第0回 「美・インスパイア」

 今日は、渋谷区神宮前にある「フロムハンド メイクアップアカデミー」にて、書籍・『からだ化粧 触発 Inspire』presents 『美・インスパイア』という小林照子先生によるトークイベントに行ってきた。この書籍からだ化粧の作品一枚一枚に詩を書かれているアーティストの麻子さんの生歌も、この日のために5曲作られてきたという。イベント終了後、麻子さんとお話する機会があり、偶然にも私が稽古している場所をよくご存知だということで、武術に興味がおありのようでしたので、あらためてご縁があれば稽古をしたいと思う。

 小林照子先生にお会いするのは、2008年に私が新宿スペース101で舞台に出演した際に、小林先生始めフロムハンド、美・ファイン研究所の方々が観に来て下さったことは今でも忘れられない思い出である。おそらく今回、からだ化粧がインターネットでふたたび注目されるようになり、さまざまな展開が起こりゆくなかで、こうして小林先生にお会いできることになったのは、私の良き思い出の一ページとして刻まれていた過去が現在に甦ったように感じられ、まるで夢でも見ているかのような私にとっての今日のイベントであった。

 そしてステージで予期せぬ突然のご挨拶をおこなうことになり、小林先生に助けていただきながら、2007年に製作された寂蓮から7年が経ったこの場で、感謝の気持ちと、当時の思い出を呼び起こしながら、先生の柔らかい不思議な手の感触や全身に睡蓮を描いて頂いた時の思い出、役者として睡蓮というものをどう自分に取り込もうとしたかなど、いろいろなことが懐かしく頭に浮かんできた。あまり上手く言葉に出来なかったが今日一日は、武術の道を志した私にとって、とても懐かしく、温かく、安らぎのあるひとときであった。

 小林先生のことばに、「からだがここに描いてと言ってくる…人によって…動きによって…からだから教えられる。」そして、質問者の方からの解答でも、「テレビを見ていても、この人の眉毛はこうすればもっといいのに、思わず画面に手が触れてしまう(もちろん冗談だと思いますが)私は人が好きなんです…ひとのからだが好きなんです。顔や、皮膚に触れることで、インスパイアされるんです。」常に、美について、物事をとらえられていらっしゃるからこそ、からだがここに描いてと言ってくるまでの感覚が身につかれたのではないかと思う。

 武術稽古をおこなうようになって、私のような未熟者でも、たまに、頭でどうこうしようと考えずに、自然とからだがしたがっている動作に気づかされることがある。それも同じく、日々常にそのことを考えているから、どこかのキッカケでインスパイアされるのではないかと思う。好きなことに没頭し、ライフワークとして、もちろん生活するための手段もこなしながら、その道を追求し続けることが、私にとって今までもそしてこれからも生きていく支えとなる考え方である。好きなことをとことん好きでいられるように、純粋な気持ちと、人を思いやる心について、学び得るものがありました。
 
 小林照子先生、そしてお世話になっているフロムハンド、美・ファイン研究所の皆様、あらためましてありがとうございました!


2014-01-31(Fri)
 

その先に見えてくるもの

 昨日今日と久しぶりに自分の時間をたくさん使える二日間であった。しかし、ふだん出来ない部分の掃除や、調べごと、次に向けての準備など、時間にとらわれないと分かっていると、あっという間に夜が更けてしまう。いつものようにやらなければならないことへの時間が足りない場合は、それなりに上手く時間をさばいているのだが、完全休日は、やりたい事が点々と浮気してしまい、結局、予定していた事は僅かで、それ以外のことに時間を費やしてしまっている。だが、これは別に駄目なこととは思ってなく、何かヒラメキを感じる瞬間というのは、全然関係ない事を考えていたり、潜在的には意識していることが、何かの拍子でスパークすることがある。フランスの映画監督ジャン・ルノワールの「イタリア式リハーサル」(イタリア式本読み)のように、一切感情を込めずに何度も何度も棒読みでセリフを繰り返すことで、突然役が見えてくる(降りてくる)ことがあるという。

 安易に自分の予定(準備)していた芝居を当てはめようとするのではなく、セリフの棒読みという、一見無駄な時間を費やしていると思えるようなことでも、その先にある、想定外の演技が開けてくるのであろう。しかし、この手法は、誰にでも、その実践から見えてくる瞬間を得られるものでは無いかもしれない。これは、ずっと私が思っていることだが、目先の利益に頭が働くとロクなことが無いと思っているもので、何に関しても、その頭があると、真実を求め得る事は出来ないであろう。

 私の休日の過ごし方が予定通り行かなくて全然定まらないという内容から話がそれてしまったが、とにかく、目先の利益を追い求めて、そこにアンテナを張る事は、いろいろな意味で損をしてしまう。こういった考えは、今までの経験から私自身、失敗した事もあるが、武術稽古を通じて身体から教えられることもあり、それは実感の伴うものであるため、思考においても考えさせられ学んだことが多い。

 不安をいかに凌ぎ、ブレない心と失わない信頼を大切に守り、その先に見えてくる今現在分らないもの・・・それを手に入れることが自身の成長と、発展に繋がるなにより大事なものであると思う。


2014-01-29(Wed)
 

強風吹き荒れる

 本日は強風吹き荒れるなか、戸越体育館にてgold castle 殺陣&剣術スクールの講習をおこなった。

 強風のせいか、前回に比べ参加者が少なかった。そのため、本日の剣術クラスの講習内容を一部変更し、今日の参加者に合わせて集中的に納刀を指導した。表現者として、この納刀を身につけていただくことは、所作として日本人が持つ美意識に触れ、ほんの少しの事が大きく変わってくることを体感し、その美しさを技術で演じられるレベルまで高めていって欲しいと願う。逆に言えば、技術がなければ美しさを表現する事は不可能である。だからこそ、納刀という一つの所作を、高いレベルでおこなえるために、丁寧に一つ一つを確認しながらおこなうことが大切である。小手先でなく全身の調和を使っておこなうこと。そのためには、なるべく小手先で出来ない居合い刀で稽古するのが望ましい。

 次に実験的におこなった、「護身術」が予想以上に受講生の反応がよく、剣術稽古と合わせて応用する事で、身体の使い方の面白さに気づかれるのではないかと思う。今回は、女性でも出来る前に出した腕を男性に掴まれた際の外し方や、両腕を後ろから掴まれた際の外し方など、今日の参加者は体の細い方であったが、同じ受講生の男性の方に押さえていただき、それを外す事が出来た。逃げる為の護身術として、いかに掴まれた腕を外せるかということを今回実験的におこなった。これは、剣術との関連もあるので、今後も取り入れていきたい講習内容の一つである。

 今回のご婦人の集中指導は、杖の持ち替えに体を合わせて90度向きを変えるというもの。その次に180度変える動作を要求した。一気に両手両足の役目が複雑になり、ご婦人曰く「脳トレですね。」と仰られた。まさにその通りであり、最初は頭と身体を上手く使って、感覚を養成させなければならない。しかし、いつまでも考えていては先に進まず、今度はその感覚を目に頼らず、指先や手のひら、足の置きかた開きかたなど、分担作業がしっかり出来るかというところがポイントになってくる。「手と足が丁度良く納まるにはどのタイミングで、どのスピードでおこなえばいいのだろうか。」こういった部分は、まさに道具を使っておこなうことで、見えてくるものであり、同時に感覚も養われてくる。

 抜刀では、ご婦人の場合、可動域に制限があるため、より股関節を動きやすくするために、構えの際の足はやや外に開いた方がいいだろう。そして、鍔の位置も、身体の正中線上に置くよりも、さらに右側に鍔を置いた方がいい。柄は最初から握らず、親指と人差指以外はフワリと柄の上にかけておくこと。これだけでも抜けるようになるが、美しく抜くためには、やはり、鞘を引いた直後の、左足からなる左腰の開きが重要であり、なるべく右腕を引っ張るように抜かないことがだいじである。

 しかし、全体的にこの三ヶ月間で、杖、抜刀、納刀、袈裟斬りなど、大きな進歩を遂げられている。今日は最後に杖の水車をおこなっていただいた。軽い特注の杖とはいえ、手首、肘、肩が、連動して動かされるので、リハビリとしてはハードかもしれないので、様子を見ながら身体の変化を見ていきたいと思う。今日ご婦人から伺って知ったのは、先週19日の講習日は、ご婦人が古希を迎える誕生日であったとのことである。ご本人もそのことを忘れていたらしく、そのぐらい稽古に思いが集中されていることに、このスクールを立ち上げて本当に良かったと思うのである。

 どのような方でも、その方に応じた技術を上げていくための指導法をおこなっているので、ここに来られた方々を観察し、その方に応じた内容をおこなっている。これは、私にとっても一つの武術稽古になっているものなので、その目をさらに深く、濁らないように気をつけていきたいと思う。


 来週2月2日は18時30分から品川区総合体育館剣道場でおこないます。お気軽にご連絡お待ちしております。
http://www.tate-ken.com/ gold castle 殺陣&剣術スクール
http://www.ssa-or.biz/sougou/ 品川区総合体育館


2014-01-27(Mon)
 

2014年2月 武術稽古日程              (剣術・抜刀術・杖術・体術)

※高田馬場での(研究稽古&個人指導)に関する稽古見学、または参加希望の方はこちらの【お問い合わせ】よりご連絡下さい。

※(gold castle 殺陣&剣術スクール)の詳細につきましては、ホームページをご確認下さい。http://www.tate-ken.com





2月2日 (日曜日) 18時30分~20時30分 品川区総合体育館
              (gold castle 殺陣&剣術スクール)


2月3日 (月曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)                                


2月7日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


2月9日 (日曜日) 18時30分~20時30分 戸越体育館
              (gold castle 殺陣&剣術スクール)
 

2月10日 (月曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)                                


2月14日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


2月16日 (日曜日) 18時30分~20時30分 戸越体育館 
                (gold castle 殺陣&剣術スクール)


2月17日 (月曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)                   
            

2月21日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)


2月23日 (日曜日) 18時30分~20時30分 品川区総合体育館
               (gold castle 殺陣&剣術スクール)

    
2月28日 (金曜日) 17時00分~ 高田馬場 (研究稽古&個人指導)                      

          



※高田馬場での稽古時間は、17時00分~21時00分の間で調整いたします。
①17:00~19:00 ②18:00~20:00 ③19:00~21:00 いずれかの参加しやすい時間帯でお越し下さい。
前日までには希望日時をメールまたは、お問い合わせフォームよりお知らせ下さい。

※高田馬場での稽古参加費は1回2,000円です。
gold castle 殺陣&剣術スクールにつきましては月謝4,000円(3回まで無料)となっております。

※稽古場所の詳細や稽古内容、稽古時間のご相談、道具類その他のご質問等につきましてはメールまたは【お問い合わせ】よりお受けいたします。

※都合により日程が変更となる場合がありますので御了承下さい。


2014-01-25(Sat)
 

綴れ脚による抜刀の変化

 1月13日に配信された、甲野善紀先生のメールマガジン「風の先、風の跡――ある武術研究者の日々の気づき」 Vol.067 http://yakan-hiko.com/kono.htmlにそれまでの甲野先生の綴れ足から綴れ脚へと変化された経緯が紹介されていますが、私が先生へ稽古の感想で綴れ脚ですねとお伝えしたところ、私の名前の紹介とともに「綴れ脚」と採用してくださり、誠に恐縮する思いであります。



 本日は高田馬場での研究稽古と個人稽古の二本立てであった。先ずは、抜刀術に変化があった。これは、「綴れ脚」の働きが、上体と下体との繋がりに効果があり、動き出しや動きの中でその効果を実感出来るものである。つまり、居着きにくく、アソビが取れやすい。「八荒之太刀」での180度ターンも、ズルイと思えるほど容易になる。

 綴れ脚効果により、抜刀後の身体の纏まりが以前よりも一段階上がったように思う。そのため、構えの際の鍔の位置が、少し体に近いところに寄せるようになってきた。どういうことかと言えば、身体の纏まりから動きの速さが上がったため、鍔の位置を体から前方へ長くとり、鞘引きを使って右手の仕事を軽減させるのであるが、あまり長くその鞘引きのための距離を稼ぐと、鯉口から切っ先が離れた瞬間に、体幹部と手之内に間が空きすぎてしまい、最終的な調和がとれなくなってしまう。今までもそんなに長い鞘引きのための距離をとっていた訳ではないが、今回の綴れ脚からなる、体の変化の速さに、より纏まるための鯉口から切っ先が離れた瞬間の柄と体の距離というものを詰める必要があるようだ。今日は、稲妻抜き、潜龍出池、滝壺、隅返しで進展を確認した。鞘を割らないか心配であるが、その辺りは身体が自動操縦的に対応しているので大丈夫かと思う。この綴れ脚の特徴は、技を掛ける瞬間に用いる綴れ足と異なり、技を掛ける以前から綴れ脚を用いることが出来るのが最大の利点であり、その微細な感覚は、今後の体内の感覚をより知りうる上で、極めて重要な第一歩となるかもしれない。

 後半はS氏との個人稽古である。今回は体術を多めにおこなった。私自身発見があったのは、普段研究稽古でおこなっている、アソビをとり起こりを消した木刀の振りや、こうしてやろうと考えず、杖に任せて体を合わせていくような杖の操法が、体術稽古に極めて有効であったことである。関節を極めることなど稽古していないが、杖と同じように、崩れていく相手の動きに自然と身体が反応すれば、方向性の予測と自然の反応で、私の重心と相手の重心を感じれば、今まで出来なかったことでも出来るようになるという可能性を今日は強く感じたのである。

 今日はS氏に杖での「裏車」を集中的におこなっていただいたことで、その後の剣の振りの際の脚足の使い方、特に後ろ足の摺り足が改善されてきた。私も今日は、あらためて足の指と大腿部の付け根の繋がりを感じたので、次回の研究稽古でその辺を詰めていきたいと思う。


2014-01-25(Sat)
 

個人稽古指導

 今年に入り私の元へ、縁あって個人稽古指導を受けたいという申し入れを受け、毎週個人稽古をつけることになった。私としても今年は研究稽古において袋竹刀を使った剣術稽古を充実したいと思っていたので一から丁寧に指導している。その他に薙刀稽古も考えているので、タイミングを見て購入を考えている。

 このブログのお問い合わせフォームからご連絡いただいたのであるが、私が毎週日曜日におこなっているgold castle 殺陣&剣術スクールでの剣術クラスの講習を、同じ施設を利用されていたS氏が剣道場の外からガラス越しに私がおこなっていた刀や杖の扱いなどを見て、ご連絡頂いたという運びである。

 現在さまざまなことが同時に展開される準備に入っており、私としても今回の依頼は、必然的な出会いであると感じている。今までにも、何度か個人稽古はおこなってきたが、最近ではアメリカから帰国した際に二週続けて稽古に参加された加藤氏が思い出される。現在はミネアポリスで剣術稽古に励んでおられるだろう。今後も個人稽古の依頼は増えてくるかも知れないが、私としては、このブログ以外でそのことについて何も宣伝していないので、どのような方とのご縁が訪れるのかを心待ちにしながらも、最近広がり始めた、武術を通じての縁というものを一人一人大切にしていきたいと思うのである。

 これまでの人生はすべて繋がっており、出会いも別れも含め今に結びついている。これからは益々責任がかかってくる道に入ろうとしていくが、現在の心境は、人生の不思議さと、そうなってゆくことの不思議さをかみしめながら、一日一日の発見や進展を願い、変わらず武術稽古に精進してゆきたいと思うのである。ブレない、ブレる必要が無い、大事な部分を忘れてはならない。


2014-01-23(Thu)
 

軽さの罠

 本日は久しぶりに戸越体育館でのgold castle 殺陣&剣術スクールであった。今日も新たに2名の参加者が受講され、戸越体育館剣道場が狭く感じられた。一応20名まではこの日時でおこなう予定であるが、受講生が増えてきた場合は、新たな開催日時を設けなければならない。貸し出し用の武道具類も追加で購入する事に決定した。開講して三ヶ月となり、いろいろな方とのご縁があって、順調に運ぶことが出来ている事に感謝の気持ちと共に、気を引き締め講師としての更なる成長のために、精進し、技術を伝え、それぞれの大切な人生の時間を無駄にしないように、得るものがある二時間を提供出来るよう、私共も追求し続けていかなければならない。


 
 今回は武道具について少し触れてみたいと思います。基本的に木刀や杖は白樫か赤樫のものを使用しています。赤樫のほうが若干軽くその反面、白樫に比べて脆いです。(gold castleでは木刀が折れたりするような激しい打ち込みはいたしておりません。)木目の詰まり具合でも変わってきますが、柾目の線が細かく入っているものは、板目の間隔がバラバラに広がったものより丈夫で重量感も変わります。

 赤樫の木刀でも重たいと感じる方には、桐の木刀があります。重さは三分の一程度で、木刀袋を持った際に、鞘しか入ってないかと思うほど軽いものです。しかし打ち合いや斬り結びは出来ないため、素振りなどの稽古になりますが、実はこれがなかなか難しいのです。刀の重さを感じないため、身体の操作に精妙さが求められ、僅かな狂いが失敗に繋がります。 

 重たいと感じるのは、全て道具のせいであるものとも言えません。体の小さい人でも、細い人でも、速く、強く、剣を振ることが出来ます。それは、腕など一部の筋力に頼らないことが重要で、怪我の防止にも繋がりますし、腕だけが太くなるということもありません。姿勢が決まり、肩、肘、手首、指先、そして脚部と、そのひとつひとつの動きの変化に応じて、実に細かく体の中で変化し続けています。そういった、他ではなかなか学び得る事が出来ない部分を、私共スクールでは、段階的に丁寧に指導していきます。
 昨日は「四方斬り」で参加者の方々には少し難しいテーマに取り組んでいただきました。直ぐに身につく内容もありますが、昨日のように、動ける体になるための目標がその人なりに見えてくればと思います。全部を一気に身につけていただくのは大変ですから、ひとつひとつをその方のテーマにそって、愉しく身につけていただきたいと思っております。

 軽い木刀の話に戻りますが、道具によって身体の使い方が導かれていくことがありますが、軽すぎる木刀では、その導きに対してカラダに聞き耳を立てて気づいて上げなければならないのです。この部分の感覚が、「軽さの罠」であると、昨日のご婦人への指導の際に私自身学ぶことが出来ました。しかし、それが稽古になりますので、丁寧に、先を焦らず、一つ一つの手順を確認し、それらの繋ぎ渡しを全身を使っておこなう意識が自然と身に付いてくると、今まで苦労していたことが、手順を踏むことで、楽に出来るようになってきます。
 私もそうですが、出来ない事の要因の一つとして、気づいていないことが挙げられ「なんだ、そんなことだったのか!」と思うことが多いのです。もちろんそうではない発見もありますが、自分ひとりでおこなうと、そこに気づくのに、ある失敗の長い道程をたどっていくものですが、gold castleや私がおこなっている個人稽古では、そのへんのタイミングを見て、気づいていただけるようにようにしています。ですが、本当に自分の身につくためには、教えられたものをなぞるのではなく、自分で気づいたものが、初めてその人の身についたものと言えるでしょう。

 居合い刀につきましては、お土産用に販売している7.000円ぐらいの模造刀は、観賞用として作られたものですので稽古に使用するのは止めたほうがいいでしょう。納刀稽古には十分使えますが、抜刀稽古になりますと、柄がプラスチックの張り合わせ(目釘は入っているが。)なので斬り返しなどで直ぐに柄が割れてしまいます。私が武術稽古を始めた頃は、与えられた刀を使用していたため、そのような事は一切知らず、刀身を曲げてしまった最初の一口以外、残りの三口は、みな短期間の内に柄が割れて使い物にならなくなってしまいました。また、バランスも悪いため、長さの割りに重たく感じます。最初の内は、刀身を曲げたり、鞘を割ったりしますので、なるべく安い居合い刀の購入がよろしいかと思います。


2014-01-20(Mon)
 

『抜刀術その弐』についての解説

 2013年8月13日に撮影した演武映像の中から第三弾となる『抜刀術その弐』を2014年1月1日に配信した。今回その中に収録されている三本の抜刀術を解説したいと思う。


 一本目 『懐月』

 これは、ごく近い間合いという条件であり、相手は上段なり、八相なりの構えから刀を振り下ろすだけの状態である。場合によっては、短い脇差や小太刀で同様に斬りつけようとしている条件とする。

 それに対し術者は、切っ先が最短距離で相手の腹部に到達させる事が求められる。さらに、その場にいては相手の刃の下になるため、前へ出ながら、最短距離で切っ先を相手の懐へ突き込んでいかなければならない。鹿島神流の道歌にある『振り下ろす太刀の下こそ地獄なり 踏み込んでみよ極楽もあり』この、受けずかわさず、前に出ることの意味は、単純な精神的なものでなく、死と隣り合わせの時代を生きてきた古の先人達の術理のヒントが隠されているように思う。この抜刀術の名前は、懐へ突くことから、懐突きとなり、突きの一字を変え「懐月」とした。


 二本目 『逆手前方抜き』

 この数少ない逆手からの抜刀術は、小太刀での斬り上げにヒントを得たものである。名前の通り、逆手で前方に移動しながら抜刀しているのだが、映像で示すように、左手の鞘引きは手首のスナップ程度しかおこなっておらず、その鞘引きの少なさは、抜いた直後の天神に反りが返った鞘の位置を見ていただければ判ると思う。演武では、一旦間を置いて、手首を回転し相手の上腕を斬り上げているが、実際には、抜いた直後に斬り上げに入っている。その連動が可能となったのは、抜いた直後の峰にそえた左手のそえ方であり、そこからただ手首を転がすだけで、斬り上げる事が可能となった。合わせて膝を抜き浮きをかけることで、斬り上げの威力は増している。この抜きから斬り上げの連動は、以前配信した2012年12月28日に撮影した映像と比べると、大きく違うことが判る。


 三本目 『竜巻』

 この抜刀術は私が武術稽古を始め出した頃に、「竜の落とし子」として、おこなっていた抜刀術を改良したものである。「竜の落とし子」では、左回りに回転し、後方の相手を真っ向斬りにし、そのまましゃがみこみ、もう一人の後方にいる相手を突き上げるという抜刀であった。この抜刀術では、とくに初動の回転から切っ先が巻き上がるように上段へと上がっていく部分に、感覚的に練られる部分があり、その巻き上がる速さからの真っ向斬りが、体幹部を練るには良い稽古となるため、その部分を重要視するため、この後に続くしゃがみこみながら後方へ突き入れる動作を省いたのである。さらにもう一つ理由があり、以前の「竜の落とし子」では、完全に支点を固定したまま回転して後方への真っ向斬りに移っていたのだが、その、居着きに身体が耐えられず、左足を後方へさげることで、引っ掛かりが消えたのである。そのため、名前を切っ先が巻き上がる感覚から「竜巻」と変名したのである。
 しかし、実はこのあと昨年の12月2日にさらに変更したのである。それは、「竜の落とし子」による居着いた回転を、左足を下げる事で、身体の引っ掛かりが消えた「竜巻」であったが、足を下げながら刀を真っ向に斬り下ろすことに違和感を覚え、しだいにあまりやりたくない抜刀になってしまった。それが、2013年12月2日の研究稽古の際に、もっと早く斬り下ろすことが出来ないかと考えていたところ、後方への回転中に、両脚に強烈な浮きをかけ、大腿部の付け根から、深く屈曲し、地面スレスレまで刀を斬り下ろす抜刀が生まれたのである。初動の回転エネルギーの慣性を一気に真下へと垂直落下させる、強烈な体幹部の働きが要求される抜刀術に生まれ変わった。切っ先の巻上げの実感から「竜巻」へと変名したのだが、この新しい抜刀では、一気に真下へと斬り落とすその感覚から「滝壺」へとさらに変名せざるを得なくなってしまったのである。

 映像では、間合いをとっているが、背後の相手に対して一気に真っ向斬りに斬り下ろす速さは、正面から抜刀して真っ向に斬り下ろすより、回転しながら後方へ斬り下ろす方が、身体全体の助けを借り易いため、速いのではないかと思う。とくに映像にはとっていないが、「滝壺」に関してはそのように思う。


 以上簡単な解説であったが、残りの抜刀術映像は四本である。その後には杖術シリーズが続く。


2014-01-17(Fri)
 

臨書と型稽古に通じるもの

 昨日は、稽古前の正午に目白にある「和敬塾」(旧細川侯爵邸)にて『臨書展』を見に行って来た。初めて生で目にする機会であったが、さまざまな時代の文字をそっくりそのまま書に描くのである。(この表現が正しいのかどうか判らないが)古いもので4世紀頃の文字などもあり、その時代ごとの美意識の高さに、かつての先人達の Identityを見せ付けられているような気がした。

 それにしても、どの作品も見事な臨書であり、オリジナルの文字は、木簡に書かれた小さなものであったり、石に彫られて書かれたものであったり、それらの貴重な文字を、畳一畳ぐらいの大きさの紙にそっくりに描かれているのである。その時代や、人物によりさまざまな文字であるところが興味深い。数百年前の当時の先人が書いた文字が、現代になってまさかこのような作品のモデルになっているとは夢にも思っていなかったであろう……
 なんと書いてあるのか意味は不明だが、不明な分、その書体が、文字というよりまるで絵のように映るのである。作品を出展されている画家の祐子さんから伺ったお話の中で、書を書くときに中国ではテーブルの上に紙を置いて書いており、日本のように床に置いて膝を着いて書くことは無いそうである。武術においても以前ある武術ライターの方から伺ったお話の中で、中国武術には寝技がほとんど無いという話を思い出し、そこに共通する文化の違いを感じたのであった。

 また、この臨書は、ただ上手に書こうとしてしまうと、見る人によっては見抜かれてしまうようであり、興味深かったのは、その書体を突き詰めていくことで、当時の感情や、その人物の性格などさまざまに見えてくるものがあるようで、(おそらく、身体のバランスの取りかたや間の取りかたなどがひとつひとつの文字に表れるのだろう)気持ちを作って技術で書いていくというより、その書を正確に真似ることで、(オリジナルが素晴らしいものという前提)気持ちが繋がり、技術に気づかされるということではないだろうか。私はこのお話を伺った時に、直ぐに「あぁ、これは武術における型稽古と同じである」と思ったのである。当時の先人がどのようにこの技を伝えようとしたのか、その「理」を探し求めて型稽古における臨書をしていかなければならない。大切なことは、そっくりそのままなぞることは重要であるが、そこで終わってはいけないということだろう。短い鑑賞時間であったが、非常に得るところは大きかった。


2014-01-15(Wed)
 

それぞれの目指すもの

 今年に入り私共の講習会に参加される方や問い合わせが増えてきている。開講してまだ三ヶ月足らずのスクールで大した宣伝もしていないのだが、殺陣や剣術に興味を持ちながらもその場所を求めている方は、ここ最近の問い合わせ件数を考えると私が思っていた以上に多いことが分かった。だからこそ、大した宣伝もしていない当スクールを探して来られた方は、それぞれ目的は違えどその真剣な受講姿勢に、こちらも答えてあげたい思いが満ちてくるのである。

 今日は先日購入した当スクールで使用する新品の武道具一式を受講生の皆さんへ見ていただいた。強制はしないが、次の稽古の間までに忘れないように家でも練習がしたい方や、自分の体に合った重さやサイズの武道具を検討するのに、見ていただいて良かったと思う。私共もいろいろなご意見を伺い、検討する材料も見えてきた。木刀は持っていても、鍔や鞘は持っていない方もいらっしゃるので、一度木刀だけ持って来ていただき、当スクールで使用している鍔と鞘が合えば、鍔と鞘だけを購入するという方法もある。(それらのお値段につきましてはホームページの『よくあるご質問』に記載してあります。)

 今日の殺陣クラスでは、初めての方やまだ二回目という方もいて、歩法から振り方まで皆さん汗をかくほど動かれていた。ここの品川区総合体育館や戸越体育館は空調設備が設けられているので、冬でも夏でも安心して講習に参加出来る環境となっている。私個人としては、自然のままに、夏は暑く、冬は寒い中で稽古するものだと思っているが、個人の研究稽古がそのような環境なのでここでは得に気にはしていない。

 今日参加された俳優さんから現場の生の声を伺ったが、やはり撮影現場などでは直ぐに立ち回りに入るため、基礎の部分がなかなか身に付いてこないという貴重な生の声を伺うことが出来た。これは、製作サイド側としてみれば、そこまで時間を掛ける予算も無いだろうし、事務所側にとっても、多くの時間を拘束されるより、一つでも仕事をこなした方がタレントにとっても事務所にとっても利益に繋がるという考えもあるだろう。そしてよく考えられがちなのが、「とりあえず、形だけ出来るようになればいいので、実際にそこまでやる必要は無い」というものである。実は、この部分が重大な落とし穴であり、今日の役者のレベルが下がったと言われる考え方なのではないかと私は思う。それは、昔の大スター若山富三郎や勝新太郎の立ち回りの技術が、彼らをスターへと押し上げたに他ならないからである。役者のステータスである、大河ドラマや年末年始の時代劇特番、また海外に注目される時代劇映画など、上を目指すなら避けては通れない道でもある。このことは重要な事だと私は思っている。プロの表現者として、同じように撮影期間や舞台の稽古期間だけでは、満足出来るものが出来ないからと、志の高い役者さんが当スクールに参加されている。今日の剣術クラスの初めに少し言葉に出てしまったが、私共のスクールから、今までに無い技術をもった役者(俳優、女優)として活躍していただく事を願うものである。そのための技術は惜しむ事無く伝えていきたい。

 今日の剣術クラスは「納刀」の集中稽古であった。前回のブログにも書いたが、まずはこの納刀が身体を武術的に動かす手掛かりとして最適な稽古法である。緊張と笑いの中での講習であったが、最後の15分で参加者全員、逆手からの回し納刀をマスターしていただくという難題を与えた。今日初めて参加の方もいれば、今日二回目という方も合わせれば半数以上である。技術を細かく丁寧に教える事が出来れば、難しいことでもドンドンやっていただいた方が早いし、出来なかった事が直ぐに出来るようになる実感を得られるのは楽しいものである。それぞれの人に合ったピンポイントな問題解決が、前に進める意欲を掻き立てるのかもしれない。そして、いよいよ15分が経ち、最後に一人ずつ「逆手回し納刀」をやっていただく。私が言った「この15分間の私の指導力が問われますので、皆さん失敗しないで下さい」という勿論冗談であるが、嘘も方便、プレッシャーを与えた結果、皆さん一発で納めることが出来たのには正直驚いた。なかでも、先週に続いて二回目参加の女性の方が、この15分で嘘の様に上手くなったのである。これには受講生の皆さんから拍手を受けていた。

 そして、前回逆手の抜刀と正眼からの逆手納刀をおこなったご婦人が、今日は順手での抜刀にチャレンジされた。これは、ご本人の今日の講習で何としても前回出来なかった(というより私が逆手に変えた)順手での抜きへの強い思いを感じ、それならどうすればいいのか私なりに考えた。ご婦人の場合、柄を握る右手首を返すことが困難なため、右肘が外側に張り出したまま抜かなければならない、位置的な制限がかかっているため、右手の仕事を補うための、左半身の使い方を指導した。鞘引きをしても、最後の栗形のあたりで鞘引きは止まり、まだ鞘の中には切っ先が一寸ぐらい入っている。ここで、右半身が一緒についてこないように、左半身(主に、左脚と左腰)を開くのである。その開きにより、これ以上引けなかった鞘が、体ごと開きながら引かれるのである。そうすることで、残りの一寸は十分に鯉口から抜けてゆく。今日初めてそのような体の開きをご婦人にやっていただいたのだが、初めてとは思えない姿勢であったので、写真に収めさせていただいた。驚くべきことに今日の僅かな講習で、順手の抜きから、正眼に構え、右手を持ち替え逆手納刀までを、一連でおこなうことが出来た。この脚と腰の使い方を稽古していく中で、今までに意識したことのない身体の使い方で、やり過ぎないように心がければ、程よい緊張と、程よい集中がカラダにとって良い効果があるのではないかと思われる。ただ、抜刀は夢中になりやり過ぎてしまうことが多々あるため、その辺は気をつけていただきたい。  

2014.1.12 gold castle

 次回は1月19日戸越体育館剣道場にて時間は同じ18時30分~20時30分でおこないます。何かご質問や武道具に関する事でもお気軽にご連絡ください。

gold castle 殺陣&剣術スクール


2014-01-13(Mon)
 

『納刀』の重要性

 次回1月12日におこなわれるgold castle 殺陣&剣術スクールの剣術クラスでは、「納刀」について集中的に指導したいと思う。それは、このスクールに参加された方で、以前「納刀」の稽古をおこなった際に、それまで苦手としていた、後ろ重心の癖が一時的とはいえ解消されたからである。どういうことかと言えば、「肩が上がらないようにする」「重心が後ろに傾かないようにする」というのは人によって感覚が異なり、まして、そのような身体についての意識が皆無だった人にとって、身体をどのように操作すれば良いのか解らないのである。肩の下げ方、重心のコントロールなど、手掛かりがなければ、自分の身体がどのようになっているのか解らないのもムリは無いと思う。

 そのために、このさまざまな「納刀」をおこないながら、一つの決まりを作ることで、自分の身体を操作する意識が芽生えてくるものだと思う。とくに「納刀」は、指先から、肘、肩、股関節、膝、など、全身の各部分を総動員するので、身体の感覚を芽生えさせるには最適であると思う。抜刀と違い、ゆっくりとおこなえるため、一つ一つを丁寧に、問題点を確認しやすい。

 また、役者さんにとって「納刀」シーンというのは、その役の心情を端的に表現することが出来る一つの見せ場でもある。派手な立ち回りと違い、「納刀」は一人で見せるものであり、力量が問われるごまかしの効かない部分でもある。それだけに、稽古期間の短い舞台や撮影などでは、納刀をしないまま舞台の袖にハケて行ったり、撮影などでは、カット割りして切っ先が鯉口に入ったところから、スーっと納めているシーンをよく目にしてしまう。私が思うのは、カット割りせざるを得ない、技術的な部分を、役者の技術によって補えることで、その役者の立ち回りや、そのシーンの見せ場に説得力が出るものだと思う。ワイヤーアクションや、クルクルと器用に片手で刀を振り回すアクションよりも、剣豪小説などに書かれてあるような立ち回りを、実写で表現出来るような、技術と勉強をされた役者さん達が増えてくれば、現在の時代劇における、剣豪小説との差は、少しは埋まるかもしれない。あの三船敏郎と仲代達也の決闘シーンが有名な『椿三十郎』は、何と言ってもあの間合いの近さに尽きるだろう。もう一歩でも互いに間合いをとっていたら、見ている者は、あぁ、これから始まるんだなと予測するため、迫力は十分の一以下に落ちていただろう。あの近い間合いでの抜刀の工夫が、「椿三十郎」という作品の印象を決定付けたものだと思う。

 役者の素養のひとつとして、仕事の有無に関係なく、「実重量の刀の扱いを身につけること」は、日本の文化を影響力のある場で表現する者として重要な責務であると思うのである。


2014-01-09(Thu)
 

2014年 gold castle スタート!

 今年最初のgold castle 殺陣&剣術スクールの講習を品川区総合体育館でおこなった。今回は初めて参加される方が3名いらしたので、杖の基本的な手之内の使い方の説明からおこなった。もっとゆっくりと進めていく予定であったが、皆杖が初めてとは思えないほど、直ぐに出来るようになったのは想定外であった。同じく納刀についても、説明した内容に対する理解が早く、スムーズに出来るようになった。このまま行けばアッという間に、剣術クラスの基本的な杖の操作や抜刀&納刀を身に付けることが出来るかもしれない。

 第二回目の講習から毎回参加されている熱心な役者の方は、今日唯一の男性参加者であった。今日おこなった講習内容は、ある程度出来る様になってきたので、物足りない部分もあるかも知れない。次回は特別メニューを考えていこうと思う。やはり毎回熱心に参加されているだけあって、技の習得は早く安定している。このままドンドン進んでいって欲しい。

 二週間が空いての稽古となったご婦人との稽古では、杖では、左右の持ち替え、左右の打ち込み、無構えからの突きなど、身体がシッカリと記憶しており問題無くおこなうことが出来た。そして今日は、購入していただいた居合い帯を締めての、抜刀と納刀に取り組んだ。

 ご婦人の場合、体の構造や可動域に一部制限があるため、最も力を使わず、構造的に負担の少ない逆手での納刀に取り組んでいただいた。この逆手での納刀は、正眼の状態から、右手を上から握るように持ち替え、左手を離すと同時に、右腕をやや左へズラすことで、刀身の重さのみで、右手を支点に、円に落下していく。その間に握っていた柄を離した左手が鞘の鯉口を握り、その鯉口から僅かにはみ出た親指と人差し指の上に、落下した刀身の峰が乗る。力を使わない分、左手の扱いが重要になり、慣れてくると、重力に任せて右手を支点に落とした刀身が、鯉口を握っている左手の上にフワリと乗っかる感じになり、この自然さが出るまでは、全く右腕の力を使わないため、一見出来ているようでも、まだまだ出来ていない場合が多い。繰り返すが左手の受けが重要である。

 今日はその逆手の納刀を集中的におこなうつもりであったが、ご婦人が順手で抜くことが困難であるため、逆手で抜く稽古も合わせておこなうことにしたのである。私にとっての逆手での抜刀は、近間での瞬間的な対応や周囲が狭い場合としておこなってきたが、今日のご婦人のように、順手で抜くことが困難な場合の、体の構造や可動域から無理の少ない逆手の抜刀や納刀が有効であることに気づかせてもらえたのは、「こうでなければならない」というこだわりを持たずに、無理の無い体の使い方をさまざまな動きのなかから模索し、「これが無理ならこうすれば良い」という、僅かな違いから得られる効果を実感したことで、また一つカラダの面白さと可能性について学ぶことが出来た。

 講習後、人と話していて私なりにフッと感じ入る部分が明確になってきた。これは、技術や知識や肩書きでは無い、純粋に人として忘れてはならない分かり易い部分である。しかし、その分かり易い部分が、出来そうで出来なく、疎かになりやすいものである。今思えば、スクールを立ち上げるキッカケとなった思いの根源がここにあるのではないかと思う。殺陣や剣術をおこないながら、無意識の内に学び得るものも感じることがある。それは、身体の使い方に対し真剣に取り組み、感覚を集中させることで、いつもの回路とは違った、身体から逆に教えられる、発想や、ある出来事に対する理解など、脳に突然現れてくる気がするのである。私などのレベルでは話にならないほど低い思考力であるが、私自身そのように感じていることは確かである。


2014-01-06(Mon)
 

動画配信 第三弾 『抜刀術 その弐』

 2014年元旦 明けましておめでとうございます。

先日抜刀術の動画が送られてきましたので、本日その一部を配信いたします。


金山孝之 抜刀術 その弐 ~the Art of Batto #2~
http://www.youtube.com/watch?v=SrtoRlDTXzU&feature=youtu.be

【収録内容】

抜刀術(四) 『懐月』 Kaizuki

抜刀術(五) 『逆手前方抜き』 Sakate zenpounuki

抜刀術(六) 『竜巻』 Tatsumaki




 2014年は爽やかな暖かい日差しを浴びてスタートいたしました。一日一日を今日と同じように大切に、残りの364日を生きていきたいと思います。

   
   2014 年賀



2014-01-01(Wed)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


松聲館 剣術技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


――――――――――――――

1975年生まれ
福岡県 北九州市出身
東京都 世田谷区在住

1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより俳優デビュー。他分野では、マンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などの活動をおこなってきた。

2006年
小林照子先生とのご縁から  『 からだ化粧 』のモデルを務める。

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む。

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し身体の使い方を研究しながら、『 抜刀術 』『 剣術 』『 杖術 』『 体術 』などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている。

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく
『Gold Castle 殺陣&剣術スクール』を立ち上げる。

2014年
甲野善紀先生より
『 松聲館 剣術技法研究員 』という名称を頂き、自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている。
 
高齢者向け住宅にて
『 高齢者のための剣術教室 』をおこなっている。

日信工業株式会社の製品『 SAMURAI BRAKE 』のプロモーション活動をおこなっている

2015年
『 金山剣術稽古会 』を立ち上げ、現代における武術稽古の必要性を、身体と心で学べる場として活動している。

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