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小太刀に進展

 今日は20℃台後半の気温となり、今年から作務衣も夏場は上着を脱いでTシャツ一枚で移動することにした。尤もいつも着ている物の上着を脱いだだけなので私としては殆ど変化を感じないが、和服の印象が強い方には驚かれることもある。昨年は東京でも40℃を越えたが果たして今年はどうなるのであろうか。


 昨日は戸越体育館で渡部氏と稽古をおこない、蠢動を含めた背中の意識と腹圧の掛け方による利きの違いを検証した。思った通り蠢動は身体全体の繋がりが蠢きの中で効果を発揮するため、腹圧を掛ける事でさらに蠢動の効果が高まった。腹圧も適度に膨らます程度が望ましい。肩への力みや呼吸の乱れ、その他体調の異変を引き起こさないためにその加減を知っておくことが大切である。

 最後の30分間、身体の調整をおこなう動きをおこなう。身体が求めるままに「揺らぎ」「振動」「振動と揺らぎ」たちまち副交感神経が優位になり、畳の上に仰向けになる。そこでフト仰向けになっての揺らぎを試してみる。始めは一人でおこなっていたが、この揺らぎを人に引っ張ってもらうとどうなるのだろうかと、腕を引っ張ってもらい試したところ「これはなかなかいい!」という杖整体操的心地良さが得られ、じゃあ、木刀(杖が無かったので)を使って試したところ「これは、杖整体操の新たな調整法が見つかりましたね!」ということで、三人一組になっておこなう調整法として今後レパートリーに加えるものとする。

 
 そして本日も高田馬場にて渡部氏と稽古。今日は小太刀に進展があった。

 まず、これまでよく講習会などでおこなっていた「入身返し突き」では、これまで通り一足一刀の間合いから小太刀を円に使って間を詰める入りをおこなうものと、今回新たにおこなった、左右の袈裟斬りと正面斬りを体捌きで受けながら技をおこなう内容を加えることとした。これにより、打太刀の大刀と仕太刀の小太刀ともに間合い精度が向上するだろう。

 そして先週土曜日に生まれた左袈裟からの対応についても、左右の袈裟斬りからの対応に変更し、相手の剣を封じるのに、左手で支点を作り右手の小太刀でこれを利用して崩すことも解った。これはゆっくりとした数少ない動きの技であるが非常に有効である。

 その他にも「入身返し付」に、さらなる動きが加わったが、これは仮に相手が諦めなかった場合の動きとしておこなうもので、通常はこれまで通りの型稽古とする。しかし、刃の翻り方が面白いので、自分でも突然によくこんな動きが出たものだと益々小太刀稽古に引き込まれてしまう。


 『剣術 特別講習会』も明後日となりましたが、今回は小太刀稽古が多めになるかもしれません。まだ明日金曜日までお申し込みは受け付けておりますので、初めての方でも動きを見て手体験して頂く良い機会であると思います。あと五名ほど受付可能ですので、興味のある方はご連絡お待ちしております。


2019年5月20日発売 DVD 【古武術は速い】~“型の手続き"を追求した剣・杖の実践的な体使い~(ご予約受付中)

2019年5月25日(土) 「剣術 特別講習会」のお知らせ(お申し込み受付中)

2019年6月15日(土)「杖術 特別講習会」のお知らせ(お申し込み受付中)

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2019年5月 武術稽古日程

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2019-05-23(Thu)
 

転ばぬ先の一歩

 昨日月曜日は高田馬場にてT氏と稽古。訪れるまで蠢動を全身で感じられるように、立った状態や座った状態さらに歩きながらおこなった。背中を広範囲におこなえると利きがより一層強くなるが、その感覚を身体に覚えさせるのは簡単ではない。

 しばらくしてT氏が訪れ稽古に入る。

 月曜日は空いている状態なので落ち着いて稽古が出来る。基礎鍛練稽古ののち、杖術をおこなう。打ち込みや突きで「なるほど、そういう鵜動きをしていたのか!」と説明していることでこれまで自分がどうやっていたのか今にして解る事も少なくない。一人稽古では意識しない事を状況的に噛み砕き咀嚼して伝えなければ理解して頂くのは難しいので、そうした言葉への変換に伴う新鮮な発見は興味深いものである。感覚を言語化することで、意識的に理解できる。一つの事に時間を掛けられる、これが少人数でおこなう稽古会の良さであると思う。

 抜刀術と納刀法を幾つかおこないこの日の稽古も良い空間の中でおこなうことが出来た。

 帰宅してからは、諸々映像編集についての修正箇所の点検やイメージなどをチェック。これらが手を離れれば次に向かって時間が使える。これからは少しずつ時間の使い方を変えて行かなくてはならないだろう。尤もそれは自然とそうなることだと思われるが。


 そして本日火曜日は朝から大雨。

 普段より一本早い電車に乗りクラーチ剣術教室へ向かいました。これだけ雨脚が強いと、雨用の雪駄では用を成さないため、今日は数年ぶりのゴム長を履いた。
 
 ここ近年売られているデザイン性のある長靴ではなく、昔からある黒い長靴。作務衣にこれを履くと一気に農家の人か魚屋さんのような風体になってしまう。「っらしゃい!」

 そんな感じで会場へ到着。会場に着くと皆さん月刊秘伝を回し読み中。私は稽古着に着替えて訪れましたので、扉を開けて「おはようございます!坂本竜馬みたいでしょ!」と袴にブーツならぬゴム長を履いた姿をお見せしてから入室。「まぁ、ほんと~」という笑い声の中、いつものように皆さんと談笑して稽古に入りました。

 今日は二ヶ月ぶりぐらいに体調不良によりお休みされていたIさんが見学参加。思っていたより元気そうで笑いながらご見学されました。今日からおこなうことにした講習内容「転ばぬ先の一歩」では、いつも色々と面倒を見て下さるTママの肩をタッチして、その奮闘振りに楽しんでおられました。

 その「転ばぬ先の一歩」ですが、想像以上に「いける!」という確信が持てました。最も心配していたのは、膝を抜く脚の使い方が出来るかどうかでしたが、今日拝見してみてかなり期待が持てました。これまでにずっと「蟹の前歩き」をおこなっておりましたので、軸足に体重を預けずに歩を進める下地が出来ていたものと思われます。

 高齢者の方にとって転倒は生命に関わる事と言えます。これは大げさなことではなく、骨折をしてしまうと健康寿命が縮まり、それまで元気だった人が急に衰えてしまい病気になるなど、寿命そのものが短くなってしまうというデータが以前NHKの番組で取上げられておりました。

 そのため、転倒について考えますと、やはり頭が下がってしまうことで前重心になりやすく、つまずいた瞬間にその前重心が即、転倒に繋がってしまうものと考えられます。講習では、頭が下がらないように肩甲骨の可動域を取り戻す運動や、背中の筋肉を養う杖術や剣術などをおこなっておりますが、それだけでは対策にはならず、実際に転倒しかけた時に踏み留まれるのは「最初の一歩が出るかどうかなのです。」

 その第一歩が出るには、無意識で足が出せるかにあり、無意識で出せる足というのは一瞬の動きになります。

 その一瞬の動きというのは、軸足に重心が傾いていない状態で、足が出せるかということになります。

 前に転倒し掛けている時は、重心が前に傾いていますので、その前重心で前足が踏み出せるかが重要になります。

 これは、床を蹴ってしまうと即転倒してしまいますが、腿を引き上げるように膝を抜いて脚を出せば踏みとどまれる可能性があります。

 若い人でも、腿を引き上げる感覚と言うのは日常生活で殆どおこなわない動きですから、最初は上手に出来ないものです。普段おこなわない動きを緊急時に出せるかと言えば余計に無理な話です。

 ですから、高齢者の皆さんにとっても日常おこなわない腿を引き上げるように膝を抜く運動を、ゲーム感覚で楽しくペアになっておこなうことで、頭の体操と適度な衝撃による骨の強化と筋力の増強、そして躓いた際の第一歩で踏みとどまることがこの運動の目的でもあります。

 前に倒れそうになった場合、一瞬膝が速く動かなければ間に合いません。これは考える間もないことですので、日頃から膝を抜く稽古を上達させることが転倒防止への有効な方法であると私は思っております。ですから「転ばぬ先の杖ならぬ、転ばぬ先の一歩なのです。」(稽古では前に脚を出さずに、そのまま垂直に脚を落としています。転倒を再現するものではなく、素早く膝を抜けるかを、右足、左足、両足、というふうに後ろの人がランダムに肩を触って、その触られた部分と同じように脚を動かします。)

 講習後は大雨のため、レストランで食事をいただき、駅までの送迎バスが出るまでゆっくりと歓談。雨にぬれることも無く電車に乗り、自宅最寄り駅に着いたときには小雨となっておりました。運良く大雨に当たることなく今日も良い一日を過ごさせていただきました。本日もみなさま、ありがとうございました!


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2019-05-21(Tue)
 

久しぶりの快眠

 昨夜は記事を書かずに就寝。おかげで4週間ぶり位に熟睡が出来た。このところずっと1時間または2時間ごとに目が覚める状態だったので、この一晩で昨日からかなり体調が改善された。

 先日『連続切り返し』の動画を差し換えたが、土曜日の私の稽古会の際に「試しに八回やってみましょうか」と、渡部氏にスマートフォンで撮影して頂いたものを配信した。

 先週金曜日の二時間半の一人稽古で連続切り返し八回は二回ほど試みたが、それまでにおこなった抜刀術や他の剣術の稽古で身体がついて来ていない事が分かったので、また何れやってみるかとこの日は切上げた。

 その殆ど稽古していない感覚の中で、どこか出来そうな気配があったため、土曜日に試しにぶっつけ本番で撮っていただいたのである。順番に一から八回までの動きを四回ほど撮影してもらい、全てそれなりに出来ていたがその中から一つを選んで配信した。

 そこで撮影は終ったが、実際に生でどう動いているのかを見ていただくために、渡部氏の目の前で八回切り返しをおこなったところ、「じゃあ、10回もやってみましょうか」、出来ないつもりで一回生で見ていただいたところ、「もしかしたら出来ているのかもしれない」という気に駆られ(自分でもどうなっているのか映像を見ないと解らないため)、一発撮りで撮っていただいたものを配信した。だから十回の切り返しは撮影前に一度しかおこなっていない状態でおこない、撮影も一回で終えた。その後、欲が出てしまい一回から十回まで続けて撮影したが、初めて失敗したためその一度で切上げた。

 この日まで六回しか切り返しをおこなっていなかったものが、いきなり十回まで飛躍的に増えたのには自分自身でも驚いた。浮き身が掛かっていないと起こりえない切り返しの体捌きなので、その中で手続きが無意識レベルで進行して行くのは相当難しい。この「手続きを追えない感覚」を少なくとも身体が体感したことは収穫であった。(そうか!手続きを追えない感覚は直感に通じているのではなかろうか!)


 さて、本日5/20はBABジャパンから私にとって初めてとなるDVD『古武術は速い~“型の手続き"を追求した剣・杖の実践的な体使い~』が発売されることになりました。タイトルにある古武術は、ふだん私は使いませんし文章や言葉でも表現することは殆どありませんが、多くの方にとって分かり易くイメージが付き易いものとして、出版社の方のアイデアを参考にこのタイトルにさせて頂きました。

 言葉というのは私にとって、凄く重要にしている部分もあれば、技の名前などどの文字を使っても構わないし間違っていてもそれはそれでどちらでも良いという不思議な解釈が混在しております。

 それは、心に響くものとして大事な部分と、言葉というのは情報を伝えるための言語手段としての法である。という解釈であるからだと思うのです。心に響くものは心で生まれたもので、その機が捉え生じた言葉の音、文字の図形には他に変えてはならないものがあります。それとは異なり、情報伝達としての言葉や文字には、全てがそうではありませんが私にとってはあまり執着は御座いません。時が流れれば何れ変わる事も多いので、その「時だけの言葉」にはあまり拘らないのかもしれません。つまり、言葉は音楽、文字は絵画のような感覚で、その意味については実際の内容に確たるものがあれば執着頓着しないで、その心理を読み取ることだと思うのです。

 
 さてさて、遅くなりましたが昨日日曜日のGold Castleの講習記事に移ります。

 昨日は品川区総合体育館剣道場での開催でしたが、かなり混雑した状況で賑わいを見せておりました。それでも体調不良で体験参加希望の二名の方がお休みになられておりましたので、逆に助かったといえるほどの盛況振りでした。

 殺陣クラスのお申し込みが多いのですが、剣術や杖術で身につけた身体を自在に操る稽古が殺陣に活かされるものでありますので、体験参加を希望されている方で、殺陣クラスが定員になっていても、土曜日などの剣術クラス、杖術クラスへの参加をお勧めいたしますし、役に立つことであると断言できます。

 舞台や映画で殺陣に興味を持たれたという方も少なくありません。映画や舞台でおこなっているものを殺陣といいますが、そうしたことから、多くの方が知りうる剣との入り口は「殺陣」という言葉がキーワードになります。

 私がなぜ殺陣クラスをおこなっているのかというのは、そうした剣術など武術の世界に触れるキッカケとして、殺陣は剣術や武術とのご縁を繋げるものとして大きな役割があるからです。

 生きて行く上で、学び無しには苦しむものです。

 お金のために学ぶのは就職するまでです。就職したのち何を学ぶのか、生きていくことを学ばなければなりません。

 その生きていくことを学ぶのは、自らの体と向き合うことが第一条件です。

 なぜなら、身体と心は繋がっているからです。

 身体と向き合うには、武術を通じて感覚に目を向けることが学びの教材として具体的な問題を与えてくれるものです。

 そうした、感覚が求められる技というお題に対していかに応えていくかが、武術を通じての学びとなります。感覚には心の条件が重なり、そうしたことから自分自身という人間の中を知ることが求められます。中を変えなければ感覚は手に入らず、そのことすら気が付けないままです。

 社会に出て苦しむのは、生きるための学びを忘れ、自分がどうであるのかを考えずに他人を責めてしまう傾向が強いからではないでしょうか。自己を見つめ、感覚を通じ心を養い、いつしか変わることができ、社会での立ち振る舞いや自分の居場所が学びから新たに得られるのだと私は思います。人は居心地の良い人を求めます。では、居心地の良さとはどういう事なのか、言葉や態度、能力だけに特化しないお金のためだけに学んだ犠牲を、これからの学びで変えて行かなければならないでしょう。

 現代における武術稽古の意義は、そうした社会での生き延び方に即していなければなりません。殺陣を知り、武術に触れ、生き方を考え学ぶ。そうした時代においての役割がそれぞれにあるように思いますので、これからも学び続けて行かなければならないと思っております。

 
 今週の土曜日は『剣術 特別講習会』です。今回は小太刀もおこないます。まだまだお申し込みは受け付けておりますので、ご連絡お待ちしております。


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2019-05-20(Mon)
 

まさに感謝といえる稽古であった

 Gold Castleの記事の後になるが、今日は金山剣術稽古会土曜日稽古会を開催した。月に1~2回、土曜日に品川区の会場で開催している。今回は渡部氏が参加して下さったが、私もほとんど目立ったところで告知していないので、知らない方も多いだろう。この土曜日稽古会は単発参加型の講習会形式でおこなう予定ですので、今後金山剣術稽古会のサイトに早めに掲載しておりますので、平日の参加が難しく、また入会するのも覚悟が入りそうだと思われている方も少なくないかもしれませんので、そうした方は月に1~2回開催している土曜日の稽古会がおすすめです。


 さて稽古記事に入る。

 昨日の四時間稽古のうち二時間半は一人稽古に没頭していた。寝たのが6時過ぎで起きたのが8時過ぎ。余りに目がさえていたので、外の明かりが差し込む部屋で、前腕を三十分程ひたすら動かしていた。おそらく蠢動の興味からであるが、私の前腕は剣術をおこなっている人の中でもかなり細い方だと思われるので、見た目と中の具合がどうなっているのかさまざまに検討しながら、以前痛めた右手手首や右肘などの「働きの良い状態」を妨げない腕でなければならず、その腕がどうなのかの判断はやはり動きの中で判断していかなければならないだろう。今興味あるのは腕の中の、いや身体の中の筋の働きである。関節ではなく筋肉ではなく筋。そこにまだまだ働きの可能性が隠されているように思う。

 今日の稽古ではまずそうした筋の使い方を蠢動ベースに検証。さっそく得るものがあった。それは背中の蠢動をさらに広範囲におこなうことでより自重の重さというか硬さが現れた。そしてもう一つ解ったことは、浮きとの併用でおこなっていた力の耐性検証を試みたところ、いわゆる腿の引き上げだけでは、鼠径部回りが硬くなり、そこの部位だけは強力に繋がっているが、身体全体の中では弱点となってしまい足元が浮かび上がってしまうのを防ぐには及ばない。そのため、これまで信じていた腿の引き上げを無くし、蠢動と背中の蠢動を広範囲におこなった状態が最も強く、足元が浮かび上がりにくくなりかつ、体に接する部分が硬く感じられ、本人の実感としては全く固めている感じではないのに、触れる相手はその固さに驚いてしまう。

 しかし、腿の引き上げも有効であり、それは歩いている最中に蠢動を試みる場合は、相手が居る方向の左右の脚いずれかの腿の付け根を僅か引き上げるだけで驚くほど強力に飛ばされにくくなる。この歩いている最中におこなう腿の付け根の僅かな引き上げとの併用は、まだ講習会ではおこなっていない。押し飛ばす方が痛がるぐらいだから人混みや、歩きスマホ対策で自衛手段として密かに試みておくのも転倒が怖い方にはお勧めである。決して自らぶつかってはなりませんが。

 そして昨日パーソナルトレーナのM氏と稽古をおこなったときに言葉に出た、高齢者の方の転倒防止対策として私なりの考えは「第一歩が出るかどうか」ということである。つまり、転倒は突如として起こりうるものであり、その突如としてものに対する時間的判断猶予は無きに等しいであろう。もちろん、体を支える最低限の筋力は養っていなければならない、しかし、どうしていいか解らない間に転倒するのが年齢に限らず誰にでも当てはまることなので、私の経験から言えば、武術稽古を始めて膝の抜きなど多用するようになり、道を歩いて何かに躓いた時と言うのはまさに膝を抜いた状態と酷似しており、無意識的にトンと足が出るのである。

 このことは、「躓いて驚かなくなった」という身体の変化であり、それは意識的にどうこうできるものではなく、咄嗟に第一歩目が出るかどうかということが重要なのであろう。そうしたことを昨夜の稽古でM氏とお話させていただいたが、今日の渡部氏との稽古で、より整理され、二人一組で後ろに立った人が肩をタッチし、右肩であれば右足の付根を引き上げ、左肩であれば左足の付根を引き上げる。そして両肩だったら両足の付根を引き上げる。

 足の付け根を伸ばさずに引き上げることで瞬間的に膝が抜けトンと足が素早く反応いたします。普通に踏み出すだけでは時間が掛かりますし、引っ掛かった際の足では対応できません。重心が掛かっている側の足が躓くことで転倒いたしますので、足の付け根を引き上げるという事は、その瞬間の状態を擬似的に作り出し速さと衝撃を身体に覚えさせることが、「転ばぬ先の第一歩」に必要なのではないかと考えます。

 ですので、今日考案した「転ばぬ先の第一歩」を養う稽古を毎週クラーチ剣術教室の講習内容に取り入れたいと思います。これは今日渡部氏とともにおこないましたが、私がやってもなかなか難しいもので、楽しいものです。身体に負担の少ない動きですし、難易度を相手によって調整できますので、これはかなり楽しみにしております。

 そして次に小太刀の稽古。

 今日は左からの袈裟斬りに対する対応を検討した。上段からの真っ向斬りはこれまでに何度も「入身上段受け」にて稽古してきたが、八相からの袈裟斬りでも受け方は異なるが崩し方は同じである。しかし左からの袈裟斬りに対しては、これまでおこなってきた崩しと背後からの斬り付けに耐え難い違和感が生じ、先の二つと同じように出来なくも無いのであるが、そこに冴えというものが感じられず、暫く動きの中で考えた。

 そうした中でフト、片手で両手持ちの大刀を押さえられる事に気が付き、「こんな事があるのか!片手の小太刀は不利だとばかり思い込んでいたが、小太刀の長さは片手で活かせるものだったのか!」ということに気がついたのであった。試しに、離れた遠間から斬り込まれた大刀の剣圧を片手で受けることはさすがに難しく、これには入身上段受けのような形が求められるが、相手と鍔競り合いのような形になったときには、小太刀の片手持ちというのは圧倒的に有利なのである。大刀は両手で持つが故の手が離せない弱点が露呈され(大刀で片手になると尚更弱くなる)そうして小太刀側としては自由になっている片手で相手の大刀をコントロールすることが出来る。これは、私としては珍しく速く動く要素の無い技である。間合いが詰まった際の小太刀の働きの強さを知ったことに感動があった。今日はそうした発見続きの稽古となり、何処かに対して感謝の言葉を口にするほどであったが、来週の特別講習会では今日の発見をお伝えしたいと思う。

 そして最後におこなったのは、剣術の「連続切り返し」である。今日はとにかく発見があり驚きの連続であったが、最後の最後に自分が一番驚いた。渡部氏も驚かれていたが、あらためて武術の動きというのは練習の積み重ねではないという事が分かった。感覚の統御と、複雑な組み合わせを、別のパッケージとして何とも言いようの無い「あの感じ」として身体に記憶させること。その「あの感じ」は独立した別物であるが、確証のない「あの感じ」が身に宿ることで、これからの展開で何か拓けてくるものがあるのかもしれない。

連続切り返し

連続切り返し(追加版)

 今夜は早めに記事を書き終えることが出来ました。今朝方、BABジャパンから5/20刊行のDVD「古武術は速い」をご恵贈頂きました。完成品がどのようなものになるのか私も初めての経験ですので、心して拝見したいと思っております。今後ともお世話になるかと思いますが、この度の全ての流れに関しまして幸甚の至りであります。

 明日の日曜日は、12時から品川区総合体育館剣道場でおこないます。体験参加の方が定員とり賑わう講習となるでしょう。新しく生徒になられた方も増えてきております。明日も良い一日となりますように皆様楽しみにお待ちしております!


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2019-05-18(Sat)
 

全体的に向上が見受けられた土曜日杖術クラス

 昨夜はけっきょく6時過ぎまで寝付けず、睡眠できたのは二時間弱であった。それでも不思議と身体は動く。今夜は早く寝ることに全力を注ぎたい。


 さて、本日のGold Castleは品川区総合体育館剣道場にて杖術クラスの講習をおこないました。今日は珍しく体験参加の方が居りませんでしたので、講習内容もふだんより少し盛り込んでおこないました。

 「渦潮」では、四の字に膝を抜き、杖の当て角を下手でコントロールしながら、不安定になる重心の移動を安定的に使いこなすことがこの稽古での特長とも言えます。持ち替えて払うと遅くなってしまうような気がいたしますが、これが最も対応に間に合う方法です。そのため二つめの杖合わせから三つめへの払いは止めずに回転したままおこないます。

 続いてひさしぶりにおこなった「巻上げからの裏お辞儀潰し」では、今回全体的に四の字に膝を抜きながら重心移動と共に巻き上げる杖の操作に進展が見られました。私も途中から気がつきましたが、相手の持ち手により円軌道において弱い箇所があります。そこを通して行くことで相手の力を外しながら巻き上げることが可能となります。

 さらに相手が伸び上がって杖を後ろに掛ける事がやりにくかったり、なかなかしぶとい場合には、杖を引っ張るという崩し方も発見できましたが、動きの精度を練っていくためには、杖の巻き上げる軌道を身につけ、滑り抜けないように、相手とぶつからないように膝抜きの重心移動の最中におこないます。

 その展開から今日の予定に無かった「掴まれた際の対応」をおこないましいた。これは明後日発売のDVDにも収録されておりますが、杖の軌道、それを活かす手の内、ぶつからず逃がすための円の軌道は相手の関節の可動域の粘りにも有効です。

 そして次に「逆足之型」を攻め手と受け手それぞれに動きを覚え、型稽古としておこないました。三十連円打は、時間が余ればおこなう予定でしたが、今回はこれで十分な内容でしたので丁度良い終わり方が出来たものと思えます。

 何気なく素晴らしかったのは、小学校六年生のK君でした。最後まで全く集中の切れた様子が無く、相手を務めて下さったWさんの指示を聞いて全て付いて来れました。私は、子供用の稽古内容というのをほとんど分けておこなったことがありません。もちろん体力的に、力的に難しいものは外しますが、動きの中で難しいと思われるものは、本人が遣りたくてやっている場合、遣らせてあげたほうが良いのです。これは大人として気をつけなければならないと私自身肝に銘じているのは、子供だからと端から決め付けないことです。大人を凌ぐスーパーキッズは世の中にたくさん居ますし、その可能性を奪ってはなりません。これからも益々成長が楽しみです。時折厳しい事も言うかもしれませんが、基本的には自分で気が付けるように見守っております。

 常連メンバーで何人かお休みの方はいらっしゃいましたが、賑やかな講習となりました。来週の土曜日は剣術特別講習会を開催いたします。今回は小太刀をおこなう予定です。新しい小太刀の稽古内容もこの日におこなう予定です。まだまだ空きが御座いますのでご連絡お待ちしております。


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2019-05-18(Sat)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師

神田すずらん館特任講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
「神田すずらん館」特任講師となる

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