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こんな時期でも技は大きく進展

 昨日は深川スポーツセンターから連絡が入り、3/29(日)に予定していた講習を中止せざるを得ない運びとなりました。そして本日再び連絡が入り、4/12(日)の開催も中止となりました。

 品川区での開催につきましては、現状これまで通りとなっております。
 明日3/28(土)の戸越体育館での開催はおこないますが、状況によりましては4月からの開催を見直さなくてはならない状況に迫られております。

 皆様におかれましても、「それどころではない」状況に置かれている方もいらっしゃるかと思いますし、しかしながら極僅かながらでも武術稽古を支えとされている方もいらっしゃるでしょう。もちろん、道場で稽古をすることだけが武術とも言えないでしょうから、この機会に、世相をさまざまな角度、現代という時代そのものを俯瞰的に観ることで「ひと」という生き物についても、極僅かな人は冷静に独自の観点から学ぶことが出来るのだと思います。滅多にない機会だからこそ、慌てず、騒がず、流されず、覚悟をもって決めて行けるかが今そこにある学びの問いかけとなっております。


 さて、昨日の稽古では渡部氏と共に座りによる一点接触での崩しがさらに進展した。

 背面の意識が先週ロードバイクのKさんを崩した要因であったが、昨日は渡部氏も背面を意識して対応。これにより、体格では私より小さい渡部氏が崩せなくなり、「こんなはずでは無かったのに…」とさまざまに検討をおこなった。幾つか有効なものも見つかったが、納得出来るものではなく、「まあ少し前に進んだから、次にまた研究するか…」という思いが浮びながら、突然強力になった渡部氏の受け方にヒントをもらった。
 それを聞いた瞬間に「そうか!」と、「これは行くだろうなぁ」と技の利きが実感的に予測でき、腕を合わせた時点で心理的にも大きく変わった。これはまだまだ私には備わっていないが(感じられるものはあるが)、触れた相手も取り込んで手続きの優位性から技が組み立てられるものだと思われる。案の定労することなく後方へ倒すことが出来た。

 これまでに、中心を取りながらおこなうものが全く駄目で、尤もこれは勝ち負けというよりは、方向性を会得するために取り入れたのであるが、全力で防ごうとする相手には、浮き身を掛けたり、蠢動を使ったりしてきたが、これも体格や身体が纏まっている人には防がれてしまう。そこで落下による反動を使った方法をおこなってみたが、初回は有効であるが、二回目からはその動き出しの気配に先回りされ防がれてしまう。
 そこで気がついたのが背面の意識による手続きの変更であるが、これは上背のある相手に対し有効であり、全く崩せない相手も倒すまでになった。これで暫くは稽古として落ち着くかと思っていたが、相手が小さくても背面を同じように使われてしまうと崩せなくなり、そこで左右の働きも使うことで、背面が使えていなかったことに気がつかされた。その左右の働きと背面からの意識が初動に大きな発力を生み出し、それに連動して前足も自然と出るようになった。これらが作用して、いなされようが方向が合わなかろうが問題せずに、「ドーン」と崩すことが出来るようになった。勿論、身体の使い方が私よりも遥かに精密で把握され練り上げられている方には防がれると思うが、これは勝ち負けでもなく実戦としての対応というよりは、全てに通じる身体の新たな発見のための稽古としては進展を積み重ねて行けるものであり、結果としてその応用が実戦に通じる働きとなってくるものである。それが無意識レベルで状況に応じた手続きが通せるのかは、こうした稽古では欠かせないものであり要となるものだと思う。さらには、そこに「信ずる」という自らの身体と、稽古における恩恵の感謝が、無意識と意識との境を往来しやすくしているのだろう。だから自然と礼を覚える。
 

 時代はいつも大きな事態を投げかけてくる。人々が明るく前進して行くには、何事も起きないかのような不安を感じない暮らしが平和と安全をもたらしている。しかしいつの時代も人々は不安に陥れられる。一定数以上確実に起きている集団心理はこれも自然の摂理によるものだと思えるが、醜態をさらさずに生きていくには、一所懸命に生きながらも執着から離れられる今は無き武士道の教えが、いつの世にも求められるということなのだろう。


金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-03-27(Fri)
 

身体は目まぐるしく展開を導いてくれている

 今週は火曜日から日曜日まで稽古会や講習会が続く予定。火曜日は「クラーチ剣術教室」にて講習をおこない昨日水曜日は戸越体育館にて金山剣術稽古会をおこなった。

 その稽古の中で、成果があったのは正座でおこなう一点接触からの崩しである。これは、松聲館甲野善紀先生がおこなわれていた「正面の斬り」であるが、数年前からは「正面の対応」として、より厳しい条件の中で工夫され続けておられる稽古法の一つです。

 その正面の斬りでもある一点接触からの崩しにおいて、この場合もはや斬りではなく、崩すための接点の使い方に特化したものとなっている。渡部氏は私よりも体重も筋力も少ないため、条件を厳しくし、斜め立ち膝の状態で私に重心を寄せるように腕を交差させ、その状態から正座で後ろへ倒すことが、最低限の課題として取り組んだ。

 とうぜん、今までのようにおこなうとビクともしないが、落下の反動を使うことで、大きく動かすことが出来る。しかしまだ何かバラツキがあり、さまざまに1時間程検討しただろうか、お陰で落下の反動を多用したことで膝が痛くなってきたが、それでもなかなか止められず、「これで最後にします。」と何度言ったことだろうか、気になることが浮ぶたびに、「すいませんがもう一度やっていただけますか。」と、何度もさまざまに、腕の使い方、落下の工夫、膝の引き込み、腕の軌道、そうしたところから、一つずつ塗りつぶしていくように消していき、「結局、元のやり方が一番いいのではないか…」というチョットがっかりな、しかし、これが検討した中で現時点でベストと解ったのならば、次の進み方に迷いはないだろうと、気持ちを整理しようとした最後のときに、あることに気がつき、それを試みた際に倒れた渡部氏の反応と、私に残った実感が、今まで検討したさまざまな方法のどれよりも超えていたものだったので、「そうか、この場合はこれか!」という発見に至ったのであった。それに付随して、不利な筈の手の位置が、実は有利に働いていることも解り、原理と言うのは状況に応じて異なるものであり、それらを理解するのはまだまだ時間が掛かりそうであるが、そのさまざまな原理を実感していくということは、身体に取り込む大きな財産でもあり、これはやはり、自ら探して自得していくしか無い。その自得と感じるものも、実はとうの昔に学んでいたことの一つであり、今になってそのことがようやく理解できたということである。まだその理解が何処までのものなのかは、さらに進んで行かなければ解らないが、「出来ない時間の葛藤」というのは、「考えることを課される時間」でもあり、それは、稽古により積み重ねてきたものにもよるだろうが、逆境をどう乗り越えていくかの方法を、学ぶ事にも繋がっている。

 膝立ちの渡部氏を後ろに倒すことが出来るようになったので、今度は立った状態から腰を落として私の方に重心を掛けて腕を交差した状態にしてもらい、私はこれを正座からおこなうと僅かでも押し返すことが出来るだろうか確かめてみたくなった。

 とうぜん相手は立っているので倒れることは無いが、この圧倒的に不利な状態から、私の右腕は額に触れそうな程押し込められた状態から相手を後ろへ何歩か後退させることが出来た。

 これには、信じられない思いで興奮したが、念を入れて渡部氏にもこの方法をお伝えし、私も立った状態から受けてみると、「おお!」後ろに後退させられた。これが出来たのは、接点の大事であるが、当然落下の反動も要であり、さらに不利な筈の手元の押し込められた位置がさらに強力な働きに加担していることが解り、興味深いこの日の稽古となった。立って重心を掛けられた状態から押し返すことは、最近感じている全ての動きもそうであるが、「ああ、これは伝えてしまえばみんな直ぐにできるだろう。」と思うのであるが、それだけではない何かが身体と感覚の間にはあるのかもしれない。この日は、集中してやり過ぎたため少し膝に負担があったが、こういう座りの稽古は、身体をつくる稽古として重要な部分が含めれていると感じるので、今後も座りでの体術稽古は技の進展もそうであるが、重要な部分を練っていくためのものとして今一度重ねて行きたいものである。

 
 そして本日木曜日は、同じく戸越体育館にて渡部氏と稽古。昨日の座り稽古での時を忘れた検討が膝に負担を掛けてしまっていたかもしれないため、本日は体術を避け杖術をおこなった。

 明日の『杖術 特別講習会』でおこなう両手寄せの技法を幾つか確認。あらためて両手寄せに遣うことで、攻防が一体となり、速く連続的に強く遣うことが出来る。そして同じくひさしぶりに「燕打ち」と「大燕打ち」をおこなった。

 この二つは実戦的なものであり、どこが実戦的なのかというと、相手がどうしても払わなければならない軌道に対し、有効にこれを抜きそのまま顔面に強く打ち入れる事が可能であり、これを防ぐことは始めから「そう行きますよ」と解っていても、相手の払う軌道を変えなければ、おそらく無理だと思う。しかし、払いの軌道を変えることはこの場合、誘いとなる下方向に対する突きをどう払うかを見直さなければならず、結局顔面が空いてしまう軌道に頼らざるを得ないと思われる。それ故に、この燕打ちと大燕打ちは実戦的であるといえるだろう。
 
 そして、稽古には気分が高揚する動きと言うものがあるが、それは数少ないものである。この「燕打ち」と「大燕打ち」には、何故だか解らないが、気分が高揚し「これはエナジードリンク系の技ですね!」と半分冗談めかして渡部氏に受けていただいた。

 どうして交感神経が優位になる作用が感じられるのかは解らないが、身体の実感予測よりも少し先に行った速さであったり、杖の奔りであったり、強さであったり、そうしたものが何度やっても無意識の計算よりも先に行っているのかもしれない。もちろん推測であるが、同じような乗り物でも気分が高揚する乗り物があるように、動きにおいても気分が高揚するものが、全くそのようなつもりが無くても、身体がそれを感じ、なんらかのサインを送っているのかもしれない。そのサインの意図しているものは解らないが、「杖整体操」は副交感神経が優位に働くのに対し、「燕打ち」「大燕打ち」では交感神経が優位になるような、叫びたくなるような衝動を覚える何かが感じられる。尤もそれは私個人の感覚なのかもしれないし、それはまだデータが不足しているが、明日の特別講習会でそのあたりを観察して見ようと思う。

 そして最後に、数ヶ月ぶりに両手を重ねた誘導と対応の稽古をおこなった。この稽古は、相手の誘導に対して目を瞑った対応側の人間は、自然に動く手足の動きを観察することを目的におこなったものであるが、これに瞑想の働きがあるように感じ、数年前に武術稽古でお世話になり、甲野先生のDVDで2013年から毎年一緒に受けを務めさせていただいている、松聲館技法研究員であり、武術指導やヨガを御指導されている井上欣也さんにこれをおこなったことがあり、そのときに井上さんから驚いていただいたこともあり、瞑想効果があることも確認できました。

 数ヶ月ぶりにおこなったが、これは呼吸と互いの掌の接触圧を保つことに集中し、五分位でおこなうものである。今日はそれぞれ10分弱行ったが、終った際にしばらく目が開けられずにそのまま立ちすくんだ状態となり、腕はだらんと真っ直ぐに下に伸び何にも動けない、動きたくない状態となる。これは今までにも大なり小なり体感してきたが、今日ほど深く効いたことはなかった。渡部氏も私と同様に深く効いていたが、これは時間の長さではなく、久し振りに行ったということで、深層部に響いた(深層部に解決されない何かが溜まっていた?)のだと思われるし、杖整体操でもここまで深く効くことは無かった。しかもそれがたったの10分弱でこのような状態になるので、ちょっとした催眠作用も含まれているのかもしれないが、体操や柔軟をしたわけでもないのに、真っ直ぐ立てている実感が足の裏にあり、全身の力が抜け、表層のバリアが取れ、深層部の詰まりやストレスが開放されたような感じがしている。おそらく、深層部の解決が実感として効きに影響しているのかもしれないが、心身の状態に合わせてこうした稽古も長く身体を維持していくには必要であると思っている。

 本当に身体の事はまだまだ知らない、実感していないことがあり、そのことと、いろいろな導きであったり流れが同調していることに感謝しなければならない。現世で預かっている心身をどのように観ていけるか、主観と客観の中で共に生きて行かねばならないということだろう。


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2020年3月22日(日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

2020年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-03-20(Fri)
 

当たり前のことが有り難い

 来週の金曜日は『杖術 特別講習会』を予定通り開催いたします。内容は両手寄せの操法と、それに伴い両側で素早く対応する構え「二杖之位」中段と、下段をお伝えいたします。二杖之位中段からは、「攻防一体」「二杖転換」下段からは、「払い打ち」「払い突き」などをお伝えいたします。その他「燕打ち」「大燕打ち」もお伝えいたします。
 
 
 さて、今週の金山剣術稽古会の稽古は水曜日から記したい。

 水曜日は渡部氏と稽古。30分ほど講習でおこなう新しい立廻りの動きを確認。思いのほか直ぐに完成した。これまでに行っている動きを取り入れながら、カメラアングルも問題なく出来た。あとは、初めての試みである杖を使った立廻りであるが、これは次回の楽しみとしたい。

 体術では、以前からテーマに上げていた中心を見つける稽古をおこなった。物体としての初動は中丹田辺りにあると感じているので、そこが滞ることなくすぐに動ける姿勢や、水平方向で中心圧力を探るには、顎の角度や、肘の位置、そして摺り足ということが関係していることが解った。中心を探るのに目で捉えた方向だけでなく、身体内部の偏りを極力押さえるために摺り足の方が働きが良いという事が確認できた。

 さいきんはこの中丹田辺りに辿り付くことが多い。太陽神経叢(たいようしんけいそう)であったり、そこに心地よさの火種を残し、集中のなかで風(呼吸)を送ってジンワリと気持ちよく動ける感覚や、姿勢を考えるとやはりここに乱れが無い状態になる。そのジンワリした感じは絶えず残っているのでそれが何なのかは不明であるが、自律神経のコントロールセンターともいわれる場所なので、何かしらの感じがそこに残っているのも不思議ではない。

 中心から動くということ。エネルギーは強い所から弱い方へと流れていくと思うので、中心から働かせる。そのため、中丹田の姿勢が肘によって決まってくるし、その決まった位置で中心から動けば流れとしては逆流しにくい。姿勢が奥まったり、出っ張ったり、上を向いたり下を向いたりしてしまうと、中心からの動きにズレというか外れが生じてしまう。この日は微妙な違いをさまざまに確認したが、相手の両腕を持って振り回す動きにこれまでにない力が生まれたことは収穫であった。勿論身体を強く働かせる技法を掛けながらであるが、肘の位置と中心の働きの関係は、剣でも同じであり、肘が身体から離れ過ぎると力が弱くなることはこれまでにも解っていたが、中心からの働きに関係し、それは腕が強くなるのではなく、身体そのものの強さが出せているのだと、そういう中心が使える姿勢を肘が作っているのではないかと考えられるようになった。この日おこなった中心圧力の確認では背中を張って行うと、真っ直ぐに顎を下げずにおこなう場合に比べて弱いものであることが確認できた。勿論胸を張って腰を反るような姿勢でも試みたが、これは足の力となってしまいやはり駄目であった。何もしなければ感じられないものであるだけに、今後もこの中心を探り、これまでの中心や姿勢を疑う稽古を重ねていきたい。

 次に「引込潰し」をおこなった。これは、右手か左手、或いは両手で胸元を掴まれても同じ側で全て対応出来るものである。この日は、引き込み以外にも前に進みながら潰すこともおこなった。どちらにせよ、相手の膝が抜けるような脆さがこの技の特徴であり、痛むことなく平和的に崩されてしまう。だから何度でも技を繰り返せる。

 最後は抜刀術をおこなった。先日から抜刀術は構えを廃し、控え切りで鍔を押さえた直立姿勢からの発剣となる。これまでの構えは瞬間的に辿っていくが、そこには以前のように構えた時点で静止状態から始まるものと、構える前には重心移動が始まっているものとでは手順を新たに作り直さなくてはならない。そうしたことから、4月25日(土)に開催予定の『抜刀術 特別講習会』では、以前、構えた状態からの技をお伝えしますと記事に書いていたが、その手続きは今後変えなくてはならないため、現在私が取り組んでいる構えを廃した抜刀術をお伝えする予定である。それまでには私自身がある程度形になっていなければならないが、この日おこなった稽古では、「懐月」、「稲妻抜き」、「飛燕」に若干馴染んできた部分があった。撮影していただき客観的にも確認しているが、以前と比べて、どのように動いているのか静から動へのコントラストがハッキリしていないため、捉え難いものであることは間違いない。そのため、やっている実感としてももう以前の構えからの抜刀には戻りたくないので、次なる抜刀へと舵を切った最中である。

 表裏の思考から現在は中心に対する思考が私を突き動かしている。抜刀も難しいものとなり、そこに納得して向かえるようになったことが嬉しい。意識的にも無意識的にもさまざまな影響を受けながら委ねるように稽古に向き合っている。今は当たり前に感じられているが、何より日々こうした精神状態で入られることが重要なことであり、そうはならない状況に身を持っていかれないように、当たり前の状況をいつまでも大事にしていられるように心の備えは今まで以上に具体的に感じておかなければならない。付いて回るものはこの世の定めであるが、感じ方でそのことは楽しめるようにもなっておきたい。過去にそういう人生経験も無くはなかったので、ある意味それは避けられないものであると思っている。


 そして本日は九ヶ月ぶりにI氏と稽古をおこなった。

 I氏は俳優さんであり、NHK総合の生放送番組ではMCを務められており、もう一年半ぐらいになっている。今日はひさしぶりに蟹の前歩きと雀をおこない、杖では単体技を幾つかおこなったのち「二十連円打」を稽古した。

 続いて、I氏に初めて立廻りをつけ幾つか手を覚えていただいた。本来立廻りは私の管轄外なのであったが、今となっては役者の経験がモロに活きており、剣術など武術で得てきた感覚は、表現と言う俯瞰性にも通じており、その判定基準も身体の中にあり、主観と俯瞰が同時に流れの中で感じられるということが、私が立廻りをおこなっていく上で大きく幸いしている。とくに立廻り(殺陣)はお芝居であり、見ている人がどう感じるかを考えて作って行かなければならない。それはまさに現代劇とも一緒であり、私がかつて、人生の全てを捧げようとしていた時代に経験して来た事は今に大きく活きている。

 人からすれば、殺陣と剣術を一緒に考え「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」という横文字の名前に嫌悪感を持っている人もいるだろうと知った上でそれを通した。

 もっとも殺陣は、私がおこなうつもりではなかったが、これは運命的なものでもあり、その窮地の中で、しかし私なりの考えは当初からあった。私ぐらいの世代の人はブルース・リーやジャッキー・チェンなどのカンフー映画は観たことがある人は多いと思うが、本当にカンフーを使える人がやっているから熱狂的に人気があり、憧れて真似をしようとする若者が次の時代を支え継承して行った。

 日本のチャンバラ映画も、昔は剣術を学びに行っていた俳優が多く、それがいつしか軽い竹光に慣れた殺陣を習うだけのものとなってしまい、本格的な刀の扱い方を学ぶ前に殺陣をやってしまっているのが現状の多くであるといえるだろう。

 しかし、古流剣術の型が殺陣にどう使えるのかというと、構え方とか稽古風景とか、実戦的な動きの中で表現していくにはなかなか難しく、そこに殺陣が殺陣として独自に考えて行かなければならない方向になった要因の一つともいえるだろう。

 すなわち、剣術を殺陣に応用するには、型をそのまま流用してしまうと成立しなくなるので、「この状況ではどうするか?」を身体に問い、これまでに剣術などで培われた身体の使い方がどのようにして組み込まれていくかが「剣術というものが殺陣になっていく過程」として重要な部分といえるだろう。だからこの場合、臨機応変に身体の使い方を己の身を通して確認出来る感覚を持っていなければならない。私の教室で、生徒達が納得して取り組んでいただけるのは、身体にある心地よさと心地悪さの判定基準が、身体そのものが宿している感覚にあり、見た目だけのパフォーマンスの派手さでは成立し得ない、身体で納得出来る調和感覚があるものだと感じている。

 「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」という横文字の教室名にしたのは、刀に興味はあってもちょっと専門的な人ばかりだと躊躇してしまうという人も多いのではないだろうかという考えがあり、教室名とホームページのデザインは、初めての人にでも覚えてもらいやすいものにしたいという思いから敢えて横文字にし、途中から猫のイラストをプロのイラストレーターでありその業界じゃ売れっ子の山本祥子さんにお願いした。

 話が脱線してきたので稽古に戻そう。

 立廻りはI氏も最後まで出来たので楽しんでいただけたと思う。杖を使って身体の中心を探る稽古をおこなったのち、身体と心について最近の考えをI氏にお伝えする。I氏はこいういった話を引き出すのが自然と上手であり、私も人と話すのは苦手な方であるが、こういうときは、口が勝手に喋っているような感じがしている。最後は「杖整体操」をおこなって稽古を終えた。

 今はウイルス事情で世間は大変であるが、このように稽古が出来ていること、さらに前に進める稽古になっていることは大変有り難い事であり、一日一日の感謝は忘れてはならない。

 明日は、品川区総合体育館 柔道場で12時30分から講習をおこないます。体調の優れない方は無理をせずに自宅などで療養下さい。それでは明日も皆様よろしくお願いいたします!


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2020年3月22日(日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

2020年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-03-13(Fri)
 

時間内にどれだけのものを引き出せるか

 本日は戸越体育館 柔道場にて三年ぶりにI氏からのご要望で、プロモーション用の撮影をおこなうため、その場で動きを決めて1時間半のタイトな時間内に幾つかの動きを撮影した。

 稽古の合間に軽く撮影するものだと思っていたが、会社を通じてプロのフォトグラファーの方を手配されていましたので、I氏をメインに即興で動きを付け、フランス人のA氏と打ち合わせながら、フォトグラファーの方との連係でおこなった。

 I氏は、日本、フランス、ドバイなどに事務所があるらしく、具体的な事は分からないが、いろいろなプロジェクトを海外でおこなっている日本人の女性である。フランス人のA氏からカタコトの日本語でコンセプトを伺ったが、その熱量は大きく、日本人が今感じているようなことも、海外では同じように感じられているため、その精神性について訴えかける必要があると言っていたように思う。
 
 I氏は普段から剣を殆どやっていないため、この短時間の間に動きをお伝えするのは難しいものであったが、Gold Castleでの講習の経験がこのような場では大いに役立ち、今この瞬間に必要な条件に合うものが、その先を見た経験から予測できる。時間と、求められるレベルと、出来るものを数秒で判断し、それを仕上げていく。

 当然であるが、レベルの高いものを求めるなら、そのような動きの付け方になり、それが出来るスキルが求められる。役者であれば、動ける人が優先的に必要な役どころに回され、そうでない人はなるべくリスクの少ない役へと配置される。だから、役者を目指す方で普段から稽古に参加される方は、どのような現場に行っても、「出来ます!」と即座に答えられるために準備をされているのである。

 撮影を終え、とても喜んで帰って行かれましたので、普段の稽古とは掛け離れた状況でしたが、私にとっても必要最低限な結果を出さなければならない状況判断など得られるものはありました。

 今後もコンセプトが、社会的にどのような考えでおこなっているのかを踏まえた上で、このような撮影などもお受けするつもりであります。


 明日は9時30分から戸越体育館剣道場で(杖術クラス)の講習をおこないます。
 ひさしぶりに午前の部からの開催ですので、お間違えにならないようにお気をつけ下さい。続いて12時30分~14時00分(殺陣基礎クラス)も開催いたします。体験参加のお申し込みは定員となってしまいましたが、楽しみにお待ちしております。ウイルスが気になる方は、マスク着用で受講されても大丈夫です。


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2020年3月22日(日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

甲野善紀先生からの紹介文

2020-03-06(Fri)
 

身体が出来て感覚が生まれ無意識が統御する

 先日新宿スポーツセンターが3月一杯利用できないということから、戸越体育館を代替稽古会場として急遽数日分予約をした。本日品川区のサイトを見ると、3月中の新規予約が取れなくなっていたため、早急に手を打っておいて助かった。

 Gold Castle 殺陣&剣術スクールの講習日程は今のところ変更等はございません。
 確認のお問い合わせや、親子で体験参加にお越しいただくご連絡も承っております。世間的にも全てを中止にしたり先の見えない対応となりますと、おそらく今度はもっと大騒ぎになることと思われます。倒産廃業職を失い活動が出来なくなってしまう人が大勢いらっしゃることでしょう。それに関連し強盗や犯罪も増え、全てが後手に振り回されることが考えられます。そうならない世の中であってほしいと願っております。

 講習や稽古につきまして不安のある方はマスクを着用しておこなっていただいて構いません。会場の換気にも気を付けたいと思っております。


 さて、水曜日の稽古では五月からおこなう新たな立廻りの研究に入る。思っていたよりも一回で形が決まってきたが、杖についても今度は取り入れようと思っているので2パターン作っておかなければならない。ジックリ検討する時間があるので、あまり長くなり過ぎない動きを考え、生徒達に興味を持ってもらえるものにしたいと思っている。

 体術稽古では、「触れ手落し」を今一度確認。ここで解った事は身体の中心を合わせることが大事であるという事。その中心を私の場合中丹田の辺りで合わせ、その合わせの元となっているのが後ろ足であることも解った。後ろ足というのは目立たないが大事なものであり、踵を上げてしまうと全く働きが死んでしまう。下まで潰せる場合と、途中で止まってしまう場合の違いはこの中心のとり方における身体の向きが働きに大きく関係している。だが、首の痛みが少ないとはいえ、杖の「お辞儀潰し」や、木刀での「峰返し潰し」、そして素手による「触れ手落し」など相当おこなってきた。いずれも首に触れておこなっているため、大丈夫であると思うが、今後少し控えようかと思っている。それは、もう少し威力の出そうな方法を思いつたからであるが、恐らく頚椎を傷めかねないものだと予測できるため、試したくなる危険性を無くすためにもしばらく「触れ手落し」は寝かせておこうと思う。

 続いて「引込潰し」をおこなった。これは昨日の甲野先生との稽古で、先生に驚かれたものであるが、左右反対になると技が掛からなくなってしまうため、あらためて検討してみた。

 やはり反対側の手でおこなうと、それなりにはなるが別物であり、これは何回かやっていると出来るようになるという気がしないので、左右逆でも出来るようになろうとこの技に関しては思わないことにした。おそらく身体の規矩(かね)に関係していると思われるが、規矩が技を成すのであれば、左右の違いがあることは大いに納得出来る。その規矩とは稽古で身につけるものなのか、もっと根源的な身体そのものが関係しているのか今はまだ解らない。

 出来なかった側を掴まれた際に、反対の手に持ち替えなくとも、規矩のある側で同じく引き込んで潰すことが出来た。これは両手で掴まれても同様に引き込んで潰せる為、この「引き込潰し」の有効さには今でも信じられない感じがしている。

 この日の稽古で、身体のさまざまな箇所を探りながらその手続きを感じ修正しながらおこなっているときに、フト「考えを当て嵌め過ぎず行けそうなところに行く」と、そこが技の待っている部分ではないだろうかと感じられるようになり、まだまだそうした実感は得られないのが殆どであるが、その感じが僅かでも得られたことは大きい。つまり、規矩による利きが生まれるには、「身体が出来て感覚が生まれ無意識が統御する」ということであろう。そうした稽古中に口を衝いて出てくる言葉から自分で気付かされることは多い。

 杖術でも同様に試して見たいと思ったことがまた新たな技の考案に至った。
 今回は稽古前から試してみたいと考えていた、相手が杖を掴んできた際に、これまでのように、両手の幅が狭い場合には「捧げ首潰し」が有効であるが、掴まれた両手の幅が広く、杖の中央辺りにまで広く持たれた場合の対応として、何となく何か出来そうな気配があった。そこでこの日の稽古で渡部氏にシッカリと持ってもらい、数回試みたところ「ああ、ここで崩してこの方向に入れば弱いな」というのが解り、さらに円に行うよりも、部分的に直線的な操作を入れたほうが利きが良く、互いに交代しながら検証することが出来た。これはまだ名前が思いつかないが、今週土曜日の講習でおこないたいと思う。

 火曜日、水曜日と二日間で得たものは大きかった。今日はもう既に深夜1時半を回る頃であるが、一日の間に記事を三つも書いてしまった。明日は三年前に何度か稽古した方から個人稽古の依頼が入っており、写真や映像を撮るためのアシスタントも来られるらしい。今は会場が使えることが貴重になってきたので、明日は時間を大事に味わいながら色々な対応に備えたい。


2020年3月20日(金/春分の日)『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

2020年3月22日(日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年3月 武術稽古日程
(新宿スポーツセンター臨時休館に伴い改定いたしました)

甲野善紀先生からの紹介文

2020-03-06(Fri)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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