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身体の求めを信用して

 睡眠時間を優先したため金山剣術稽古会の記事をしばらく書いていなかったが、まずは9/11(水)昼からおこなった戸越体育館での稽古から記したい。

 この日は例によって渡部氏との稽古。平日の昼間や午後から稽古が出来る方というのは、普通に務められている方や学生の方では無理である。渡部氏も時間を作って稽古を優先して来て下さっている。お陰で私としても型稽古が進んだり、体術などでも受けていただいたり、また私が受けることで掴める事も多い。こうしたご縁は私が武術を続けていく中でこれまでにも何人かお世話になったり、これからもお世話になる方も現れると思うが、未熟な私といえども、渡部氏のお陰で進展のペースが保たれていることは大変感謝している。

 この日は二時間強体術、一時間弱杖整体操をおこなった。

 体術稽古では、ほぼ全て座りでの崩し方を研究。合気上げのような掴まれ方から横に崩す動きをさまざまに検証。背中を使ってみたり、前後の動きでおこなってみたり、交差する形でおこなってみたり、そうした中から円に相手の腕を使って肩を押し込んでいくような動きが有効であった。その際の反対側の手も、引き込むのであるが、その順序を確かめながら、同時におこなうことで崩しからの展開に繋がりやすいことが解った。

 この日は他にも、こちらに向かってきた腕を押さえての崩しにおける、腕の取り方に自然に引き出される軌道が合った。これは杖術における手之内の感覚や手首の軌道などの情報から身体が無意識にそれを選定したようなきがしている。脳で言うならば、大脳皮質でおこなっていた処理を、小脳でおこなうことが出来るようになったということなのかもしれない。つまり、考えて動く際の手順などが、感覚に通じるものではなく少ない実感の検証でしかなかったものが、ある時期から考える前に、感覚の実感が手続き手順の修正を後から気付かせてくれるようになったということだと思う。もちろん、そのレベルはまだまだ低いものであるが、高望みをせず、自らの中で実感進展を得られる内容で工夫することが一つの流れを形成し、その中で必然的に何かが生まれてくるのだろう。

 その腕を触れ取るような形で、同様に脚部も連動し浮き身に近い操作感覚で重心も移動しながら相手の肩を押さえ、その流れから袈裟固めに入るということが自然と流れの中で出来た。それが袈裟固めだと知ったのは、その後渡部氏のスマートフォンで調べて解ったことであるが、正座の中で重心移動中に足を差し換えるようにおこなうので、これも身体が自然に動いた動きのため興味深いものであった。

 渡部氏は私のところで五年目に入るが、これまでに武道を一切学んだ経験が無いため、わざと受けを取るどころか、常に全力で抵抗してくれる。これは私が甲野先生の受けをおこなうときと同じように、どうすれば止められるかを自分なりに考える楽しみが芽生えているからだと思う。自らの身体と心の状態を観察しつつ、自由に工夫し合える稽古の在り方は、まさに研究稽古であり、身体と心の関連性を踏まえるならば、こうした稽古というのは単なる武術稽古には留まらないだろう。

 この日は珍しく受け身を少しだけおこなった。私自身受け身のための稽古というのは、多少おこなったことはあるが、膝を抜いた際の重心移動の動きをギリギリまで確認するために転倒することは床の上でもたまにおこなっていた。それが、結果として衝撃を逃がす倒れ方となり、殺陣などでおこなう倒れ方に大いに役立つこととなった。そうした手を着かない倒れ方は、Gold Castleの講習で幾度と無く指導するようになり、倒れる際の自重の逃がし方を身体が先回りするように教えてくれている感覚があり、それに無意識に従うことでいつの間にか出来るようになったものと思う。まだまだ、受け身は難しいものがさまざまにあるので、機会があればそうした今までおこなったことのない受け身にも身体が望めば取り組んでみたいと思う。

 最後は杖整体操で身体を解した。一時間弱ジックリとおこない、とくに背中や肩廻りを杖乗に解した。講習会では、私もおこなっているが、基本的には参加される方を導いて行かなければならないため、私自身への効果は薄いものである。この日のような状況では、私も渡部氏もそれぞれが好きなように自由におこなっているので、最も効果的にその日その時の状態で身体を解すことが出来る。この日は、久し振りに開脚で頭が畳に着いた状態で維持できた。開脚自体は大して時間を使っていないが、仰向けに寝た背中の乗杖解しが背中を伸ばしてくれたのだろう。これは、心身の状態が利きに作用していることが解ったので、やはり自分で自分の好きなようにやるのが一番利くだろう。しかし講習会でおこなう利点もある。それは、自宅でおこなうよりも畳の道場で人が集まっておこなう事で心身の集中度が増し、呼吸の深さや働きが、自宅でながら的におこなうものと比べ遥かに利いて来るのである。そして、杖整体操特有の、持ち上げ操作や、寝返し、といった一人で出来ないものもあり、あの心地良い不思議さは心身の受け取り方によって差はあるが格別のものを味わった方にとっては納得であろう。

 稽古後は身体がかなり弛んだのを歩きながらも実感。あの心地良さは身体が望むものとしてのサインであるならば、それに応えてあげなくてはならない。なぜなら、普段は身体を纏めるための働きを課しているのだから。寝るだけではバランスが追いつかない、そうした日々の稽古であり、年齢を重ねて行く上で必要に感じるものでもある。日にちが過ぎての記述であるが、三時間があっという間に過ぎた中身のある稽古であった。


 そして9/14(土)はGold Castleの講習後に、同会場にて金山剣術稽古会の土曜日稽古会をおこなった。この日も渡部氏だけであったが、骨盤角度と脹脛への影響について実感出来る部分があった。おそらく普段の私の稽古における姿勢は、骨盤が後傾した状態での調和感覚を求めたものが多く、そのためそれに応じた身体の整い方になってきているのではないかと思うのである。したがって、前重心に骨盤を立てた状態で走った場合の脹脛への影響は、自重に対する衝撃が、後傾で作られた衝撃に対する備えと比べて脆い部分があるように思える。浮きにしてもドンと掛けたものの衝撃は相当であろう。それによって骨が強くなったり膝関節が馴染み、痛み難い状態を保存しているのかもしれないが、その衝撃が何も影響しない訳は無いはずである。この日の稽古では、私自身数年前から実感していた脹脛と動きの相性について、骨盤角度が関係しているのではないかという事が、その部位に感じる張りの違いから一つ思い込んでいたものを改めるキッカケとなった。

 木刀を使っての峰返し潰しでは、この日おこなった講習会でも説明した、前腕と右手首の角度を真っ直ぐに保ったいわゆる横に斬る手の形で試みた。すると、何度か試したが何れも手応え無く渡部氏が崩れるのであった。そこで欲が出てしまい、今度はそれに背中を介入させてみようと試みたところ、通り悪く重たい感触となってしまった。この稽古は繊細な感覚でもあり、その後元の状態に戻しても、何かが記憶して邪魔しているのか、先のような通りの良さが蘇り難い事がある。この日は幸いにも何度か試して元に戻ったが、この峰返し潰しは、上手く出来ても、その数日後安定的に出来る保障の無い難しさがある。だから私としても飽きることなくたまに検証して確認するのである。

 剣術では、「斬割り」改め「斬突き」(きりづき)をおこない、「払いからの斬突き」そして「斬突き返し」をおこなった。斬突きに関しては、遠間にて、間合いを詰めながら斬り込み、相手の正面斬りを弾き、切っ先を喉元に突き付けるものであり、その間合いを一気に詰めながらおこなう形から、名称を改めることとした。

 その中でおこなった「斬突き返し」であるが、私の中で「なんだか技と言うほどのものでもないので、うーんこれは…」と渡部氏にこぼした所、打太刀側からすればそんな事はないと言う。そこで、打太刀、仕太刀を入れ替わり、渡部氏の動きを観察してみたところ、やはり簡単には出来ない部分があるという。それは脚足の移動と剣を振り上げた際の誘いの瞬間にあるのであるが、そこで待てるか否かが技として成立しているかどうかの判定基準になる。

 つまりは、質の部分が技に関わっているのであるが、質が変わっていれば別段技とも思えない、申し訳なく感じてしまう安易な動きと思えてしまうが、質を変えずに同じようにおこなうと、誘いにもならず打太刀をしていて不思議な感じには映らないのだろう。あらためて、剣術や杖術における稽古は、器用な動きでなく質を変えていける稽古でなければならないとこうして記事を書いている今、自らに言い聞かせている。

 抜刀術では、先日一人稽古で得るものがあった「隅返し」をお伝えした。試しに動画を撮ってもらい確認したところ、やはり離れから斬りに移る際の手元の位置が以前とは明らかに異なり、どのコマを観ても形に違和感が無くなってきた。しかし、二尺七寸では身体に対する衝撃が思いのほか強く、久し振りに翌日身体の節々に痛みが生じた。

 そして昨日9/16は、高田馬場で渡部氏と竹田氏と稽古。祝日ということもあり、月曜日としてはこれまでにないほど人で溢れた。この会場は、貸し切りで無く、個人開放の時間帯は誰でも利用できるものであり、そのためさまざまな武道武術団体が同一空間内にて稽古をおこなっている。この光景はなかなか面白いものであるが、昨日は剣道が場所の三分の二を占め、その大声に私も大きな声を出さなくてはならず、大声は威圧的になりやすいので、萎縮と受け身になり易く、あまりいい環境ではなかったが、こういう状況下では、周囲に惑わされない集中状態を自らの身体に向けた集中が上回ることが出来るかを試せる場でもある。

 杖術、剣術、それぞれにそれぞれの内容でお伝えしながら、場所の範囲が限られている中で久し振りに多くの種類をおこなった。

 最後に抜刀術をおこない、静と動の間、そこに自らが感じるものを技と同様に稽古して行かなくてはならない。それはなぜだか解らないが、身体が自然とそこへ感じさせてくれるものがあり、それは技そのものに今その瞬間関わって来るものではないのかも知れないが、精神として練っていくべきものはその働きの間にある。誰かが言っていたとか、そういうものであるとかではなく、自然とそこに気が付いていったということが大事であり、それは鏡を見て確認すべきものでもなく、自らがどうであるかを確認しているということでもある。


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2019年09月28日(土) 『杖術 特別講習会』(お申し込み受付中)

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金山剣術稽古会ホームページ(お問い合わせ受付中)

2019年09月 武術稽古日程

2019年10月 武術稽古日程

甲野善紀先生からの紹介文


2019-09-17(Tue)
 

嘘では無いように嘘を演じる

 今日はAmazonで購入した文庫本三冊が届いた。一年以上前からメモしていた本であるが実際手に取るとかなり薄い。しかし私の頭では難しいと思われるのでゆっくりと読み込んでいこうと思う。


 午後からは品川区総合体育館剣道場で講習をおこないました。
 殺陣クラスでは、三歩での間合いの取り方や、その際の足運びと剣の動きなどを稽古いたしました。斬り結ぶ剣の高さや安全におこなう意識の重要性、常にどのような動きでも危険察知能力を高められるようにおこなうことが大事になります。その結果、雰囲気を作って感情を込めて動いても、怪我をしない、またはさせないように安心と信頼の中で稽古が進んで行きます。

 今回は久し振りに「一対四瞬殺」を稽古いたしました。これは、三秒~四秒で四人を斬る動きです。そのため、芯の速さを一番に考えておりますので、絡みの四人は殆んど動く間もなく斬られてしまうことになります。しかしながらこの場合、広がった空間で四人を斬っても何もつまらないものにしかなりません。間合いというのは、同じ動きや構えでも緊迫感がまるで変わってきます。ですので、この立廻り「一対四瞬殺」では、間合いを約束事の第一条件としておこなう必要があります。芯の斬り方はもう少し近接距離用に工夫したものをお伝えいたしますが、安全におこないながら近間で動けるにはまだ稽古が必要です。

 あらためて今日最初におこなった「三歩拍合」による間合いと歩数の稽古は、斬り結びにおける寸止めあるいは衝撃緩和の手之内の使い方や、走り抜ける際の足運びなども含めて、立廻りの手とは違った部分での大事な稽古とも言えます。殺陣は虚構のリアルとも言われているものですから、如何に嘘をそれらしく見せることが出来るか、そこに絡み側のリアクションも含めて見栄えが大幅に変わってくるものが秘められているものと思われます。実際に強いのではなく、強そうな状態を演じる動き方。心情も虚構のリアルでなければなりません。基礎稽古で、こうした嘘を如何に上手くつけるか。これも殺陣を稽古していく中での面白さに繋がってくるものと思われます。

 剣術クラスでは、「正面斬り」「袈裟斬り」「胴斬り」をおこない、後半は「鹿威し」「抜刀鹿威し」をおこないました。今回は型稽古が無く基礎的な部分の精度を高める内容で実施いたしました。

 とくに最後におこなった「抜刀鹿威し」では、何度も続けたくなる系統の稽古ですが、これは刃筋だけでなく、足運びや中心の意識、間合いの感覚なども同時に養われますので、非常に効率的な稽古でもあります。ただ、木刀が芯を捉えた場合の衝撃が強いため直ぐに木刀が傷んでしまうという欠点がありますが、この稽古ではつい力んで姿勢が乱れてしまうのを直す目的もありますので、例え空振りしてしまっても、差し出された木刀に誘われずに乱れず振り下ろすことが出来ていれば、それはそれで稽古になっております。

 講習後は、八才のYちゃんが、掃除のため急いでモップを取りに行っておりましたが、若い生徒たちの自発的に掃除道具を取りに行こうとする姿は誰も強制しておりませんので、なかなか良いものです。自発的に掃除をするというのは、これも大事な学びですので、そこから思考と視野がさらに広がってくるようになればと思います。

 本日も賑わう講習となりました。お越しいただいた皆様、ありがとうございました。


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2019年09月 武術稽古日程

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2019-09-16(Mon)
 

旅立ち前、思い出の講習

 昨日13日は中秋の名月だったが、一日経って今夜は遅くなってから満月がとても綺麗だ。9月は2019年で一番小さい満月らしいが、月の美しさに大小は関係ない。先日までの暑かった日々が遠く昔のように思える鈴虫やコオロギの音、そうした凌ぎやすくホッと落ち着ける時期をいつの時代の人々も感じていたのだろう。しかし、千葉県の停電も未だ復旧に時間が掛かっているし、明日は夜から雨が降る。自然は曖昧でなくハッキリとそうした心情の変化を起こさせるものだ。


 さて本日のGold Castleでは、生徒のKさんが海外に引っ越されることとなり、明後日の夜には飛行機に乗って旅立つ前に本日最後の講習にお越しいただきました。

 生徒になってまだ三ヶ月ばかりでしたが、いつもニコニコと楽しそうに稽古をされており、普通は上手く行かないとストレスであったり、思い詰めたりしてしまうものでありますが、そうした状態を観たことがなく、どのような状態でも楽しめていることに、Kさんというお人柄と精神的な強さ耐久性というものを感じました。海外に行かれるのもこの二ヶ月の間で決断されたそうで、日本人が四十~五十人程しか居ない某国で、パイオニアとしてご活躍をお祈りしております。

 
 今日の講習では、基礎的な抜刀法と体捌きを含めた納刀法、それから歩きながらの抜刀納刀などをおこないました。

 参加人数も戸越体育館剣道場が手狭になるほどでしたが、その中で一番早く歩きながらの抜刀納刀を勝ち抜き形式でおこなったところ、なんと一番速かったのは小学六年生のK君でした。ジュニアサイズの鞘付木刀というハンデを考慮しても、まだ身体の小さいK君が予想外に一番となった事に私だけでなく生徒の皆様も驚かれたと思います。おそらく、講習日以外でも触っていなければ大人達よりも速くおこなうことはまず難しいでしょう。毎回の講習で着実に何かしらの進展が見受けられます。今後は、精神的な面においてどのような成長が見られるのか、動きと共にその辺りの関連が興味深いところです。

 さらに本日は、講習風景に興味を持ったのか、道場入り口付近に二歳~三歳ぐらいの男の子がジーっと眼を見開いて観ておりました。気になってしょうがないのか道場に入ったり出たりしながら、おそらく上の体育館でバスケットボールをやっている方のお子さんだと思いますが、あまりに真剣な眼差しで講習を眺めていたので、声を掛けようと、生徒達の合間を縫って入り口に近付いたところ、まるでお化けでも見たような反応で、走って出て行ってしまったので、私もおもわず「坊や!坊や!」と叫んでしまいました。なんでそんなことをしたのか私自身分かりませんが、眺めている表情が真剣でしたので声を掛けたい気持ちになったのですが、私が講習に戻ると、また直ぐに坊やが入り口から少し入ったところで眺めてましたので、微笑ましく思いながらも入り口近辺で抜刀を稽古されていたOさんやIさんは気が気でなかったかもしれません。和やかなGold Castleらしいひと時だったと後から思うのでした。

 講習後は、外国に旅立たれるKさんと写真を撮りました。予定は8月一杯まででしたが調整して下さり、旅立つ二日前までお越し下さいました。三ヶ月間という短い期間でしたが、もっと長く指導させていただいたような気がいたします。これからの人生、海外でのご活躍を楽しみに祈っております。ありがとうございました!

2019年09月14日 Gold Castle



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2019-09-15(Sun)
 

意義ある活動

 本日火曜日は午前中に「クラーチ剣術教室」に行ってきました。

 今日は八ヶ月振りにKさんが復帰され、先月復帰されたMさんと合わせてまた教室が賑わうようになってきました。

 今年で丸五年を迎えた教室ですが、発表会も無く、段位も無い中で継続して行くという事は、講習そのものに何か納得していただけるものがあるかどうかが重要になってきます。目標と楽しみが稽古そのものにあるということは、安定した心持ちの中で今を集中して急ぐことなく臨機応変に進めて行く事ができます。

 先月から体験参加にお越しいただいているHさんも、これまで通われていたスポーツクラブをお辞めになられこの教室に集中して参加されることになりました。先月に体験参加のお知らせと、講習内容の時間割変更したチラシを掲載させていただくことができたお陰で、こうした新しい方とのご縁が生まれたことに感謝しております。

 私自身これまでの中で、もし義理で参加されているような状態であったらこの教室を辞めようという考えがありました。皆さんのご負担になってしまうのであるなら本末転倒であり、それは続けるべきでないと考えていたからです。

 しかし、病気から復帰されたお二人のお姿を拝見しておりますと、気持ちの面でも身体の面でもこの場が必要であることを強く感じましたし、元気な生徒の皆様も、難しさの中から発見していく喜びを掴まれた方もいらっしゃいます。それは難しい、出来ないからと言って直ぐに見切りをつけず、やりながら考えて行くことがどのような動きであっても自然と出来るようになったからです。そこで、完璧に出来なくても、出来る流れに通じる動き方を掴まれる事に喜びを見出されることが、この教室の成果でもあり生徒の皆様の成長であると感じております。

 体験参加のHさんはとにかく熱心で、ご自身の中で今日はここまでを覚えるという意思がハッキリしておりますので、回を追うごとに確実に習得されていけるでしょう。熱意という点では皆さんそれぞれに感じます。Sさんは動きの中でのポイントを掴むのが上手で、そこから生じる質問を私はいつも楽しみにしております。同じく剣が好きなSさんはマイペースで続けられておりますので、無理なく楽しみながら私に褒められると顔を崩して喜んで下さいます。このところ窓側が定位置のWさんは道衣に袴が板についており、体捌きや姿勢についてはあまり注意することがありません。道衣に袴という紐で身体を適度に締めている状態が、姿勢の中で無意識に働きがあるものと思われます。綿足袋も滑りすぎず滑らなさ過ぎず摺り足には最適です。刀を差した際にも運動着に帯を巻いた状態よりも断然安定し、鞘の操作が確実です。ある程度動けるようになれば運動着に帯を巻いた状態よりも、正装で稽古に取り組まれたほうが自然なような気もいたしますし、袴の心地良さを知っていただきたいという思いも無きにしも非ずです。動きの感じ方心地良さが違うのです。

 今日は世話人でもあるOさんと「斬割り」をおこないましたが、私が打太刀を務め、間を変えながらおこなっても、誘われること無く落ち着いて出来ておりました。これには、私自身感じ入るところがあり、生意気な言い方ですが「稽古が進んでいますね。」とお伝えいたしました。突然おこなったものを以前より進んだ状態で対応できるというのは、普段の在り方が左右いたしますので、一人稽古も含め脳内稽古、おそらく無意識的にでも稽古の事を考えている状態にあると感じます。六十九歳から始められ、七十五歳となられた今も毎年進展し続けていらっしゃいますので、これからも怪我や故障には気をつけて長く継続できる状態を維持していただきたいと思います。また、世話人としても、さまざまにお声掛けをして下さり感謝しております。なによりOさんご自身が一番効果を実感されていると思いますので、そうした実体験が、興味がありながら一歩を踏み出せない方にとっては不安を軽くして下さる事だと思います。Oさんだけに限らず、Mさんもお元気になられましたし、大きな病気を抱えられているIさんも、さまざまにクリアしながらお越し下さっているものと感じます。Iさんも、私とのやりとりを楽しみにお越しいただいているのを感じますので、私もそのようなお身体の状態でお越しいただいていることに感じるものがありますので、Iさんには常に優しくなってしまいます。

 講習後は、皆さんご退出される際に「ありがとうございました!」と、ドアの横に立つ私にご挨拶されて出て行かれますが、私のほうこそいつも「ありがとうございました!」という想いですので、つい肩や背中にに触れたりして言葉が出てしまいます。

 意義ある活動こそ、私の求める生き方でもありますので、こうしてこの場を大事にして来て下さる方のお陰で私も活き活きと生かせて貰えます。心情をここまで書いてしまうのも恥ずかしい限りですが、人生における共有時間をご縁の中で共に過ごせる方々とは、私の生き方の中で大事な方々です。


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2019-09-11(Wed)
 

どういう生き方を選びどういう人になるか

 昨夜は去年と同様に凄まじい風だった。世田谷区では人が飛ばされ亡くなっている。昨年は屋根が剥がれたが今年はなんとか大丈夫であった。それにしても、仕事に行かなければならない人は大変である。必要以上に長い連休よりも、こういう日に休みが取れる方が望ましいと私は思う。

 
 さて、本日は夕方から高田馬場で竹田氏と稽古。会場施設周辺にある公園の木々が無数に折れて散乱しており。これだけ大小さまざまに木が折れているのを目にしたのは初めてである。きっと他の地域でも多くの木が折れていたことだろう。

 稽古では、貸し切りに近い状態だったため、広く贅沢に使うことが出来た。杖術では、姿勢を細かく観察し前脚鼠蹊部と後ろ脚膝関節の曲がり具合などを本人に確認して頂く。また中丹田の意識により姿勢の把握がつきやすいので、互いに杖を持ち合っての押し込みなどもおこなった。

 体術では合気道を学ばれている竹田氏を相手に、頭の中で考えていた座りでの稽古を少しおこなった。今後も頭の中で考えた動きや稽古の中でさまざまに取り組んで行きたい。

 「三十連円打」では二十番目まで進める事ができた。しばらくはこの二十番目までとし、動きの精度を高められるように稽古したい。そういう意味ではクラーチ剣術教室では三十番目までおこなっているので驚くばかりである。

 
 今日はお話の中で、私が会から離れ独立してからの経緯や、そうした時期における稽古とはどのようなものであったのか、一人稽古で何を頼りに進めていくのかなど、竹田氏からのご質問にお応えするような形で私自身も当時の自分を振り返ることができた。

 しかし、人は皆一様に自らの身体で感じ取って稽古をおこなうことは困難であるだろう。皆が独立し自ら発信して生きていくことは不可能である。なにかに頼って生きていくことで安心と喜びを得られる人も居るだろう。しかし、そうした発信性よりも受信性の中で学ばれる方々にとっても、受信だけでは見誤ってしまうものがあることを知っておかなければならない。そういう意味でも、「一人稽古」というのは、盲目になりがちな眼を自ら育て、受信性を高めることに繋がって行くのではないだろうか。得物を用いる武術稽古の利点は、身体から感ずる実感と納得が一人稽古の中で得られやすいところにある。

 もう今では考えられないが、まだ組織に入っていた頃、初めて道場に残って一人稽古をおこなうようになって、いかに自分が受け身で稽古をしていたかが解ったものである。だから当然、良いも悪いも解らず、次に移る止め時も解らない有様であった。今の私を作ったのは「一人稽古」によるものであり、会を離れ独立してからは、さまざまな意見や思惑も関係なく、自らの身体で納得するために稽古に明け暮れる日々が続き、それは勿論現在も同様であるが、その事を知るのと知らないのとでは、技に限らず人としても大きく異なる進み方であったと言えるだろう。物事の良い部分というのは本当に僅かな欠片でしかなく、だからこそ、人との関わりや関係性というのは気をつけた方が良い。そうしたことが、私の近辺で発生したという事でなく、台風の発生のようにめぐり巡って訪れていたということである、これからの人生でもこうした気圧配置に気が付かず、気が付けば台風に巻き込まれていたということにならぬように、僅かなものに対する眼を養い、惑わされず邪魔されず、私は私の道を進み続けて行くだけである。

 
 また竹田氏からは、若い生徒達とのお話を嬉しそうに聴いてくださるので、毎月お越しいただいている若い世代が九名ほどで、長期休講されている生徒が数名おり、そういえば小学生から高校生まで若い世代の生徒達も増えてきたと感じました。当然、親御様のご理解があってのことなので、お子様の成長を感じていただけるような場であり、同時に大人の皆様も、周囲に目が向けられる働きの中で如何に動けるかということを稽古し、自己や空間の客観性からさまざまに学んで行っていただきたいと思います。

 竹田氏には、台風の影響で通常片道二時間半掛かって来られているところを電車の運休などもあり、さらに時間を掛けてお越しいただいたことに頭が下がる思いです。次回もよろしくお願いいたします。


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2019-09-09(Mon)
 
プロフィール

金山孝之


     金山 孝之
  Takayuki Kanayama


1975年生まれ
福岡県北九州市出身
東京都世田谷区在住

松聲館技法研究員

金山剣術稽古会主宰

Gold Castle
殺陣&剣術スクール主宰

高齢者のための剣術教室
クラーチ剣術教室講師


1999年
映画監督中田秀夫氏との出会いにより映画に出演。そのほかマンダムのモデルや舞台のプロデュース公演などをおこなう

2006年
小林照子先生とのご縁から
「からだ化粧」のモデルを務める

2009年
武術の道を志しそれまでの活動を一新し武術稽古と研究に励む

2011年
武術研究家甲野善紀先生に師事し「抜刀術」「剣術」「杖術」「体術」などの稽古と研究に取り組んでいる。また、先生の書籍、番組撮影、記録映像、その他演武等における打太刀や受けを務めている

2013年
刀と身体操作の技術向上を目指し裾野を広げるべく「Gold Castle 殺陣&剣術スクール」を発足

2014年
甲野善紀先生より
「松聲館技法研究員」を拝命
自身の経験を活かした指導法を各道場等でおこなっている
 
シニア住宅にて
「高齢者のための剣術教室」をおこなっている

日信工業株式会社の製品
「SAMURAI BRAKE」のプロモーション活動に携わる

2015年
「金山剣術稽古会」を発足
現代における武術稽古の必要性を身体と心で学べる場として活動している

2018年
「関西特別講習会」として定期的に関西地域での講習会を開催

2019年
BABジャパンよりDVD『古武術は速い』刊行

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