曜日の稽古で渡部氏を相手に後藤氏に見せたところ、私の足捌きを説明してくださり、私自身「えっ、そんなつもりは無いはずなのに!」と思える手順で動きていたことを指摘して頂けたのであった。


 つまり右足から動くと説明し、右足から動いてたものが無意識の内に左足から動いていたのであるが、私自身これまでにいろいろ稽古をおこなってきて、そんな単純なことも気がつかずにやっていたことに驚いたのであった。意識では右足から始めていたつもりで、技が終わってもそう動いていたつもりが、いつしか動きやすい実感を身体が知ってしまったのち、無意識のうちにそうした僅かな左足からの始動になっていた。これが稽古を始めてまだ間もない時期ならよく起こりうることであるが、常に自身の動きを把握するようにつとめ、そこで得たものをお伝えしていくことを何年もおこなってきている身として、初めてのことであり衝撃的であった。我ならざる我だったのかどうか判らないが、決してそのことが過ちではなくむしろ、現時点での身体感における進展具合に関していると思っている。


 その「三段抜き」であるが、左足始動により、打太刀に対し動きが先に処理できる余裕が生まれ、その結果相手に突きを払われる確率が下がり、かつ動きやすくなった。動きを検討してみると、右足始動よりも左手と左足始動の初動が理に適っており、重心における誘いとその直後の右膝の使い方が全て左足始動に即している。先に処理できる余裕が生まれるということは、そのひと手間が加わったことにより居着きにくくなったということだろう。


 そして三つ目は抜刀術「鷲眼一閃」における進展。

 
 前回のクラーチ剣術教室の最後に突如おこなった内容が大きく関係した。前回の記事であるがその部分の文面をコピーすると「最後の最後で、相手に柄を押さえ込まれた状態での左腰の開きと抜きの目標を左へ三十度程傾け、その際の崩した繋がりを解かない内に円軌道で斬り付ける事が出来ることもなぜだか解りました。これは力の方向や繋がりからの崩しでもありますので、講習会でもおこないたいと考えております。」

 そうしたことを水曜日の稽古では、抜く方向をズラすことで相手に片手で柄を押さえられた刀を抜くことができ、そのまま斬り付ける事が出来ると渡部氏や後藤氏を相手に検証したのであったが、その動きを後藤氏が自らの課題とされている真剣斬法に使えると動きを吟味しはじめ、それに通じるように私も抜刀術の「鷲眼一閃」に使えることが分ったのであった。


 いわゆるその場における左腰の開きによる「抜付」と違い、「鷲眼一閃」では、鞘を引かずに左腰が前方に廻り込んで斬り付けるというまったく奇想天外異なる抜き方なのである。鞘引きもほとんど行わず、鍔を左寄りに差し、右手のみで刀を抜くのは、初めて刀を抜く人のほとんどに多く見られるド素人の抜き方なのであるが、そうした抜き方を可笑しいと思わせない抜きの速さと間合いの詰まり方がこの技にはある。
 

 二尺七寸の居合刀が軽く感じられ、この長刀における片手の横斬りに刃音が鳴るのは極めて難しいが構えを左に20度~30度程ズラしたことと、その体の円転軌道が増えたことにより、刀始動からの手続きをにより慣性に引かれる手順としたことで、身体が一間(約182㎝)斬り付けながら空中を舞うことになり、一間半(約273㎝)先に立っていただいた渡部氏に刃音を響かせながら届く距離となった。

 これにはまず、後藤氏が興奮気味に驚かれていたが、私としても一見大振りに感じられるかもしれないが、決して遅くはなく、長刀に即した技といえる。右腕への負担も無く、片手で強く横斬りに剣を振るうには重心移動は当然であるが細かい部分の身体運用は欠かせず手順の中に含まれている。その手順がピタリと嵌ったときの切っ先が飛ぶ感じは、信じられないほど刀が軽く走り、さらに相手を見ず、相手を向かずに構える奇想天外な構えとなったこの技から得られる感覚はこれまで稽古を積んだ中でも心地良く効果的なものとして身体が記憶した。参考に以前の抜き方抜刀術「鷲眼一閃」(1分43秒のところです)これはまだ半間位しか間合いを詰めきれていない。

 2017年の年内最後の大きな気付きは手の内第三関節の今後における欠かせない剣の操法の展開のキッカケであったが、2018年の終わりにかけて、抜刀術「鷲眼一閃」で得られた感覚に、あらためて身体の負荷を軽減しかつ威力を増すという矛盾を埋める操法に、得物に引かれる手順と、それを導けるための発力手順として起こり無く強くて速い初動が必須であることも解った。

 僅か二時間の朝稽古であったが、得られたものは二時間どころか二週間分位の価値はあった。これには、受けを務めて下さる渡部氏の成長も欠かせないし、分析力の高い後藤氏との進展へのスパークがこうした稽古を一つの周期として必ず得られるものがあるように循環している。それぞれの日常がそこに上手く合致しているからこその展開であり継続である。それを思うと、少人数での稽古には少人数でしか得られない価値があり学びがある。とにかく、その場の時間を共有できることは有り難い事であり、その時間に至る生き方がつながっていることを嬉しく思う。あらためて稽古は凄いと感じるのであった。


2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-21(Fri)
 

活きる学びが生きていく学び

 本日火曜日は何といってもバラエティに富んだ一日であった。あらためて武術稽古というものを通じて色々な方との御縁を繋いでくださっていることを痛感。形式ではなく武術への礼は忘れてはならない。


 さて、本日火曜日と言えば「クラーチ剣術教室」の日です。このブログもおそらく色々な方が見て下さっていると思いますが、カウンター機能を付けていませんので一体どのぐらいの方が訪問しているのかは不明であります。そこに追わてしまう記事では書きたいことが書けなくなる様な気がしていますので、あくまでも私の頭の中を整理して、指導者として言葉を発する際の脳内整理のためでもありますし、また記事を書くことで言葉の表現や言い回しから気が付くことも少なくありませんのでその日の稽古の締めとしておこなっております。(さいきんは身体のために翌日に持ち越しておりますが…本当はその日の内が脳内整理としては良いんですよね。)

 気持ちのいい快晴となり、穏やかな自然光が降り注ぐ会場では、賑わう人数の中で予定にしていなかった内容を幾つもおこないました。

 まず、鞘付木刀の鍔止めのゴムを取り出して、それを落下させて落とさないように取るというもの。身体に負担の無いように親指と掌の間に落とすようにいたしました。つまんだお札を落とす方法のゴムバージョンです。(分かる人にしか分らないかもしれませんが…)

 こういうゲーム的な瞬発力をともなう内容は年齢に関係なく盛り上がります。もちろん、怪我をしないように多少動きを変更しておりますが、ひとしきり盛り上がったところで、今度は掌にゴムを乗せてそれを素早く奪えるかという内容を思いつき、これもかなり盛り上がりました。右手が柄に掛かる際の「柄を噛む手」を利用しておこなったところ、かなり素早く取ることが出来ます。しかしこれは、抜刀術で養われた感覚でもあり、爪先から取りにいってくださいとお伝えしても、なかなかその事の実感が掴み難いということが分りました。Tママさんはかなり悔しがっておりましたので次回あたりリベンジを求められるかもしれません。私もさらに研究して負けないように稽古しておきます。

 脚部鍛練稽古でいつも杖を持ってバランスを取りながら「蟹の前歩き」をおこなっておりますが、「そろそろ皆さん飽きたのではないか」と思い、このところたまに外しておりますが(忘れている訳ではなく)もしかすると飽きたのは私の方だったり…というのは冗談で、今回は突如浮んだ、杖を逆手で水平に肩幅間隔に持ち、下にダラリと下げた状態で爪先立ち、足幅も肩幅感覚にて準備。その状態から両足を左右に広げながら、杖を顔の前まで一気に抱え上げ、音を立てないように中腰まで沈み込む。(踵は上げない)これが、見た目以上の足腰に効く稽古であると想像できたので、負担が少なく簡単に出来るものとしてお伝えいたしました。精確におこなえば十回位でも筋肉痛になるかもしれません。

 杖の押し込みでは、鳩尾(中丹田)を意識してつながりを解かないように動くことで姿勢が安定し、そうした身体の一部を具体的に意識出来る感覚を芽生えさせられる方法として、中丹田を意識した相手とのつながりを稽古するのは効果的であると思いました。

 最後の最後で、相手に柄を押さえ込まれた状態での左腰の開きと抜きの目標を左へ三十度程傾け、その際の崩した繋がりを解かない内に円軌道で斬り付ける事が出来ることもなぜだか解りました。これは力の方向や繋がりからの崩しでもありますので、講習会でもおこないたいと考えております。

 講習後は、耐震化工事中の戸越体育館へ向かい二年ぶりにKさんと待ち合わせし、品川区の団体登録手続きについてのご協力のためお会いすることが出来ました。来年の五月で四回目の成人式を迎えられるというKさんですが、吟剣詩舞を二十~三十年程されており、武道館で何度も披露されておられる方ですので、普通の八十になられる方とは全く違います。仁義に厚く、機転が利き、人のために人生の時間を使われているような方です。二年前に初めて体操の講座を代理講師として務めさせていただいた後にKさん邸にて打ち上げ&忘年会をおこなって以来お邪魔させていただきました。体操サークルのお仲間でもある近所にお住まいのKさんも駆けつけて下さり、お抹茶や菓子ををご馳走になりながらこれまでの間の出来事で楽しいことや悲しいことなど伺いながら、旅立つ不安とともに生きていかなければならない年代の切実さを伺いながら、楽しい話もあれば、涙もどれほど流されたのか想像もできない出来事などもお話くださいました。こうしたお話を伺いながら私は、武術稽古というものを通じてふだん見せる事の無い人のさまざまなお話を訊くことが一つ使命の中にあるのではないかと、そんな思いが頭をよぎりました。

 便利な時代は、その半面我慢強さや辛抱するという美意識が消え掛けていっているようにも感じます。時代は、弱い立場の人が訴え出られる事により良い面もあれば崩れてしまう面も出てきていると思います。何事もバランスがありますので、それが変わっただけのことなのですが、我慢や辛抱から得られる美徳も日本人の美意識としてこれまで何かを守っていたものですが、これからはそうした苦から生まれた美的財産も、楽に取って代わり本来そうではない人でも攻撃性のある世の中にシフトしているような気もしております。

 学びとは、今の今であり、過去の学びはその今に上書きされてしまいます。常に今が一番と言えるには、学び続ける姿勢が大事であり、自分にとって学び続けられる環境に身を置ける事が人生にとって幸せなことなのではないでしょうか。これから日本もますます高齢化が進んでいきます。減少し続けてゆく人口には、外国人労働者やAIロボット達が補ってゆく時代になります。そうしたこれからの世の中の風景を想像して、世の中が元気に明るく真っ当に進んでいけるには、個人個人が生き方を考えてそこに夢を見出せる具体的な平和へのアプローチが身近な問題として今そこにあるような気がしております。

 大人というのは自動的に立派になるものではありません。ただ歳を重ね生きていくための術を身に付けて行く事が長けてくるのです。良い会社に入るために学んだ勉強は、人として学ぶべき勉強から外れていることはニュースや事件で嫌というほど見せ付けられております。トップ層までがそうした人材に移り変わったときに、(もう既にその兆候は出ておりますが)誰が立て直して行くのかということになります。すばらしい若い人材もたくさんいらっしゃると思いますが、手遅れにならないように大人は生き方の学びを真剣に考えて、今の時代これからの時代に即した生き方に目を開き、平成という間もなく過去になるであろう時代の価値観から脱却して行かなければならないと思います。

 Kさんのご自宅で、近所から駆けつけて下さったKさんとともに広間で杖整体操をお伝えいたしました。八十四歳のKさんは左肩が余り上がらなくて肩が凝っていると仰っていましたので、杖整体操の十八番である「両手持ち上げ」をおこないました。二回ほどおこなったところ、肩凝りが消えて随分楽になったと仰って下さいました。ご自宅のKさんも、「これは、Kさん向けよ!」と体力も運動も苦手なタイプのKさんも安心して気持ちよくなれると感じ取って頂けた通りの効果でした。

 二時間半ほどお邪魔しておりましたが、あっという間に過ぎてしまいました。駅までお見送りしてくださりそのまま夜の稽古会場がある江東区スポーツ会館に向かいました。


 今夜のS氏との稽古では、意識の集中の仕方、その割り合いなどをお伝えし、部分部分を覚えていくことやその人にあった覚え方などを考えるようにお伝えした。そして私の言葉から出た「世の中は広いようで狭いし狭いようで広い。それは、自分が変わればこれまで見落としていた身近なところに大きな出会いが待ち受けていることもあり、逆に自分が変わらなければ出会うべきものは何処にも居ないとも言える。だから自分が変わりたい環境に身を置き、自分と向き合い変えていこうと努めることで、相手の見え方も自ずと変わり開けてくることもあります。」というような言葉が口からこぼれた。

 その技の到達具合により、見え方が異なるのと同様に、人に対しても己と向き合うことで得られた到達具合により、人の見え方は変わってくる。自分への理解は相手への理解。自分が見えてなければ相手も見えない。それは会話でなく直感的な洞察力とも言える。

 人は人によって学ぶ。それは自分からであったり、相手からであったり、

 その活きた学びは進展し広がって行くことで回りまわっての平和と繋がっているのかも知れない。世界が繋がる時代をどのように使うのか、大人は目先の出来事にとらわれすぎている。


2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-19(Wed)
 

質の転換と意識の転換

 本日月曜日は道場稽古の無い日なので、家での事務作業や買出しなど普段出来ない事をおこなう日でもある。普段は武道具片手に、キャリーバッグを引いているため両手は塞がっている。そのためちょっとした買い物などが出来ない。今年も残り半月を切ったので、そろそろ掃除でも取り掛かろうかと思うが、まだまだそのような余裕は無い。しかし掃除は来年からのスタートに向けての気持ちの準備を整えておくためには必要なので、予定を埋めずに年内には終わらせたい。

 
 さて、昨日のGold Castle 殺陣&剣術スクールは、前回から二週間振りとなる深川スポーツセンターで開催いたしました。前回Nさんに写真撮影をお願いしたところ、生憎の曇り空だったため再度お願いして撮影していただいたのですが、今回も曇り空となってしまいました。

 それでも熱心に撮影して下さいましたので、ありがたく掲載させていただきたいと思います。

 講習では、立廻り組と基礎稽古組とに分れ、それぞれを全体で見ながらポイントをお伝えして参りました。同じ空間で立廻りがおこなわれておりますと、基礎稽古をおこなっている新しい生徒の皆さんには良い刺激になるものと思われます。イメージ的にも、今おこなっている動きの繋がりや応用が理解し易いのではないでしょうか。

 どこが難しくて、どういう稽古がその難しかった部分を補っていくのか。それは次第に見えてくるものと思われますが、とくに私がおこなっているものは、剣術や杖術といった武術的身体運用法から演じて魅せるという動きに置き換えて考案しているのものですので、全ての動きのアイデアは私の身体に訊いてから始まっております。そうしたものは、鏡や映像を観なくてもある程度は良し悪しが感じられます。しかしながら、映像ではほんの僅かな角度の違いが見栄えを大きく変えてしまいますので、そこは撮ってみなければ分らない部分でもあります。アングルとテンポにはそれだけで訴えるものが変わってきますので、技術と芝居と撮影編集というのは一つの作品レベルを高いものにするにはそれぞれが同じ目的のなかで一致して行かなければなりません。ですので、技量も大事なことなのですが、目的を一致してそこに向かっていけるかというチームとしての纏まりが大事だと思います。

 殺陣は刀を持ったお芝居ですので、お芝居を魅せることを前提に、どういう気持ちを観ている人に感じてもらえるかが大事です。ただ器用に激しく動いても、お芝居として伝わってくるものに共感性は得られません。「ああ、そういうのが好きなんですね…」と一瞬で看破されてしまわないように、殺陣というものが現代劇同様に、相手とのアンサンブル、呼吸、間、感情と矛盾した計算能力、それを全て技術としておこなうことが殺陣の稽古でもないがしろには出来ません。

 もちろんこれらのことは、役者さんへの期待を込めた注意点ですが、お仕事抜きで楽しまれる生徒の皆様には、「そういうのが好きなんですね…」で全然OKなんです。「はい、大好きです!」「スカッとします!」「気持ちいいです!」こうした日常のお仕事や学校では味わえない時間が一週間の中にあるのと無いのとでは、精神的耐久力として大きな違いとなるでしょう。

 このところ少しずつ新しい生徒が増えてきております。キッカケは何でも構いません。ゲームであったり、舞台であったり、映画であったり、そうした事で新しい世界に踏み出してみることがまずは大きな一歩です。そこから大きく発展して行かれる方もいらっしゃるでしょう。見た目重視から次第に、見た目と中身とのギャップを埋めるべく心身の成長に向かおうとされる方もいらっしゃるかと思われます。

 
 剣術クラスでは、少し体術をおこない中丹田の意識と肩の使い方、それによって相手を押し飛ばす力がどのように変わるのかをそれぞれにおこなっていただきました。初速が速くてその瞬間からのエネルギーも強いと、接触部への圧力が高まるまでには通り抜けて行ってますので、飛ばされた割には痛みが少ない(心地良い場合もある)状況となることがあります。逆に言えば、接点圧力を逃がすために身体が飛ばされているということとも言えますが、その間に合わなさをどのようにして出せるかが発力手順のポイントでもあります。

 ですがこうした発力手順(はつりきてじゅん)というのは、単純な力ではないので、こうした精度を高める稽古をしていけば年齢に関係なく力の通し方(傍から見れば、馬鹿ぢからに見えるものもあります)は向上し続けていくものと思われます。そしてその何のために力が強く成りたいのか、相手を崩したいのかを考えて行きますと、今の時代に求められるものは、それを実践し圧倒的なものを手に入れることが出来ればそれで食べて行けることは出来るでしょう。しかし、おそらくそれだけでは人間的成長を振り返らされた時に虚しくなり、武道、武術から一体何を学んできたのかと自己嫌悪に陥るか、それに潰されない自らの思い込みを通し続けて行くかという苦しい生き方になりかねません。

 武道武術を通じて、技の精妙さ、人間の不思議さを実感し、身体を通じて人間というものを客観的に学ぶことが武道武術の中には備わっている筈です。それは戦いに勝つことだけを教えるものでもありませんし、勝ち負けの後に続く生き方を見据えて学んで行かなければならないと思います。人の凄さはテクニックではありませんので、どう向き合い、実践し続けて来たかが、どの瞬間にも表れているのだと思います。

 
 少し話が濃くなってしまいましたが、講習では足の差し換えによる連続斬り結びをおこないました。これが意外に稽古としては効果的であり、疲れないように動くには少々難しく動く必要があり、動きやすく動けばとても疲れてしまいます。解り易く言いますと、木刀を左右から連続で袈裟斬りに斬り結ぶ際に、脚足が軸足と利き足との間で重心配分の移り変わりが大きくなってしまうと、それだけ体の中でバランスが大きく動かされることになり、負担が大きくなってしまいます。しかし、重心をなるべく身体の真ん中(正中線ライン)から動かさないように、足を入れ替えると体の中でバランスが揺さぶられることが少なくなり、とても楽に動けます。そのためには、脚部を左右入れ替える際の足が揃う前に、前足を下げなければならないのですが、ここで関わってくるのが腿の付け根、すなわち細やかな引き上げ操作が身体の無意識の計算に入っておりますので、この部分は鍛えておく必要があります。

 ですから毎回私の講習会や稽古会では始めに脚部鍛練稽古法として「蟹の前歩き」や「雀」をおこなっております。

 動きに慣れてしまえば、不思議なもので今度は動き易い動きが楽な動きとなり、これまでやっていた動きが動き難い動き方になってしまいます。いいものを知ってしまえば、これまでのものはその瞬間に不要なものとなってしまうものです。それが「質の転換」ということなのです。

 脳と身体は密接な関わりがあると思いますので、動きの質が反射的にも変わるまでになれば、意識的なものも何かしらの変化が起きているかもしれません。身体と心の深い考察が質の高い稽古には求められますが、その結果から得られる意識の質というものもきっと変わっていくものと私は感じております。


 話は変わって業務連絡です。

 生徒の大西統眞君が2019年3/16(土)~4/4(木)日比谷「シアタークリエ」という劇場で舞台に出演されます。それにともない、「舞台鑑賞会」と題しまして、Gold Castleの生徒達とともに観に行きたいと考えております。日にちは3/29(金)13時30分からの回を予定しております。チケットのお申し込みは年内まででしたら私にご連絡ください。1月以降はこちらからお申し込み下さい。https://www.tohostage.com/thetwelfthangel/
 
 最後に昨日撮影していただいた講習風景と、先々週にも撮影していただいた講習風景の一部を掲載させていただきたいと思います。
(みなさまの掲載許可は事前にいただいております)


2018.12.2 Gold Castle講習風景①

2018.12.2 Gold Castle講習風景②

2018.12.2 Gold Castle講習風景③

2018.12.2 Gold Castle講習風景④

2018.12.2 Gold Castle講習風景⑤

2018.12.2 Gold Castle講習風景⑥

2018.12.2 Gold Castle講習風景⑦

2018.12.16 Gold Castle講習風景①

2018.12.2 Gold Castle講習風景②

2018.12.2 Gold Castle講習風景③

2018.12.2 Gold Castle講習風景④


2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-18(Tue)
 

集中を研ぐ講習会

 本日は品川区総合体育館剣道場で「抜刀術 特別講習会」を開催いたしました。夜からの開催でしたがお陰様で賑わう講習会となりました。

 常連の方、初めての方、久しぶりの方、色々な方がお越し下さいました。内容といたしましては二時間で納刀法も含めて、六つの技をおこないました。中丹田、頭、右手手の内、爪先、さまざまな部位を構えの状態で整理をつけ、居着かないようにおこなうこと。またそのための集中状態を体感することがこの講習会の目的でもあります。自己を深く注意し観察しながら動きの中で手順と操作を一瞬の内におこなわなければなりません。

 身体と心との向き合い方が集中の度合いを高め、その状態に入った際の意識的に作り出したものとは異なる集中という状態は、身体が脳や横隔膜など生理学的にもそういう状態になったということでしょう。

 つまり、意識的に集中しようという集中はそれほど強い集中状態ではなく、何かを繊細に考えている結果として身体が集中状態に切り替わった状態は自分が自分で無いような独特の存在を意識させられます。そしてそうなったときは、意識的に集中しようとしていなくても、その状態が勝手に保たれ、確かに周囲の大声が聞こえていても、それが内側に入ってこないような、まったく心に影響することなく外側で遮断されている感じがいたします。

 そのような状態は意識的には作り難いものですが、身体との向き合い方にそれぞれ各人の法則のような、独自性をもった感覚とのやり取りの中で、勝手に身体がそのように切り替わっていくのではないかと思うのです。おそらく、そうした経験を普段から継続的におこなう事が出来る人は稀でしょうから、こうした特に集中が求められる抜刀術の稽古では、集中を研ぐような稽古が特別講習会と冠するに相応しい場として提供させていただいております。

 こうした講習会では、上手く行かないことの方が多い筈ですから、そうなったときの自身の反応が、集中の度合いを測るには分りやすいものです。上手く行こうが失敗しようが怪我をしようが同じような状態でおこなえるか。それも一回抜く毎に求められる稽古といえます。そのような心積もりで、今後抜刀術の稽古をおこなっていただきますと、心の把握、身体の把握、これからおこなう事の把握、おこなったのちに生じる出来事の可能性の把握、想定外に対する把握等々、一回の抜きがこれほどエネルギーを使うものなのかと実感することになりますし、そこから得られるものは抜刀術だけに非ずと気付かされると思います。

 私自身、武術稽古にモチベーションなどというものは考える必要のないものとして取り組めるようになりました。それはどうしてかというと、以前にも記した「現代武術」という概念で取り組んでいるからです。

 つまり、縛りやしがらみの無い自由な発展的研究が出来る環境で、武術を通じ感覚を育て「身体感を養う」ということは、脳と身体の連係の中で整った日々の対応法訓練でもありますので、そうした効率と効果の進展追求を目指し続ける稽古法は、普遍的価値感を練磨し、その場の状況に合わせた判断と行動に繋がってくるものと思われます。

 すなわち、そういう心と脳と身体との働きを宿す稽古が「現代武術」と言えるのだと思います。

 そういう普遍的価値観を練磨し、そうした中で通じ合う異業種の方々との発展的展開も開けて行きますし、その人の持ち場に合った能力を引き出せる方法をそれぞれが導き出せるようになれば、その結果得られるものは自然と良いものになる筈です。

 ですから、モチベーションなど考えなくても、やればそれが発展的に繋がっていくのです。だから稽古への取り組み方が大事であり、稽古空間は神聖なものとして心持ちの中で大事にしておかなくてはなりません。

 自己発信の動画というものは、目的やモチベーションにするのものではなく、その人がどんな人でどのような事が出来るのかをお知らせとして知っていただく程度に留めておく事が、あるべき武術稽古として、またその人の稽古に対する取り組み方として左右されるものと思われます。

 今日の講習会に参加された方で、僅かでも集中を研ぐことが実感出来たのなら開催した甲斐があるものです。抜刀術の特別講習会は今後も継続しておこなう予定ですので、次回に向けて今回の経験や私がお伝えしたことを踏まえてご参加頂きます事を楽しみにしております。お越し下さいました皆様、誠にありがとうございました。


2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-15(Sat)
 

品川区での安定開催にむけてご協力をお願いいたします

 先日、品川区の団体登録の更新手続きのお知らせが送られてきました。これまで更新制ではなかったのですが、今回から二年毎の更新制となりました。そのため来年1/31までに品川区にお住まいの方、もしくは在勤、在学の方の証明書が、安定開催をおこなうための「区内登録」を継続するためには必要となってしまいました。

 現在江東区など他の地域でも開催することが多く、品川区在住の生徒は意外や意外に少ない状況です。品川区在勤の方が生徒にいらっしゃればご協力をいただけると助かります!また品川区在住の方も、証明書に記載の期限(免許証や、保険証)が切れておりますと、再び証明証のコピーが必要となりますので、お手数をお掛けしてしまうことになるかと思います。

 教室運営における開催会場の安定は何よりの優先事項でもありますので、生徒の皆様のご協力をお願い申し上げます!品川区在住、在勤、在学の方は、ご連絡ください。


2018-12-14(Fri)
 

六年続いて遠くからお越しいただきました

 昨夜はふたご座流星群が観られるということで、夜に関東一部で雨が降っておりましたが、深夜になって雲の無い綺麗な夜空となりました。私の住んでいる地域ではなかなか空を広く見渡せる場所が無いため、夜中にコンビニに向かう往復の道中や家の玄関前で四回ほど観ることが出来ました。こういうときは星の良く見える地域にお住まいの方が本当に羨ましく思えるのですが、観測しやすい場所だと一体どのような流星群の風景となるのかいつかは経験したいものです。

 
 さて、昨夜は一年四ヶ月振りにミネアポリスから加藤氏が帰国され渡部氏とともに江東区スポーツ会館で稽古をおこなった。

 この一年四ヶ月の間に進展したことや気が付いたことなどを目まぐるしくお伝えしながら、変わらぬ静かな情熱の加藤氏との稽古時間を大切に味わった。

 中丹田の意識から、手の内における第三関節の使い方、具体的な部分は沢山あるが、根本的には全てが変わった。それは身体の運用法における手順や手続きに加えられたものまた省かれたものなど、動きの質が変わったからである。

 ミネアポリスでは今、マイナス30℃にもなることがあるそうだ。屋外でコップに入った水を振り上げると煙が出るらしい。今年起こった日本での災害の数々をお伝えし、私の実家や別の県に住む姉も豪雨のためそれぞれ非難したし、私の家でも台風23号で屋根が飛んでいったお話もお伝えした。そういう意味では私にとって災害がこれまでで最も身近に感じた一年だったということになる。

 加藤氏とは、2013年から毎年この時期に稽古をしている。年に数回であるが、毎年お会い出来るのはご縁があるからに他ならない。あらためて、武術をおこなってきて良かったと思うし、剣をやって良かったと思える。出会いというのは、そのときの互いの時期が関係しており、その時期にしかないタイミングというものがあるので、あの時の私でなければ今に繋がっていなかったと思う。そういう意味では、長く繋がってくださる方とのご縁は本当に有り難いものであり掛け替えの無いものであると感じている。

 今年もあと何回か稽古が出来るので、稽古記事はまたあらためて記したい。


 明日は18時~20時まで品川区総合体育館剣道場にて「抜刀術 特別講習会」をおこないます。
 二時間集中して「納刀法」や「抜刀」をおこないますので、これまでの講習とは違った空間となります。
 今回は中丹田の意識と、頭の重さをどのように使うのかをお伝えしたいと思います。前回お伝えした柄への手の掛け方も合わせておこないますと、これまでよりも速さの実感が得られる方はいらっしゃると思います。お申し込みはまだ受け付けておりますので、お時間が空いている方は明日のお昼頃までにはご連絡ください。


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-14(Fri)
 

新たな剣術の操法

 雨となった火曜日の夜は江東区スポーツ会館にて、後藤健太氏とS氏と稽古をおこなった。

 今日はいつもの居合稽古をされているご年配の男性以外誰も居なかったので、静かな空間で贅沢におこなうことができた。脚部鍛練稽古をいつもより一往復ずつ多めにおこない、ひさしぶりに蛙も取り入れた。剣道場に暖房が入っており、ビジネスホテル並みに空気が乾燥し無駄に汗をかいてしまうので、飲み物を買いに行かれた後藤氏にお願いして受付の方に暖房を止めていただいた。

 杖術、剣術、抜刀術を一通りやった中で、今日は剣術に新しい剣の操法が加わった。そろそろ剣術も新しいものを考えなくてはならないと考えていたが、後藤氏との稽古で突如そういう動きが出始めたのであった。後藤氏との稽古や渡部氏との稽古では突如として生まれることが多い。これは、なんらかの考えがそのような流れに繋がっているのだと思えるが、意識下にない所で突如として浮上してくるから不思議と言えば不思議なのである。

 今日は下段からの斬り上げから返しの袈裟斬り、さらに正面斬りへと速やかに繋がる動きである。これは実戦的にも「睡蓮」という技に似ている。この連続の斬りを稽古して感じたことは、心地良さと同時に身体が鍛えられることである。私も色々と剣を振ったりしているが、この連続技では今まであまり使わなかった部位がパンパンに膨れ上がり、ちょっと不安になるほど「これは筋肉がつきそうだ。」と感じるものであった。筋肉が付く事に関しては、その付き方によってはマイナスになることもあり、そのことは武術を始めて間もない頃身を持って経験している。筋繊維を破壊した状態では手の内の精度が落ち、胸筋や肩回りがパンプアップした状態では、真っ直ぐに剣を振り下ろすのに詰まってしまい骨格が通したいルートを外さなければ通せない状態となった。これは現在でもそうであるが、速さには負担の無い身体の状態がベストであり、細やかな筋の働きや関節の反射反応速度などが超感覚的に組み合わされていかなければならない。

 そうしたことから、今日新たに考案した三連続の斬りが今後の私の身体にどのような影響を与えるのか興味深いところである。

 自宅に帰るとミネアポリスから帰国された加藤氏からメールが届いていた!2013年に初めて参加されそれから毎年年末にお越し頂ける様になった。昨年は8月だったため、今年はなんだか2~3年は間が空いていたような気がして不安な気分であった。当時は、Gold Castle を立ち上げて二ヶ月ほどであったが、私の稽古会はまだ存在してなく、私の研究稽古に参加して下さりマンツーマンで濃い稽古をしていた。その当時の記憶は今でも残っているが、とくに抜刀に関してミネアポリスでも稽古されているので、お会いして一緒に稽古をするのが楽しみである。加藤氏は肩甲骨の動きがブルース・リーかそれ以上の不思議な動きなので、それを拝見できるのも楽しみである。今回はお伝えすることが山ほど溜まっているので、滞在期間中に全てお伝えできるか分らないが、私の脳内麻薬が大量に放出されることは間違いないだろう。とても楽しみにしております!


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-12(Wed)
 

中丹田の意識で姿勢が激変

 今朝は冷え込み東京では3℃を切ったそうだ。昨夜はたしかに寒かった。

 本日の「クラーチ剣術教室」では、Iさんが珍しく二番乗りでお越しいただきお水を忘れて取りに戻られましたが、今日もニコニコお元気にマイペースで取り組んで下さいました。元気の源はこうした笑顔が自然と湧いて来るところにあるような気がいたします。人間誰しも若い頃は苦労が絶えないと思いますが、歳を重ねたのちには笑顔でいられる生き方を目指したいものです。

 今日は休憩中にNさんとのお話の中で、歩くときのバランスの悪さから「意識をどのように集中したらいいのか分らないんです。」と仰られましたので、私がこのところ注目している中丹田の意識をお伝えし、それがより実感出来るように杖を使って互いに端を持って、押す人と受ける人とで、「鳩尾がうつむいたり左右に転じたり、仰け反ったりしないように進んでください。」とお伝えしましたところ、急にNさんの姿勢が良くなったことに驚き、皆さんでこの杖を押して行く運動をおこないました。ゆっくりと押して行きますので受ける人に転倒の危険性も無く、受ける側も鳩尾のあたりに意識を向けることで力の通りを真っ直ぐに受けることができ、自ずと姿勢が良くなりました。

 この鳩尾、中丹田を意識することの効果には、身体の中心を使うことが養われ、身体全体が調和を持って乱れない動きに容易になることです。ブレずに歩くための細かい重心や脚部の使い方を説明するよりも、たった一つ中丹田(鳩尾あたり)が乱れないようにその形を維持したまま動いて下さい。とお伝えすることにより、全体的な姿勢や脚部の動かし方が良くなることが解りました。これは現在の私自身の稽古でも大事なところですが、こうした高齢者の方にとっても具体的な意識を実感するための稽古法として効果的であることが今日の講習の中で確認できました。

 ですので、今日の講習ではすべての動きの中で「鳩尾を意識してくださいね!」と何度も言いながらおこないました。これまでは、動きの調和として、手のこと足のことを一致させるためにおこなっておりましたが、今後はそれに加え、身体の中心といいますか、司令塔となる核の部分を意識することで全体が上手くまとまる、「動いて動かさない部位」としての意識をお伝えして行かなければならないと感じております。

 講習の最後には今朝の電車内で考えていた縦の鹿威しから続けて横の鹿威しに続く「連続鹿威し」をおこないました。クラーチバージョンでは初めは歩を付けずに上段から振り下ろしてから胴斬りに入りますが、本来は下段から歩を付けて真っ向に斬り込みそのまま胴斬りへと繋がっていきます。ちょっと難しい内容でしたが、ちょっと難しいくらいが面白いというお言葉も頂きましたので、今後も講習全体のバランスを見ながら、楽しく真剣に取り組めるものというお題に対応すべく講習内容を考えていきたいと思います。


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-12(Wed)
 

進展的空白期間

 さきほど、関西の講習会で世話人を務めて下さっている川原田喬生氏にメール文を書いていた際に「進展的空白期間」という言葉が出てきた。これは、技についてもある期間その稽古内容を離れることで進展することがあるのと同様に、人間同士の関係性も毎回定期的にパターン化した付き合い方をするよりも、ある一定の空白期間が、何かを深め必要とすべき事柄に通じやすいのではないかと思えたのである。もちろん稽古と同様にそこに至るまでの過程が大事なのであるのは言うまでもない。


 人はどうして、年月が流れると人との再会を喜び感動するのだろう。


 人間というのはおそらく、本質的に良いものを残して整理しようとする脳内の働きがあるのではないかと思う。それは何かを暗記する際にも、睡眠を挟む事で自然と整理しやすくなったり、身体の動きに関しても、間が空くことで新たな気付きが得られやすい。そのように以前から言い始めた、深層心理にある優秀な編集者が意識しないところで、人間が向上して生きていくために良いと思われるものを整理し意識下に浮上させているということが関係している。

 
 人とのご縁も、流れた年月も、そういった働きがおこなわれ、毎日一緒に暮らしている人でも、間が空けば相手への想いは多少なりとも変化が起きるだろうし、ふつうの人であれば相手への想いは良い印象ばかり思い描くのではないだろうか。少なくともそうでありたいしそうあるべきではなかろうか。

 
 しかしながら私にも会いたくない人や、何年経っても良い思いにはならない人も存在している。それは世の中の全てに陰と陽があるように、そうしたものは必ず起こりうるのである。その相手がたまたまそうした定めの関係性にあっただけで、許すことも許さないことも無く、陰と陽のどちらかに定められた私との関係性の中で今に繋がるべく必要だった存在なのである。


 これからもさまざまな出会いはあるだろうが、そうした必然性をもった巡り合わせに翻弄されながらも生きていかなければならない。「進展的空白期間」は、日々人と出会い疲れてしまった人にとってなんらかのヒントになるかもしれません。何もしないことは本当に何もしていないのではなく、より良い整理を脳内のエキスパート部門が秘密裏にやっていることなのです。そこに委ねる脳への信頼が、頑張り屋さんといえる方々への救いになるように私は感じます。


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-11(Tue)
 

安定した白熱感

 2018年も残すところ三週間となったが、今年は六月に考案した「杖整体操」がこれから年齢を重ねて行く上で、鍛錬系の稽古が続けられるように身体の受け皿を整えるという意味でも、以前から求めていた身体のバランスを保てる調整法が見つけられたことは大きかった。この半年間私の身体を通じて試行錯誤しながら、さまざまな動きを試してきたが、全てが上手くいった訳でもない。

 仰向けになった人を起こす「両手持ち上げ」等の操作では、一人で持ち上げると腰への負担が掛かるため、この操作に関しては色々な形を検討したが、二人で操作するものとした。そして開脚のための骨盤角度の矯正にも関わると思われる、開脚から足裏へ杖を当てがい、背中を真っ直ぐにして引き伸ばす運動は、腰が詰まる可能性が高いため、今後は杖整体操から外すことにした。

 開脚は、身体の柔らかさを確認する一つのバロメーターであるが、私自身の身体を通じて開脚が広がることに、身体的負担のほうが多いような気もしている。これはなかなか難しいが、身体的負担を取り除くための杖整体操にあって、開脚角度を広げること、つまり負担無く広げられる効果を得るには身体的実感としてまだ負担を感じるものがある。

 開脚や骨盤角度の矯正が、腰の詰まりや股関節の可動域を狭めてしまうことになってはならない。これは今後の私の課題であるが、この杖整体操は負担無く身体の詰まりを解しリラックス効果を得られるものとして、そうでない運動を混ぜ合わせないように気を付けなければならない。

 正月を挟んで杖整体操の講習会をおこなうが、考案者として責任をもって身体の調整としての効果が得られるものをお伝えしたい。


 昨日日曜日のGold Castle 殺陣&剣術スクールでは、夕方から品川区総合体育館で開催いたしました。深川、五反田と主に開催会場が分かれておりますが、バランスよく参加人数が会場毎適度に棲み分けられていると感じます。

 四ヶ月振りに参加のNさんと体験三回目のOさんにはペアになってもらい殺陣の稽古をおこなっていただきました。払い方や、払いからの胴斬りなど、互いに動きを合わせながら切っ先の動きを意識するようにお伝えいたしました。思わずOさんのTシャツを見て注意する際に「なんでやねん!」と関西弁で発した言葉がその場の笑いを誘いましたが、クラーチ剣術教室のTママさんもこのプリントがしてあるTシャツを着ておりましたので、なんでやねんTシャツは流行っているのかなぁと思ったのでした。

 立廻りグループの皆さんは、それぞれペアになっていただき私の指示でなくこれまでにおこなった中でそれぞれやりたい場面をおこなっていただきました。このタイプⅠも、1/14の撮影に参加された方にとってはこの日が最後となりますので、今は存分に身体に染み込ませて取り組んでいただきたいと思います。その後はタイプⅡ、それと同時進行でタイプMをおこなう予定です。

 杖術クラスでは、抜き技やそれに入るための打ち込みと突きなど、歩を付けながらおこないました。後半は「逆足之型」をおこない、攻め手と受け手とそれぞれの動きを稽古しながら相手と合わせていただきました。杖の稽古は、手元に意識が向かいがちですが、実は足運びの稽古が主体となっておりますので、その足運びを通じて重心を把握し、左右の配分をコントロールする引き上げ操作(浮き身)などが練られるのです。身体を自在に操れるためには杖の稽古がお勧めと言っている理由はそこにあります。重心の把握は視覚ではなく内部を観察するための感じる眼です。視覚はそうした感じる眼の働きを遮断してしまうので、こうした稽古の目的には鏡の無いところでおこなうことです。それは表現者の方にとりましても練られるものがありますので、おそらく現在参加されている方々でそうしたことを感じながら取り組まれている方もいらっしゃることと存じます。

 Gold Castleのホームページに「生徒さんの声」という頁があり、そこに生徒のみなさんから感想を書いて頂いたものを掲載させて頂いております。私が、受講回数や最近の取り組み方を見てお願いしているのですが、お陰様で今回で22回目となりました。教室の宣伝はしていただかなくて結構ですので、素直な感想でお願いいたします。と皆さんにはお伝えしておりますが、毎回ありがたいお言葉を頂戴しております。今後もタイミングを見てみなさんにお願いしていこうと思っております。講習後に、Mさんと「生徒さんの声」に掲載させていただく写真を撮りましたのでこちらのブログにも掲載させていただきます。

2018.12.09 Gold Castle


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年01月05日(土)「杖整体操」開催のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-10(Mon)
 

「杖整体操」 開催のお知らせ

 2019年1月5日(土)に杖を使っての健康法を講習会でおこないます。 

 新年を迎え、気持ちも新たに身体を整えてスタートいたしましょう!

 この体操の目的とするところは、気持ちよさの中で身体が整っていく調整が成される所にあります。その気持ちよさには、杖という一本の丸棒が腕の重さによる負担や心的ストレスを和らげ、バランスの乱れた姿勢を整えやすく出来るところにあります。

 この体操には、痛みを堪えて伸ばすことや頑張りは必要なく、ただ気持いいところを探しながらその位置を見つけた時に、温泉に浸かるような感覚で留まりリラックスするだけです。

 元々は私の身体の調整法の為に考案したものですが、これまでにない身体の心地良さと痛みを堪えることなく気持ちよさのなかで身体の詰まりが取れ、疲労やそれに伴うストレスが抜けていく感じが得られたことから、講習会や稽古会等で色々な人を対象におこなってきたものです。それぞれの反応を受け、内容を整理しより効果的に身体の心地良さとリラックスが得られるための講習会を開催しようと至った訳であります。

 ヨガの要素や、体操の要素、整体の要素も、この杖整体操には含まれておりますので、カラダの硬い方やカラダが凝っている方、精神的になかなかリラックスできない方、武道に関係なく会社員の方でも安心して簡単におこなえるものです。頑張らずに心地良さの中で身体が整う講習会ですのでご関心のある方は一度ご参加ください。
(動きやすい服装で大丈夫です。貸し出し用の杖はご用意してあります。)


2018.11.22 杖整体操

2018.11.03 杖整体操④

2018.11.03 杖整体操⑯


【開催日】
2019年1月5日(土曜日)


【開催時間】
12時00分~13時30分


【会場】
品川区総合体育館 柔道場


【参加費】
2.000円


【お申し込み方法】
Gold Castle 殺陣&剣術スクールのホームページ、または「こくちーず」より下記の内容を明記してご連絡下さい。
①「氏名」 
②「年齢」 
③「性別」 
④「杖の有無」 

上記の内容を確認しましたら、こちらより折り返しご連絡させていただきます。


≪プロフィール≫
松聲館 剣術技法研究員
金山剣術稽古会 主宰
Gold Castle 殺陣&剣術スクール 主宰
高齢者住宅 クラーチ溝の口 剣術教室講師


2018-12-09(Sun)
 

人のこころも自然のうち

 本日土曜日は、ひさしぶりのスクエア荏原にてGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習をおこないました。午前の部からでしたので、深夜1時頃には眠りにつきました。

 このところ2時とか3時とかのブログ更新が無いのは、早く寝ようと思っても体が2時以降にならないと眠れなくなってしまいましたので、体内時計を整えるべく1時台には寝ようと気を付けております。

 睡眠時間も大事ですが、睡眠の質も大事で、昨夜は眠る数時間前には何も食べていなかったので、朝起きての調子がすこぶる良い感じでした。ここ数年間で体重を増やそうと食事量を増やし、就寝前にも食べたりしていました。体重は武術を始めた2009年頃と比べると7~8kgは増えました。体脂肪は1~2%程度増えましたが、体が重たく感じたり鈍く感じることはなく、むしろ逆に出来なかったことが出来るようになったり、身体が使いやすくなりました。元々が痩せていたということもあり、怪我の防止と背中を中心とした感覚を養うためにも体重を増やす必要がありました。それでもまだ痩せ型の部類だと思いますので、睡眠の質を確保する食事タイミングと、これまで意識していなかった部位に、単純な筋トレ的なものでない、末端からの連動した意識を芽生えさせる身体を育てる必要があります。

 講習では、ひさしぶりの会場ということもあり、安定している土曜日にしては少ない人数でしたが、大刀、小太刀、それぞれの技を稽古いたしました。体験参加二回目のHさんも黙々と取り組まれており、今日は傍についてお伝えする時間も多く取れたと思います。

 先日まで開催されていた個展に100人以上の方が来られたYさんも復帰され、歩きながらの抜刀納刀や、剣術での抜き技、小太刀による入り身などをおこなっていただきました。今日は女性ばかりでしたが、床を蹴らない表裏廻回や中心を取る稽古など、表面的なものとは違う楽しさをお伝えする内容といたしました。最後に小太刀の稽古で新たな展開が生まれ、Wさんを相手に三回ほどおこないましたが、今後新たに技として整理しお伝え出来るものにしたいと思います。

 スクエア荏原での開催は滅多にありませんが、すぐ近くに今年の六月に杖術の講習会を開催させていただいた合気道無限塾東京さんの道場があり、クリス・クランプトン先生やご門人の方々との稽古を思い出します。私の稽古会の門人でもある、後藤健太氏も神保町に道場を構えることになり、そうした道場主となられた方から学ぶことも大いにありますので、来年以降の展開は何やら色々な事が起きそうです。

 明日は、品川区総合体育館剣道場で、15時から開催いたします。12月に入り気温の乱高下が続きましたが、そうした不安定な気象条件は、人の精神面にもなんらかの影響を及ぼします。とくに女性は、そうしたものには敏感だと思いますので、人間の精神的な作用も自然の働きの一部だと考え、そうしたものがあるからこそ感情が育つのだと思います。天気も自然現象もそうですが、全てひっくるめての出来事ですので、時間の流れに身を委ねるということが、今の辛さ、これからの辛さに備えておく考え方の一つだと私は思います。心の動きも気象条件の影響を受けますから。


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」の開催(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-09(Sun)
 

打ち合わせで頭がパキーン

 昨日は、夜から江東区スポーツ会館にて金山剣術稽古会をおこなう。

 12月からは新宿スポーツセンターが空調設備にともなう改修工事に入ったため、来年の3月いっぱいまで江東区スポーツ会館での開催が主な稽古場となる。

 そんななか昨夜は渡部氏と後藤氏が参加され、この会場で三人は随分久しぶりだった。この会場はアクセスを調べると「結構歩くなぁ」と思われるが、実際に来られた方にはそれを感じない小名木川のほとりを歩く心地良さがある。潮の香りも漂う川沿いを、スカイツリーが迫る距離に感じながら歩く往復の道中は、他の会場アクセスには無い風情がある。そしてそういう会場だからこそ、利用者も穏やかな地元の方々が多く、武道武術以外の利用者はほぼ皆無である。

 私もこの会場を利用するようになって三年が過ぎた。あまり自ら他人に挨拶をする方ではないが、次第に挨拶を交わす常連の方も居て、そうした互いの距離感も居心地良く感じている。

 稽古では、中丹田から頭の使い方をさまざまに検証した。頭の使い方には、構えによって、動きの特性によって使い分ける必要がある事も分った。今後の課題は、この頭の使い方を見かけ上の動きは無くとも、心理的手続きを踏むことでどのような違いがあるのかを検証したい。

 稽古前におこなった杖整体操で私の不調だった首が「コキッ」っと音がして治った。とにかく無理をしないで気持ち良く留まることが、この杖整体操特有の効果を得られるものなので、今後も私の身体を実験台に効果的な内容を講習会などでお伝えして行きたいと思う。

 12/23(日)12時00分~13時30分 品川区総合体育館の柔道場でおこないます。2018年最後の講習会となる方もいらっしゃるかと思いますのでご参加お待ちしております。初めての方や、しばらく講習に参加されていなかった方でも気持ち良くおこなえるものですので、酷使した身体を労う意味でもゆったりとした空間で音楽をかけておこなう杖整体操は気持ちの良いものです。


 そして本日は夜から新宿でNさんと打ち合わせ。来年1月14日におこなう「立廻り特別講習会」の撮影方法や編集について、私のインスピレーションがパキーン!と湧き上がり、全てのカットをNさんと相談しながら猛スピードで決定。

 「かざあな。剣術編」もそうであるが、映像の編集に私の意見は細かい部分までかなりの割り合いで入っている。それは役者時代の経験から、どういう映像になるのか具体的なイメージが予測できるので、そこに向かってあとは技術的な作業をお願いするのである。私がそうした技術と機材を手に入れれば一番いいのであるが、そうなると、一番大事な稽古時間が疎かになってしまうので、そこは私のイメージを曲げることなく引き受けてくださる方々のご協力があるから形になっている。

 とくに、Gold Castle の生徒でありミュージシャンでHEY!WAO!という芸術鑑賞会・音楽鑑賞会・学校公演を全国各地で主催されている主宰者のMariさんとは、私など遥かに及ばない経歴の方で、ミュージシャンだけでなく、役者さんとしても有名な演出家の方々の舞台を経験され、それなのに私とのメールのやりとりはとてもフランクで元気をいただけるものであり、自分よりも相手を想う心情に、身体の負担が心配になるほど実践されている方ですので心が洗われる思いがいたします。ですから、Mariさんと「お仕事」と言っていいのか分りませんが、かざあな。プロジェクトでご一緒させて頂けたことは、とても有り難いことでもあります。セッションを楽しめて、そこから良いものを作り上げることが出来ることを初めて経験させていただきました。

 今日のNさんとの打ち合わせでは、撮影と編集をお願いして頂くのですが、私の強引にも近いお願いを聞いて下さり、こうした自分も居るからこれまでに色々なことをやって来れたようにも感じます。ですが日が経つと、本当に自分がやったのかが信じられなくなることも多く、どこか他人事のような気がしています。役者をやっていた頃はこうした色々な自分を周囲の環境を気にすることなく出せることに自由な開放感というか、それが「正」とされていたことに生きている実感を感じていたのですが、今は武術というカテゴリーの中で微妙に自分という人間の変化を場に応じて自然と切り替わっているように感じます。

 今日の打ち合わせは、具体的に進みました。あとは時間配分の問題と撮影順序の決定。撮影と編集には相当な労力をお掛けする事になりますが、Nさんも楽しんで付き合って下さいますので私としましても良いものが出来る予感がしております。現在参加メンバーは八名ですので、この辺りで締め切りをさせて頂きたいと考えておりますが、どうしても参加したい方はお早めにご連絡頂くことをお伝えしておきます。そして、時間的な問題により第一部からの撮影開始とさせていただきます。テスト撮影も含めて当日までにもう少し詰めていきます。

 明日は久しぶりにスクエア荏原での開催です。時間は9時30分からですので、私も今夜はこの辺で終わりにしたいと思います。小太刀をお持ちの方は忘れずに持ってきて下さい。


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」の開催(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-07(Fri)
 

身体感から感じる学び

 今年に入って加湿空気清浄機を部屋に置いているが、おかげで朝起きて喉の調子が悪くなっていない。空気が乾燥し窓を閉め切って寝るこの時期には無くてはならないものとなっている。今年に入って風邪らしい症状はほとんど無い。しかし、七月末から八月中旬まで喘息のように咳が止まらないことがあった。昨年の九月に痛めた右肘は一年で完治した。杖整体操の持ち上げは必ず二名でおこなう事。私も六月からずっと試してきたが、一人で持ち上げる操作は腰に負担が掛かるため、その場合は「寝返し」のように横に転がせる操作が良い。十分に心地良さを得られる。


 昨夜は、五ヶ月ぶりに甲野善紀先生と稽古させていただきました。私自身忙しくなってきたこともあり中々先生の所へ行けなくなっておりましたが、昨夜は逆にそうした期間が技などの理解を深めることに繋がったのではないかと感じました。稽古をするということは、その期間の出来事をいろいろな視点から味わうことになります。そうしたことに感動と喜びがあり、明日なる人生へと繋がっていくものです。

 「一人稽古は一人に非ず」 これは、私自身の経験を言葉にしたものですが、自己と向き合う稽古法が一人稽古と言えますので、自身の身体、それに繋がる心、それを身体に教えて貰いながら観る目を養うのだと思います。その自己を観る目は相手を観る目となり、さらには周囲を観る目、そこから自己に気が付く目が養われるのだと思います。ですので、その全ての広がりの核となる一人稽古を欠かすことは出来ませんし、なにより重要なものです。

 私自身甲野先生から多くの事を学ばせて頂いております。しかし、それは具体的な言葉や教えではなく、先生の身体感からどのように感じるかということなのだと思うのです。そうした身体感から学ぶものは逆に言葉に置き換えられたものよりも具体的ですし説得力のあるものです。それは先生の生き方そのものでありますし、教えとしてそれがもっとも端的で無駄の無いものだと思います。

 身体感に順ずるというのは、御縁を常に磨き上げているようなそのような気がしてなりません。ですから、お会いすることや言葉を交わすこと以上に、どのような身体感に育ったかが、何物にも代え難いコミュニケーションであると思うのです。存在そのものが学びとなる、そうした先生にこの世でお会いできましたことは人生これで十分と言っても過言では無いほどです。

 先生から沢山の棒手裏剣を見せていただき、お話も伺うことができました。そして最後のほうで杖整体操も受けてくださり、あらためてご評価をいただきました。帰りは終電まで22分ほどでしたのでいつものように稽古着のまま走って駅まで向かい、終電一本前の電車に間に合い余韻の濃いままに帰宅いたしました。古希まで二ヶ月となられた先生ですが、そのようなことは信じられませんので、これからも驚く技を拝見し、その身体感からまだまだ多くの事を学ばせていただきたいと思います。お忙しい中夜遅くまでありがとうございました。


2018-12-06(Thu)
 

心の沈殿化

 キツイ事を書いたがそれらを全て削除し新たに書き始める。じつのところ良く分らない人には気をつけなければならないという内容だった。


 さて、気分を新たに本日の「クラーチ剣術教室」では、手首を骨折した(講習中ではありません)Hさんとお会いし元気な様子に安心いたしました。後ろに滑って転倒した際に手をついて骨折したそうですが、先週の講習でWさんの立ち止まり方に二度ほどヒヤッと感じるものがあり、それを帰り際に扉の前でお伝えしたところ、本日Wさんが訪れるなり「先生私を呼んでみて下さい!」と仰ったので「???」と意味が分らずもう一度訊き直して「Wさん?」と呼んだところ後ろ向きから「ハイ!」っと振り返られましたので、「あっ、先週注意した振り返り方ですね!」ということで、あれから意識して気をつけていたのだと嬉しく思いました。

 どういう部分がヒヤッとしたかと申しますと、Wさんのユーモアさからなる振り返った際の姿勢が上体を仰け反るような後ろ重心になっており、これが癖になってしまうと、場所によっては危ないと感じ余計なお世話と思いながらも先週の帰り際にお伝えしたのです。

 それを受けて本日Wさんがお会いした早々に直した動きを見せて下さいましたので、「じゃあ今日はこれをやろう。」と、私の合図で止まって頂く内容の足運びをおこないました。

 杖を構えながら歩き、途中で360度ターンしその合間に一度杖を左右持ち替えながら進み、端まで来たらもう一度持ち替えながら180度ターンして止まるというものです。その合間に何度か私の合図で静止していただくことをおこないましたが、なかなか私の意図が伝わらずに、ターンもなくそのまま真っ直ぐ歩かれたり、ストップの合図でも止まっていただけずマイペースな状態に、慣れている私でも今日は「むずかしいー!」と思いました。笑

 その後おこなった杖の払いからの左右持ち替えと足運びを組み合わせたものが、全身運動として効果的であることが実感でき、今後の講習内容に採用することにいたしました。

 剣では逆手廻し納刀をおこないました。難しい納刀ですが今日は身体を動かす内容で疲れたことと思いますので、頭を使う内容にし、手の内の操作法や手順などお伝えいたしました。

 講習後は月に一度の食事会。今回もTママさんが皆さんのために二品作ってきて下さり、レストランの食事と併せてご馳走になりました。今日は縁起の悪い話で盛り上がってしまいましたが、いつの時代も良くない話題のニュースが人々の関心を集めますので、自らの話題や情報発信にはなるべく前に進めるような救いのあるような話題にしたいと思うのです。影響力というのは無意識レベルまで浸透してきますので、心のバランスを乱されない情報を制御しながら、実際のところと売り上げが絡んでいるものを見極め惑わされないことです。

 少し脱線しますが、ゲームにしても、アニメにしても、マニアックな世界の夢中になるようなものでも、仕掛け人がいて、その仕掛け人の術中に見事に嵌っている事がなんとも痛ましくもあり引いてしまうものです。そこに心が付いて来る様なものが夢中になっている世界のものから感じられれば良いのですが、偏りすぎてしまい、見た目だけのものにどうして夢中になれるのか、それがファッション感覚というものなのかもしれませんが、生きていく中でいずれ足りないものに気がついてくる筈です。そこが精神的安定にも繋がりますし、実際のところにも関係してきます。ブームというのは、心を置いてきぼりにしやすいのかもしれません。ですから多くの人が一気に夢中になりますし、時期が立てば一気に冷めてしまうのではないでしょうか。心が関わるとそれぞれの心にとって入りにくいバリアが感じられるのかもしれません。ですから、ブームに影響されず心を置き去りにしないように生きて行かなくてはなりません。少なくともこれからの人生はそのように掌で転がされやすい商売が成り立っていますから、心を感じながら育てながら直に触れ合う人とのつながりがを大事にしなければなりません。

 インターネットやSNSの影響力が強まる一方でそのようなことを危惧しております。


 そして、夜からは住吉でS氏と稽古。

 今夜は私自身も得るものがあった。

 それは技ではなく、心の状態を整える稽古の方法である。

 緊張や力みというのは、なかなか自分の意識では解決しにくいものである。簡単な説明でも、この緊張と力みが生ずると伝えている言葉がただのサウンドとなってしまうように、まるで意味が届かないことがある。これは私自身これまでにも指導していて何度か経験したことがあるが、今日はそうした状態の方にとって大きな一歩を実感していただくことが出来た。

 それは、瞑想後の心の沈殿化に近い状態を作り出すことである。その自律神経にある交感神経と副交感神経の優位性のコントロールである。そこに関わるのは深い呼吸と、具体的な集中意識である。

 その呼吸と具体的な集中意識は、自律神経の優位性を変動させ、まるで心のなかにあるざわめきやモヤモヤが、その集中状態の間に下の層へと沈殿し、透明でクリアな心の状態が、自然な静まりと動じない落ち着きを保ち、雑音や雑念から開放されるのではないかと私の実感としてはそのように思うのである。

 そのようにして、普段意識しない呼吸と集中すべき部分を、杖術の「八連円打」の中に入れS氏の動きを確認したところ、動きがハッキリと変わってきた。とうぜんその瞬間にS氏からも感想がこぼれた。講習後もS氏から感激のメールがあったように、心の状態がいろいろな情報を受け取ろうとし過ぎてしまい、何曲も同時に掛かっていて一体何の曲だか分からない状態のような、自分の身体が自分のように思えないような心の状態に陥り易い人は時折出会う。自らを観察しなければ、自らの状態がどうなっているのか分らず、出来ているのか出来ていないのか何が原因なのかも分からなくては稽古以前の段階と言えるので、まず大事なこととして、自らを観察するための「心の沈殿化」を呼吸と具体的な集中意識によって整えることが可能であった。

 これは、稽古が進んでいけば、自ずと自らの身体の課題に向けて具体的な意識が芽生えるので、自然と心の沈殿化に繋がるのだと思う。呼吸は、身体が整って集中していれば、その状態になっていれば呼吸は考えなくてもよい。逆に、どうしても身体と心が整わないメンタル的な問題がある場合は、呼吸から身体を整える手順もあるだろう。だが、その呼吸がパターン化してしまうと、身体で整えられる心と身体の状態に水を差す意識の呪縛があるようにも思っている。私がさいきん特に感じているのは、身体の能力以上の意識的判断は無いと思っているので、身体に任せてしまえることが何よりの能力であり脳力であると思うのだ。

 今日得た、呼吸の意識と具体的な集中は、瞑想で得た実感からのヒントであるが、指導者としてもこれは取り入れると成果が上がるように感じた。出てくる言葉が変わるように感じたためである。

 骨格のこと、感覚のこと、重心のこと、心のこと、その日によってさまざまに教えてもらえることに感謝している。その教えは深層心理から浮上したものであり、その浮上のキッカケは稽古や講習で相手との濃い情報の中で交わす身体感からである。現代武術という、身体感的内在心理の養成は現代を生き抜く術を自らの体内に宿すものである。そうしたことに、私はなぜだか急激に速度を上げて進んでいる気がしている。


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」の開催(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-05(Wed)
 

心の成長と場の成長

 12月に入り、私の週間予定が若干変わりました。これまで平日の稽古は、月曜日、火曜日、隔週水曜日、木曜日、金曜日という風に計画しておりましたが、今月から来年3月末までは、火曜日、隔週水曜日(予約次第)、木曜日となり、時間的にも余裕が生まれました。その間に私の稽古と進展の関係が崩れないように、どこかで一人稽古時間を捻出していかなければなりません。しかし、さいきんは稽古中以外の講習中でも進展に繋がるものが得られるようになってきましたので、そうした連鎖は止まらないものと思われます。

 昨日のGold Castle 殺陣&剣術スクールの講習では、全体で脚鍛稽古、万乃型をおこなったのち、3グループに分けて立廻りタイプⅠをおこないました。そのほか、この日生徒になった中学一年生のK君には、万乃型の初めの部分と胴斬りや払いなど取り組んでいただきました。武道具も購入され、お母様とご挨拶しこの時間を託されております。中学生となりますと、私も数名指導させていただいておりますが、親は離れて遠くから見守るようにしてまたは完全に全てを一人で任せるようにして成長を見守っております。こうした時期は、一日一週間と大人に近付いておりますので成長は驚くほど早く、一ヶ月もすると別人と言っても過言ではないほど変化を感じます。ですから、大人以上に一回毎の講習というのはお子さんにとっては密度の濃いものでありますし、疎かにしないように向き合っていかなくてはなりません。そうしたジュニア世代の生徒達の存在から私自身、指導者としてどうあるべきかを学ばせていただいております。

 技術以外にも大事なものとして、生徒の組み合わせを考える事もあります。優しい性格の方は、不安な気持ちで取り組まれている方には安心出来ますし、逆に気持ちを強くして頂きたい方には、気持ちの強い方にリードしてもらい乗り越えられるように考えております。
 
 新しい生徒達にとって不安に思うことは沢山あるでしょう。みな最初はそこからスタートいたしましたが、その頃を忘れないというのは大切です。組織を安定的に向上させ、誰しもが気持ちよくその場に居られる為には、エゴを無くし周囲の喜びを幸せに感じられえる考え方が大切です。

 この日は五ヶ月ぶりにTさんがご挨拶に来られました。風邪を引いた状態でお越し下さりその思いは十分に伝わっておりますので、諸々万全になりましたら復帰をお待ちしております。

 先日お願いしていた講習風景の写真撮影をDr.Nさんにお願いいたしました。私のデジカメで数十枚程撮って頂く予定でしたが、私の六年前のデジカメよりも遥かに高性能なカメラで300枚ほど撮っていただきました。(撮り過ぎ!笑)

 私もこのところ、何かとNさんにお願いしていることが多く、高齢者の方へのアルミ刀の樋入れや、立廻り映像の編集作業、昨日の写真撮影と、来年1月の立廻り特別講習会の撮影など、もはやGold Castle制作部担当となりつつありますが(笑)、Dr.というお人柄の信頼もありクラーチ剣術教室にも来て頂きました。こうして色々な生徒のみなさんの力をお借りして教室は発展していくものと思われますので、今の教室の姿や評価というものは私だけでなく、皆さんで作り上げているのだという自信と責任を感じながらこれからも励んで頂きたいと思います。(もちろん、最終的な責任は全て私にあります。)

 続く剣術クラスでは、初公開となる「二段抜き」と「三段抜き」をおこないました。これは以前私の稽古会で後藤氏に杖の抜き技をお伝えしていたときに、後藤氏の方から「これ、剣でも出来るんじゃないですか?」ということから生まれた技。

 そして昨日の講習であらためて、身体に近いところで剣を操作することの大事さを実感することになりました。二段抜きは直ぐに皆が出来るようになると思っていましたが、意外にも軌道に悩んでおられる方が多く、螺旋のように進みながら抜いていく感じがこの技の特徴であり、それを生み出す左手首の巻き返しと右手手の内の締緩(ていかん)操作をお伝えいたしました。

 三段抜きに関しましては、さらに体の移動が加わり難易度は高くなります。直ぐに剣を発剣させ変化させるための手の内の感触や、相手を観てどの辺で変化させるのかを身体で予測しそれを実行させる技術の習得になりますので、剣術全体に関する稽古とも言えるでしょう。

 最後はひさしぶりに「峰返し潰し」をおこないました。まずはNさんを相手におこなったところ、「これまでと感じが明らかに異なり、首への負担が無いのに下方向へ崩される力が強くなっています。」との事。これには中丹田が引かれる意識が大きく影響していますが、その動きが首への当たりを和らげる働きにもなっているようです。頭を使っての発力手順も三回ほど密かに試みましたが、これはまた別の機会に研究したいと思います。

 この潰し技は私のオリジナルで、首への圧が掛からずに膝からカクンと崩れるのが特徴であり、接触部から瞬間的に下方向へ力を通して行く稽古として研究し続けている稽古内容の一つです。いつしかこの術理が具体的に解明し、自らの骨を剣と同様に扱うことが感覚的に出来れば、エネルギーの通し方に大きな進展が見られるのではないかと想像しております。

 この時間は、中丹田の意識による働きを皆さんが興味を持って取り組んでいただきました。相手を押したり、木刀を使ったり自由にそれぞれがやっているのを観ている内にあっという間に時間が来てしまいましたので止む無く終了。

 昨日も殺陣クラス、剣術クラスともに賑わいを見せた濃い時間帯でした。

 来週の土曜日は久しぶりにスクエア荏原での開催となります。この会場は杖が使えませんので、次回も剣術をおこなう予定です。常連の方、初めての方、ひさしぶりの方、毎週楽しみにお待ちしております!


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」の開催(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-03(Mon)
 

救いになるかということ

 昨日は、イラストレーター山本祥子さんの個展を観に谷中にある『HOW HOUSE』というお店に行ってきました。千代田線千駄木から行き、山本さんにお会いししばらくお話したのち、帰りは山手線日暮里駅から電車に乗りました。谷中商店街を歩こうと思っていたのですが、道を外れてしまいそのまま駅へ。

 こうしてご縁が無ければ、谷中に足を運ぶことは無かったかもしれないし、個展を観に行くということも無かったかもしれません。人の出会いは、これまで知らなかったことや初めての経験につながりますから良いものですね。


 さて、本日のGold Castle 殺陣&剣術スクールは、深川スポーツセンターで夕方から剣術クラスの講習をおこないました。土曜日の深川での講習は、50分ほど自主稽古時間を設けておりますので、早めに会場に行ってそれぞれの課題や気になっている部分を稽古出来るように開放してあります。今日から土曜日の深川開催では、会場準備を整えるのは私ではなくWさんにお願いしていますので、私がいないことで逆に一人稽古に没頭しやすいように、気兼ねなく純粋な気持ちで稽古出来ると思われます。

 そうして時間を遅らせて会場に向かっておりましたが、意外に時間に余裕が無くなり早足で向かうことに。月初めはいろいろと対応がありますので、バタバタしてしまいましたが、先に到着され稽古していた方はそれなりに身体も温まり、動きの確認や課題について向き合ったものと思われます。

 講習では、二之太刀からの納刀を幾つかおこないました。剣を一振り振り下ろすだけでも身体各部分への手順がありますので、それを分かりやすく一番から三番に分けて説明したのち繋げて全体でおこないました。

 とくに座りでの納刀法は、足腰、中心軸など、鍛練の要素も兼ねておりますので、姿勢の悪い方や腰下の働きを強くしたい方、そういった方にとっては短い時間でも効果的な稽古法の一つでもあります。

 最後は、居合刀の方は、左右からの袈裟斬りと正面斬り、右から左への胴斬りなどを刃筋を確認する稽古をおこないました。それぞれに、肩などの詰まり無く刃音を鳴らして小さく強く振ることが出来るか。それには構えそのものが大事になりますし、小さくおこないながら強く振るには手の内と身体のエネルギーを通して行く手順が求められます。

 木刀の方は、互いに向かい合って時折おこなっている「鹿威し」(ししおどし)をおこないました。差し出した相手の木刀に当てることだけを目的としてしまってはいけませんので、それに誘われずに自分の剣の操作に目を向け続けることです。我を忘れてしまうことなく、たかだか木刀を差し出されただけで操作が狂わされること無く、いつものように精確に乱れることなく振り下ろす事がこの稽古を本来の目的でもあります。


 明日は、同じく深川スポーツセンター剣道場にて殺陣クラスと剣術クラスの講習をおこないます。12月に入り、いろいろと忙しい方は忙しくなってくると思われますが、来年に向けて心機一転計画をされている方もいるでしょう。私自身も来年はいろいろと動きそうですが、身体感的内在心理が今の私の活動を審査してくれているところがあり、私が私で無くなることの無い審査が常に厳しい監視の目で内側から観られておりますので、それこそが今の私の核に繋がっておりますし、これまで歩んで来た譲れないものとして今の生き方を選んだものです。時代の流れ流行、そうしたものの動きを感じておりますが、そこに惑わされず、嘘をつかなくても、人に合わせなくても生きて行ける今の人生をこれからも続けて行きたいと思います。私が武術に捧げた意味にはそこが関係しておりますので、これまでやってきた色々な仕事などと同じような、人間関係であったり、出世のための媚であったり、有名になった人と距離を近づけるなどといったことには、もううんざりしております。
 
 ですから、そういった事とのかかわりの無いSNSとの距離感が、私を私らしく、私を信じついて来てくださる方々をガッカリさせないためにも、私は私の身体感的内在心理により、情報に惑わされず遮断し守り抜くものが、私の場を維持していくのではないかと思うのです。トップの意思と、その他大勢の意思は同じではないはずです。なぜ違うのか?それには色々な思惑が絡んでいるからだと推察出来ますが、武術稽古が私の選択を示してくれる要因の一つにあることは間違いありません。

 己の欲よりも、人が慕って来るに相応しい人間であるかを常に問い、そこと向き合って行くという事が、私が誤った判断をしないためにも肝に銘じておかなければなりません。自分に合った水の中で突き進んでいくことが、世界が広がることだとフト感じたことでもあります。それは体の使い方における術理と同じようなものです。あれもこれもという術理の邪魔をするような身体の使い方をやっていれば、一見いろいろやっているようで広がっていると思われますが、感覚的にも術理の進展にも「その先」に向かうべくための大きな足枷になっていしまいます。

 そういうものは、頭で考える以前にもう身体が「おかしいよ!」と訴えてきているはずなので、言葉で納得してもらうものでもありませんが、私の生き方についても同様に、自分の世界感という例えて言うなら術理のようなもので、感じ発し行動しようと決めております。あれもこれも、あの人もこの人も、となると「その先」に向かうための足枷となり、世界が小さいまま、その先に到達されている方と会えていても会えない状態になるでしょう。身体感的内在心理は、生き方に大きく作用しているように感じます。ですので、来年以降も私は私のまま、「その先」に向かうための見極めを持って信頼出来る人と通じて行こうと考えております。


2018年12月15日(土)「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2018年12月23日(日)「杖整体操」の開催(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会HP

2018年12月 稽古日程

2019年1月 稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2018-12-01(Sat)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

管理画面
金山孝之のブログQRコード
QR
月別アーカイブ