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感覚と脳の手続き

 そういえば昨日は晩御飯一食、今日は昼御飯一食だけであった。現在3時を過ぎたところ、体重が2kgほど落ちていた。

 さて、眠りたいところであるが、まだ元気が残っているので書いてみる。
 昨日月曜日は高田馬場で竹田氏と稽古。竹田氏が訪れる前に二十分程抜刀術の一人稽古。久し振りに取り組んだ「鷲眼一閃」に進展があった。というよりも、昨年の12月頃に取り組んだ間合いを長く取っておこなう操法に抜刀術としての調和感覚が失われていたため、元の間合いに戻しそれに見合った手順に変更しただけである。しかしながら、久し振りに切っ先が軽く奔って行く実感はやはりこの手順でなければ感じられないものである。

 竹田氏との稽古では、蟹、雀の脚部鍛練稽古ののち、合気道をおこなっている竹田氏に少し座りでの体術をおこないさらに合気上げのような状態では背中を使うことが有効であるとお伝えした。これは甲野先生の「辰巳返し」の応用である。いわゆる耳たぶを触る感じよりもぶつかりが無く楽に相手の前腕へと通していける。これは関西の講習会でもやってみようと思う。

 続いて杖術の基礎的な打ち込みや突きをおこない、「三十連円打」の十七番目まで稽古した。これまでにさまざまな杖の稽古内容を考案してきたが、大体動きが生まれるときというのは何の準備も無く、「ちょっと考えてみようか」と突如思ったときになぜだか解らないが用意されていたかのよう生まれるものである。したがってそうでないときは考えてみようかという気にはならず、別のことに興味と集中が注がれている。これは無意識レベルで何らかの働きがあるのだろう。

 抜刀と納刀稽古では、ひさしぶりにというか竹田氏は初めてであるが歩きながら抜刀納刀を稽古した。

 これは、歩の速度を緩めずに、足運びと共に鞘を出し、続いて鞘を引きながら抜刀し、斬り上げから斬り下ろしまで歩を合わせ、さらに納刀では鞘を平にし、切っ先が鯉口に触れたところで右足が前になり、続く鞘から鍔元に迎えに行った際に左足、柄頭を押さえながら鍔を体に寄せて右足、というふうにおこなうのは意外に難しいものである。

 抜刀や納刀稽古というのは殆んど静止状態からおこなっており、歩きながら、または走りながらおこなうとなると、難なく出来なければならないため、こうした刀と鞘の扱いも稽古の中では短い距離の中でおこなえるかが重要になってくる。こうした点は、帯刀が許されていた時代とそうでない現代とでは物凄く大きな差として技量に影響しているのだろう。

 稽古における心地良さとは、実感予測に対する実際の実感がそれを違和感にさせるのか心地良さ(纏まりや調和または抜けにおけるストレスの無さ)にさせるのか、そこには身体感覚の把握とそれらをどの手続き手順で動かすか、一つ一つの精度も求められるなか、感じ取って行かなくてはならない。

 こうした身体各部の手続きを、少し専門的に説明すると、動きの動機付けをまずは脳の前頭葉にある前頭連合野が指令を出し、続いて脳の一番後方下にある視覚野から側頭葉にある側頭連合野にて動作に必要な視覚情報の確認をし、さらに頭頂葉にある頭葉連合野からその動作についての位置関係などを確認する。

 ここまでは確認作業であるが、続いて、運動連合野という部位が動きについての準備を整える。そして、運動野に指令が送られ、筋肉の収縮量などの指令が脊髄の運動神経に送られて行き実際に身体を動かすことが出来る。

 こうした手順の流れは一瞬で済まされているため、実は脳のさまざまな部分が連係しあって一つの行動を決定している。そうしたことを何となく知っている人は多いと思うが、武術稽古の中で自らと向き合う時間を大事にすると、この辺りの手続きの流れに「そうだろうなぁ、時間掛かってるし誤作動してしまうし…」と感じる部分もある。

 そこで、そうした動きを円滑におこなうためには、小脳と大脳基底核という部位の働きが重要になってくる。

 小脳は、指令と実際の動きの誤差を修正し、大脳基底核は、必要な筋肉群を組み合わせ動きのコントロールをしている。

 これだけ沢山の手続きをおこなった上で人は動いている。だから、武術稽古では、各部の手続きを最小限にし、視覚情報を抑え、小脳と大脳基底核の働きを存分に引き上げ、気付きを得ているのだろう。

 そうしたことを一纏めに感覚と言っているが、さまざまな働きの部署が脳内にあり、それら手続きをいかに速やかにかつ興味を持ち続けておこなえるか、やはり脳を育てる「脳育」が武術稽古にはある。得たものが普遍性を持っているのも頷ける。
 
 時刻は四時半を回った、脳が休めと訴えている。だがもう少し。ということはまだ訴えていないのだろう。


 そして本日(とっくに昨日ですが)火曜日は、「クラーチ剣術教室」でした。

 今年の一月ご病気のためにお辞めになられたKさんが復帰される予定と伺い、元気でムードメーカー的な存在でもあったKさんの復帰は大変嬉しく思います。ご病気も小康状態で安定しており、皆さんからのお声で一歩を踏み出されました。とはいえ、八十八歳の方ですので無理せずに楽しくがんばることなく笑い合えるような場になればと思っております。

 体験参加のHさんも続いて参加されております。ご自身の中で「今日はこれだけ」ときめて集中的に取り組んでおられますので、出来る喜びを求められているのだと、その真剣さは伝わってきております。そういう意味では、皆さん相当真剣に稽古なさっております。表面的な形から、感覚的な実感を求められる方も見受けられるようになりましたので、意識的には動きを忘れていても、動き始めれば以前に比べ身に付く時間も早くなりましたし、修正力も高くなってきました。

 講習後はレストランで食事をご馳走になりました。今日は日本各地の旅行話に花が咲きました。人が知っているところは観光地化して魅力が無くなり、人知れず訪れることが出来る場所への憧れはあります。そうした旅行や旅というのももっと重ねて行きたいものです。


 そして夜からは甲野善紀先生のところで稽古。意識的にも無意識的にも、私が得られているものは計り知れない。私が5時まで起きていられるのはそうした感動が残っているからです。

 何を書いても野暮な感じにしかなりそうにない気がしますので、今日はここまでにしたいと思います。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年09月28日(土) 『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ(お問い合わせ受付中)

2019年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-09-04(Wed)
 

抜刀術一人稽古

 昨晩はいろいろと体を動かしたため、今日は背中が寝床から離せないほど身体が休養を欲した。かなり眠ることが出来たが、その体を本日も気持ちよく疲れさせることが出来た。

 今日は夕方から高田馬場へ抜刀術の一人稽古に向った。昨日の稽古で、身体が抜刀術の感覚を欲していることを感じ、久し振りに私一人だけのために武道場で稽古することにした。

 納刀稽古では、一気に鯉口へと切っ先を入れるように体全体の感覚を大事におこなっているが、何度もおこなったのち、柄頭の辺りを持って長い刀を納めるように納刀をおこなってみた。測ってみると鍔元から約18㎝ほど柄頭寄りを持っていたので、六寸長くなり、私の居合刀の刃長が二尺七寸なのでだいたい三尺三寸の刀身を納める感覚ということになる。

 しかし、柄頭ギリギリを持つとなるとバランスが悪くかなり重い。三回ほど納刀してみたところで持ち手を元の位置に戻し、再度これまでのように納刀しようとするとこれが大変!手之内を始め身体各部の感覚が先の三尺三寸の感覚のまま残っており、そうした残留感覚が直ぐに切り替わってくれないところに、身体と脳の働き、昨日のタイトルで言うところの阿吽の呼吸が乱されてしまうのである。

 十回近くおこなったのち感覚は元に戻ったが、私が定寸の刀で稽古しないのも、今の二尺七寸の感覚を失わないためである。しかし、木刀などは定寸サイズでありながら抜刀術に影響しないのは面白いものである。脳が必要のために覚える感覚は、単に重さや長さではなく、その動作における全体の調和記憶なのだろう。

 今日の稽古で安堵したことは、最近おこなっている身体の調整運動の影響が無い事が確認できたことである。そのため昨夜は大いに動いたのであったが、張りはもうなくなり逆に広背筋が柔らかくなった。筋トレのように重さや負荷を掛ける動きでなく、瞬間的に浮きを掛けながら素早く肩甲骨を動かすのであるが、その際の衝撃が全身に響くものですぐに汗が吹き出してしまう。

 抜刀術では、十二本のうち十本をおこなった。その中でさまざまに得たものがあり、いつもおこなっている訳ではないが、こうして一人稽古のために自分の時間を存分に使って新たな気付きを得て行けるというのは贅沢なことでもある。

 大きく進展したのは「隅返し」である。以前は刃鳴りを意識しすぎていたせいか、大振りになっていたことに今更ながら気が付く。刃鳴りは僅かであるが刃筋が立っていれば、音の大小は問題ではない。そうしたことから、これまで違和感に感じていた抜刀時の力感や疲労感が、今日の動きでは心地良さに変わり、速さが圧倒的に変わった。これは現在2019年度版の抜刀術の映像を年内に差し替える際にその違いが確認されるであろう。やはり抜刀術といえる身体感覚には、身体が抜けている間の速さとエネルギーが技に値するかどうかであり、実感の先を行くような、なんだか解らないけど抜けていることが稽古の中では求めている部分である。

 その「なんだか解らないけど抜けている」というのは、身体各部との折り合いが、集中状態の中で、モヤモヤした何ともいえない形の感覚の中で矢が放たれるように動き出している感じである。

 それは何度おこなってもハッキリしないものであり、しかし雰囲気があるものでもある。おそらく身体の実感予測に意識を忘れ委ねることにより働きが生まれるのではないだろうか。当然、頭で考えた動きをヨーイドンでおこなってもこの働きは得られない。

 抜刀術を二時間おこなったが、二時間ずっと動き続けていた訳でなく、むしろ静止状態のほうが長い。だが、集中が最近経験してないほど深いものとなり、一時間ほどでかなり疲労感に襲われた。瞑想後の状態に近いものがあり、感情が無くなったような、周囲の空間が実感の無いような映像でも観ているような感じになり、その心地良いはずの状態でも長く続くと疲れるものである。

 あらためて一人稽古は貴重であると感じる。感覚を研ぎ澄ますにはやはりそのための働きを身体にいかに経験させるかである。見た目では解らない感覚をともなった身体をこれからも追求したい。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年09月28日(土) 『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ(お問い合わせ受付中)

2019年8月 武術稽古日程

2019年9月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-08-31(Sat)
 

星の欠片と無慈悲な辻褄

 たった二日間でも盛り沢山な情報量。時間にしてみれば合計十時間足らずであるが、現在進行形を常としなければならない生活において、この数時間というのは生きている今を無駄にはしていないと思う。今の今はこれまでの結果であり、良くも悪くもその瞬間をどのような気持ちでおこなえているかに人生の今を知る。


 先ずは昨日火曜日から。

 今年に入って退会者が相次ぎ半数にまで落ち込んだ「クラーチ剣術教室」での講習。引越しや病気のために数名の方がやむを得ず退会され私も心を痛めておりましたが、いちどそうした流れになってしまいますと、少しの病状の気配から突然お辞めになられた方やそれに続く方もいらっしゃり、八十歳台の参加者の方々でも元気に楽しくおこなわれているものと、まだまだ大丈夫だと思っておりましたが、私にとって初めての経験でもある高齢者の皆様との稽古でこれまで五年間毎週月に四回おこなってきておりますが、さまざまに考えさせられました。

 元気に楽しく、気が付けば心身にとってプラスとなる効果が期待できるものとして武術を基盤とした運動をおこなっておりますが、そうしたなかで、運動の一環レベルでしか伝えられないもどかしさもあります。とはいえ、それ以上の事を望まれる方もいらっしゃいませんし、私もおこなうつもりもありませんが、まったくゼロではない部分もありますので、これからの他での活動も含めた経験材料としてこれまでの状態を焼き付けておこうと思います。

 そんなことから、体験参加のお知らせと新たな時間割に基づいた料金設定の改定をお伝えし掲示板に貼っていただいたところ、二年ぶりに新しい方が参加されました。

 他にも数名の方が外から様子を見に来られておりましたので、また再びワイワイと賑わう空間になることで講習効果が倍増いたしますのでそこに向けて関係者の方々にはご協力を願いたいと思います。

 
 夜からは、松聲館へ伺い甲野先生と稽古。

 私の生き方、思想、身体における日々の循環的発見は、この今を生きているからに他ならない。

 私という育ち方をしてきた人間が、今の時代でこれからどういう風に生きていくのか、それは今日の稽古明日の稽古が導いてくれるものであり、近道など無い。

 身体という発見は、人間への興味、生き方への探究につながっていく。さまざまな争いやいざこざも、必然的におこりうるものとして、道行く流れを選別している。知能、知性、それとはまた違った視野で観ていくことも大切だといえる。

 「人間は星の欠片で出来ている。」と、先日NHKでブラックホールの新事実について番組内で例えられていたが、超新星爆発による元素の放出が巨大なブラックホールから噴出されるジェットの影響により元素の種類と割合が広大な宇宙空間でも均一なものとなった。それが我々人類の誕生には不可欠であったと知る事になったのであるが、いずれにせよ、星も人間も無慈悲な辻褄のもと今に至っている。それが自然でありそれが今なんだという事。それぞれが同一方向では成り立たない、同一方向を目指しても何らかの事情や出来事により軌道修正しなければならなくなる。その軌道を見つけるのが人生なのかもしれないが、そうした軌道(運命)というのはその時にならなければ解らないものだろう。良いも悪いも無くそのようになるために時間が流れ動き続けているのだろう。


 話が大きく逸れてしまいましたが、先日刊行された甲野善紀先生と前野隆司先生の共著による新刊『古の武術に学ぶ無意識のちから』がワニ・プラスより発売されております。

 また、8/16(金)に夜間飛行からのDVD『甲野善紀 技と術理2019』も発売されますが、こちらはあらためて告知させていただきます。


 そして本日水曜日は戸越体育館柔道場にて渡部氏と稽古。

 昨夜の稽古で身体と心が、大事にこのことを整理しようとしていた感じがあり、三時間程しか眠れなかったが、それでも眠れないストレスはまったく無く疲労感もあまり感じられなく稽古に向かうことが出来た。

 立廻りの研究では、タイプMの序盤を若干修正した。前回の講習で刀を抜いた後、二人続けて躱していた動きを、一人目は払い、二人目を躱すことにした。さらにその直後の刀の突きつけ方も若干修正し、全体的な角度とキッカケのタイミングなど微調整した。

 続いて、今週土曜日に深川スポーツセンターでおこなう講習内容に「血振りからの納刀」のバリエーションが八つ程あるので、再点検した。これに関しては、先日おこなった倒れ方のバリエーションのように、安定した技術を習得することで現場で役に立つものとしてお伝えしたい。

 続いて体術の稽古をおこなう。「蠢動影絵」による構造の強さを再確認し、今回はあまり長くはおこなわなかった。仰向けからゆっくりと足を伸ばしたまま起き上がることに私の身体がどうしてか関心を持っているので、渡部氏と共にしばらく楽に起き上がれる動き方を模索。これは昔から私の体格的なものなのか苦手とする動きでもあるので、それがなぜなのか解った上で、なにかしら得るものがあるかもしれないので身体を観ながらしばらくやっていこうと思う。

 最後は「杖整体操」をおこなった。今日はまた新しい動きを考案したが、肩を楽しく解すような動き「ぶらぶら」と「ゆすり」である。次回8/12(月)に杖整体操の講習会でそれを取り入れようと思っている。

 今夜はここまでとしたい。完全に体内時計が狂ってしまっているが、どこかで戻さなければならない。明日は高田馬場で稽古。今年からエアコンが導入されたので嘘みたいに快適な稽古環境となった。これでエアコンの無い稽古場が皆無となったが、これも時代の変化であり適応しなければならない事案である。


 金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年8月12日(月/祝日)『杖整体操』(お申し込み受付中)

2019年8月24日(土)『剣術 特別講習会』(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ(お問い合わせ受付中)

2019年8月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-08-01(Thu)
 

技に身体を合わせるのではなく、身体に技が合うということ

 22時過ぎに山形県で地震があったのを知ったのは稽古が終って帰宅の最中であった。一瞬ドキッとしたが、今では津波注意報も解除され一先ずは安心した。だが、まだ余震などが続くと思われるので現地の方々は不安な一夜を過ごされると思う。このまま落ち着いていくのを願いたい。


 さて、本日火曜日は午前中に「クラーチ剣術教室」に行ってきました。天気が良いせいか皆さんの表情がいつも以上に元気そうに見え、天候と体調の微妙な関係を感じた瞬間でもありました。

 今日はいつものように「転ばぬ先の一歩」をおこない、これまで後ろから方をタッチして一歩を引き上げていましたが、今日からは「ハイ!」という声のタイミングに合わせて前に出ている方の足を引き上げることにいたしました。これにより後ろの人のタイミングが取り易くなりました。そこで両足同時に引き上げる際の合図をどうするのかという質問に、最初は「りょうあし!」と掛け声をお願いしていましたが、なんだか長くタイミングが取り辛いのでSさん達が「ホイ!」と言っておりましたのでそれを採用。

 歩きながら後ろから「ハイ!」と言われればその時出ていた前足を一度地に着いた後さらに引き上げるというもの。つまりこれは躓いた際の状況を再現するもので、そのときは反対側の足は動かせませんので、前足が反射的に引きあがるかどうかが、転倒防止に大きく関わってきます。「ホイ!」については、両足で床を蹴らずにトンと沈むもので、これについては実際にこちらのみなさんが反射的に使う場面は限りなく無いものと思われますが、身体の使い方としてはさまざまな動きに働いてくるものですので脳トレ的な意味合いも含めましてみなさんにやっていただいております。

 そこで「じゃあ、ここで休憩にはいりまーす!」「はーい!」に思わず反応してしまう方もいらっしゃいましたが、この運動を毎週おこなっておりますと、瞬間的な反射を継続的に身体に体感させておくことで、実際の躓きに対する反応にも変化が見られると思います。まず、重心が乗った足を咄嗟に引き上げるということは、ふだん身体の使い方としてどのようにおこなっているのかを知らなければ若い方でも上手くは引き上げられないものです。どうしても床を蹴りやすくなりますので、躓いた瞬間に床を蹴っては即転倒ですので、まず床を蹴らないでしょう。どうしていいのか慌てているうちに倒れてしまうと思われますので、最低でも歩の踏み出し方は運動法の一貫として練習しておく必要があります。

 杖術では三十連円打をおこないました。七十歳代~八十歳代の方々も三十連円打を最後までおこなっております。もちろん進み具合には個人差がありますが、それでも難しい動きをおこなえるようになっておりますので皆さんの熱意にはきっと初めて観られた方にとっては驚きの光景となるでしょう。

 剣術では、「抜付之型」「真っ向突き之型」「巴抜き之型」などを久しぶりにおこない、一対四を想定した体捌きをおこなったのち最後にこれもまた久しぶりに「鹿威し」をおこないました。これは今年になって体調が思わしくなく、しばらく休講されていたIさんですが、それでも最近は無理をせず途中から参加され、合間に自由に休みながら参加してくださっております。Iさんの内に篭らない姿勢はほんとうに素晴らしいものがあり、精神的に強いOさんでさえ「あっぱれ!」と仰っておりました。

 そんなIさんは八十五歳位だと思われますが、最後におこなった「鹿威し」が一番上手で、これには毎度私も驚かされます。鹿威しとは、日本庭園などにある竹筒の中に流れ溜まった水がシーソーのように流れ落ちたあと軽くなった反動で「カコーン」と石などに竹が勢い良く当たる音のするアレです。鹿威しという名前からして、人間が鳥獣に対し何かしらの被害を負わないために工夫して作った知恵のある装置です。

 稽古でおこなう鹿威しとは、二人一組となり、相手が木刀の刃を上向きにして水平に構えます。そこに向かって上段から真っ直ぐに振り下ろし空振りすることなく打ち当てることが出来るかというものです。刃を上向きにしておりますので綺麗に真芯で捉えるのには時間が掛かりますが、真芯で捉えた瞬間には相手が驚いてしまうほどの威力が伝わりますので、ときに木刀が落ちてしまうことをこれまでいろいろなところで行いましたが見受けられる現象です。

 今日はその鹿威しを、目を瞑っておこなっていただきました。目を瞑りますとどうしても癖がある方へ剣がズレますので、そうした自分の癖を知り修正していくようにおこないました。まあ、あまり難しくならないようにお伝えしていかなければなりませんが、目を瞑って精度を高める方法は、自分と向き合うというキッカケにはなると思いますので、そうした稽古に慣れていない方にとってはお勧めの稽古法とも言えるでしょう。一人でも印を付ければできますので。


 夜からは松聲館で甲野善紀先生と稽古。

 先月発売された、私が指導監修をおこなったDVD『古武術は速い』を先生へ。

 稽古では、私が4月に発見した「蠢動」がどの程度効果があるのかを知りたかった。先生にもいろいろお伝えすることができて、その後先生の突きがさらに強力になり驚きました。

 剣術でもさまざまに手を合わせるような形で、抜き技が目の前で新しく誕生し、そうした対応にまた一段と変化され、あらためて「技に身体を合わせるのではなく、身体に技が合うのだ」ということを体感いたしました。

 体術でも浪之下という技のキレにこれまで受けたことの無い衝撃を感じました。いろいろと工夫してもさらにその上またその上を先生は行かれますので、自分の稽古でもまったく気が抜けません。

 先生から学ぶことは意識的にも身体的にも質の高いものです。また無意識の中で学んでいるものも確実に育ってきます。そうした学びが身体を通じて同時に心を育み次に循環して行くものであると思います。

 良い循環をしていく稽古。それは世の中にとって求められるものでもあります。逆になってしまっては武道武術にとって本末転倒でありますので、これからも先生との稽古を通じて私なりに広く学んだものを良い循環にすべく、自らをもっともっと向上させていかなければなりません。今夜はとても勉強になりました。


  金山孝之 指導・監修 DVD
『古武術は速い~“型の手続き”を追求した剣・杖の実践的な体使い~』

(2019年5月20日より発売中)

2019年7月15日(月/海の日) 『抜刀術 特別講習会』
(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ
(お問い合わせ受付中)

2019年6月 武術稽古日程

2019年7月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-06-19(Wed)
 

研鑽し還元のための選択

 午前中は快晴となり道衣を干していたが、午後からは一気に曇り始め室内へと取り入れる。雨が降る前に4月最初の走り込みをおこなった。昨日のNHKでおこなっていたイチロー氏の密着取材で最後にシアトルの自宅近辺をジョギングしている後ろ姿と、甲野先生の椅子から立ち上がる際の足の使い方をヒントに走りながらアレコレ考えている内に、身体が前に押し出される足の使い方に得るものがあり、これは自ら走るために足を踏み出すというよりは、前に押し出されるために足を使っているという感覚なので、足の筋力などへの負担が少ないように思える。まだ今日一日だけなのでなんとも言えないが、自ら走るよりも、走らされているほうが、意識的には楽なので、次回も試してみたい。

 日中は夕方まで、事務作業やインフォメーションに時間を費やした。

 先日3/30(土)のGold Castleの開催会場を品川区総合体育館と更新情報の項目へ掲載していたため、Iさんが間違ってそちらに行ってしまい講習を受けられず誠に申し訳ないことをしたと反省。他の項目では深川スポーツセンターと書いていたので、私もIさんから後日連絡が入るまで全く気が付かず…以後気を付けます。

 4/7の深川スポーツセンターでの殺陣クラスが早くも定員となってしまいました。新年度の4月は新たに習い事を始められる方が多い時期ですので、殺陣だけに限らず、剣術や杖術も身体の使い方には共通したものがありますので、そちらのクラスもお勧めしております。

 4/13(土)は15時00分~17時00分 戸越体育館剣道場にて「金山剣術稽古会」単発参加型の講習会を実施いたします。二時間の講習で剣術、杖術、抜刀術、などをおこないます。初めて参加される方や、集中的に稽古をおこないたい方にはお勧めですので、おそらく少人数での集中した稽古になるかと思いますので、得られるものは多いでしょう。

 そして4/29(月/祝)は「杖整体操」をおこないます。今後しばらく開催予定は御座いませんので、ユッタリとした時間を過ごせる貴重な機会でもありますので皆様のご参加お待ちしております。


 夜からは神保町にある「神田すずらん館」にて、後藤健太館長、井上欣也さん、五十嵐剛さんとのメンバーで打ち合わせと稽古をおこないました。

 先日の甲野先生のDVD撮影で一年ぶりに三人が集まりましたが、それ以外の場所で一緒に稽古をおこなったのは初めてであり、そりゃあ楽しいだろうとは思っていましたが、時間が止まっていると感じるほど、それぞれの持ち味を存分に発揮し、技の興味や面白さもあるのですが、なんというかやりとりの面白さが凄くいいんですね。これはやはり、それを仕事としている生き方が説得力となって、それをその者同士が伝え合うそれまでの時間軸の想像がおそらく感動に繋がるのではないかと思います。ただ技が出来る出来ないの考えだけでなく、自己をプロデュースし運営しそれに関わる諸々の準備段取りを整え不手際無く継続していく中での技の考案なので、そうした中での説明と言うのは、やはり感じ入るものがあります。

 またいつか、こうして集まって一緒に稽古が出来ればいいなと思います。そのためには、私自身一稽古人として自らのレベルを上げていくための稽古に没頭して行かなければなりません。

 そうしたことからも、今日の打ち合わせで今年の2月から毎週月曜日に現代武術教室を任されておりましたが、まだ私のところには参加者が居ないという事もあり、今後は専任講師を辞退し、私の稽古会に集中させていただき、祝日など不定期に講習会をおこなわせていただく旨をお伝えいたしました。

 後藤館長からは快諾をいただき、今後は何かしらの形でご協力させて頂きたいと思います。好立地で、講師の負担は無く、自身の教室に勧誘しても良いという条件、さらには空いている時間は自らの稽古等にいつでも利用できるという、こんな最高な条件は他ではありません。私が自分の稽古会に集中するのは、自らの実力がこのままでは維持することすら難しくなってしまうのではという予感があり、このような好待遇を辞退してでも愚直な稽古を自らに課さなければならないという、まだまだ未熟な自分に甘えを許さない自分が居るのも一つの理由です。それと、やはり私の稽古会が忙しくなったり、それに関する事務作業等で、参加者がいないことでお休みすることが心苦しくなり、後藤館長との関係にヒビが入るのが嫌なので、これまで通りの関係でいたいという想いから、無理のない状態で長く続いて行きたいと思ったからです。あらためて、ご迷惑をお掛けいたしますが、今後も何かしらのタイミングで講習会など出来ればと思いますし、それ以外にも何か繋がることがありましたらご連絡させていただきたいと思います。

 それまでに色々なものを吸収し、驚いて頂けるように研鑽して参ります。


2019年4月06日(土) 「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

2019年4月29日(月/昭和の日)「杖整体操」のお知らせ(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ

2019年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-04-02(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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