ポルトガル武術稽古珍道中⑨                               2009.12.4~2009.12.14(全十一回)

第九回

 2009年4月26日に武術稽古(一般的に古武術と言われるもの)を始めてから、現在このブログを記している時点で5年と2ヶ月が過ぎたが、それまでにいろいろな出会いと、経験をさせていただいた。もちろんこれからも多くの人と出会い、いろいろなものを経験し糧となるように日々を生きていかなければならない。

 2009年のとある日、高田馬場の武道場で当時武術を学んでいたS師範が現れるなり突然、「金山君、ポルトガルに一緒に行かないか?」との誘いがあり、私も直ぐに「はい、行きます。」と答え、直ぐにチケットを予約したりして、即決でポルトガルに武術稽古へ行く事となったのである。S師範はポルトガルなどに数年間滞在し、武術指導をされていたこともあり、語学の問題も含め、私はただ着いて行くだけ(本を買って勉強しながらでしたが)というありがたい旅行となった。 

 2009年12月4日~2009年12月14日の10日間、武術稽古を始めて8ヶ月足らずの私が無謀にも、ポルトガルでの稽古生、つまりは先輩達との稽古や、スタジオ撮影等をおこなうために向かったのである。

 今回、そのポルトガル滞在時に毎晩ノートに書いていた日記を久しぶりに目にすることとなり、懐かしさとともに、現在の私の環境の変化と心境から、客観的に読めるものであったため、武術を始めて日が浅い私がどのように感じていたかを、当時の稽古内容とともにこのブログに記していきたいと思う。今回はその第九回目であるが、別の記事などを書きながら、合間をみて全十一回を記していく予定である。私自身どのようなことを書いていたのか忘れてしまっているので、今回ノートを見ながら多少の修正を入れつつ原文に近いものを記したいと思う。

 ※(カテゴリにある武術稽古の旅から前回までの記載を一括して見られます。)





【2009年12月12日】

 ポルトガル9日目

 朝9時に起床。アマドーラは黒人の多い地域で何となく怪しい雰囲気がある。

 近くのカフェで軽く朝食を摂り、駅で特急に乗り換え、一気にサンタレンまで帰る。サンタレンに到着後、なかなか繋がらない公衆電話で(これにはS師範共々往生させられた)カルロスに迎えに来てもらいようやく部屋に帰り着いたのである。

 午後になり、明日の朝稽古に使わせていただく近くのスポーツジムに向かう。早いもので、明日がポルトガルに来て最後の稽古日となる。宿泊しているカルロスの実家に戻って、カルロスと先日スペインで撮影したDVDとなる組太刀の説明文を話し合う。

 夜になり、カルロスのご両親、フィアンセのソフィア、S師範と皆で晩御飯。カルロスのお母様が作った料理は本当に美味しい。カルロス一家には感謝してもしきれないほど大変良くしていただいた。

 明日は、午前8時30分に出発し、9時~12時に稽古がおこなわれる。今夜は早めの21時にみんな解散となった。

 残すところあと2日となる。ポルトガルは本当にいい所だと思う。


 ≪次回2009年12月13日につづく≫





終電を逃しアマドーラで急遽宿泊したホテル
前回の日記で記した、終電を逃し急遽宿泊したアマドーラのホテル



2014-06-30(Mon)
 

分相応な立ち位置

 例によって日曜日の深夜の日記更新の時間となる。これが一日の最後の締めくくりとなる。現在、深夜2時を少し回ったところである。今夜は早いペースで記していこう。さすがに、色々と心配されてしまうため、今夜は眠って明日おこなえばいいのだろうが、この一日の締めくくり無くして明日は迎えられない。役者やモデルをやっていた頃であれば、そうでは無かったが、現在は身体の内部の感覚について重要にしており、外見についてはあまり関心が無くなってきた。先日髪を切りに行った際に、古くからお世話になっているお店の方に「最近は歳のせいか、服とか、髪型とか、こだわらなくなったんですよ。」と言った瞬間にお店の方から、「いえいえ、メッチャこだわってるじゃないですか。お店で異彩を放ってますよ。」と言われて、ああ、そう言えばそうだったと、いつも表参道のお店に作務衣に雪駄で通ってるので、そう思われていたことに気づき自分の発言に苦笑してしまった。別に私としてはこだわってるつもりではなく、ふだん道場で武術稽古をおこなっていると、道着を着ている時間が長くなってくるため、今まで着ていた洋服姿の自分がなんだか恥ずかしくなってきたのと、雪駄の歩きやすさと高下駄での歩行による自然稽古のため、どうにも洋服を着ることが激減していったのである。今日は何を着ていこうかと考えることも無いのでその辺は楽である。しかし、作務衣も、いろいろと季節によって丁度良い生地のものや、色合いのものなどあり、探せばいろいろ欲しくなってしまうのでキリがないのだが、こうして考えてみると、どうやらこだわりがあるという判定結果になってしまった。

 それにしても、gold castle 殺陣&剣術スクールでは初日が大雨というジンクスがあり、それ以外は、ほぼ会場までの往復の道中で傘を差す必要が無い。先週の昼間の部第一回目は雨であったが、今日は、雨具の準備を万全にしてきたものの、昼間の戸越体育館へ向かう道中は曇ってはいたが雨は降らず、戸越体育館を出たときには、青空が見える快晴であった。そして時間調整と打ち合わせののために、駅前のお店で時間を潰している間に、外では、雷が鳴り響き雨風吹き荒れる嵐となっていた。

 雨が止み、品川区総合体育館へ移動。今回天気にこだわったのは、夜の講習を終えて総合体育館を出た際に、本降りの雨が降っており、Oさんに「ついに、雨に降られましたねぇ」と話し、キャリーバッグの中にしまっておいた、キャリーバッグ用のレインカバーを被せながら、雨止まないかなぁと思いつつ、さぁ行こうと振り向いた時には、目の前の水溜りに雨が落ちていない・・・・・・確かに一瞬前までザーっと降っていたのだが、Oさんに「なんなんですかねぇコレは」と狐につままれたような気味の悪さを覚えたのであった。

 では、今日の本題に。剣術クラスの講習では、幾つかの構えの中から膝を抜いた脚足の使い方にともなう発剣をおこなった。あえて今回は難しい身体の使い方を取り入れてみた。易しい内容ばかりでなく、マンネリにならないためにも、出来なかったことを克服するための目標を自分なりに見つけていただけたらと思う。昼と夜の講習に分けたことで、同じ内容でも若干の温度差があることに、舞台公演でのマチネとソワレのお客さんの反応の違いを思い出したのであった。舞台は生き物であるのと同じように、武術稽古、講習も同様に生ものであると感じている。私のような未熟者がこうして指導しているのだが、個人稽古や少人数稽古と違って、いろいろな参加者、経験の違いもあれば、得て不得手の種類もあり、そういったあらゆる状況が混ざり合った中で、集中力、技術の伝授、体力の消耗、空気から察知する理解度、そういったものを、見ていく中で配分を考え、伸ばせるところを伸ばし、現時点では身に付かないものを延々と問い詰めるようにおこなわせるのは私は絶対に良くないと分かっているので、その方に合わせ逆算し、進展出来る実感があるところから伝えていくことが、次への技術の習得に結びつき、次の講習までの楽しみとなり、その一週間の思いが、早い吸収力にも繋がっていると思うのである。

 そういった意味で、今回の剣術クラスの講習は多少私の押し付けが入ったかもしれない。難しいことを体験してもらうコンセプトでもあったが、私自身まだまだ未熟な点があるため伝えきれない部分もあるが、ここに参加して来られる方々の思いと私自身の思いが、かけ離れたものにならぬように、自分を点検し、欲張らず、分相応な活動を見据え皆と共に前に進んで行きたいと思う。 


2014-06-30(Mon)
 

体験講座+フロアーで講座の続き

 本日は、イオンカルチャークラブ葛西店で剣術教室の体験講座をおこなってきた。実はこちらの講座はあまり知られてなく、主に私のブログやホームページで記載している程度で、イオンサイドでもチラシやインターネットのサイトで告知はしてあるが、数ある講座の中の一つの紹介であるため、なかなか目に止まらないのも事実である。

 今日の参加者の中に、ご主人が合気道をされており、その木刀や杖などを触っているうちに興味が出てきたという女性の方に、歩き方や、姿勢による重心の使い方、杖の持ち方、打ち方や突き方などを指導した。ここの講座は少人数なので、ほぼマンツーマンに近い状態でドンドン進んでいった。もちろん今回は体験会ということなので、ジックリとおこなうよりも、さまざまなことを体験してもらった方が良いと考え、短い1時間の中で、もう一人の女性の参加者の方とともに、日曜日のスクールでおこなっている展開の3倍の早さで進んでいった。最後は、初めてという納刀の稽古をおこないあっという間の講座を終了。

 とにかく、数を何回とか、同じことをひたすらやっていただくようなことはやらないので、皆さん休みたがらず、疲れた様子も無く、直ぐに1時間が経った。こちらの環境は、さすがにイオンカルチャークラブの施設は整っており、空調設備や音響設備、片面一面鏡張りとなっており、綺麗な設備であり、武道場とはまた違った雰囲気で、私自身としても構えずにリラックスしておこなうことが出来る。

 そして、この施設の魅力は、教室を一歩出ると、広いフロアー内に休憩用のテーブルと椅子が幾つかあり、そのすぐ隣には、オープンカフェもあり、教室から出てそこで自然発生的に講座の復習というか続きが始まってしまう。今日は少ない参加者であったため、30分位講座の続きとメモをそれぞれの方が書き込んでいかれたが、もう数名増えてくると、おそらくそこで講座と同じ1時間位は、稽古の続きといろいろな会話に時間が過ぎてしまうような気がしている。私としても、こちらの設備の良さを活かし、決して安くは無い受講料を払って参加される方々のために、ユニークで時間を忘れてしまうような時間を提供できたらと思う。
  
 まだ予定であるが、7月の土曜日は私が撮影のためスケジュールを抑えている関係上、本講座は開講出来ないが、8月の第一週の土曜日から毎週18時30分~19時30分+教室の外のフロアーで時間のある方(こちらは自由です)は、講座の続きとお話が出来ればと思う。今日は、講座終了後に、ちょっとした撮影会となってしまったが、写真や動画など、皆さんそれぞれ参考に撮っていただいた。私としては、ここでは和楽器による音楽もかけているので、秩序が保たれていれば、自由であるという環境を最優先に、高田馬場でおこなっている稽古と真逆な稽古環境に、私自身も楽しんでいる。

 現状人数が少ないので、武道具や帯の貸し出しが間に合っております。もちろん無料ですので、初期費用はほとんど掛からない状態で始めることが出来ます。少しずつその方に合わせて、家で稽古したりする際に必要な武道具を購入されると宜しいでしょう。

 とにかく、このイオンカルチャークラブでの剣術教室は、ガラスを隔てた外から、一般の買い物などで来られている方の目にも留まり、普段私が武道場でおこなっている環境とはまるで違うのである。講座中も、外から見ている方々の視線を浴びながら、杖術や剣術をおこなっている。おそらく、これがなによりの宣伝になるであろう。参加した皆さんが楽しく、技術を身に付け、教室の扉一枚を隔てて別世界となるその環境の変化を楽しんでもらえればと思う。



 

 【剣術教室について】
8月から始まる本講座について興味のある方は、イオンカルチャークラブへお問い合わせをしてみてください。
また、こちらのブログや、私のメールアドレスからでもご相談は承ります。

《イオンカルチャークラブ》
03-5679-6091 (9:00~21:00 受付時間)
http://www.aeonculture.jp/products/detail.php?product_id=3746


2014-06-29(Sun)
 

2014年7月 武術稽古日程              (剣術・抜刀術・杖術・槍術・薙刀術・体術)

※高田馬場での(研究稽古&個人指導)に関する稽古見学、または参加希望の方はこちらの【 お問い合わせフォーム 】よりご連絡下さい。

※gold castle 殺陣&剣術スクールの詳細や申し込みにつきましては、こちらのホームページをご確認下さい。http://www.tate-ken.com





7月3日 (木曜日) 14時00分~16時00分 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月4日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導) 


7月6日 (日曜日) 12時00分~14時00分 品川区 戸越体育館 
                (gold castle 殺陣&剣術スクール)
             18時30分~20時30分 品川区 総合体育館
               (gold castle 殺陣&剣術スクール)


7月7日 (月曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月10日 (木曜日) 14時00分~16時00分 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月11日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導) 


7月13日 (日曜日) 15時30分~17時30分 品川区 総合体育館 
                (gold castle 殺陣&剣術スクール)
             18時30分~20時30分 品川区 総合体育館
               (gold castle 殺陣&剣術スクール)


7月14日 (月曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月17日 (木曜日) 14時00分~16時00分 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月18日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)

                          
7月20日 (日曜日) 12時00分~14時00分 品川区 総合体育館 
                (gold castle 殺陣&剣術スクール)
             18時30分~20時30分 品川区 総合体育館
               (gold castle 殺陣&剣術スクール)


7月21日 (月曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月24日 (木曜日) 14時00分~16時00分 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月25日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


7月27日 (日曜日) 15時30分~17時30分 品川区 戸越体育館 
                (gold castle 殺陣&剣術スクール)
             18時30分~20時30分 品川区 戸越体育館
               (gold castle 殺陣&剣術スクール)


7月31日 (木曜日) 14時00分~16時00分 高田馬場 (研究稽古&個人指導)

        



※高田馬場での稽古時間は
(月曜日・金曜日)の場合、17時00分~21時00分までの間
(木曜日)の場合、14時00分~16時00分までの間で調整いたします。 
①14:00~16:00 (木曜日)
②17:00~19:00 (月曜日・金曜日)
③18:00~20:00 (月曜日・金曜日)
④19:00~21:00 (月曜日・金曜日)
いずれかの参加しやすい時間帯でお越し下さい。
前日までには希望日時をメールまたは【お問い合わせフォーム】よりお知らせ下さい。

※高田馬場での稽古参加費は1回2,000円です。

※稽古場所の詳細や稽古内容、稽古時間のご相談、道具類その他のご質問等につきましてはメールまたは【お問い合わせフォーム】よりお受けいたします。

※都合により日程が変更となる場合がありますので御了承下さい。


2014-06-26(Thu)
 

イオンカルチャークラブ剣術教室体験会

  直前のお知らせですが、2014年6月28日(土)イオン葛西店にて、18時30分~19時30分の間、剣術教室の体験会を開催いたします。

 参加料金は1.080円です。運動着をお持ちいただければ、武道具や帯など貸し出しいたしますのでお気軽にご参加ください。

 こちらの教室では、健康や姿勢、日常生活についての悩み改善に向けて取り組んでいきたいと思っております。少数でおこなっておりますので、1時間という短い時間ですが、現状ほぼマンツーマンに近い状況での中身の濃い指導になっております。

 会場設備も含め、武道場とは違った一体感のある環境ですので、興味のある方は東西線西葛西駅から徒歩10分位ですのでお待ちしております。

まだ受け付けておりますのでご質問や申し込みにつきましてはこちらのイオンカルチャークラブの受付にお電話ください。
03-5679-6091(受付9:00~」20:00)
詳細はこちらをご覧ください
http://www.aeonculture.jp/products/detail.php?product_id=3746


2014-06-26(Thu)
 

二部制となった gold castle 殺陣&剣術スクール

 本日6月22日よりgold castle 殺陣&剣術スクールの講習が二部制となり、いつもの夜からの講習に加えて、今日は昼の講習をおこなった。何人参加されるか分からない部分もあったが、集中的におこなうには丁度良い人数であった。その中で2名の新しい方が参加された。

 今回の戸越体育館では、初めて柔道場でおこなうので以前からやっておきたかった受け身の講習をおこなった。私がおこなう受け身は、屋外での転倒を意識したものなので手で床を叩かない受け身をおこなっている。みなさん経験の無い方ばかりなので、初めは膝をついた状態から始め、前後左右とやっていただく。だが、左右の受け身となると、まだ難しいようなので、前後の受け身を柔らかくおこなうことに慣れていくことが肝心である。

 次に「帯刀受け身」をおこなった。初めて参加された方々にもやっていただいた。女性の方でも、初めは戸惑いながらであったが、思いのほか全員早い段階で良くなってきた。この帯刀受け身は殺陣でアレンジしておこなうと非常に絵になる動作であり、これもまた、オーディションなどで魅せられるひとつの動きであると思う。また柔道場でおこなう際には、この帯刀受け身の講習をおこないたいと思う。

 私共のスクールへのお問い合わせ状況からも、役者さんの多さに驚いている。一つには、私も役者であり体を使うという意味においては現役であるということが大きいだろう。そうは言っても私の場合、自分が役者だという認識はほとんど皆無となってしまい、舞台や映像の仕事の予定は全くないし、舞台へのお誘いは2~3年前までは幾つかあったが、武術稽古のため全てお断りさせていただいた。しかし、私にとっては一つの役を追求している最中なのである。それは生涯かけて役作りしていくものであり、それが現在の私にとっての舞台だと思っている。

 役者の世界の大変さは、覚悟が問われるものであり、道筋の分からない険しい道程であると思う。人には真似できないもの、代わりが居ない存在、その人が打ち込めるものが身になると、どこかでその人自身を支えてくれるように思う。身に付いたものは裏切らず、ゼロにはならない。 役者さんだけに限らず、打ち込めるものがあるということは幸せなことだと思う。仕事、恋愛、趣味、お稽古事など、打ち込めるものが儚いもので無いように、後悔の無いように、無駄にならない人生の時間を私は使いたい。だからこそ、縁あって私共のスクールに参加される方には、私としても全力で取り組み、全員を見ている。

 講習内容から話がそれてしまったが、殺陣クラスの足運びを見ていると、それぞれ体のブレが少なくなってきているのを感じる。おそらく、お芝居のために作られた稽古期間の短い(3ヶ月でも基礎技術というものを真に身に付けるには難しいだろう)立ち回りでは、ブレが少なくなるまで足運びの稽古に時間を割かないであろう。身に付けたものが、体に残る、地味な稽古であればあるほど重要であると感じたのである。

 昼におこなったご婦人との集中稽古では、このところずっと指で挟まない納刀をおこなっており、左半身の使い方が良くなったのだが、今度は逆に、左半身が開くようになったことで、鞘が取り残され前に飛び出す形となってしまった。鞘も、体の開きとともに後方へ回り込ませる位に動かさなくてはならない。だが、この稽古で右手手之内の作り方(左手で刀身の峰をつままなくても水平に保てるための柄に掛かった右手の形)を集中的におこなっていたため、久しぶりにおこなった「後方突き」が驚くほど、何気無く力強さがあった。そのことを、ご婦人自身気づいてないような様子であり、非常に興味深いものであった。なにしろ、今までに無かった力こぶが、70歳で私より20㎏以上体重の軽いご婦人に出来たというから驚きである。これはご婦人の身体のことを考えてもリハビリ効果としては、肩甲骨の可動域も上がり、僅かながら身体全体の筋力も付いてきていることは、この7ヶ月ちょっとの間にしては驚くほどの成果ではないだろうか。それは、ご婦人自身、筋力や可動域を向上させるのは結果として良くなったことで、目標は、刀をちゃんと抜いてちゃんと納めるという、そのことへの情熱なのである。大きな怪我も無く順調に進んで来られたので、これからも無理をなさらずに、ご婦人の驚くような体の変化を私も楽しみにしたい。

 さて、続いて品川区総合体育館へ移動し夜の講習準備に取り掛かる。更衣室で一度しまった道着などを、また着るのであるが、不思議なことに今までと同じ感覚で、何の違いも感じなかったことである。嫌な仕事を12時から21時30分までするのと、やりたいことを自分達で作り同じ時間を過ごすのは、疲れるどころか、こんなに長い時間このような思いをさせてもらっていいのだろうかという気持ちである。

 夜の部でも、新たに2名の初参加の方が来られ、その中に10歳の男の子が参加され、大人と同じように殺陣クラスと剣術クラスを稽古した。剣術クラスでは、8歳の男の子の生徒さんが居るため、歳も近い男の子同士で良かったのではないかと思う。子供と気持ちが通じてくる中で、自然と叱ったり注意したりすることが出来るのだと感じた。やはり、その子のためを思う気持ちが、自然とそうなっていくのだろう。子供から学ぶことの大事さに気づき、親になったことの無い私は、ありがたいと思うのである。

 私は、武術と出会って武術に救われたという思いはずっと心に残っている。だからこそ、これまでもこれからも、ありがたい環境で武術稽古をさせていただいていることや、何の障害も無くこのスクールが誕生したことへの流れからも、私の心と身体に武術稽古を通じて救いを与えていただいたお礼は、これから稽古で関わってくる方々にお返しするような気持ちで取り組むことが、武術に対する礼儀であると思う。

 これからの道に、何が見え、何に気づいてゆくのか、想像もつかないが、ただ、以前とは違って、歳をとる事に嫌な思いは無く、表面には見えにくい表裏一体の人生を、どのように突き進んで行けるだろうか・・・・・・
 その先に行くほど、身近な所で話の分かる人が限定されてくるかもしれないが、自分を信じて、仲間を信じて、結果を出していくことが、もうひとつの武術であるように思う。

  
2014-06-23(Mon)
 

夏至 一分一秒の積み重ね

 本日は一年で最も昼が長く夜の短い日でもある。日が明るいと気分的にも活動的でいられるが、冬のように16時を過ぎて暗くなってくるとなんだか寂しい気分になってしまう。だが僅かな差であるが日々微妙にその辺の時間バランスは変わり、同じ一日は無いのだろう。人間も同じで、日々、いや一分一秒、体が変わり細胞が変化し、その積み重ねが大きく変わっていくのだろう。季節は一年ごとに繰り返されるが、人間の一生は進み続けるしかない。もう夏至や冬至のように繰り返されない。数十年後は当たりまえのようにやってくるとは限らない、明日でさえも保証は無いのである。だけども、そんなことをイチイチ気にしても本末転倒な考え方に陥りやすいため、今を自然に生きていくしかない。

 昨日は、高田馬場での研究稽古と個人指導であった。槍術をテーマに計4時間取り組んだ。その中で、体幹を練る稽古として、「石突きからの回転横払い」を100回おこなった。数はあくまでも参考で、全力で1回ずつおこなった際に、100回に達するまでどのような身体の状態になるのか、現状を確認するためでもある。さすがに、現在の私では合間を空けながらおこなわなければならず、これを全力で続けておこなうには、示現流の「立木打ち」のような一声一打から一声十打までおこなう位の大変さである。500回を1時間以内で終わらせる身体になれば大したものであるが、人間フラフラになると、楽をするにはどうすればいいのかということを切実に考え始めるため、横払いの際の両手持ちを、脇に挟んだ状態で片手でおこなうことで、より体幹部に近いところで槍が振れ、その速さと強さは両手持ちよりも良く、疲労度も少ない。終わった後に気づいたのにはいささか「何だよ」という気分であったが、たまには、頭だけでなく身体がフラフラになるまで追い込んで、手掛かりを見つける稽古も、オススメはしないが一つの稽古手段でもある。

 次に、脚運びの稽古として「石突きからの追い脚突き」が動きの中で生まれたもので、これを集中的におこなった。これは、石突きで払ったのち槍をそのまま回転させ突きに転じるのであるが、同時に脚足の使い方が、複雑に連動しておこなわれるため、突いた際に、ビューっと身体が進んでいくのである。これは思いのほか進むので、繰り返すと直ぐに壁が迫り道場が狭く感じてしまう。

 19時からS氏との個人稽古が始まり、今までとは違ったこの槍の稽古をおこなった。杖の型稽古では、とにかく蛸のように全身の力を抜き、全てを柔らかくおこなうことで、動きのクセが消え瞬間的に止まるということも少なくなってきた。今の段階では、力を抜き、腰を落とし、一瞬たりとも止まることなく、スローモーションのように動くことが稽古としては身に付いてくるだろう。身体が弾むことなく、失敗しても、止めてやり直さず、流れを変えないことが大切である。ゆっくりおこなうことは、流れを作り、そのために身体全体をどのように同調させるかにある。

 体術稽古では、前回意識した、もっと意識しなければならない部分、繋がりをどのように働かせることが出来るかという点において取り組んだ。僅かではあるが、今まで意識していなかった部分が、気配を出しづらくすることに効果的であることが私でも感じることが出来た。背中を通じた五体の感覚の使い方をどうおこなうか・・・・・・トライ&エラーを繰り返すしかない。

 稽古後に、フト刃物で突いてきた場合でなく、斬り下げてきた場合の状況をS氏に手刀でお願いし、私の中で新しく稽古になる動きが生まれた。もちろん甲野先生の受けを通じて、その身体が記憶しているやり方になっている部分が強いが、私自身、身体がそういう風にしたほうがいいのではという、あまり迷いが無くなってきたのには驚いている。武術稽古を始めて2,~3年の頃には、体術において瞬間的に身体が反応し、相手を封じ潰し抑えるにはどのようにしたらいいのか、見当もつかなかったが、私の剣術の考え方が、剣術稽古とは体術稽古にも通じていなければならないという、棲み分けでない身体の使い方を意識したものとなり、それは私が誰にも縛られること無く一人稽古が出来る環境になったことと、甲野先生との稽古によるものが非常に大きい。とにかく、現在はそういった自身の身体の記憶を探究しながら、未だ見ぬ自身の流儀というものを求めて、一分一秒を積み重ねていくしかないのだろう。


2014-06-21(Sat)
 

0.0何秒の感覚の違い

 本日木曜日は、12時30分より高田馬場で2時間30分研究稽古をおこなった。昨夜自宅で気になった、前方へ一足で間合いを詰める際の後ろ脚の膝の使い方を本日は集中的に取り組んだ。

 甲野先生がずっと言われているように、「蹴らない動き」というものは、今まで蹴って身体を移動させることが身に付いてしまっている人にはなかなか切り替え難いものである。私など、高校から5年間ボクシングをやっていたので、爪先立ちで、常に蹴りながらフットワークやパンチを出していた。そのため、武術稽古を始めた当初は、ここ一番の際には、足が爪先立ちになり、いつでも床を蹴られる準備を整えていた。しかし、体を回転させずに、垂直にエネルギーを使うことを学び、爪先立ちをやめるどころか、爪先を上げるように変わり、とにかく「跳ねる」「飛ぶ」という動きにならない身体の使い方を稽古してきた。そのために重要なのは、「膝の抜き」である。この膝の抜きを身につける稽古として効果的だと常に感じているのが、甲野先生がおこなっている「下段抜き」だと思う。前方への慣性エネルギーを、膝を抜くことで、急制動をかけ、ピタリとその場に身体を静止させることが出来る。つまり、横方向の動きに対し強力な縦方向の力が入力されることで、身体が前につんのめる事無く真っ直ぐでいられるのである。

 この「膝の抜き」は稽古の中でさまざまに使うことがあり、本日は両足を上手く連動させてバラけずに移動することを、杖の稽古や、抜刀の稽古などで集中的に取り組んだ。今までおこなっていた移動と比べ後ろ足の回収時間が、0.0何秒しか変わらないかもしれないが、体感的にはかなり違いを感じる。しかし、武術の動きの中で、1.0秒の違いはあまりに時間が掛かり過ぎていると思われるので、長くて0.数秒の違いだとすれば、0.0何秒の違いは普通に実感ある有効な差であると思う。(例えば抜刀yasai斬りでの、野菜を離して刀の柄に手が掛かる瞬間の感覚は、どのようにやっているか自分でもよく分かっていないが、微妙な速さの違いは体感出来るものである。このように、私がふだんおこなっている研究稽古は、僅かな秒数を縮めることをどのように身体でおこなうかを意識したものが多いのかもしれない。それは物理的な速さを求めるものでもあるし、相手に対し起こりを消す認識しづらい速さというものを求めているものでもある。そのためには、やはり、初動を考え気配を消し速さを求めるかである。どう考えても、「蹴ってはいけない」のである。蹴らない動きを日頃から意識するには、高下駄を履くといいと思う。



 武術稽古仲間でもあり、体術などで大変学ばせていただいているⅠさんが、7月16日に海老名の方で15時から講習会をおこなわれるそうで、私のブログにリンクしてある 『 「身旅」 身体を旅し、愉しむ 』 こちらを覗いて見てください。ご夫婦でそれぞれの講習会をおこなっているそうです。お近くの方や身体について興味のある方にはお勧めです。


2014-06-19(Thu)
 

瞬喜長苦

 毎週日曜日はgold castle 殺陣&剣術スクールの講習であるが、本日もカラッと晴れた梅雨の中休みの天候であった。この日記を書き始めて現在2時33分である。いつもにも増して遅い時間に書き始めている。どうにもバタバタとその日を締めくくることに抵抗があり、この日の余韻を味わうかのように、整理と管理と計算を間違いの無いようにおこなっているとこのような時間になってしまう。

 今日の講習では、体調を崩されしばらくお休みされていた方が元気に復帰され、心配していただけに本当によかった。そして、今日も新たに女性の方が体験講習に参加された。最近は段階に応じて、斬ったり斬られたりという稽古もおこなっているので、基礎練習を丁寧に身に付けながらおこなうことで、殺陣の技術というものを理解し、その技術習得に向けて取り組む目標が明確であるのは、迷いが少なく成長に繋がるのではないだろうか。

 剣術クラスでは、今日は「骨格構造を意識する」ことをテーマにおこなった。これがどこまで伝わったかは、それぞれの感覚によるものであるが、僅かながらもその成果を実感出来たときに、初めて骨格構造への意識と重要さに気づき、筋力という意識が少しずつ実感とともに変わり始める方も現れてくると思っている。今日おこなったものは、通常の武術稽古でも練られてくるものであるが、今回紹介したものは目的を絞って集中的に取り組むものであり、キツイ部分もあったかもしれないが、その成果は私が学んでいた頃に、私の身体や、当時取り組んでいた方などを見て確認したものである。身体を知り、実感することで感覚が目覚め、進展速度が飛躍的に上がる方も出てくるかもしれない。

 ご婦人との集中稽古では、今日は左半身の使い方が飛躍的に向上していたので、その何気ない、足、膝、腰、との連動した何気無い動きに目を奪われ、あまり褒め過ぎても、その方のさらなる成長に支障をきたす恐れがあるため、良くないと思うのだが、今日は大絶賛、褒めずにはいられなかった。頭で意識して動かしたのではなく、身体にインプットされた動きが見えたので、この一週間の変貌振りに大変驚いたのである。このように、日々の努力もあるかと思うが、ある時に突然出来るようになることもある。人により得手不得手はあるが、得意なものを伸ばし、苦手なものを克服した瞬間というのは、大変喜びが大きいものである。

 なかなか思うように行かないものが、どうしてかある時ポンと出来るようになることがある。しかし人間強欲なもので、しばらくすると、喜びは薄れまた次を求めてしまう。長い苦労の合間に一瞬の喜びがあり、また苦労の道程に入ってゆく・・・・・・

 今夜はなかなか文が進まず、気が付けば4時を過ぎている。小鳥達が騒ぎ始めてきたので、気絶したように寝るとしよう。

 
2014-06-16(Mon)
 

目を瞑って見えてくるもの

 本日は13時過ぎから高田馬場での研究稽古をおこなった。さすがに木曜日の昼過ぎは、私を入れても武道場に5名しか居ないため非常に能率の上がる稽古が出来た。だが、一呼吸入れる(記録に留める)ことで、それまでの集中が一旦落ちるのは否めない。今後は、このタイミングを上手くコントロールし、まだ見つかるであろう何かを逃さないように時を使いたい。

 今回は抜刀術をテーマにおこなった。この時私を含めて広い道場に二人しか居ないため、今までに無い集中が出来た。しかし、数十人居てざわついていても同じように集中出来なければ駄目である。これはこれで環境に応じた稽古を効果的に利用したい。

 目を瞑っての抜刀をおこなうことで、自身の身体がよく見えることに気が付いた。今まで意識しているつもりが、そのようになっていないということに、目を瞑っておこなうことで実によく解るのである。今日もそうであったが、しばらくは、この自身の意識と動作の点検のため目を瞑って抜刀術稽古をおこないたい。それに付随して杖術稽古も同様におこなってみよう。

 それにしても不思議なもので、以前であれば目を瞑って抜刀稽古しても、「やりにくいことをやった」という認識であったのだが、今日は目を開けてしまうと解り辛くなるという不思議な感覚になった。この目を瞑って自身の身体を精妙に扱う意識と、そのようにおこなうための外部の余計な情報を遮断した方法で、この二尺七寸の刀で今までの二尺四寸五分の刀と同様の抜刀の体感を得た。鞘離れの際の音も、そういう時に聞こえる音が確認出来た。もしかすると、体術における瞬間的な初動エネルギーは、この鞘離れの音のような、言葉で説明しづらい感覚的な条件が揃った時のような、そういった独特の感覚が組み合わさった一瞬の出来事にあるのかもしれない。もしそのような、そのための身体の使い方の感覚が組み合わされば、私自身としてはちょっと言葉にならない衝撃的な出来事になるだろう。すなわちカギは、もっといろんな部位をいかに働かせるかということに気が付いていかなければならないといういことである。

 目を瞑ることで、初動への導きと、そのための姿勢がよく見えてくる。その際の動きは極僅かであるのだが、汗が尋常ではないほど床へ落ちていく。と、その時に「上体が下体の上に乗っかっている感覚」があり、この時に、ああ、稽古というのは、これとこれを当てはめて、応用しようとするのではなく、その稽古の中から得られる感覚に耳を傾けて引き出して上げなければならないということが分かったのである。その積み重ねが、その人の生き方や人生観、人格などと結びつき、一つの流儀となっていくのかもしれない。研究稽古とは、良くも悪くもありのままを分析し、その瞬間に目を向け、さまざまな情報に捉われないことが、飽きずに、稽古意欲の炎を弱めることなく、自分の存在と、今おこなう稽古(取り組むべき技)を結びつけることになっているのではないだろうか。

 不思議なもので、私自身いろいろ悩むことや、見えてこない(見ようとしていない)部分が、こういった心境になることで、身の回りにある、状況や対応などについて、冷静に先が見えてくるような気がするのである。

 肩書きや、段や、上下関係といった雑念に捉われず、純粋に武術稽古に没頭することが、物事の本質を見抜く稽古にもなっているように感じるのである。


2014-06-12(Thu)
 

慣れとのレース

 昨日は高田馬場にて研究稽古&個人稽古をおこなった。まず、新しい二尺七寸の刀をまだ数えるほどしか抜いていなかったため、30分間集中的に抜刀をおこなう。ただ抜くということへの感覚は想像していたよりかけ離れたものではなかったのであるが、やはり以前の二尺四寸五分の刀での抜刀における身体との感覚のようにおこなえるようになるまでには、身体を一から練り直す必要があると感じる。その証拠にものの30分間の抜刀稽古で、以前の刀では感じなくなってきた身体への違和感、「ああ、まだ身体が刀に負けているな・・・・・・」と、以前のぬるい抜刀術稽古に慣れてしまっていたせいか、身体が出来てない己の未熟さを感じたのである。僅か30分間の抜刀術稽古であったが、暑さと湿度の高さから、汗がボタボタと床を濡らし、そんなに動き続けているわけではないのだが、ある意味常に動き続けているのだろう。1日経った今日は、筋肉痛とは違うような節々の痛みがある。

 S氏の到着とともに個人稽古を始める。本日は杖を集中的におこなった。その中で杖の技十一手を繋げた型稽古を伝え指導した。約2時間の稽古指導であったが、体術稽古などを挟みながら最後まで伝えることは出来た。伝えたとはいえ、ここからが型稽古のスタートのようなものなので、十一手を覚えないことには何も始まらないのである。私自身も、この稽古は現在はほとんどやっていないので、こういう環境でやることにより得るものもあり、伝え指導することで、自分が教えられることもあり、相手を通じて脳内整理がおこなわれているように思う。

 次に、膝行(※「しっこう」膝をついて移動をおこなうこと)で、杖の型を同様におこなっていただく。これは私も一緒におこなった。以前、この膝行の稽古は毎回必ず、稽古開始時に道場の端から端まで何回か往復していたが、身体の使い方が、ソ之字立ちで一直線上に、開きながら半身に使う身体の使い方から、ソ之字立ちを止め、足の置く位置に前後はあるものの、向かえ身に近い立ち方と半身に回転させることを止め、身体の遊びをとる構造の意識と、自身の体重を瞬時に使える身体の使い方に切り替えたため、内転筋を鍛えられる以前の膝行稽古が、股間節の微妙な働かせ方の感覚に影響する感じがあるので、内転筋を鍛える脚を開いたキツい膝行はもう2年近くおこなっていない。

 そんな中、S氏とともに膝行しながらの杖の型稽古をおこなったが、これはこれでいい稽古になるとあらためて感じた。まず、移動の際に重要な大腿部の付け根を屈曲させることが自然とおこなえるので、立っておこなう時になかなか意識しにくい部分を、そうしなければ動けない状況になっているのでこれはこれで良いと感じた。また、足運びの手続きに時間が掛かるため、手の動きと脚部の動きが、同時におこなわれ易く、立っておこなう場合によく起こりがちな、最後に帳尻を合わせるかのように、溜めておいた足を手の動きに合わせてそこだけ素早く動くという癖が出にくいという良さもある。

 合間に挟んだ体術稽古では、相手を倒すということよりも、現在身に付いている、または取り組んでいる身体の使い方の有効性を検証するという方向性でいかなければ、意味の無いものになることを暫く時間が経ったあとに深く感じたのである。目的を見誤らないこと。

 今後は、槍術稽古や、新しい刀での抜刀術稽古、そして現在注文中の袋竹刀での組太刀稽古など、さまざまな点で現在より前に進める稽古となるであろう期待に、未熟な自分を少しでも進展させたいと願う。そのためには、共に稽古をおこなう方々とのレベルアップが必須であり、その未来予測の実現のためには、一回一回の稽古を全力でおこなわなければならない。もちろんいつも私なりにそのつもりでおこなってきているが、慣れというものは、良い面もあれば悪い面もあり、常に、慣れというものに抜かされないためにも、前に前に新たな何かを求めて行かなければならない。そういう自身とのレースを選んでしまったのだから。


2014-06-11(Wed)
 

梅雨でも降らぬ gold castle 殺陣&剣術スクール

 関東甲信地方では、記録的な大雨により、梅雨入りしてすでに6月の降雨量をオーバーしている箇所もあるほど、梅雨入り宣言からずっと降りっぱなしであった。本日6月8日は降水確率70%ということで、去年の10月20日に開講して以来まだ、2回しか雨に降られていない(正式に言えば、講習に向かう道中と、帰りの道中で傘を差す必要のある雨量でなかった)gold castle 殺陣&剣術スクールであるが、さすがに今日は雨に降られることを覚悟していたのだが、行きも帰りもまったく降らず、最近は雨が降らないのが当たりまえの様に思えてきた。

 そんな中今日の講習は18名の参加人数で、初めての方が2人、そして舞台公演を無事に終え復帰された方や、持病の腰痛から復帰された方など、1ヶ月~2ヶ月振りとなる生徒さん達も加わり、皆で一斉に抜刀と納刀稽古をおこなった。
 今まで左半身の使い方を身に付けるための抜刀など幾つかおこなってきたが、今日はより技としておこなえるための、右手右足、左手左足の連動した使い方を、ゆっくりと丁寧におこなっていただいた。まだ、ゆっくりおこなうことの重要性を掴みきれていない部分があるかと思うが、粗を見つけ修正していくには、まずゆっくりおこなうことが近道なのである。初参加の方々も、刀に触るのが初めてではない方であったので、左半身による抜刀と、身体を開いておこなう縦納刀に取り組んでいただいた。最終的には「抜き付け」までを、体験していただいたが、全員の抜刀の際の身体の信頼度をはかるため、タオル抜刀をおこなっていただいた。

 鞘付きの木刀であるため、何人かすぐに出来るだろうと思っていたが、ほとんどの方が右手の柄にタオルが引っ掛かったり、上手くいかない。それは、この時期では当然なので、これをおこなった目的は、いかに出来ないかということを体験していただくとともに、いざ、本気になった時に、自分の信頼している動きが現時点でどうおこなっているのかを判断するのに、このタオル抜刀の目的がある。まだまだ、右手だけで抜こうとし、鞘引きが出来てない方が多い。しかしこれは私もそうであったため、そうなることを分かっていながらやっていただいたのである。分かっているけど、まだ身体が信用していない部分である。しかし、ひとつひとつをクリアし、出来るようになった時に、いざ、本気になった時の動きが変わってくるのと同時に、ひとつの武術的動作を身につけたことに繋がってくる。このタオル抜刀は、夢中になる稽古ではあるが、本来の抜刀稽古に支障をきたす恐れがあるため、誤ったクセが身に付かないように、たまにおこなう程度にしたほうがいいだろう。

 私も二尺七寸の刀でこれをおこなうのは今日が初めてであったため、皆の前で成功例を見せなければならないため、ぶっつけ本番でおこなった。まだ、刀が感覚的に身体に入ってきてないため、1回目は失敗してしまったが、身体が修正して2回目にはなんとか水平に斬り飛ばすことが出来た。以前の刀に比べ刀身が約7.5㎝長くなったが、あまり影響はなさそうだ。居合刀とはいえ、以前魚肉ソーセージを、ビニールを向かずに、タオル抜刀のように落下させ切断したこともあった。切断するには、当てるだけでなく、引き斬りに身体を開くことが大事である。過去に女性でこれが出来た人は見たことが無いので、いつか居合刀で出来るようになれば、演武でもおこなえるし、役者さんなら、オーディションで是非やっていただきたいと思う。まあしかしこれは、大道芸的な部類のものなので、落下したものを斬ることよりも、相手の上段真っ向斬りや、左右の籠手斬りに対しどう動くかということを突き詰めた方がいいだろう。

 抜刀術稽古が本格化してくると、居合刀の購入を考え始める方もいると思われる。購入の目安は、二尺三寸~二尺四寸程度の長さで、重さは鞘を払って900g~1000gの間ぐらい、値段は、初めは壊れることを踏まえてなるべく安い20,000円位のものが、いいかと思う。お土産用の10,000円以下の模造刀は、柄がプラスチックで貼り合わせてあるものが多く、直ぐに割れてしまい刀身がグラグラになってしまうので抜刀稽古には不向きである。やはり実際に手にとって感触を確かめるのが一番であると思う。ポイントは、刀のバランス、刀身のヨレ具合など、好みがあるとは思うが、私はあまり反りのキツくない刀が好きである。まれに特殊な合金で作られた居合刀に触れたこともあるが、抜刀稽古として重過ぎないもの。バランスが極端でないもの。など居合刀の購入に関しては重すぎず、軽すぎず、安すぎず、高すぎず、といった点に注意していただきたい。


2014.6.8 殺陣クラス講習風景
        殺陣クラスの講習風景


2014.6.8 剣術クラス講習風景
        剣術クラスの講習風景


8歳の生徒さん
    8歳の生徒さんにも大人と同様に指導

 


 次回は戸越体育館で18時30分~20時30分の時間帯でおこないます。以前体験連絡いただいた方で、なかなか都合がつかなくて来られない方など、いつでもお待ちしておりますので、ご都合の宜しい時にお越し下さい。講習日程はホームページのホーム画面左上に記してありますのでチェックしてみて下さい。http://www.tate-ken.com/


2014-06-09(Mon)
 

ポルトガル武術稽古珍道中⑧                               2009.12.4~2009.12.14(全十一回)

第八回

 2009年4月26日に武術稽古(一般的に古武術と言われるもの)を始めてから、現在このブログを記している時点で5年とひと月以上過ぎたが、それまでにいろいろな出会いと、経験をさせていただいた。もちろんこれからも多くの人と出会い、いろいろなものを経験し糧となるように日々を生きていかなければならない。

 2009年のとある日、高田馬場の武道場で当時武術を学んでいたS師範が現れるなり突然、「金山君、ポルトガルに一緒に行かないか?」との誘いがあり、私も直ぐに「はい、行きます。」と答え、直ぐにチケットを予約したりして、即決でポルトガルに武術稽古へ行く事となったのである。S師範はポルトガルなどに数年間滞在し、武術指導をされていたこともあり、語学の問題も含め、私はただ着いて行くだけ(本を買って勉強しながらでしたが)というありがたい旅行となった。 

 2009年12月4日~2009年12月14日の10日間、武術稽古を始めて8ヶ月足らずの私が無謀にも、ポルトガルでの稽古生、つまりは先輩達との稽古や、スタジオ撮影等をおこなうために向かったのである。

 今回、そのポルトガル滞在時に毎晩ノートに書いていた日記を久しぶりに目にすることとなり、懐かしさとともに、現在の私の環境の変化と心境から、客観的に読めるものであったため、武術を始めて日が浅い私がどのように感じていたかを、当時の稽古内容とともにこのブログに記していきたいと思う。今回はその第八回目であるが、別の記事などを書きながら、合間をみて全十一回を記していく予定である。私自身どのようなことを書いていたのか忘れてしまっているので、今回ノートを見ながら多少の修正を入れつつ原文に近いものを記したいと思う。

 ※(カテゴリにある武術稽古の旅から前回までの記載を一括して見られます。)





【2009年12月11日】

 ポルトガル8日目

 今日はS師範と共にリスボンを観光し、夜にポルトガル一番弟子であるジョージの家に招待していただく日程となっている。

 朝9時過ぎに、サンタレンにあるカルロスの実家にて朝食をいただき、カルロスのお父様に近くの駅まで車で送っていただく。駅に到着して車から降りたところで電車がやって来たので、S師範と共にダッシュでカルロスのお父様にお礼の挨拶をしながら、無人駅の脇からホームに入り、線路に下りて反対側のホームによじ登る荒業でなんとか電車に乗る事に間に合った・・・・・・。(※運賃は車内で支払っています)

 今日は快晴のポルトガルは、サンタレンからリスボン目指して初めて乗る電車にワクワクする。距離にして100㎞ぐらいであろうか?いつもはクルマでカルロスがハイウェイをブッ飛ばしているが、休憩を入れても1時間近くはかかっていた。電車内は日本と違いカラフルなデザインで、携帯電話で話しても問題ないため、なにやら賑やかな感じがする。ニッポンの耐え凌ぐ車内文化とはまったく違うようだ・・・・・・

 前にも書いたが、こちらの陽射しは強いのでサングラスが無いと目を開けているのが辛い。しかし、周囲の人々は平気な顔で座席に座っている。(S師範は丸いサングラスを使用)
 車窓から見える田舎の景色を眺めながら、1時間弱でオリエンテ駅に到着。ここで電車を降り、以前万博会場だった場所でもあり、広い敷地内にある大きなショッピングセンターでS師範といろいろ見物する。スーパーでは子豚が丸ごと真空パックで売られていたので、思わず写真を撮ってしまった。とにかく、ポルトガルに来て初めての休養日であったため、写真を撮りまくった。

 次に、リスボンへタクシーで移動。日本に比べると安い!(値段は忘れてしまったが・・・)正午ぐらいになり、リスボンのお洒落なカフェで軽くコーヒーとパンを口にする。そして、有名なケーブルカーに乗り、レスタウラドーレス広場から、バイロ・アルトまで短い距離だが、もの凄い急坂なので重宝されている。そこから厚めの石畳を歩き、S師範行きつけのお寿司屋さん「盆栽」というお店に入った。ここで、「キナミ」さんという32歳の板前の男性とお会いし、S師範の紹介でいろいろと話が盛り上がった。ポルトガルに来て8日目で初めて日本人と会った。駅でも、ショッピングセンターでも、なかなか日本人や東洋人を見かけることが無かった。それと、気づいたのは韓国製品がかなり目に付くこと。家電では、サムスンが多くパナソニックやソニーよりも圧倒的に多かった。自動車にしても、ヒュンダイや、キーア、デーウ、という日本ではあまり見かけない車がここでは多く走っており、日本車だと、トヨタとホンダを見かける程度であった。やはり値段の安いほうが良く売れているようである。あまり違いは気にしていないのだろう。しかし、単身リスボンへやって来て、すし屋で板前をしているほぼ同年齢のキナミさんと話しながら、この地で武術稽古を学びながら指導して生活していくのも悪くないと一瞬考えたのである。それは、自分が外国人であることを意識させられたことと、日本のものを日本人が伝えるということに、何か特別な思いを感じたからなのかもしれない。

 後ろ髪を引かれる思いでお寿司やさんを後に、しかし、その思いも吹き飛ぶような美しい景色のサン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台に連れて行っていただき、そこで正面に見える埋め尽くされたリスボンの建築物やそこだけ雰囲気の違う、サン・ジョルジュ城(今から1500年位前の建造物)を写真に収め、自分の目にもシッカリ焼き付けることにした。
 この辺りは何処も彼処も絵になる場所で、気がつけば枚数制限オーバーで写真が撮れなくなってしまうほどシャッターを押していた。

 夜に仕事が終わるジョージと会うまで、夕方ごろ映画好きであるS師範と映画館へ向かった。タイトルは忘れてしまったが、ポルトガル映画で観客は、我々を含めて5人ぐらいだった・・・・・・。日本もポルトガルも同じだね。映画はサッパリ分からなかったが、S師範は楽しそうだった、飛行機でも映画をよく観ておられるので、ユーモアの精神はこういうところにあるのかなぁと感じたのであった。

 夜の18時30分を過ぎてジョージと合流。ジョージの運転するクルマに乗り込み、しばらくして後部座席に座っていた私に、助手席からS師範が「金山君コレ持ってみろ。」とピストルを渡され、ズシリと重たい銃なので、「このモデルガン重いですね?」と言ったところ、前に座ってる二人が笑い出し、「ああ、やっぱり本物かー」と私も笑ってしまった。

 前にも書いたが、ジョージは元特殊部隊で任務に当たっており、現在はSPのような護衛任務の仕事をしている。したがって銃の所持は許可されている。私に銃を渡したときには、マガジン(銃弾を入れるところ)を抜いていた。ジョージとの組太刀稽古では、身体から迫ってくる圧力と、スっと入り込む速さには、動物的なものを感じていた。S師範とともにジョージも頭を剃っており、動物的なお二人と一緒に過ごしているのはなんとも刺激的である。

 しばらくしてジョージの家族が住むマンションへ到着。玄関で靴を脱ぐようになっているのには驚いた。中に入り、奥様と9歳の息子さんと猫に挨拶し、ジョージの作った豪快な手料理をいただく。部屋には、武道関係の本や置物などが多く、食後にDVDを見ながら、現在であろう振武館で指導されている黒田鉄山先生と多くの方が参加している講習会の映像を見せていただく。平成六年頃の映像は拝見したことがあったが、最近の映像を見るのは初めてであった。

 あっという間に23時となりジョージ邸を後に、ジョージのクルマで駅まで送っていただく予定が、終電が無いということに気がつき、慌てて宿泊先を見つけることに。結局、、「アマドーラ」にあるホテルまで送っていただき、S師範と二人ツインの部屋にチェックイン・・・・・・。

 ジョージの運転は、まるで映画「TAXⅰ」のようで凄まじかった・・・・・・


 ≪次回2009年12月12日につづく≫




 
サンタレンから飛び乗った電車内の風景
サンタレンから飛び乗った電車内の風景 日本とはずいぶん違う色合いである


車窓から写した風景
車窓から写した風景 全体的にのどかな緑の多い風景であった


オリエンテ駅付近のショッピングモール②

オリエンテ駅付近のショッピングモール
  オリエンテ駅付近の大きなショッピングモール


スーパーで見かけた子豚の販売
     スーパーで見かけた子豚の販売


万博の跡地にあるオブジェ
1998年リスボン万博の跡地にあるオブジェ ポルトガル版 『太陽の塔』 とも言うべきか


万博で建設された建物
     万博で建設された美しい建造物


リスボン駅周辺の噴水
   リスボン駅周辺の風景①


リスボン駅周辺の風景②
       リスボン駅周辺の風景②


 リスボン駅周辺の風景③
       リスボン駅周辺の風景③


リスボン名物のケーブルカー      リスボン名物のケーブルカー②
                 リスボン名物のケーブルカー


ケーブルカー車内①     ケーブルカー車内②
     出発前の女性運転士         動かなくなりしばらくその場に停車


ケーブルカーを降りたバイロ・アルトの町①     ケーブルカーを降りたバイロ・アルトの町②
レスタウラドーレス広場から急勾配を上ってケーブルカーを降りたバイロ・アルトの町並み


地面一帯の石畳
このような石畳が一帯に覆われている


寿司屋 『盆栽』 で板前の「キナミ」さんと出会う
  寿司屋 『盆栽』 で板前の「キナミ」さんと出会う



サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台に向かう途中の風景
サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台に向かう途中の風景


サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台からの風景①

サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台からの風景② 

サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台からの風景③

サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台からの風景④
 サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台からの風景 
 中央奥に見えるのはサン・ジョルジュ城


2014-06-07(Sat)
 

梅雨入り

 2014年6月5日に関東甲信地方の梅雨入りが発表された。このところ、30℃を超える日が続いたりしてまだ体が夏モードになっていないため疲労が溜まっていた。しばらく気温は落ち着きそうであるが、雨が降ると六尺棒の持ち運びがズブ濡れになってしまうため断念せざるを得ない。そして2013年10月20日に開講して、まだ傘を使うほどの雨にたったの2回しか降られていない(第1回目が大雨であった)gold castle 殺陣&剣術スクールでも、雨を覚悟しなければならないだろう。荷物が多いので雨は避けたいところであるが、そのために雨具の準備は以前から整えてあるのでいよいよ出番がくるであろう。

 さて、先日の6月2日は真夏日の中、高田馬場での研究稽古&個人指導であった。私のスタイルとしては、稽古を終えたその日に日記に記すことが、その日の稽古内容をあらためて、脳の中で整理し、その日買い物した新しい服などを、家のクローゼットや箪笥に綺麗に整頓するように、その日の新しい出来事を、いつでも取り出せるように頭のなかで整理する作業として、文字に起こしてその日を終えるようにしている。これは睡眠時間を削ってでも、とにかく眠って脳の中が整理される前におこないたいと思っているからで、たびたび朝まで掛かってしまうこともある。

 そんな日々が続いたため、さすがに疲労回復しなければマズイ状態となり、本日ようやく6月2日の日記を記すこととなった。この日は六尺棒二本のみの得物を持って道場へ向かい、16時25分からさまざまに確認しながら槍術稽古をおこなう。杖と違い、槍では打ち下ろす際の後ろ手の使い方が異なり、常に左右の手が対照的になるように動かしてあげる意識が大切である。六尺棒を手に入れてまだそんなに月日は経っていないが、先端部と比べ、真ん中より手元側は、白樫の木が手の油と度重なる摩擦で艶々になってきた。とにかく槍術稽古では、脚足を含めた体幹部との連携でいかに腕力に頼らず、強くて速い操作が出来るか、身体を練っていくのと同時に技を練る稽古としている。今のところ重要視しているのは、「巻き落とし」と「巻き払い」の二点である。この動作は、槍術の型稽古の全てに通じるものと言っていいほど関わってくるもので、ピッチャーで例えるなら、直球の球威があるからこそ、カーブやスライダー、フォークなどの変化球が活きて来るように、槍術稽古では、巻き落としと巻き払いが、それに関わる技の応用に極めて重要であると私は思っている。

 休憩を挟みながら、一足で間合いを詰める脚運びについて我を忘れたかのように延々とおこなう。我を忘れたとは言え、自分で自覚している分にはまだ、完全に我を忘れてはいないのだろう。以前に、自宅でボクシング中継を見ていたときに、現在はあまりのめりこむように見なくなってしまったが、当時は自分が試合をしているかのように睨みつけながら見ていた。そのことに気がついたのは、CM中に隣にある鏡を何気なく見た時に、自分の顔とは思えない表情がそこにあり、ハッと我に返った記憶があり、役者をやっていたとはいえ、意識してあのような顔にはなれないなと思ったのであった。
 最近のボクシングで興味があるのは、WBC世界バンタム級チャンピオン山中伸介選手の左ストレートの威力である。ちょっと今まで見てきた日本人選手の中でも別格な左ストレートの威力なのである。筋力や、回転エネルギーだけでない、身体の骨格構造からなるパンチの強さというものがあるのではないかと感じている。それをいうならマイクタイソンもそうだろう。パンチの強いボクサーは見ていても分かるが、下半身のバランスが良くラウンド後半になってもそのバランスが大きく崩れることは少ない。動画でマニーパッキャオ選手のシャドーボクシングを見たが、パンチの速さとともに足運びの上手さに芸術的なものを感じる。私の推測であるが、足の使い方、それに繋がる体幹部から腕への直結した力の繋がり、この構造的破壊力を身につけた者が、常識では考えられないようなハードパンチャーとなれるのであろう。

 そして、19時からS氏との個人稽古となり、身体がほぐれきった私はまず、二時間半の間にイメージしていた体術をおこなった。これは、以前前に出した腕を掴まれた状態から、相手の腕を取り押さえ込むというものの応用で、相手の右ストレートに対し、こちらは、抜刀術「稲妻抜き」の脚足の使い方で左斜め前に入り、右手は、剣術での「裏交差からの潰し」のようにおこなうことで、入りながら同時に最短距離に腕を巻き込み、杖のように相手の腕を先端部と手元側の左右対照的な使い方を滑るようにおこなうことで、脚部の沈みとともに、押さえ込むことが出来た。同様に左ストレートに対しては、「太刀奪り」の脚足の使い方と、手は「表交差からの潰し」の使い方で、巻き込んだ手を、先端から落としいれ、そのまま杖のように自動的に、滑らせながら、相手の手首と、肩を左右対称に使うことで、立っていられず、沈みをかけることで、相手は床に倒れこむ状態となる。この稽古はこの日始めておこなったものであるが、何回もやったかのような感触があった。イメージでなんとなくそうなるのではというのもあったが、やはり、剣術稽古や、杖での感覚が体術にも結びついてきたということだろう。この稽古を高めながら、さらに他の技にも派生していけるようにしたいと思う。そういう意味では、私の好きなようにやらせてもらうことが出来る環境のキッカケとなった、S氏に感謝したい。その他にも、軽く手を上げた状態から相手の背後に回りこみ後方へ倒すというものや、相手に両手で胸倉を掴まれた際の、引き込みから喉輪に円に倒すという、面白い動きの連動が生まれた。私の体術の方向性はまだまだ未知数であるが、とにかく相手に怪我をさせず後々問題にならない方法でその場を解決する技を研究していきたいと思う。もちろん相手の対応によっては、綺麗ごとで済まない場合もあるだろうが、技の向上をはかるためには、平和的解決の手段を念頭に置くことで、さまざまな部分において向上していければと思う。

 4時間半の研究稽古&個人指導を終え、真夏日ということもあり、今回は私のほうが頬がコケていたかもしれないが、槍の稽古における体幹部を強化させる動きを見つけることが出来たのは嬉しい収穫であった。これは石突きから、持ち替え横払いに槍を振るのであるが、まず石突き打ちで90度回転し、持ち替えながら横払いに、浮きをかけ270度回転し都合360度回転するというもの。その際に、頭が僅かでも上がらないようにするのと、払い終えたのち、ピタリと身体と槍が止まっていなければならない。これを左右同じ場所で繰り返すのであるが、これがなかなか気持ちのいい稽古なのである。

 現在毎週高田馬場へ訪れて下さるS氏とN氏がどこまで着いてきていただけるか分からないが、共に上を目指し、武術稽古に精進し、それがさまざまな面においても活きて来るような、そのような日々を生きて生きたいと思う。


2014-06-05(Thu)
 

真夏日の gold castle 殺陣&剣術スクール

 6月1日となり、都内では昨日に続いて真夏日となる。急激な気温の上昇に体調を崩された方も多いと思う。そんななか本日のgold castle 殺陣&剣術スクールでは、空調設備のおかげで涼しい稽古環境での講習をおこなった。今日も3名の方が体験講習初参加となり、6月に入っても体験参加人数の勢いは衰えそうに無い。

 今日の殺陣クラスでは、それぞれの段階に応じて難易度の異なる足運びを見ていて、ほぼ毎週稽古に参加されている方の動きは、ブレが少なくずい分良くなってきているのを感じた。足運びの稽古は単調であるが、単調であるがゆえより厳しく細かい部分を点検しながらおこなうことが重要である。

 剣術クラスでは、全員に杖をおこなっていただき、手之内の操作にともなう杖の持ち替えや、手首を使っての、打ち込みや突きなどをおこない、基本技を幾つかおこなった後に、「八連円打」をおこなった。今日初参加の3名の方にも、この「八連円打」をおこなってもらった。皆初めてとは思えないほど、上手く杖を持ち替えて打ち合っていた。これは正直想定外であった。そのほか、TさんとOさんには「下段抜き」をおこなっていただいた。前回の講習で抜刀術「一之祓い」をおこなったので、わりとスムーズに下段抜きをおこなうことが出来たように思う。中でも女性のTさんの動きが初めてにしては非常に良かったので、私が打太刀をおこないTさんの下段抜きを皆さんに見ていただいた。今日で講習20回参加のTさんは、始めのころは、手先で力を込めて振っていたのだが、最近は身体のまとまりを感じる動きになってきており、抜刀や杖の動きもずい分変わってきた。このことからも、剣術稽古において、性別や年齢は問題なく、チョットした身体の感覚とそれらを上手く使いこなす身体各部の操縦が、驚くような動きに繋がることもある。

 ご婦人との集中稽古では、指で刀身の峰をつままない納刀を指導する。左手の指で峰をつままなくても、切っ先をピタリと左手上に乗せフラつかせないためには、刀の刃を上向きにして柄を回転させながら引き上げた際の、右手中指と薬指が右へ開きながら、真っ直ぐに伸びたまま柄を押さえることである。柄側から指に掛かる力は、中指と薬指の付け根に対し垂直に掛かってくるため、非常に楽にこの状態をキープ出来るのである。この納刀における技術的ポイントは、柄を回転させながら刃を上向きに引き上げた際の、柄に掛かる指の置き方であり、力を使わない分、この右手の使い方にチョットした技術が必要になってくる。

 次に、抜刀術「一之祓い」をおこなっていただく。足腰に不安のあるご婦人にあえて片足立ちになるこの抜刀術を選んだのは、昨年の11月からほぼ毎週講習に参加され、その身体の変化を見ながら、一つの大きな壁を乗り越えようと、いや、そのまま突き破ろうと考え、あえてバランス感覚と、足腰と体幹の筋力を要するこの抜刀術を選択した。当然、直ぐに出来るものではなく、徐々にではあるが、一つ一つの操作が確実なものとなるようにし、最終的に、片足で立ち止まることを目標としたい。もしこれが出来るようになれば、大きな身体の変化を証明する一つの結果であり、次に向けてのステップとなるだろう。体術で私を倒すことを目標とされているようなので、ドンドン壁を突き破って是非とも倒していただきたい。

 皆、少しずつであるが確実に前進している。成長とともにいろいろな稽古がおこなえるので、この調子でいけばチョットした演武がおこなえるようになる日もそう遠くは無いかもしれない。



《今日の講習風景》

殺陣クラス講習風景
       殺陣クラスの講習風景


剣術クラス講習風景
       剣術クラスの講習風景


杖の指導①
          杖の指導①


杖の指導②
          杖の指導②


杖の指導③
          杖の指導③


次回の講習は6月8日(日) 18時30分~20時30分 品川区 総合体育館B2剣道場にておこないます。欠席の場合はご連絡ください。体験希望の方は、ホームページのお問い合わせよりご連絡ください。また、武道具の購入や、スポーツ保険加入のご相談など承っておりますので、いつでもご連絡ください。


2014-06-02(Mon)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


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1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『Gold Castle 殺陣&剣術スクール』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなっている

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

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