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耐性も呼び覚ます

 今夜も夜更けに最後の仕事。外はシトシト雨模様。朝には上がりそうなので土曜日の講習は大丈夫だろう。

 今日は殆ど家に居たが、午前と午後、宅配物が三件届き、生徒にお渡しする武道具、注文していた本九冊、角帯、それらが時間をズラして届いた。それと並行してホームページに八月の全講習日程と、DVDのお知らせを掲載。夕方頃食材を買いに行き、今日は一食で済ませる。その後、武道具の補修&手入れをおこなった。袴にアイロン掛ける時間は足りなかった。

 久しぶりの疲れ方をしている。それは、この連日の稽古の影響であるが、特に昨日木曜日は戸越体育館柔道場で五時間稽古をおこなった。(杖乗解しに30分使ったが)

 まずは一人稽古。杖術を三十分間動き続ける。やはり感覚的に動きにくくなっており、以前夜の公園で撮影したが、やはり全然違うものである。しかし、身体は無意識の中で呼び覚まそうとしているものがあるため、とにかく集中しておこなった。空調を全開にしても汗が畳を濡らしてしまう。

 続いて抜刀術の稽古。構えの無い状態から抜くことを今年に入って身体が構えを拒絶した。集中的に稽古に望もうとしていた時に、稽古が出来なくなってしまった。DVDの撮影でおこなう技に関しては自宅の狭い室内で抜ける範囲でおこなったが、それなりにかなり集中した稽古を重ねた。しかし、昨日のようにあらためて道場でおこなうと全然違うものである。「稲妻抜き」では薄くなっていた掌が腫れ上がり、指関節の節々がジンワリと痛む。筋肉だけでなく、衝撃による耐性というのも落ちていくものである。しかし、身体が喜んでいる。抜刀術の感覚はかなり落ちているのではないかと不安であったが、一昨日の水曜日に「峰返し納刀」を三回おこなった際に突然左手の感覚が元に戻り、苦労に感じていた二尺七寸の切っ先の感覚と鯉口に入った瞬間の滑り具合の感覚が、何事も無かったかのように元に戻った。これは、初めての事だったので驚いたが、恐らくは実感予測が失われていたため、その僅かな先々の連鎖的実感を予測する感覚的な働きが損なわれていたのだろう。

 これは左手だけでなく、左半身全てが関係しており、当然無意識的な働きである。そして、左半身が戻ってくると右半身にも影響し、全体的にも元の感覚に限りなく近付いた。だが、私が想像している構えの無い抜刀術のためには、まだまだスタートラインにすら立てていないので、身体を壊さない程度に新たな感覚を探りたい。

 一人稽古を終え、渡部氏が稽古に来たので、杖術、剣術、抜刀術をおこなった。杖術では、身体から引き出して貰うために対戦形式の自由攻防をおこなった。尤も出会い頭の危険性があるので、攻め手と受け手に分かれておこなうが、この稽古では集中と目付け、足の使い方、間の読み方など、身体のモードが切り替わるものでもあるので、今回はそれを取り入れた。

 剣術では、一昨日に続き新たな技「燕抜き」をおこなった。実はこの技は始めに頭の中だけで組み立てたものであり、出来るかどうかはやってみなければ解らないものであった。唯一の変更点は歩の踏み出し方であったが、これが考えていたものよりも、難しいものを採用することになり、これがこの技の特徴的な部分となった。明日土曜日の剣術クラスの講習で初めてお伝えすることになるだろう。

 抜刀術では、「懐月」と「稲妻抜き」をおこなったが、稽古を始めて四時間半になり、鈍った体に身体が軋み始めてきたので、無理をせず最後の三十分は「杖乗解し」をおこなった。もはや、杖整体操をする余力も無くなり、杖の上に横になる杖乗解しでも、身体の気持ちの良いところを探すというより、全身が気持ち良かったので、ノックアウトされたように仰向けになっていた。

 今までこの程度の稽古は、普通におこなっていたものなので、淡々とやれていることの大事さにあらためて気が付かされた。身体の軋みは回復してきているが、同時に歓喜の声でも聞こえそうなほど身体が喜んでいるように感じる。全てはバランスであるが、自粛期間というのは、普段の有り難さを痛感させてくれる時間でもあった。

 世間は相変わらず同じことばかりで騒がしいが、これからは(も)危機感というものを、本当の危機感とは何なのか?そこに気が付いている人と気が付いていない人との間で、なるようにしかならないことは見えているので、騒ぎが治まれば、考えがコロッと変わる人も大勢いるのだと思われる。

 さて、明日は、久しぶりの深川スポーツセンターでの講習です。会場と時間をお間違えにならないようにお気をつけ下さい。熱中症にも気をつけて、早めの水分補給でお願いいたします。(人の事いえませんが…)

 それではお待ちしております!


2020年7月11日(土)『抜刀術 特別講習会』

2020年7月19日(日)『杖整体操』

金山孝之 YouTubeチャンネル

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は美しい』~合理性を追求した身体の芸術を身につける~


金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い』~型の手続きを追求した剣・杖の実践的な体使い~


金山剣術稽古会

2020年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-07-04(Sat)
 

金山剣術稽古会再開!

 7月1日、今日から金山剣術稽古会が再開した。戸越体育館にて渡部氏と今日から会員となられた柳澤氏と稽古。

 通常の時間よりも前に、殺陣の研究と修正などをおこなう。とにかく今日は湿度が凄まじく、少し動くだけで汗が吹き出てしまう。ここまでの湿度だと杖が薄っすらと濡れてしまう程だ。武術稽古ではまず始めに「蠢動」からの崩しについて考えていた崩しを試みた。すると、なかなか上手くいかず、「あれ、こんな筈では…」と考えていると、渡部氏から手の接触についてアドバイスがあり、「そうか、そういわれて見ればそうだったなあ…」と掌の接触を掴まずに滑らせるようにおこなったところ、嘘のように軽く渡部氏が回転して下に崩れ落ちた。これは嘘だ、と全く信じられず、もう一度おこなってみたが、同様に崩れた。渡部氏は全力で抵抗するので、そのことに負けまいとする研究もしていることもあり、ランダムに蠢動を掛けたり掛けなかったりしながら先ほどの掌の接触技法で相手を回転させたところ、やはり蠢動を掛けた時にはフワッと軽く回転しそのまま腰が抜けるように下に落ちて行く。その際は、私が沈めているのか渡部氏が沈んで行くのに私が連れて行かれているのか感覚としては曖昧なものがあり、その微妙さ加減が利きに関係していることも解った。

 前回5/22におこなった蠢動から横に崩して沈めて落す動きとは、動き出しの時間と、沈めるまでの軽さが異なり、前回はジワっと動きながら相手の抵抗が生じず崩すことが出来たのであるが、今回のその場で回転させながら沈める動きには、相手も十分反応しようとスタンバイしている状態で、それをなぜだか受けずに軽く回転させることが出来てしまう。それには、蠢動の働きと掌の接触技法の二つが不可欠であり、普通では有り得ない崩し方が出来てしまう。

 その後初参加の柳澤氏にも稽古開始前に受けて頂き、出会ってからまず最初にこの蠢動による新しい崩しを体験していただいた。私よりも身体の大きな柳澤氏であるが、想像したよりも軽くスコンと回転しながら落ちてしまった。今までに本当に出来るのかと疑うような技は幾つか経験したが、今回の蠢動による崩しは何度やろうとしても出来ないだろうと疑ってしまう。名前が無いと不便なので名付けるとするならば、今の今浮んだが「独楽落とし」が最適だと思う。前回の崩し方は「案山子落とし」にしようと思う。ああ、思いのほか纏まったぞ。

 まだまだ実戦的なものとして進展させなければならないものがあるが、今はこの利きを十分に検証し味わい尽くしてから、時間を掛けず動きの中でそれが実現できるように展開させたい。今はまだ急がずに蠢動と掌の接触による技法の可能性を慎重に探っていく必要がある。

 これが、今度7/20に発売される、DVD『古武術は美しい』~合理性を追究した、身体の芸術を身につける ~の中でご紹介したかったものであったが、しかし、このDVDで蠢動の操作法を解説したことで、今の展開に繋がっているのだから、順を追って来ているという事なのだ。

 試しに、後ろ側から相手の両肩を、蠢動と掌の接触技法により崩したところ、危ないほどあっけなく後方へ倒れそうになったので、途中で支えたが、肩に触れた状態で相手を下まで崩すということは、後ろ側からの引き込みは別として容易なことではない。足も掛けずに落とすことは普通にやると笑ってしまうほど何にも起きないのである。「そりゃそうだよね。」とむしろ納得出来る。

 時間になったところで、あらためて稽古開始。柳澤氏は、コロナで六月の稽古が無くなった際にも熱心な思いがメールから伝わり、私も早くお会いしたいと心待ちにしていた。今日は、基礎鍛練稽古、杖術、剣術、抜刀術などをおこない、私としても講習会以上に身体を動かし続けた。お陰で筋肉痛というよりは手足の筋が攣りそうになり、指の節々には衝撃による心地よい余韻が残っていた。

 明日は私の一人稽古に時間を割いているので、尤も身体に響く稽古になるだろう。まあ、講習会や稽古会で慣らし運転が出来ているので問題はないと思うが慎重に身体を観ていきたい。しかし、DVDの撮影や松聲館での稽古、夜の公園での稽古や、部屋で正面斬りを1.000回と2.000回おこなったり(これは身体に良くなかったが)そのほか走ったりもしていたので、それなりには動いていたと思うが、それでも今日の稽古が終ってしばらくすると、こんな所にダメージがくるのかと、やはりそれは自粛期間では出来なかった部分の使い方なのである。

 抜刀術の稽古では、先々週の講習で居合刀の感覚にこれまで感じなかった違和感を覚え、「これは、感覚が失われてしまったかもしれない…」と思えるほどの不安感に襲われたが、今日の稽古で、柳澤氏に体捌きのための納刀法をお伝えした際にも、鞘を持つ左手の感覚が滞っており、嫌だなあ…と思いつつ、渡部氏に「峰返し納刀」をお伝えするために三回ほどおこなったところ、急に感覚が戻り、鞘を扱う左手の感じが今までと同じようになった。これは、失って初めて気が付いたものであったが、今までのように当たり前に淡々とおこなえていたものは、実は当たり前ではないということが分った。以前、人間やお金はいつ自分から離れていくか判らないが、身体に身についたものは離れていかない。だから、自分の身体を信頼して付き合って行くことが出来ると思っていたし、誰かに言ったこともある。もしかすると、「そうではないかもしれない。」と思ったときに、これには私自身ショックでもあるが、それは、身体が裏切ったのではなく、自らが先に身体を裏切ってしまったので、自業自得と言えるのではないか。勿論事故や病気で出来なくなることも考えられるが、身体を裏切らなければそれに身体は応えてくれると信じたい。だからショックを受ける必要は無い。

 さて、明日はその身体と向き合う時間だ。連日四時間睡眠だが、今夜も遅くなってしまった。もう一件だけ記事を書いて、それから風呂に入って今日一日を終えるとしよう。


2020年7月11日(土)『抜刀術 特別講習会』

2020年7月19日(日)『杖整体操』

金山孝之 YouTubeチャンネル

金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は美しい』~合理性を追求した身体の芸術を身につける~


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金山剣術稽古会

2020年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-07-02(Thu)
 

剣でつくられる身体

 昨夜は公園での稽古と動画の撮影をおこなった。

 前回は「繋之型」をおこなったが、今回は「三十連円打」と「十一之型」を撮影した。「三十連円打」では、三十ある動きを三つに分けて解説し、正面と斜め後ろからの動きをお伝えする予定。「十一之型」では、全体の動きをゆっくりと解説しながらおこなう。前回もそうであるが、道場と違い、屋外で雑草が生えた芝の上を雪駄でおこなうのは、具合が大きく異なる。しかし、摺り足や足裏の重心配分の操作は、浮き身が体に入っていると対応し易い。逆に、地面を蹴ったり擦り付けるような摺り足では大変になるだろう。

 屋外での稽古は以前、示現流の研究で河原に立木を設置し、地下足袋を履いて一声一打×十回、次に一声二打×十回、そのようにして一声十三打×十回までおこなったことがあった。合計すると九百十打になると思うが、石などが埋まっている凸凹の地面上を一打ずつ全て二歩半で詰めて行きながら打ち込んで行く。普通に歩いては届かない距離のため、地面上を滑らなければ立木に届かない。そのため、自ずと前に倒れるようにして歩を踏み出して行かなければならず、最後は両足が滑らなければ、届かせることも強く打ち込むことも出来ない。それから暫くして気が付いたが、これは素晴らしく浮き身の稽古になり、かつ体幹は鍛え上げられる。この稽古を厳しく続けていれば、この流儀に適った体になったであろうし、今とは全然違う身体になっていただろう。だが、当時は、手之内は頑丈に肉厚が増し、打ち込みの強さは当時の師範も驚かれていたが、抜刀術が流儀の違いからか全く精度が狂ってしまった。しかし、立木打ちの稽古は、短期間に心身ともに鍛えるには相当な効果が期待できる。だがそれだけに続けられる人も限られてくる。もっとも都内ではこれが出来る環境が無く、屋内では個人で立木を固定するのも難しく、屋外では人目について場所探しが難しい。立木への打ち込みが身体に跳ね返り、関節の節々に響き身体の芯にまで届いてくる。

 今はこういった稽古はしていないが、これからの事を思うとき、調和や浮き身、脱力、その他にも感覚的なものは度々発見するとは思うが、示現流における立木打ちのような、身体そのものがその流儀における機械のような、強靭さと精確さをもつ、それがどういった稽古になるのかは私自身いまおこなっている稽古の中から整理して行かなければならないが、自らの身体を機械化するような部分も育てなければならないと感じている。それには、慎重に身体に適った動きの中で逆効果にならないものを探し出さなければならない。それはやはり剣なのであろう。


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金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

甲野善紀先生からの紹介文

2020-05-07(Thu)
 

第二弾となるDVDの撮影をおこないました

 昨日は、BABジャパンから今夏発売予定となるDVDの撮影をおこなってきました。

2020.04.27 DVD撮影風景
2020.04.27 DVD撮影風景②

 昨年5月に発売されたDVD「【古武術は速い】~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~」からもうすぐ一年となりますが、再びこのような機会が訪れるとは驚きました。

 4月は自粛生活のため、時間を優先的にこちらに集中させることができましたが、それでも稽古が存分に出来ない中での撮影には多少不安がありました。今回の撮影では、私なりに必要なスキルが明確となりましたので、そのことが全体的な取り組みの中で確認できましたことが一番の収穫であったと思います。

 約10時間の中、ディレクターのYさん始めスタッフの方々には大変お世話になりました。そして最後まで静かに集中して受けを務めて下さいました渡部氏と平田氏にも深く感謝しております。

 今回のDVDでは、剣術、杖術、抜刀術、体術、それぞれを収録いたしました。こうした撮影現場というのは、いろいろあると思いますが、私にとっての鍛えられる現場として、かつて、役者の道を志していた頃を思い起こすような新鮮な心持ちとともに、「ああ、私にとってこの経験値は皆無のものであったのか!」ということに気がつきました。つまり、実技や指導というのは、日々経験値を積んで来ておりますが、解説ということになりますと、講習での指導とはまったく異なるものになります。これは同じでもそれはそれで出来ますが、無駄を削ぎ落としたものづくりとして、不特定多数の方にお見せするものとして求められるものが違ってきます。

 そのため、今後私の勉強としても動画を配信し、そこで解説を行う必要があると感じました。現在週に一回ほど定期的に期間限定配信として、個人的な確認のため、撮り溜めておいた蔵出し映像を小分けに配信しておりますが、まだ今までに一度も解説をした動画は敢えて撮らないようにしておりました。

 しかし、現在の非常事態宣言で稽古から遠ざかっている生徒や門人達の意欲の炎を消してしまわないためにも、蔵出し映像の期間限定配信が終っても、引き続き解説を付けた動画配信をおこなっていこうと考えております。これには、生徒や門人のためでもありますが、何より今回の自らのスキルを上げなければならないという、どうにもならない違和感に覆われた私を何とか変えたいという思いが、今後の定期的な動画配信をおこなうものとして決断するに至ったのです。

 ですが、一武術の解説動画ですので、私には大した編集も出来ませんし、映像も粗いものと思われます。あくまでも先日の撮影のようなつもりで、今後に繋げるものとして望んで参りたいと思っております。

 大きな課題が見つかり、それが時代の流れに合う大義名分が立ちましたので、昨日の撮影では本当に得難い経験をさせていただきました。これからも、技の精進はもとより、待っていて下さる生徒達と共に、さらなる向上を目指して前に進んで行こうと思います。


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金山剣術稽古会

甲野善紀先生からの紹介文

2020-04-28(Tue)
 

感謝が出来ていますように

 昨日水曜日は戸越体育館で渡部氏と稽古。

 土日の講習は週末という事もありまた参加される人数も多いため、開催を中止せざるを得ない状況となったが、平日の稽古会は、現在戸越体育館のみでの開催となっているので、渡部氏に稽古相手になってもらっている。

 昨日は「蠢動」に大きな進展があった。尤も、蠢動はもう古い術理として、最近は全然やらずに他の運用法を取り入れたのであるが、久し振りにやってみると全然利かない。互いに立位で腕を掴んだ状態から相手を振り回す検証をおこなったのであるが全くダメ。渡部氏も自分でいろいろと考えて内部の働きを活かしているので、私よりも体重も筋力も少ない渡部氏でも足元まで動かすことが出来なくなってしまった。

 これは「どうしたことだ!」とさまざまに工夫してみたものの、なんとか強引にしか動かせなくなってしまった。やはりもう蠢動は駄目なのかと諦めかけたときに渡部氏から「なんだか凄く力が入っているような気がするのですが…」と、そこで「ハッ」と気がつき、蠢動の利きは身体が何かやろうとするのを解放するように、何もさせないようにすることで利きが一層高まってくることは以前から気がついていたが、どうもその後におこなった別の身体の運用法が、身体内部の流れを実感するようにおこなっていたため、その癖が蠢動に対しても実感を得ようと強くやり過ぎてしまっていたのであった。相手が崩れないから、益々蠢かそうと力が入ってしまい悪循環。やっている本人は、どうしてこんなにやっているのに以前より利きが悪くなっているのかと考え込んでしまう。

 そこで、極力脱力し、力が入りにくい姿勢をとったのち、蠢動をやっているのかどうか自分でもわからない位の感覚でおこなってみたところ、これまで動かせなかったり強引にやっと少しうごかせていた渡部氏が、納得するように飛ばされた。

 今回得たことは、「脱力のちから」である。当然脱力だけでは一番脆く全く利かない。面白いのは、それと殆ど見た目にも当人の実感としても変わりがないのに、現時点で一番利くことにある。この紙一重の違いに「脱力の妙」があるように感じた。こうなると興奮冷めやらぬ思いで一気に火が点き、座りでの一点接触からの崩しにも同様に働きを得た。これは、映像で観ても俄かに信じ難いと思われるだろうが、受けていただくとその差は歴然としているので、私としてもこの脱力のちからを今後も稽古で検証し展開させて行きたいと思っている。

 おそらく結構な力が掛かっていたのだろう、記事を書いている現在、右腕前腕尺骨全体が筋肉痛となっている。

 その他にも幾つか試したことがあるが、稽古の可能性は自分の興味と感覚の予知を感じる部分にあり、自分を信じてそれを通していくか、改め他を探すか、その答えは自分で決めること。それは意識的にそうしようと思うのではなく、どこか身体が、まだ諦めないで続けたほうがいいと訴えているのを何となく感じられているからだと思う。

 だから、稽古を始めたばかりの人は意欲的に続くであろうし、しばらく経ち出来ることと出来ない事が色々わかってきた人は、出来ることで感覚を養い、長く続けている人は、身体からの声に耳を傾ければそれでいいのかもしれない。勿論それだけではないが、今思い返しても、これまでの稽古の中で何も無くただやっただけという稽古はおそらく一度も無かっただろう。さいきんは不思議と、全然ダメな状態に持っていかされてから、挽回するという流れが続いているが、渡部氏の発言から大進展したことも続いている。こういう時間の過ごし方は、普通に生活してきたらあまり経験することはないかもしれないが、私も色々な事をやりながらこうした武術稽古の日々が人生の全てに関わってくるようになってきた。世の中は全て知らなくとも、その知らない部分を信じることで、運ばれていくこともあるのだと思う。無意識的にでも感謝が出来ていますように。


金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』


金山剣術稽古会

2020年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文

2020-04-02(Thu)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンDVD
『古武術は速い』指導・監修

2020年
BABジャパンDVD
『古武術は美しい』指導・監修

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