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メジロでおだやかに

 昔から寝ているときの夢をよく覚えていて、普段の生活リズムのときは滅多に不思議な夢は見ないが、先週の月曜日は一度目覚めて、トイレに行ってから再び同じ夢の続きを見るという不思議な現象でした。設定も登場人物の集団も同じ。寝坊気味に目覚め、よくこんな事を私の頭は思いついたなぁと思い、一時間掛けてその内容をメモに記録。一週間経った今でも夢の雰囲気を覚えており、まるで本当に見たような記憶の中に収められている。

 書くつもりは無いが、人生で不思議な現象は度々経験している。この目で見たことや、一緒に居た人と不思議な現象にあったこともある。霊的なものは見えないが、怖くない不思議な経験は度々訪れて来る。今はそうした事にあまり驚かなくなったが、そういうことに対し妙な安心感が湧いてくる。不思議なもの怖いものはこの世の目に見える日常に他ならないので、ネットが人の悪意を増長させている時代の中で、それに染まらないように距離を取っていかなくてはならない。


 さて、本日火曜日は「クラーチ剣術教室」での講習でした。今日は杖術の新たな展開となる「攻防一体」の原理で身体の使い方をお伝えいたしました。これは私自身にとっても「旬」の原理であるため、支点の使い方、それに応じた脚部の流れ、体の転換と支点の関係、等々から杖に導かれ身体が働くことに身体が興味津々なのであります。

 これは今までに無い感覚であり、「支点」、「慣性による転換」などは、杖を滑らせる持ち手や操法では考えられない働きであります。これを70代~80代の方にお伝えするのですが、とうぜん上記の「」を理解して頂くのは難しいのですが、身体の実感というのは受けを付けて打ち込んだ際の抵抗感の有無の差によって感じていただくことができ、そこで支点の使い方の意味を感じていただくことは出来たかと思います。

 開始後30分して休憩。次に三十連円打をおこなおうと思っていたのですが、休憩中にもそれぞれが攻防一体の続きをおこなっていたものですから、この流れを断ち切る理由は無いと、そのまま残り30分この内容を続けて参りました。けっきょく、約1時間ほど杖術の新原理「攻防一体」の稽古にみなさん夢中になり、夢中のままに杖の講習は終了となりました。

 最後の30分は最近は抜刀術を毎回おこなっておりますが、今回は抜刀術「鷲眼一閃」をお伝えいたしました。これはみなさんにお伝えするにはどうかと考えていたのですが、やって良かったと思いました。私も分かり易くお伝えするために色々な事を考えるのですが、その噛み砕いてお伝えすることが私自身の理解や深まりとなり、あらためて実感を持てることに喜びが訪れるのです。

 重心が先導し、柄を噛む右手が身体を引っ張る。そこに左大腿部を引き上がらせ、鞘を逆に出しながら左足がともに回りこむように送り出される。重心、慣性、浮き身が手順良くおこなわれることで、得物の重さが劇的に軽減され切っ先が実感予測を超えて奔ってしまう。

 鍔は正中線より左側。体からは二寸以内。構えでは右足前の状態から、左足が鞘とともに前に出ながら両足ともに床から脚が離れている間に抜き付けられている。常識からは大はずれとされる抜刀であるが、身体の実感としては稽古に値するものであり、実際に有効であると思われる。

 Sさんが、何回かに一度、得物の重さが軽くなる抜き方が出来たと喜んでおられました。こうしたご本人の身体で実感出来ることは、紛れも無い事実を身を持って体験されていることですので、稽古に夢中になり続けて下さるのも納得できます。

 稽古や講習では、初めておこなう事というのは喜ばれることが多いものですが、それは前提として伝える側の指導者の熱が新鮮なものを自分で興奮に近い思いで受け止めているからであり、それが空気としてみなさんに伝わっていくのだと思います。つまらない稽古や講習というのは、その人自身の身体で得たものではなく、どこかで学んだり映像で見たものをおこなっているだけであり、知識的なアドバイスが豊富でも、伝わってくるものに実感が少ないように思われます。もちろん私自身も全て自分で得たものではありませんし、師の動きや原理を稽古しながら、ようやく自分なりに感じた一瞬のものを、なんとか形にしようと努めております。しかし、「これは発見だ!」と思っても、よくよく考えたら数年前に既に師がとっくに説明されていたことであったり…ということが多く、その都度、師の凄さを感じるのです。

 「表裏一体実と成す。」この原理は今後の私の稽古において重要な意味をもってくると思いますので、敢えてそこにこだわって、これからの稽古に望みたいと思います。


 講習後は、月初め恒例となる食事会。もう私もここに来て六年目。擦れ違う方々や、フロントスタッフの方、レストランのスタッフの方、皆さんとにこやかに挨拶が出来ることの嬉しさが、週に一度の私にとっての癒しでもあります。レストランに入るとWさんが窓際にそっと近付いておりましたので、私もそっとWさんの後ろから驚かそうと思って近付いたのですが、そこに全く誘われること無く、どうやら庭の木の枝になにやら鳥が居るらしく、「どれどれ、」と私も探して見たところ目の周りに白い淵があり小さくて丸っこい形をした鳥が居ましたので、「メジロですよ!かわいいですね。」とWさんにお伝えし、直ぐに居なくなってしまいましたが、久しぶりにメジロを見ることが出来ました。生徒の中でもWさんは一番若く昨日が誕生日だったそうです。そんな今日も食事中の会話は色々と花が咲きました。帰りは家の近くの木の枝に偶然にもメジロを見つけることができ、のどかな一日となりました。本日もみなさまありがとうございました。


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『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


2019年12月07日(土)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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2019-12-04(Wed)
 

表裏一体となる生き方の求め

本日火曜日の「クラーチ剣術教室」では、いつも会場に到着して更衣室へ直行して着替えております。更衣室は男性風呂の脱衣所を使わせて頂いており、いつもここで朝風呂上がりのTさんとお話しながら着替えております。

 Tさんは80歳代で、一時期剣術教室にも入られておりましたが、合唱で舞台に出られたり、諸々の事情から時間が取れなくなってしまい今はここでお話するのが恒例となりました。睡眠時間の話になり、私も自分のことを棚に上げて、「ああ、もっと早く寝なければいけませんねー」と心配したり、お昼寝をお勧めいたしましたが、ついスマホを見てしまうそうなので「スマホは良くないですよー」と、こうして心配する自分に自分が驚きました。やはり毎週お会いする方とは気持ちが家族や友人に近いものになってますので、考える前に言葉になってしまうのです。「それじゃあ、また来週。行って来ます!」と言っていつものようにお別れいたしました。

 講習では、皆さん元気な女性陣のパワーにこちらが元気をいただいております。今日は月曜日に気が付いた眼の使い方と表と裏についてもお伝えいたしました。

 やはり目の誘いというのは強く、それが無意識的にそのようにおこなわれているものですので、悪い意味で我を忘れてしまっている瞬間になっているのです。そこで表の部分と裏の部分を一つの動きの中で分解してお伝えし、見落としてしまう裏の部分を目を瞑って動いていただき、徐々に目を見開いて感覚としては眼を瞑っていたときと同じようにおこなっていただきました。

 想像していた通り、目を瞑っての動きに誘われるものは無くなり、間違えが少なくなってきました。つまり表の誘いに裏が消されてしまうような目を開けた状態から、目を閉じ感覚的に眼を見開くことで、裏の部分に意識が働き、表裏一体となる動きに近付くものとなりました。これには、表情を見ておりますと納得していただいた方も見受けられましたので、どうしても上手く行かなかったり力んでしまったりする場合や、一緒に動くと動けるのに一人になるとどうしても出来なくなる方は、目からの情報における誘いが強いと思われますので、目を瞑り身体感覚、得物との接触部や得物の動き遠心力慣性など、そうした部分へ意識が働くようになると、目を使わなくても多くの情報を身体がインプット出来るように導いてくれます。

 もう一つ面白いなと思ったのは、横に一緒になっ動いていますと、良い誘われ方をしますのでスムーズに動けるのですが、正面に向かい合って動きますと、悪い誘われ方となり、簡単な筈のことも消滅してしまうのです。こうした目の誘いというのは、良い誘いも悪い誘いも、総じて身体感覚には入って来ておりませんので、目で見て覚えるというのは、それだけでなく眼で観れるように自分の身体感覚に落とし込むように目を使うことが大事になります。ですので、一人稽古のような周囲に人が少なくスペースが空いていれば目を瞑って複雑でない動きに感覚を研ぎ澄ませるように集中しておこなうと、目を開けて鏡の前で姿勢をチェックしながらおこなう方法よりは何倍も稽古になります。

 鶏が先か卵が先か、目が先か心が先か、耳も心に影響してくるでしょうから、どちらが先かという問題に通じると思います。ですが、目は無意識的にさまざまな動きをしていますので、その動きを心理的に把握し誘いを断ることが出来るようになれば、人としても一段階変われるような気もいたします。勿論そんな事が出来るかどうかは解りませんが、だからこそそこに、何らかの飛躍があるようにも思えてしまうのです。

 「知らなかったことを知る」ということは、生きている上でこの上ない喜びの瞬間でもあります。自分自身でそのことを実感でき、何度でも味わえることは、知らなければその事実を感じられないままに過ぎてしまいます。身体のことについて実感を得られるという事は必要な求めでもありますので、そうした裏の眼で身体を観て行きながら、表の目で今の世の中の日々の出来事に汚染されないように表裏一体となる生き方を模索して行かなければと思います。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


2019年12月07日(土)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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2019-11-20(Wed)
 

見ることを極める「見極める」

 昨夜の記事に、「次回の12/23(月/祝)に杖整体操を計画しております。」と書き記しましたが、12/23は天皇陛下退位に伴い平日となりましたので、次回杖整体操の開催は1月13日(月/祝)となりますことを訂正いたします。


 さて、本日の「クラーチ剣術教室」では、電車の遅延のため普段の到着時刻より15分ほど遅れて電車に乗車。しかし、どういう訳か全く慌てることなく、別のルートも探すことなくそのままのルートで移動。約一時間の移動中にいつもは次回の講習内容を書いているのですが、これもどういう訳だか全く失念しており、急ぎ行く周囲の人たちを尻目にホームのベンチで本を読みながら四本位電車をやり過ごし、車内でもそのまま本を読み続けてしまったのでした。

 世話人のOさんに開始時刻に遅れるかもしれませんとメールしたものの、津田山の駅に着きますと思いのほか間に合いそうで、駅から走ってクラーチ溝の口へ到着。スタッフのMさんに「台風で屋根は大丈夫でしたか?」と心配され、「あ、はい。昨年飛ばされて新しくなったものですから大丈夫でした!今日は電車が遅れたため走ってきました!」と、急いでエレベータに乗り込んだのでした。

 そうなんです。昨年の台風で屋根のトタンが全部剥げたものですから、結構みなさん心配してくださり、メールなどでもご心配頂いております。元々建物が古かったものですから、昨年はバリバリバリっと剥がれて行きましたが、今年は大丈夫でした。しかし、あの屋外から聞こえる猛風が、近付き、過ぎ去っていく音は嫌なものですね。昨年飛ばされていなかったら今度の台風で飛ばされていたかもしれません。

 
 講習では、久しぶりに「旋打」をおこないその後いつもの「三十連円打」をおこないました。旋打では、半年以上間が空いていた方でも、しばらくすると思い出しスムーズに出来るようになりました。身体を動かして覚える事は、脳の記憶の引き出しが違うように思いますし、頭で考えて思い出せなくても身体が覚えているものです。

 WさんとSさんから、「二十八番と二十九番の動きを見せて下さい!」と要望がありましたので、「はい、わかりました。」とその動きをおこなったところ、私の動きを見ながら何やら二人でヒソヒソ話ををしておりましたので、「ヒソヒソとまるで女学生のようですね!何を話してるんですか?」と大笑いしてしまいました。おそらく、二人で動きの手順の答えを見つけ出そうと、見当を付けた部分の結果報告をお二人で交わされていたのだと思います(笑)。こうして自ら答えを探すことに興味を持っていただけるのは嬉しい事です。

 八十八歳のKさんとのお話では、そのむかし東洋の魔女と呼ばれた女子バレーボールで魔女になりかけた位練習に打ち込んだそうです。当時の指導者(有名な方だと思いますが)から「見て覚える事」を叩き込まれたそうで、今でも直接お伝えすることよりも、私が他の方にお伝えしている時や、私が一人で動いている時にしっかりと見てご自身で考えるようになさっております。

 私も自然と口から言葉が出ましたが、「そうですね、見て覚える事で自分で考えるということが自然と身に付くのだと思います。また、ポイントを自分で見極める目を養うことにもなりますので、長い目で見ますと見て覚えた方が習得が早いと思います。」という事をお話いたしました。もちろん、目で見ることは大事ですが、視覚だけでおこなうのも弊害となってしまいます。目で見たものを身体でどう感じるかが自然と出来るようになれば、本当の意味での見極め力が付いてくるのかもしれません。

 抜刀術にいたしましても、「早く抜くためには身体各部が抜けていなければなりません。そのため構えの時点でホンの一瞬だけ力を使えるようにし、あとはその最中はその事について考えて要られませんので、終った直後に、今どうであったかを感じ、次の構えの時点で修正いたします。意識していたものを無意識化できるか、そのためには一本一本の抜刀が大事になります。」というような事をお伝えいたしました。

 以前でありましたら、このようなお話をしても、いや、話し始めた時点で微妙な空気を感じ、なかなかお伝えすることは難しかったのですが、今では興味深く最後まで聴いてくださいますので、思わずこのような事まで話してしまうことがあります。

 教室が毎回良い雰囲気で進んでおりますのも、みなさんが私を引き出して下さる熱意の中で取り組んで下さるからであり、その思いになんとか応えなければという支えの力が、私を後押しして下さいます。動きの心地良さを感じられる動作手順があり、その心地良さと見た目の美しさは比例しているものなのです。質とは自らが感じられるレベルに応じた心地良さに当て嵌まるものと言えるのかもしれません。そしてその心地良さというのは、脳内における手続き処理の速やかな進行と、さらには手続きの省略(大脳皮質でおこなわれていたものが小脳に移行するなど)が私の場合心地良さという感覚で実感されております。

 帰りは、歯の治療のためにお休みされたSさんと道端でお会いし、笑い合いながら立ち話をしをしてお別れいたしました。来週は関西で講習会のためお休みとなりますが、また再来週元気なお姿が見られますよう、みなさま元気にお過ごしください。

 今夜は、Eテレで22時から「知恵泉」という番組に甲野善紀先生がご出演されます。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


2019年10月19日(土)『抜刀術 特別講習会』

2019年10月21日(月)&22日(火)『関西特別講習会』

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2019年10月 武術稽古日程

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2019-10-15(Tue)
 

誘いにのらない心身の稽古

 火曜日から水曜日になったばかりの深夜であるが、危惧しているのは台風19号による土曜日と日曜日の講習である。まだ日にちがあるため状況に変化が起こる可能性も無きにしも非ずであるが、今回は時間帯が両日とも被っているので冷静に判断し、後日ホームページなどでお知らせいたします。


 さて、月曜日は高田馬場で夜からM氏と稽古。二時間杖術のみをおこなったがパーソナルトレーナーで体格の良いM氏と「呼雀」や「雀返し」をおこなったときに、私にグッと寄せられて「気持ち良いですね!」と初めての感触に喜ばれておりました。
 上手くエネルギーが伝われば、無理に引かれて行く感じでなく、ピョンと自動的に雀が足を同時に跳ねていくような感じで寄せられてしまうので、その労力の無さと勢いに心地良さを覚えるのかもしれない。これまでにもこの稽古が盛り上がるのは、不快さが無く「引かれてなるものか」と思う反面、身体がアッサリ持っていかれてしまうので、初学の方には特に興味を持ってもらえる内容である。

 その流れから「捧げ首潰し」をおこなったが、M氏の反応を見て「ああ、この人は本当に優しい人なんだなあ」と感じたので、2、3回やって次の内容へと切り替えた。

 膝を抜いての重心移動、重心位置の把握、意識的な操作と任せた操作による把握部位の移行、そのような身体の内側の感覚を重点的におこなった。

 身体のことについて非常に興味を持たれている方であり、筋トレをお仕事にされている方がこうして武術における身体の使い方を学びに来られるのは珍しいことでもあり、私にとっても得られるものがあるので大変ありがたい。あらためて人とのご縁に感謝しております。

 
 そして火曜日は、「クラーチ剣術教室」での講習。

 着替えに使わせて頂いている場所は浴室の更衣室であり、今日はひさしぶりにTさんとお会いし、もうお一人の方と風呂上りにお話されておりました。傍で稽古着に着替えながら、初めてお会いする方の江戸言葉(江戸弁)がなんとも小気味よく、ちょっと憧れてしまう感じがありました。
 私は北九州に生まれ豚骨ラーメンを食べて来ましたが、今ではすっかり蕎麦の方に趣向が変わりました。尤も本当に美味しいラーメン(鎌倉のTさんが教えてくださった)屋さんは別格として、蕎麦屋が落ち着いて安心いたします。気持ちの面でも随分違うものですね。

 講習では、杖を使っての持ち替えを一歩と三歩ランダムにおこなっていただきました、足運びは細かく杖はゆっくりと操作する必要もあり、前進後退、好きなように動いていただくものです。こうした稽古は身体を使うことの心地良さを実感出来ますと、より動きが滑らかにさまざまなパターンが組み合わさるものと思われます。手先の操作、足運びとの調和、自在に動くアイデア、シンプルな稽古ですが深くおこないますと身体にとって総合的に効果的なものであります。

 今日は「三十連円打」はおこないませんでしたが、代わりに「杖を掴まれた際の対応」をおこないました。「捧げ首潰し」はさすがに出来ませんので、一番から四番までの手順をお伝えしながらそれぞれ二人一組となってそれぞれが教え合うようにおこなていただきました。やはり相手と力と力のテンションが繋がる稽古というのはなにか心の働きに作用するものがあるように感じます。

 接触し繋がっているからこそ解ることが互いの中で湧き起こりますので、新鮮なその都度の会話が予定に無く交わされます。稽古の面白さの一つには、予定調和に無いその瞬間の察知が互いに感じられる事にあるのだと思うのです。そこにあるのは在りのままですので、求めに応じられるか否かの面白みがあるのでしょう。

 最後の剣術では、ここ三週ほど続いている抜刀の「巴抜き」をおこないました。今日は相手に木刀で構えてもらい、そこで剣先の軌道を身につけて頂く様におこないました。しかし、これが意外に難しく、どうしても剣を差し出した相手に誘われてしまい、力を入れて抜いてしまったり大振りになって、無意識のうちに強く当てなければという身体の働きが優先してしまうのです。

 これは「鹿威し」にも当て嵌まることですが、一人でおこなっている形が、相手が目の前に付いたり、周囲の状況が普段と違っても「同じように出来るか」ということが大事になってきます。

 それはもう身体の働きというよりは、心の働きに関わってくるものですので、その関連している二つの働きを実感する稽古として、その人に応じた身体と心の分離をどう一纏めに収める事ができるかは、武術稽古における重要な課題と言えるのではないでしょうか。

 今日は心の制御をいかに身体で確認出来るかをお伝えいたしましたが、勿論私自身も生涯の課題として取り組まなければならないものであり、それを高齢者のみなさまにどのようにお伝えしていくか(しかも楽しく)という事が、これからの講師としての課題でもあります。

 失敗も材料ですので、その瞬間を諦めずに飲み込むことで、現場検証的に状態から違いを分析することが気づきへの近道になるかもしれません。ということも最後にOさんへお伝えいたしましたが、もはや、運動のためだけでなく、この教室ならではの身体への興味から心の働きに私自身の関心もあり皆様へ波及していっているような気がしております。

 あらためて、五年間毎週火曜日に一時間半、七十代から八十代の皆様と稽古が出来ていることに大きな感謝もありますし、その経験は私の中でとても大事なものとなり次への導きに通じてきます。これからも、無理の無いように調整していただきながら、それぞれのペースで喜びを得られるような講習に務めて参りたいと思います。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


2019年10月14日(月/体育の日)『杖整体操』

2019年10月19日(土)『抜刀術 特別講習会』

2019年10月21日(月)&22日(火)『関西特別講習会』

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2019-10-09(Wed)
 

働きを信じ願いや思いの透明度を高める

 朝の清々しい時間帯に記事を書き始めている。今年は今まで以上に秋が好きになりそうだ。

 
 さて、昨日火曜日は午前中に「クラーチ剣術教室」での講習をおこなってきました。
 珍しくSさんが早く来られていましたので、「Sさん、今日はもう待ちきれないようですね!」と話しましたら、「そうじゃないのよ、部屋のエアコンが故障してたから急いで来たのよ!(笑)」とのこと。「な~んだ、ガッカリ(笑)」というふうに講習がスタートいたしました。

 このところは最初の三十分が早く感じられ、今まで二十分ぐらいで一呼吸入れていたのが、気が付けば三十分経っており、皆さん七十代~八十代後半の方々ですので、その熱意に驚かされます。

 毎回上手く行くという事はありませんので、その日の体調や具合によって無理をせずにその状態に合わせて取り組んでいただければと思っております。それでも、覚えてしまった動きというのは飽きてくるものと思われますので、同じ動きでもどのように新たな部分を楽しめるか気がつけるか、そこが私にとってのテーマでもあります。

 杖と剣、それぞれテーマにしている内容と新しい動きをお伝えいたしました。これからもそれぞれのペースで楽しく興味を持ち続けていただけたらと思っております。

 講習後は皆さんとお食事。

 陽当たりの良いレストランで、かれこれ五年になりますが、いつもの席いつものメンバーでお昼を頂いております。だいたい1時間程ですが色々なお話を聴くのが楽しみで、昨日はもう一人のSさんからむかし狐に化かされたお話が話題になり、東北地方のそういった不思議な現象が、Sさんのお父様とSさんご本人にも何度か起こったようで、非常に興味深く楽しい内容でした。

 私自身も、人に言うと変に思われてしまうような不思議な体験は幾つか経験してきましたのでこういったことは信じるほうですが、長年人に言わないでいると、あれは本当のことだったのだろうかとまるで夢でも見ていたかのような錯覚を覚えます。しかし、明らかに夢ではなく、その事はハッキリとしていましたので、稀に不思議な体験はするものだと、そのことはそのことであまり驚かなくなってきました。

 
 夜からは松聲館で甲野先生と稽古。

 心と身体のアンバランスさ、主体性と働きの不関連さ、大元にあるものは説明のつかないもの、つけてはならないもの、なのかもしれない。そのような古の武術書に込められた内容を少しだけ理解できたように感じます。

 刀を通じ、古の日本人は人間というものを限りなく追求し実践されたということに、想像では書けないであろう文面から感じることがあります。時代は大きく変わり、地球の存続が危ぶまれる話が、ノストラダムスよりも具体的になってきております。もはや人間はどうしようもないから滅したほうが良いのではないかとさえ感じている人もいるかもしれませんが、人間の持っている可能性を拓くことなく滅してしまうのは勿体無い話です。便利さと有益さが滅亡への近道であるのなら、宗教や武術によって高められた先人達の教えというものは、すでにその事を予見していたのでしょう。しかしながら、世界的にもたくさんの宗教があるなかで、それはそれで通っていることが私にとっては疑問であります。心と身体の一致を目指す実践と葛藤こそが、人間の丁度良い生き方の指標を照らしてくれるのかもしれません。そうした幸せを知ることで守られていくものは多くあるはずです。

 技の追求は、全てを考え学ぶことに繋がってきます。その技は、武術に限らずさまざまな業種の中でも存在しておりますし、形の無いものもあるでしょう。そうした技がこれからはもっともっと、器機に頼らず自らの発想と実践で「何か」に繋がって行くことが重要な気がしております。

 私も未熟でしかありませんが、思いは失わずにこれからも生きていきたいと思います。


 金山孝之 指導・監修 DVD
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2019-10-02(Wed)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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