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打ち上げ&打ち合わせ~取材

 昨日は、お昼から双葉社のYさんとイラストレーターの山本祥子さんとともに、神楽坂で「おいらん若君 徳川竜之進―伏魔」第三巻刊行の打ち上げと次巻の打ち合わせに参加させていただきました。

 今回は著者の鳴神響一先生にお会いできず残念でしたが、あらためてその場に武術をおこなっている私が居るということの不思議さと、自らの言葉になる分野があることの不思議さのなかで共感性を感じることが出来ました。

 打ち合わせでは人間の心理面における深い部分に舵が切られていきました。私として感じることは、表裏一体といいますか、陰と陽といいますか、その両面を見ていくことで本質が分かるものがあるのだと思います。

 現代はSNSを通じ、文章や映像を目にする機会が増えております。そうしたSNSでは表側にある内容や表現に意識が奪われ易く、その裏にあるものに気がつくにはその人物をよく知らなければなりません。ですが、合った事の無い人同士が多いSNSでは、そうした表に見える言葉や表現によって判断するツールとなっておりますので、自然とその裏にある心理状態や事情というものに気が向かなくなってしまう思考習慣へと成りかねません。

 これは私が指導者の立場として、人と接する際にその辺りの重要性を把握しておりますので、経験値の中から表と裏の中で判断していかなければなりません。その辺りの見抜ける眼を養うことも、自分自身と向かい合う武術稽古によって、自らの身心や感覚の中で気がつけるところまで相手に対しても同様の部分が気がつけるようになるのです。これは技や体捌きの見え方と同じことです。見えていないところが肝心でありますから見抜けるための自己を検体とした心と身体の裏と向き合うことです。

 文章のプロである双葉社のYさんとのお話は、その後深く掘り下げて考える、いや…考えずには要られない衝動に駆られます。

 こうした日常の「感じるインプットと対応するアウトプット」というのは、私がおこなっている武術稽古の身体を通じた学びとなっております。そうした中で今を生きる、生き抜いている方とのご縁が何かを生み出し、広がりを続けて行くのではないでしょうか。

 もっと楽に、楽しく生きていくには、表の部分にだけ捉われてはいけません。人間だれだって弱い部分もあり、僻みや妬みもあります。そうした部分が誰にだって裏にはあることを踏まえて世の中の表と向き合っていけば、傷つくことも少しは和らいで行くのではないでしょうか。

 昨夜は帰宅してしばらくそのような事を考えておりました。すばらしい時間を過ごさせていただき誠にありがとうございました。


 そして時間を惜しむようにして解散し、神保町へ移動。受けを務めて下さる渡部氏と合流し「神田すずらん館」へ。

 19時から21時まで、BABジャパンから5月14日に刊行される「月刊秘伝」という本の取材を受けさせていただきました。

2019.03.18 BABジャパン取材

2019.03.18 BABジャパン取材②

 すずらん館館長の後藤健太氏の御協力もあって、私としても慣れた雰囲気の空間で自然にお話させていただくことが出来ました。照明やその他諸々環境を整えていただきありがとうございました。

 撮影中、小太刀の動きについて得るものがありました。それは杖術「玉簾」の足捌きが小太刀にも通じることが解り、調和速度が格段に向上いたしました。この玉簾の体捌きには、同側の張りがアソビを減少させ、速さと力が備わることが解っております。半身の体捌きによる力の伝達に通じるものがあると思いますが、この場合姿勢や形に捉われず、速さと力の実感を得られるための使い方とした足捌きをおこなっております。

 二時間の取材はあっという間に終了となり、近くのネパールカレーのお店で後藤氏と渡部氏と夜ご飯。私としてはあっという間に感じましたが、待っている時間が長いお二方には長く感じられたものと思います。重ねて御礼申し上げます。

 帰宅してからは、脳が興奮していたのか3時まで寝付けず、7時に起床するはずが6時には目が冴えてしまい、結局3時間しか寝られませんでした。今日はクラーチ剣術教室の講習が午前からあり、みなさんニコニコと取り組んで下さいました。今日一番の盛り上がりは「四天誕杖」でした。何年経っても、楽しく熱中して取り組んで下さいますので本当に嬉しい限りです。昨日の取材でもお話いたしましたが、単に身体を動かすことや認知症予防のためだけに指導するのではなく、どうすれば今の今、この時間を楽しく不安を忘れ刺激のある時間になるであろうか…。そこに私は表には見えない無い部分を大切にしなければならないと、これからの時代においても表だけの言葉や効果だけでは実体を伴うのは難しいでしょう。表も裏もバランス良く振舞うことが人間関係にとって自然なような気がいたします。

 そこに本来の強さが隠されているのかもしれませんね。


2019年4月06日(土) 「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

金山剣術稽古会ホームページ

2019年3月 武術稽古日程

2019年4月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-03-19(Tue)
 

卒業式シーズン

 今日は深川スポーツセンターでの講習。向かう道中では、卒業式を迎える袴姿の女性を何人か見かけた。卒業して次に新たな環境に踏み入る時期。いろいろな想いがこの時期は一日毎噛み締めるように過ぎて行くものである。

 さて、本日の講習では、珍しく役者組がお休みされており、基礎的な足運び等時間を掛けておこないました。体験初参加の方は、足運びや構え方、斬り方などをお伝えしていく予定でしたが、今日は姿勢について時間を割いてお伝えいたしました。鼠蹊部の屈曲と膝の角度、膝から足首までの角度、胸(胸椎)と骨盤(腰椎)の関係、など姿勢における原因と改善のためのアドバイスをおこないました。

 そういう意味では毎回脚部鍛練稽古としておこなっている「蟹の前歩き」や「雀」は浮きに必要な部位を練っていく事と、軸足に体重を預けない、地面を蹴らない引き上げる操作を身につける事が主な目的でありますが、「腰を入れる」姿勢を学ぶ事にもなっていることが分かりました。

 姿勢について、自分の身体がどうなっているのか、どうすれば良くなるのかを知るということはとても重要なことです。そうした「感じ」を掴むことが脚部鍛練稽古にもありますし、殺陣クラス、剣術杖術クラスにも動きに入る前には欠かせないものです。

 殺陣クラスの講習では、先日変更した序盤の払いからの受け流しを重点的におこない、後半は払いからの胴斬り返し後の袈裟斬りまでおこないました。これも同様に動き方は変更しております。

 剣術クラスでは、Yさんが今日から生徒となられました。特別講習会にも続けてご参加いただき毎回興味を持って取り組んでいただいておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 中学一年生のR君とK君も、離れた所からでも質問が出るようになり一つ進んだなと感じるようになりました。敢えて言葉を投げかけないところもありますが、本人がどうその問題を解決できるか、そうしたところを見守りながら進めております。

 昨日16日が舞台の初日となったT君のお母様がパンフレットを持ってきて下さいました。次回の講習でも机の上にパンフレットを置いておきますので興味のある方は手にとって見て下さい。

 正面斬り、斬割り、胴斬り、峰返し潰しをおこないました。とくに最後の峰返し潰しでは、精妙な身体各部の構造と初動における自らの体重を瞬間的に伝えることが出来るかが技の通りに関わっております。この技に関しましても5月に発売されるDVDに収録されております。

 今日はホームページの「生徒さんの声」にMさんを掲載させていただきました。昨年の1月から参加されておりますが、動きの癖が見えなくなり、この教室で得た身体の使い方になって来ているのを感じます。剣術や小太刀では時に驚くような動きを見せます。これからもさらに上達されることを楽しみにしております。

2019.03.17 Gold Castle

 
 明日はお昼から、双葉社の打ち上げと打ち合わせ、夜からはBABジャパンの取材が予定されております。今夜はこれにて、本日もお越しいただきましたみなさまありがとうございました!


2019年4月06日(土) 「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

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2019-03-18(Mon)
 

重力からの開放

 かなり昔にブログかなにかでマスクの利点について書いたことがあった。本来の目的である菌や花粉などの予防と飛散防止、それに冬は暖かいし保湿効果もある。役者の頃はマスクの中でブツブツと台詞の練習をしながら歩いていたし、現場に向かう際には滑舌の練習も出来た。だから当時は、マスクも白ばかりではなくもっとファッション性の高いいろんなカラーのものがあればいいのにと思っていた。

 近年というかここ一年の内に黒マスクをつけた人をよく街で見かけるようになった。しかし黒は印象が悪く、人によっては損をしてしまう。そして最近では黒以外にさまざまな色のマスクをつけている人を見かけるようになった。

 そこで私も先日PITTAマスクを購入。色はなるべく暗くないものを探したが、グレー、カーキ、ネイビーのどれも暗い色なので迷ったがネイビーを購入。明るい色は女性用でスモールサイズのため断念。

 さっそく自宅でつけてみたが、つけ心地がよく気にならない。パソコン作業用に眼鏡を掛けているが曇らない。手洗いできるのでコスパ的にも良い。今日の講習でつけていこうと思ったが、慣れていないせいかネイビーでも印象が悪く感じたので結局つけずに家を出た。

 白も販売しているらしいが、何度か選択しているうちに黄ばみが生じるらしい。だから店頭に置いてなかったのだろう。ネイビーで外出するか、白を探すか、通常のマスクにするか、平和なことで悩んでいる。


 さて、本日のGold Castleでは品川区総合体育館剣道場にて剣術クラスの講習をおこないました。

 今日は昨年の4月以来となったKさんが復帰されました。今年の2月に文京スポーツセンターでおこなった「剣術 特別講習会」で久しぶりに再会いたしましたが、生徒としては今日が復帰となります。2014年からの生徒さんですので男性陣の中では古い生徒となります。ご結婚されてお住まいが遠くなりましたが、私とのご縁を大事にして下さっております。これからも永くご縁が続きますことを願っております。

 昨夜は生徒のMariさんから、Eテレで日本の芸能、五代目坂東玉三郎さんの回がおこなわれており、「鷺娘」という演目から所作などをご紹介されておりました。何気なく身体を動かしながら観ておりましたが、そのうち手の動きや身体の軸に目が留まり思わず見入ってしまいました。踊りに関して「重力と開放」と言う言葉が印象に残りました。身体がフワッと浮いているかのような動きとも仰っておりましたので、その辺りにも武術と通じる身体の使い方があるものと思われます。

 講習では、小学五年生のK君と中学一年生のKちゃんが今日も早くからお越しいただき、角帯の締め方や入退室の礼の作法などをお伝えいたしました。仲の良いお二人ですので、互いの存在が勇気を分け与え、こうした大人だらけの場にも二人で徐々に慣れてくるものと思われます。

 今日は久しぶりに脚部鍛練稽古で「蛙」をおこないました。これは軽くおこなっただけでも筋肉痛になるほどピンポイントに効いてきます。そのほか、通常おこなっている「蟹の前歩き」や「雀」は、5月BABジャパンから発売されるDVDに私が詳しくやり方を説明しております。

 陰陽之太刀、陰陽之祓い、袈裟割り、陰陽之型をおこない、最後にまだ名前の無い新しい動き(胴斬り返しからの正面斬り)をおこないました。あっ…今の今名前が浮びました。かつて甲野善紀先生の脚足の使い方に「水鳥の足」という技法がありました。これは今とは違う構えに連なる足の角度からの運用だと思われますが、軸足に重心を置かず両足が水鳥のように水の中で器用に動いている様を表したものです。

 そうした技法は、先に述べた坂東玉三郎さんが仰っていた私なりの解釈が加わった言葉に変換いたしますと、「地球には重力があり、そうした中で浮いているように見せる動き、そして今の時代よりも遥かにいろいろなことを我慢し抑えて生きていかなければならない時代背景の中で開放できるもの、観ている人の共感を呼べる開放というものが踊りを通じて表現なされていたのだと思います。

 重力も然り、開放するには技術が必要です。浮き身をどのように使いこなすのか。身体の関節をどのように使いブレずに動くことが出来るのか。上体が縛られずに動くためには、それに繋がる下体が動きを止めてしまってはなりません。ですから両足のいずれかが軸足とならないように、重心をコントロールし床を蹴らないように一瞬の時間差をつけて両足をそれぞれ動かします。その床に足が留まっていない状態というのは床との接地圧が弱まっている状態であり、その状態を表現するには「浮いている」という言葉が理解しやすく、実際にはもっと的確な言葉があるように思われますが、言葉というのは、実際に正しく合っているかということよりも、暗号のように、身体への計算を促してあげる言葉のほうが稽古としては成り立つものです。

 思いついたことを思いついた順に書いていますので読みづらいと思いますがご了承下さい。

 「水鳥之太刀」

 これが的確な名前かと思います。

 
 今日も皆さんそれぞれ集中して稽古に取り組んでいただきました。

 この教室も空間が守られ成長してきました。ジュニアの生徒が増えてきましたのも、そうした空間に安心感があるからだと思います。過去を思えば、中学一年生で生徒になったK君は今年高校三年生になります。彼の成長を生徒達と一緒に見守ってきました。その成長が私にとりましても成長となり、次に生徒になる若い子達への指導に繋がります。興味があれば結果は自ずとついてきます。悪気が無ければ見守って行きます。私を観て生徒を観て自分の意思で気がつき行動に移せる事をこれからも見守って行きたいと思います。
 
 
 今日もお越しいただきました、生徒の山本祥子さんのサイトの絵が新しくなっておりましたので勝手ながらご紹介させていただきます。
 http://www.sachi-coll.net/

 前回の騎馬武者も素晴らしかったですが、今回も大変素晴らしい作品です!馬のシリーズは個人的にはもっと観たいです。ほんとうに素晴らしいです。

 
 明日は、深川スポーツセンターで講習をおこないます。殺陣クラスはいろいろ変更があります。剣術クラスが最後に「峰返し潰し」があります。前回の杖術でおこなった「お辞儀潰し」に通じる技です。初めての方はお楽しみに!

 スポーツ保険の更新、新規加入、抜刀術特別講習会のお申し込みもお待ちしております。今回も懇親会はキリンシティ大崎店です。今回は窓側の広い空間を予約しておりますのでさらに盛り上がりそうです。

 それでは明日もみなさま、楽しみにお待ちしております!(いつもですが、乱雑な文章ですみません。)


2019年4月06日(土) 「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

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2019年3月 武術稽古日程

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2019-03-17(Sun)
 

淡々と積み重ねること

 自宅で入るお風呂は昔からぬるめを好んでいたが、今日は試しに肌がほんのり赤くなるやや熱めの温度にしてみた。

 とうぜん長湯は出来ないがなんとも言えない身体が待ち望んでいたような染み渡る感じがあった。全身の筋肉が緩んだような緊張が解けたような柔らかさを感じるものがあったので、今後は身体の状態に合わせて温度を変えようと思う。これは昔から思っていたことだが、どうして風呂の中というのはパターン化しやすいのか、あまり向上心をもって入るということは無い。風呂の時間というのはなるべく身体や思考に負担が無いように無意識のパターン化になってしまうのだろう。今後、温度だけは調整したい。

 
 さて、昨日水曜日の稽古記事から記したい。

 昨日は昼から渡部氏と品川区総合体育館剣道場で稽古をおこなった。

 Gold Castle でおこなっている立廻りに幾つか疑問点と確認事項があったので、1時間ほどその稽古に時間を費やす積もりであった。立廻りタイプⅠが終わってタイプMに入り、ひさしぶりの研究稽古ということで出るわ出るわ、自分でも驚くほど頭と身体に新たなものがストックされてあった。

 これは剣術や杖術にも共通しているが、間が空きひさしぶりにその事を稽古すると、途端に内側から出てくるのである。この事はもう以前から理解しているのであるが、意識している時間よりも意識していない時間の方が能力が高いということ。その意識していない間の処理を邪魔しないように他の事に専念してあげる理解があるか。そこがもう一人の自分というパートナーと上手く付き合って行く秘訣だと思う。

 強く関心を持ち続けていることや、情熱を持って取り組めるものであればこそ、やらない間にも脳のどこかが(優秀な部署が)手伝ってくれているように思える。しかし、本当はやりたくなかったり、結果のためだけに一生懸命取り組んでいるのであれば、果たしてやらない間に脳のどこかがその事に付いて考えてくれているかといえば難しいだろう。

 結果のためといっても、そこに人としてどうであるかがその後の人生に嫌でも付いて回る。結果はあくまでも結果であり全てではない、結果を通過点の一部としてその先の先にあるものを想像して人生を生きていったほうが今も報われるしその先も報われるのではないだろうか。今の今がその先の今になり常に今だけしかないのだ。

 
 立廻りタイプMの研究稽古に戻そう。

 まず、カメラアングルを以前は左斜め後ろとしていたが正面に変更した。

 次に、始まりの芯の歩数を七歩と決めた。それに合わせ冒頭の絡みの入り方も変更した。

 右足から歩を進めた芯の三歩目で絡みBが後方へ回り込んでいく。(絡みは斬られ順に芯から見て左から順にABDCとなる。)四歩目でAとCが交差し両側に位置する。(Aはやや間を開ける)七歩目で芯は足を揃える形となり、その瞬間に芯は抜刀(以前は鞘に手を掛けていたが、歩数を統一したため、七歩目と同時に鞘に手を掛け抜刀することにした)この抜刀の形も、より右半身を開き、Aに対し正眼の状態で左手が鞘を持ち、上体をCに対し捻ったような形とした。差し出した刀も以前と比べて少し相手側に突き出す形とした。そのため安全を考慮してAの間合いは若干余裕を取る事にする。

 絡みAとCは、芯の七歩目と同時に声を合わせて刀を振り上げることとする。以前は左側の絡みのみ声を出していたが、歩数キッカケに変更したことにより同時におこなうものとする。

 その後の、正面から斬り込んで来る絡みDに対しては以前は体捌きで交わしていたのを、剣で払うこととし、続く後方からの絡みBに対しては交わさずに回転しながら受け流すことにした。その流れから絡みCに対して小太刀のように刃を頭上に左手を峰に添えて構える形となり、次に後方から声キッカケに斬り込んで来る絡みAに対し、これまでは下がりながら二度払っていたが、これを変更し、芯が前に一歩出ながら一度払った後胴斬り返しをおこなう。この胴斬り返しは講習で何度も練習してきたが、先週の講習で私もいろいろと思案したが、足捌きを小さくし切り返し速度を上げることにした。これにより、苦労されていた生徒も切り返しはやり易くなるだろう。

 そうして斬られた絡みAはこれまで前に進みながら倒れていたが、ここは芯の足運びを抑えたため、Aは後ろ側へ倒れることにした。Aが後ろに倒れていくことで、次に斬り込む絡みBもタイミングを取り易くなった。以前に比べてこの辺りの連係は芯の足運びを押さえたことで、胴斬り返しの速度が上げやすくなっただけでなく、絡みA、続くBの斬られる位置取りと動線が確保しやすくなり全体的に向上した。

 その後のDとの鍔競り合いはこれまで通りとなり、続くCへの斬り上げから胴斬りの際にこれまでは、上体の操作のみでおこなっていたが、胴斬りの際に右足を左にスライドさせ、絡みDはやや右回りに回りこむ形となる。そうすることで、カメラに対しタイプⅠのような最後のアングルが取れるようになった。動きも同様に払い上げからの真っ向~突きという、バレずに見栄えの良い角度でおこなえる。最後のDに対する斬り込みもアイデアがあったのであるが、既に時間が2時間15分経過しており、退出時刻まで残り15分となっていた。

 これには私も相当驚いたが、考えに考えて動きを変更したのではなく、以前の動きを合わせたのち直ぐに今回の動きがその都度出てきたので、急いでドンドンやっているうちに嘘のような早さで時間が経ってしまっていたのである。寝かせていたので、何か動きが出てくるかとは思っていたが、ほぼ全てにおいて向上すべく変化が起きた。今回は立廻りの研究稽古のみとなってしまい渡部氏には申し訳なかったが、おかげでタイプMは生徒達にも気に入ってもらえる動きとなったと思う。このタイプMのMは「みんなが出来る」という頭文字からMとしたが、初期の動きからかなり手数が増えたので「難しい」のMとも言われてしまいそうだ。だが、やはりみんなが出来ないといけませんので、人に合わせて難しい箇所は手数を減らして対応できるように考えております。


 そして本日木曜日は、夜から江東区スポーツ会館で渡部氏と稽古。
 
 昨日は、予定していた剣術が出来なかったので、私も汗をかいているのを忘れてしまうほど集中した。

 剣術では一昨日火曜日、早朝クラーチ剣術教室に向かう電車の中でフッと頭の中に浮んだ動きがあった。

 それは胴斬り返しからの正面斬りである。足運びが最初から最後まで浮きっぱなしとなり、左に一瞬重心を傾け小さくスライドしたのち前後の足が入れ換わり再び前後が入れ換わるといったもの。問題は、左手手の内がイメージ通りになるかどうかであったが、今日初めて実際に操作してみてイメージ以上に左手手の内に張り付くような感じで正面斬りへと移行出来た。この動きの心地良さは想像通りであったが、左手手の内の張り付きというか、正確には手の甲側への接触が大事なので、手の内ではなく手の外と言った方が伝え易いが響きがイマイチ合わないので、今後は何か別の言葉が浮んだらそちらを採用したい。 

 陰陽之太刀、陰陽之祓い、陰陽之型、そして今度の新しい胴斬り返しからの正面斬り(まだ名前は決まっておりません)これらをやってみて気が付くことは、左手手の内がいかに重要な仕事をしているかということ。緩める、締める、外す、入れる、巻く、返す、動きに合わせ目まぐるしく動き続けている。こうした手の内の複雑な操作には杖の稽古が大きく関係している。それだけ手の内が複雑に変化するということは、手の内だけに非ずそこに繋がる前腕上腕、肩甲骨、広背筋から腰までこの辺りの動きにも当然繋がっている。動きにおける心地良さとは、連動した身体各部の働きが、無理なく、滞りなく効率良く実感出来たときに感じられるのだろう。しかしそれは、身体の段階が上がってくれば、いつまでも心地良い訳ではなく、それどころか違和感に苛まれ嫌気が差してしまうのである。そこに改善の余地が隠されているのであるが、そうしたことを繰り返し進展していくものであり、稽古とはそのように意識しておこなう必要がある。

 変更した「劉之構」から「劉之型 月」と「劉之型 霧」をおこなった。月に関しては、これまで一段~三段まで突き入れていたが、今回おこなってみて二段までとした。そして霧に関しては、少し斜めに傾けた剣先でも問題なく対応出来た。興味深かったのは、最後の抜きである。これまでは後方に下がりながら足を差し換えて前方へ踏み入れていたが、相手の斬り込む進入角度によってはリスクが生じるため、左へと移動しながら差し換えて斬り込む形となった。これは剣先を右斜め上に傾けた事で、左に移動し易くかつ受ける影抜きとでもいうべきか、相手にとって打ち落とし頃の角度に剣が構えられているので、相手は袈裟に打ち落とそうとするそのギリギリを影抜きの感覚で構えた状態から支点を上げつつ脚部との連動により、「これは技とは言えない簡単すぎるものだなぁ」と思ってしまうほど効果的であった。甲野先生の技である影抜きは、私も研究しながら「かざあな。剣術編」でも使わせて頂いておりますが、「受けの影抜き」として、劉之構は新たな動きを導いてくれている。

 最後は抜刀術を幾つかおこなった。

 あらためて抜刀術稽古では手の内の感覚が研ぎ澄まされるものであり。その後木刀を持った際には、ちょっと違うものを持ったような、不思議な把握感というか柄から切っ先に至るまでの感覚が、抜刀術をおこなう前と後では同じ木刀でも全く違うものを持っているような感覚である。そうした精度を高められる稽古を淡々と積み重ねて行くことが重要だと思うし、淡々とおこなっているからこそ、今に執着せず先に進む準備が整っているのだろう。未熟ながらも、少しずつそうした受け皿というか入れ物のような全体における意識は変わってきていることを感じる。これからも淡々と出来るように、入れ物を大きくしながら段階を踏んで今を生きていこう。


2019年4月06日(土) 「抜刀術 特別講習会」(お申し込み受付中)

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2019年3月 武術稽古日程

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2019-03-15(Fri)
 

乍力を育てる

 本日の「クラーチ剣術教室」では、「乍力(ながらりょく)を育てる」ということの大切さをお伝えいたしました。

 社会問題になっている歩きスマホは人に迷惑を掛ける「ながら行為」でありますが、大草原や人とぶつかることなどまず無い広野であれば、歩きスマホは当然の行為となるでしょう。よって人に迷惑を掛けないという前提の下での「ながら行為」は、その環境における効率を求めた行為といえるのではないでしょうか。

 料理を作りながら洗濯もし、テレビで情報を入手しながらパソコンで作業をおこない、スマホでメールやLINEをする。そんな日常のながら行為も効率を考え、なるべく時間を無駄にしないように、仕上がりのタイミングや段取りを考えて手順良くおこなえると時間の有効活用となります。お子さんがいるともっと「ながら行為」を効率良くしなければ何かを妥協して諦めなければなりません。

 今日の講習では、乍にいたるまでの自己流の覚え方をシンプルに考えるようにお伝えいたしました。そうした抜き出しの一部分は動きとしていたってシンプルなのですが、乍で出来るためには覚え方が大事になります。

 これは、クラーチの生徒さんに限ったことではありませんが、私の動きを目で見てそれをなぞっておこなったり、鏡を見ながら目で確認して何度も繰り返している人は、乍が苦手です。

 それは常に乍でなく、目で見たところだけを意識しておこなっているため、目が幾つ合っても足りないような情報量になってしまうと今まで出来ていたことも乍経験が無いため途端に出来なくなってしまうのです。

 これは、初期の頃の覚え方をどこかで刷り込まれてしまった可能性も高いと思います。

 目というのは集中を集めやすいものですので、目ばかりを使ってしまいますと、見えているところ以外の意識が薄く気がつかない、いや気がつけない状態に陥ってしまうのです。

 乍は五感を働かせながら、一つ一つの覚え方を目でなぞるのでは無く、自己流のニュアンスを用いて感覚的に覚えるのです。なぜ自己流かといいますと、人それぞれに生活スタイルは違いますし性格もこれまでの人生経験もさまざまですので、そうした経験値からシンプルな動きに対するベストな覚え方を五感の中から感覚的に用いるのです。

 覚えの早い75歳のSさんは、最初は出来なくても出来るようになった瞬間に「あら、これだけ!簡単ね~」と仰るのが決まりなのですが、それは、覚え方のコツを感覚的に掴めている証拠といえます。簡単なのでは無く、簡単に思える覚え方をされているということです。

 そうした、簡単に思える覚え方を一つずつ増やして行くことで、乍でも出来るようになって行きます。ですから、動きの組み合わせが増えたり、相手が目の前に付いた場合でも、情報量に惑わされること無く乍で覚えたものは、単純化した手順の一部となって整理されておりますので、さまざまな動きとの組み合わせが可能になって行きます。乍ですので相手を観察することも出来ますし、その相手に合わせてあげたり外すことも出来るようになってきます。

 そうした相手を観察する眼を養うためには、「乍力を育てる」ということであり、乍力を育てるということは、部分的な覚え方に目を使わず五感のどれかを用いて感覚的にこれまでの経験等を踏まえて自分なりのニュアンスやイメージで感じるということです。

 そうして育った乍力は、とうぜん仕事や活動の進行、組織の運営などに活かされていきます。把握力が格段に増えるということですので、相手を尊重する気持ちの余裕も生まれるでしょう。自分の事しか考えないと言われ、自分ではそんなつもりはないのにと悩んでいる方は、乍力を育てることをお勧めいたします。見えているものだけに集中が奪われてしまいますと、乍にはなり難いですし、気がつかなければならない見えない部分に意識が向かないことになってしまいます。

 クラーチ剣術教室の場合は、「可動域の向上」と「体幹強化」を当初から目的としておりますが、今後はあらためて「乍力を育てる」という事も謳って行きたいと思います。

 もちろん、他での稽古や講習でも、乍力を育てる必要性をときに言葉で説明することもあるかと思いますので、目を使い過ぎる稽古の弊害として今後は伝えて参りたいと思います。


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2019-03-12(Tue)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師

現代武術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
神田すずらん館にて「現代武術教室」講師を務める

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